事案
夫が別居前から、別の女性と不貞行為を繰り返していました。
依頼者である妻は、夫の不貞行為や同居中の嫌がらせなどを理由に面会交流を拒否していました。
子供の年齢は、申立時2歳。
夫が妻に対して、面会交流の申立てをしました。
結果
申立てから解決まで1年半。
最終的には、子供と父親の直接交流を月に一度認める内容で調停を成立させました。
面会交流の調停においては、家庭裁判所は、基本的に親子の面会交流を実施する方向で話し合いを促していきます。
しかし、本事案では、裁判所は、夫の不貞行為の内容、同居中の度重なる嫌がらせ及び子供の年齢が幼いことを捉えて、慎重に手続を進めていきました。
家庭裁判所の調査官の調査、間接交流の複数回の実施、夫の婚姻費用の支払いなどを経て、父母の信頼関係が最低限築けたと判断して、上記のとおり調停が成立しました。
解説
面会交流の問題は、父母の心情の対立がかなり強く生じる問題です。
そのため、予想以上に複雑化し、長期化を招いてしまいます。
今回の事案も、その部類に該当します。
夫の不貞行為を理由に面会交流の実施を拒否できると考えがちですが、実務では、不貞行為を理由とした面会交流の拒否はできません。
夫の不貞行為により子供の福祉を害するような状況がなければ、面会交流の拒否は難しいでしょう。