コラム

母が再婚した場合に養育費の減額はできるか?養子縁組した場合も解説します

再婚・養子縁組の養育費

離婚後にどちらかが再婚することはよくあることです。

再婚した場合に、合意している養育費は減額されるのでしょうか?

本記事では、再婚した場合に養育費は減額されるのかを解説します。

1.養育費とは

養育費とは、未成熟子が経済的・社会的に自立するまでの間に要する子の生活費のことです。

成人年齢が20歳から18歳まで引き下げられましたが、養育費の終期は20歳までが原則となります。

2.養育費の減額

養育費と電卓

養育費は、父母の合意、調停、審判などを通じて決められます。

父母の収入状況に応じて養育費の金額が決められるのが一般的です。

しかし、養育費を決めた時点で予測していなかった事情が発生した場合には、一度決めた養育費を減額させることができます。

そこで、父母のうち再婚した場合には、養育費を減額させる事情となるのか説明します。

3.再婚した場合は減額されるのか?

父母のうちどちらかが再婚をすることによって、養育費の義務者の扶養対象が増える場合(父の再婚)子供の扶養義務者が増える場合(母の再婚等)には、事情の変更に当たるとして養育費を減額できる可能性があります。

しかし、父母が再婚する場合にも、いろいろなケースがあります。

例えば、以下のようなケースが考えられます。

母が再婚して、再婚相手が養子縁組した場合

• 母が再婚したが、養子縁組しない場合

• 父が再婚したが、再婚相手が専業主婦の場合

• 父が再婚したが、再婚相手の子と養子縁組した時

• 父が再婚したが、再婚相手の子と養子縁組しない場合

• 父が母以外の女性との間の子を認知した場合

以下では、それぞれのケースのうち①母が再婚して、再婚相手が養子縁組した場合②母が再婚したが、養子縁組しない場合に応じて解説していきます。

なお、本記事では、母が親権者であることを前提に解説しています。

電話による問い合わせ

4.①母が再婚して再婚相手が養子縁組した場合

再婚して手をつなぐ三人

母の再婚相手が、子供と養子縁組をすることで、その再婚相手は子の養親となります。

つまり、再婚相手は、子の養親として、子供の扶養義務者となります。

養親の扶養義務は、親権者ではない実親の扶養義務に優先されると考えられています

そのため、母の再婚相手が養子縁組した場合には、事情の変更があったとして、養育費の減額が認められる可能性があります。

ただ、母の現在の収入状況や再婚相手の収入状況によっては、養育費の減額の可否が変わってきます。

4-1.養親が無収入の場合

養子縁組したとしても、養親となった再婚相手の収入が十分ではない場合には、再婚相手による子供の扶養は期待できません。

この場合には、実親である父が養育費を負担しなければなりません。

4-2.最低生活費が基準

しかし、再婚相手の収入が子供を扶養するのに十分か否かは、再婚相手と母の収入を合わせた世帯収入が最低生活費を超えているか否かによって判断します。

具体的には、ⅰ子供を含めた養親世帯全体の最低生活費を算出します。

次に、ⅱ子供がいないと仮定した養親世帯の最低生活費を算出します。

ⅰからⅱを引くことで子供の最低生活費を導きます。

その上で、養親世帯の基礎収入から子供の最低生活費を引いた残額がⅱを超えている場合には、養親世帯の基礎収入は最低生活費を下回らないとされます。

子供の最低生活費を算出する方法

最低生活費を下回らないのであれば、養親となる再婚相手による扶養で十分とされますから、実親の養育費はゼロになるか減額されると考えます。

最低生活費を超える収入がない場合、その不足する限度で実親が養育費を負担することになりますから、養育費の減額が認められる可能性はあります。

最低生活費については、こちらを参照

4-3.再婚相手に稼動能力があるか

再婚相手が無収入であったとしても、就労して収入を得ることができる状況であれば、たとえ無収入であったとしても、収入を得る能力があるとして、再婚相手の収入を一定程度で認定することがあります。

再婚相手が病気や障がいにより稼動能力を有さない場合には、無収入として扱われます。

4-4.再婚相手に稼動能力がない場合

再婚相手に稼動能力がなく無収入である場合には、母の収入により子供と再婚相手を養わなければなりません。

そこで、母の基礎収入から無収入の再婚相手の生活費を除く必要があります。

無収入の再婚相手については、15歳未満の生活費指数である62とされることが多いと考えます。

母の基礎収入×権利者の生活費指数+子の生活費指数/権利者の生活費指数+子の生活費指数+再婚相手の生活費指数

4-5.計算方法

再婚相手の生活費を除いた母の基礎収入を基に、養育費を計算していきます。

子供の生活費に、父の基礎収入の父母の基礎収入の合計の割合を掛けることで養育費を計算します。

❶子供の生活費の算出

父の基礎収入×子供の生活費指数/子供と父の生活費指数

• 子供が15歳未満である場合には、生活費指数は62

• 子供が15歳以上である場合には、生活費指数は85

となります。

❷父の負担額

子供の生活費×父の基礎収入/父の基礎収入と母の基礎収入の合計額

4-6.義務者に経済的余裕がある場合

養親世帯の基礎収入が最低生活費を超える場合には、二次的な扶養義務しか負わない実父は、養育費を負いません。

しかし、実父に経済的な余裕があれば、たとえ最低生活費を超えていたとしても、養育費を負うべきとする考えがあります。

5.養子縁組していない場合

再婚相手が子供と養子縁組をしない場合、再婚相手は子供に対する扶養義務を負いません。

そのため、実父は、これまでとおり養育費を負担し続けます。

5-1.再婚相手に経済的余裕がある

しかし、養子縁組をしていないとしても、再婚相手に経済的な余裕があり、子供も再婚相手から衣食住の便益を受けている場合には、実父の養育費の負担を求める必要性が少なくなります。

そこで、このような場合には、親権者である母が再婚相手から受け取っている生活費を母の収入として扱うことがあります。

それにより母の基礎収入が増えることで、養育費の減額を認められる可能性があります。

6.養育費の減額の始期

養育費が実際に減額されるのは、養育費の減額を求める意思表示をした時からです。

一般的には、養育費減額の調停申立をした時とされます。

再婚した時や養子縁組をした時ではないので注意が必要です。

そのため、再婚や養子縁組といった事情の変更が生じた場合には、できるだけ早い時期に養育費減額の調停申立あるいは内容証明による通知を行うようにすることが望ましいです。

7.弁護士に相談しよう

弁護士に相談しよう

再婚や養子縁組といった事情の変化があった場合、適正な養育費の金額を計算することはそう簡単ではありません。

いわゆる養育費算定表に当てはめるだけでは正しい金額を算出することは難しいです。

また、事情の変化があっても、調停申立等をしなければ、養育費の減額はできません。

できるだけ早い時期に弁護士に相談をして養育費減額の手続を進めていくことが重要です。

弁護士に依頼するメリット

養育費の減額の可否を判断できる

減額後の養育費の金額が分かる

養育費減額の手続を一任できる

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