コラム
最終更新日:2024.01.12

DVとモラハラの違いとは?DVの種類、モラハラと離婚原因を弁護士が解説

男性の離婚理由のうち2位が精神的な虐待(約20%)、女性の離婚理由のうち3位が精神的な虐待(約25%)、4位が暴力(約19%) となっており、DVやモラハラが離婚理由の上位となっています。

このようにDVとモラハラは、どちらも離婚問題に発展する可能性がある危険な行為です。

ただ、具体的にどのような行為がDVに該当するのか、DVとモラハラはどのように違うのかを正確に把握している方は多くないでしょう。

この記事では、DVの種類や、DVとモラハラの違い、目に見える暴力のないモラハラが離婚原因になるのかなど、気になる点を弁護士が分かりやすく解説します。

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DVとは? 

DVとは、「ドメスティック・バイオレンス」(家庭内暴力)の略語で、夫婦や恋人などの親しい関係の中で振るわれる暴力のことを意味します。 

配偶者からのDVによって平穏な夫婦生活を送れなくなり、夫婦関係が破綻した場合には、「婚姻を継続し難い重大な事由」があるものとして、法律上の離婚原因になります(民法第770条1項5号)。

DV行為の代表例としては、殴る、蹴るなどの身体的暴力が挙げられますが、それだけではありません。様々な言動によって相手を追い詰め、心身を傷つけるような目に見えない暴力も、DVに該当する可能性があります。

以下で、5種類のDVを具体例とともにご紹介します。

肉体的DV

肉体的DVとは、殴る、蹴るなどの直接的な暴力によって、相手の肉体を傷つけるDVのことです。 

具体例としては、殴る、蹴るなどの他にも、以下のような行為が挙げられます。

・平手で叩く
・首を絞める
・突き飛ばす
・押し倒す
・物を投げつける
・髪を引っ張る

精神的DV 

精神的DVとは、暴言を吐いたり嫌みを言ったり、逆に無視するなどの嫌がらせにより、相手を精神的に追い込んで傷つけるDVのことです。 

具体例としては、以下のようなものが挙げられます。 

・罵詈雑言を浴びせかける
・話しかけられても答えない
・些細なことで機嫌が悪くする
・執拗に嫌みを言う
・人格を否定する発言をする
・長時間にわたって説教をする
・人前でバカにする
・子どもに悪口を吹き込む

経済的DV 

経済的DVとは、相手が自由に使えるお金をまったく、またはほとんど渡さず、経済的な自由を奪うことで精神的に追い詰めるDVのことです。 

具体例としては、以下のようなものが挙げられます。 

・夫に収入があるのに、妻に生活費を渡さない
・妻が生活費を管理している場合でも細かくチェックし、浪費は一切許さない
・自分は働かず、相手に借金をさせる
・外で働くことを認めない

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社会的DV 

社会的DVとは、相手が外部と交流することを許さず、社会的に孤立させることによって支配しようとするDVのことです。 

具体例としては、以下のようなものが挙げられます。

・友人との外出を禁じる
・外出を許しても、メールやLINEで逐一、状況報告を求める
・実家の両親や親族との交流も最低限に制限する
・仕事を辞めさせる
・携帯電話の履歴やメール、LINEなどをチェックする

性的DV 

性的DVとは、相手が望まないのに性交渉を強要するなどして、性的自由を奪うことにより、精神的に追い詰めるDVのことです。 

具体例としては、以下のようなものが挙げられます。

・無理やり性交渉を強要する
・性交渉を拒否されると暴力を振るったり、無視するなどの嫌がらせをしたりする
・アブノーマルな性行為を強要する
・否認に協力せず、中絶を強要する
・家計が苦しいのに何人もの子どもを産ませる
 

「セックスレス」も、性的行為を過度に毛嫌いし、性交渉に一切応じようとしないような場合は性的DVに該当することがあります。

関連記事|セックスレスを理由に離婚できるのか?慰謝料の相場や離婚手続

モラハラとはどんな行為ですか? 

モラハラとは、「モラル・ハラスメント」の略語で、道徳や倫理に反した嫌がらせのことを意味します。身体的な暴力を伴わず、言葉や行動、態度などによって、精神的に相手を追い詰めるような行為のことです。

モラハラの具体的な事例 

モラハラのパターンは多岐にわたりますが、ここでは、よくあるモラハラの具体的な事例をいくつかご紹介します。 

①相手を見下して支配しようとする事例

夫から妻に対するモラハラで多いのは、妻を見下す発現をしたり、暴言を吐いたりして、支配しようとするパターンです。

  • 「何度言ったら分かるんだ!」
  • 「こんなことも分からないのか」
  • 「俺がいないと何もできない」

このような発現で妻をおとしめて、自分が優位に立とうとします。

妻が専業主婦であれば、次のような妻の存在価値を否定する発言をすることも多いです。

  • 「誰のおかげで生活できてるんだ」
  • 「一日中家にいて、何をしてるんだ」

たとえ夫自身に非があったとしても認めようとせず、謝ることはありません。自分を正当化して、妻が謝るまで説教をしたり、嫌みを言ったりして責め続けます。

②相手に無言の圧力をかける事例

モラハラには、上記のように攻撃的なものばかりではなく、無言で圧力をかけるようなパターンもよくあります。

例えば、些細なことですぐ不機嫌になり、わざと大きな物音を立てたり、様々な嫌がらせをしたりして、パートナーを自分の思いどおりに動かそうとするのです。

また、パートナーを無視するケースも少なくありません。

パートナーが何をしても、何を話しかけても無視をし続け、「自分が悪い」という罪悪感を持たせて、自分に従わせようとするのです。

また、パートナーに対して無言や無視を貫くケースでも、知人や近所の人、親戚などに対しては愛想良く振る舞うことが多いです。外面が良いというのは、モラハラ夫やモラハラ妻に多い特徴のひとつといえます。

③妻から夫に対するモラハラ

DVやモラハラというと、夫から妻に対して行われるものというイメージが強いかもしれませんが、実際には妻から夫に対して行われることも少なくありません。 

割合的に言うと、身体的な暴力を伴うDVは夫から妻に対して行われるケースの方が多いですが、精神的DVやモラハラは、妻から夫に対して行われるケースも多々あります。 

妻によるモラハラでも、具体的なパターンは多岐にわたります。

  • 収入が低いことを、ことあるごとに責める
  • 家事や育児を手伝わないことを責める
  • 家事や育児を手伝ったとしても、やり方が悪いと責める
  • 体型などの外見的なことや、体臭などを責める

このように、発言内容は様々ですが、夫の弱点を責め立てて人格を否定し、夫よりも優位に立とうとすることが多いです。

モラハラは離婚原因になりますか?

モラハラは、程度によっては離婚原因となります。つまり、モラハラが常に離婚原因になるわけではないということです。

モラハラをするようなパートナーは自分が悪いとは思っていないため、素直に離婚に応じることは少ないのが実情です。離婚の合意が得られない場合に強制的に離婚するためには、法定離婚事由(民法第770条1項各号)が必要です。

関連記事|モラハラを原因とした離婚請求が認められるのか弁護士が解説します

モラハラは婚姻を継続できない重大な事由 

モラハラは法定離婚事由として明確に定められているわけではありませんが、程度によっては「婚姻を継続し難い重大な事由」(同項5号)という法定離婚事由に該当することがあるのです。 

婚姻を継続し難い重大な事由とは、何らかの原因により、夫婦関係が修復できないほど完全に破綻した状態のことを指します。 

そのため、モラハラが法定離婚事由に該当するのは、悪質なモラハラ行為がそれなりの長期間にわたって続いているケースや、モラハラをされた側が深刻なダメージを受けている場合などに限られます。 

例えば、パートナーから何年にもわたって暴言を吐かれ続けて、平穏な夫婦生活を送れなくなっている場合や、人格を否定され続けてうつ病になった場合などでは、モラハラが離婚原因となる可能性が高いといえます。 

しかし、何度か暴言を吐かれただけのケースや、長期間にわたる場合でもたまに嫌みを言われるだけのケースなどでは、モラハラが離婚原因となる可能性は低いといわざるを得ません。

ガスライティングとは

ガスライティングとは、モラハラや精神的DVの手段のひとつのことで、近年になってよく使われるようになった心理学用語のことです。 

分かりやすくいうと、相手に誤った情報を与え続けることで「自分が間違っている」と思い込むように仕向けるという、心理的虐待の手法のことを意味します。 

ガスライティングを仕掛けられた側は自尊心をなくし、精神的に追い込まれてしまいます。そして、自分が間違っていると思い込み、加害者に服従するようになってしまうのです。 

パートナーを支配しようとするタイプの加害者は特に、無意識のうちにもガスライティングの手法を用いていることが多いです。

ガスライティングも、程度によっては離婚原因となります。

ガスライティングの具体例

夫婦間では、自分の価値観をパートナーに押し付けて、反論されると 

  • 「君は頭が悪いね」
  • 「みんなも君がおかしいと言ってるよ」
  • 「こんなことも分からないのでは、友だちに陰で馬鹿にされてるよ」 

などと、根拠のない理屈でたたみかけることが多いです。 

モラハラとDVの違い

精神的なDVとモラハラは、行為の面ではほとんど同じです。しかし、夫婦間の精神的DVとモラハラでは、加害者側の意図に重要な違いがあります。また、モラハラは、DVに該当しない言動も含まれており、DVよりも広い概念といえます。

加害者側の意図の違い 

精神的DVの場合、加害者は自分の行為が相手を傷つけていることを認識しているものです。

それに対して、モラハラの場合は、自分の行為が相手を傷つけているとは思っていません。あくまでも自分が正しいと思っていて、自分の考え方や価値観を押し付けるあまりに、相手を傷つけてしまうのです。

ただ、モラハラの方が、相手を傷つけているという認識が加害者にないため、対処が難しい傾向にあります。そのため、離婚を切り出しても加害者は心当たりがないと主張し、話し合いがもつれることも多いです。

悪質さの程度の違い

もう一つのモラハラと精神的なDVの違いは、行為の悪質さです。

精神的なDVは、いわば暴力といえる程度の悪質な精神的な虐待です。モラハラには、精神的なDVを含みますが、これに至らない言動も含んでいるといえます。

離婚するために必要な準備について 

DVやモラハラをするパートナーとは、簡単に離婚できるとは限りません。そのため、離婚したい場合には戦略的に準備を進めていきましょう。 

証拠を収集すること 

DVやモラハラをするパートナーと離婚の話し合いをするときには、事前に証拠を収集しておくことが大切です。

なぜなら、離婚を拒否された場合、証拠がなければ話し合いを進めることが難しくなるからです。 

裁判で強制的に離婚するために、証拠が必要不可欠です。裁判で通用するような強力な証拠をパートナーに示すことができれば、話し合いも有利に進めやすくなります。 

証拠の種類

DVやモラハラで離婚するために必要な証拠としては、主に次のようなものが挙げられます。 

・パートナーの暴力や暴言などの様子を録画・録音したもの

・パートナーとのメールやLINEのやりとりで、嫌がらせの状況が分かるもの

・DVやモラハラの被害に遭った状況を継続的に記録した日記やメモ

・友人、知人、親族など第三者による証言 

精神的DVやモラハラの場合は特に、客観的な証拠は確保しにくいものです。そのため、日頃から継続的に夫婦関係の状況を日記やメモに記録したり、信頼できる第三者に悩みを相談したりしておくことが重要となります。 

別居をすること 

スムーズに離婚できない場合は、ひとまず別居することをお勧めします。 

パートナーからのDVやモラハラに耐え続けていると心身をむしばまれ、うつ病になるなど深刻なダメージを受けてしまうおそれがあるからです。 

夫婦生活が辛いと感じたら、無理をせず、早めに別居を検討しましょう。 

別居すれば、離婚の話し合いを冷静に進めやすくなりますし、裁判でも離婚が認められやすくなるというメリットがあります。 

別居が長期間続くと、そのこと自体が「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当し、離婚が認められやすくなるのです。 

一般的には、別居期間が5年以上になると離婚が認められる可能性が高くなります。

関連記事|DV防止法とは?保護命令やDV防止法を分かりやすく弁護士が解説します

生活費(婚姻費用 )を請求すること

別居後、速やかに生活費(婚姻費用)の支払いを求めましょう。

別居後も離婚が成立するまでは、パートナーに対して生活費の分担を請求できます。

パートナーが支払いに応じない場合は、「婚姻費用分担請求調停」を申し立て、家庭裁判所で取り決めておきます。

DV・モラハラによる離婚の慰謝料の相場は?

離婚が認められるほどひどいDV・モラハラが行われていた場合は、違法性が高いといえるので、慰謝料請求も認められる可能性が高いです。 

慰謝料の金額は事案の内容によって異なりますが、おおよそ数十万円~300万円程度が相場です。

関連記事|DVの慰謝料請求の相場は?DVの慰謝料請求について弁護士が解説

関連記事|モラハラで慰謝料を請求できるのか?モラハラの意味や慰謝料の条件

慰謝料の計算要素

DV・モラハラ行為の回数が多く、期間も長いケースや、被害の程度が大きいケースなどでは、慰謝料が高くなる傾向にあります。 

例えば、被害者がうつ病などの精神疾患を発症して、長期間働けなくなったようなケースでは、相場を超える高額の慰謝料が認められることもあります。 

証拠を収集することが重要

慰謝料請求が認められるためにも、証拠が重要です。

実際にはひどいDV・モラハラが行われていたとしても、証拠で事実を証明できなければ、慰謝料請求が認められない可能性もあることに注意が必要です。 

特に、精神的DVやモラハラのケースでは、客観的な証拠が残りにくいため、日記を継続的に書くなどして、証拠を確保しておくことが重要となります。

関連記事|モラハラの証拠の集め方とその収集方法

DVやモラハラの離婚トラブルは弁護士に依頼するべき

弁護士に依頼すれば、証拠の収集からパートナーとの離婚協議、家庭裁判所での離婚調停や離婚裁判に至るまで、全面的にサポートしてもらえます。 

DVやモラハラで辛い思いをしているのなら、一人で抱え込まず、弁護士に相談してみることをお勧めします。

DVやモラハラの被害を回避できる

弁護士を代理人とすることで、配偶者との直接の交渉を回避できます。

配偶者との交渉を直接行うことで、暴言や人格否定などの精神的な虐待を受け、さらなる被害を生むおそれがあれます。そこで、弁護士を交渉の窓口とし、相手方との接触の全てを避けることで、被害の再発を防ぎます。

証拠の収集をサポートしてもらえる

DVやモラハラの証拠収集を適切にサポートできます。

DVやモラハラの証拠は、簡単には確保できません。あらかじめ計画的に証拠の確保をする必要があります。弁護士に早期に相談しておくことで、将来の離婚を見据えた、有利な証拠収集を計画的に行うことができます。

調停や裁判手続きを一任できる

調停手続きや裁判手続きを弁護士に一任できます。

DVやモラハラの加害配偶者との話し合いは一筋縄には行きません。離婚協議が奏功しない場合、離婚調停を申し立てることになります。離婚調停が不成立となれば離婚裁判の手続きに移行します。いずれのプロセスも専門性が高く、裁判に不慣れな人では十分な対応ができません。また、加害配偶者を相手方とした対応には大きなストレスを伴います。

弁護士に依頼することで調停や裁判手続きを一任することができ、様々な負担を軽減させることが期待できます。

難波みなみ法律事務所代表弁護士・中小企業診断士。幻冬舎「GOLDONLINE」連載第1回15回75回執筆担当。法的な問題には、法律の専門家である弁護士の助けが必要です。弁護士ドットコムココナラ弁護士ナビに掲載中。いつでもお気軽にご相談ください。初回相談無料(30分)。

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