不倫による離婚や不倫相手が子どもを出産した場合でも、養育費はもらえるのかどうか、悩む方が多いです。
不倫が離婚原因である場合、養育費の問題は心情的な問題が絡み合い非常に複雑です。
しかし、養育費は子供の権利であって、父母間の離婚原因によって左右されるものではありません。
この記事では、不倫をした場合でも養育費をもらえるのか、また不倫相手が子どもを出産した場合の養育費について詳しく解説します。あわせて、2026年4月の民法改正で養育費のルールがどう変わったかも解説します。
不倫で離婚した場合の養育費
配偶者の浮気・不倫が原因で離婚に至った場合、不貞慰謝料の問題だけでなく、子どもの養育費の問題も浮上します。
ここでは、不倫が原因で離婚した場合の養育費について詳しく説明します。
不倫をした配偶者が養育費を請求する場合
配偶者自身の不倫が離婚理由となった場合でも、養育費はもらえます。
まず、配偶者は、不貞行為をしたとしても、子どもの親権者になることはできます。子供の養育監護の問題と不倫の問題は別個の問題と考えるからです。
つまり、離婚原因が配偶者の不倫であった場合でも、子どもが受ける生活費や教育費などに影響は与えません。そのため、親権者ではない親は養育費を負担しなければならないため、たとえ親権者となる親が不倫をしたとしても、養育費を通常通り請求することができます。
よって、不貞行為をした配偶者は、親権者として養育費の請求を行うことができます。
ただし、不貞行為をした配偶者は、不貞行為による慰謝料や離婚慰謝料を支払う義務を負います。
婚姻費用の請求は制限される
不倫をした配偶者が婚姻費用を請求する場合には、その金額は不倫を理由に制限される可能性があります。
婚姻費用とは、社会生活を送る上で必要となる妻(夫)と子どもの生活費を言います。婚姻費用は、別居後から離婚するまでの間で支払い義務を負うものです。養育費はあくまでも離婚後に請求する子どもの生活費である点で、婚姻費用とは異なります。
不倫をした配偶者が婚姻費用を請求する場合、自身の不貞行為が別居原因となっている以上、婚姻費用の金額は養育費の限度でしか認められない可能性があります。

不倫をした配偶者に対して養育費を請求する場合
不倫をした配偶者に対しても、養育費を請求することは可能です。
その理由は、養育費は、子どもの養育監護のための権利であり、離婚原因とは関係なく負うべき支払義務だからです。
そのため、不倫をした元配偶者に対して養育費を請求し、養育費をもらい続けることができます。
不倫慰謝料の請求
不倫をした配偶者に対しては、養育費のほかに、不貞行為に基づく慰謝料請求をすることができます。この慰謝料請求は、不倫配偶者だけでなく不倫関係にあった不倫相手に対しても請求することができます。
不貞行為の慰謝料請求が認められるためには、不貞行為を証明できる客観的な証拠が必要となります。計画的に証拠を確保しておくことが重要です。
不倫相手が子どもを出産した場合の養育費
不倫相手が子どもを出産した場合、その子どもの養育費を支払う義務が生じます。
不倫相手の子供に対して養育費を支払う場合について解説します。
認知をすることが養育費の前提となる
認知が行われて初めて養育費の請求が可能となります。
認知によって、不倫をした夫と不倫相手の子供との間に法律上の親子関係が成立します。
認知がなければ、たとえ生物学的な親子関係があっても、子どもへの法的な扶養義務は発生しません。つまり、もし不倫相手が子どもを出産しても、認知が行われなければその子の父親としての義務を負いません。
不倫相手の子の養育費の計算方法
不倫相手との間に子どもが生まれた場合、その子どもの養育費は、父母の収入額や子供の年齢によって算定されます。例えば、子供の人数や年齢に応じた養育費算定表を用いて簡易的に養育費を計算する方法があります。
また、父母の基礎収入と生活費指数を基に詳細に養育費を計算する方法もあります。これを標準算定方式といいます。
| ①基礎収入=年収額×基礎収入割合 ②子供の生活費=父親の基礎収入×子供の生活費指数÷(父子の生活費指数の合計) ③養育費額=子供の生活費×父の基礎収入÷父親と母親の基礎収入の合計額 *生活費指数 親 100 15歳以上 85 15歳未満 62 |
妻との間に子供がいる場合
妻との間に子供がいる場合、不倫相手の子供の生活費を計算するにあたっては、妻との間の子供の生活費指数も考慮しなければなりません。
つまり、不倫相手の子供と妻との子供との間で生活費を分担しなければならず、その分、不倫相手の子供の養育費は減額されます。
妻との間に子供がいない場合
妻との間に子供がいない場合、不倫相手と夫の収入額に基づいて養育費が決定されます。
妻との間に子供がいない以上、妻との間の子供の生活費を考慮する必要がないため、不倫相手と夫の収入額から養育費を計算すれば足ります。
ただ、妻に収入がなく、持病や妊娠中のために働くことができず、夫による扶養を受けざるを得ない場合には、妻の生活費も考慮して養育費を計算します。
不倫相手が既婚者である場合
不倫相手が既婚者である場合、不倫相手が産んだ子供は、戸籍上、不倫相手の夫の子供となります。これを嫡出推定といいます。
不倫相手の子供が、その夫の子供として戸籍上入籍している場合、不倫をした夫は不倫相手の子供に対して扶養義務を負いません。法律上の親子ではないからです。
不倫をした夫に対して、不倫相手の子供の養育費を請求するためには、まず嫡出否認の手続きをしなければなりません。その上で、認知を行う必要があります。嫡出否認を行わなければ、不倫相手の夫が法律上の父親とみなされるからです。
嫡出否認がされた後の手続きは、先ほど解説したプロセスと同様です。
【2026年民法改正】変わった養育費のルール
2024年5月に成立した改正民法が2026年4月1日に施行され、養育費に関するルールが大きく変わりました。不倫が絡む離婚・養育費問題を検討するうえでも重要な変更点です。
① 法定養育費の新設(子1人あたり月額2万円)
2026年4月1日以降に離婚した方は、養育費の取り決めをしていなくても、子どもと暮らす親が相手方に対して「法定養育費」として子1人あたり月額2万円を請求できるようになりました。
| 子どもの人数 | 法定養育費(月額) |
|---|---|
| 1人 | 2万円 |
| 2人 | 4万円 |
| 3人 | 6万円 |
ただし、この法定養育費はあくまで取り決めをするまでの暫定的・補充的な措置です。実際の養育費を大きく下回ることが多いため、できる限り協議・調停等で適正な額を取り決めることが重要です。
不倫が絡む場合の注意点: 法定養育費は離婚原因(不倫かどうか)を問わず請求できます。ただし、法定養育費制度を利用できるのは2026年4月1日以降に離婚した場合に限ります。それ以前に離婚している場合は適用されません。
② 養育費債権への先取特権付与
今回の改正で、養育費債権に「先取特権」が付与されました。これにより、裁判所の判決(債務名義)がなくても、父母間で作成した文書(合意書など)をもとに相手方の財産を差し押さえる手続きを申し立てられるようになりました。先取特権が適用される上限額は子1人あたり月額8万円です。
| 改正前 | 改正後 |
|---|---|
| 公正証書・調停調書など債務名義が必要 | 父母間の文書があれば差し押さえ申立が可能 |
| 差し押さえまで2段階の手続き(調停・審判→差押え)が必要 | 手続きが大幅に簡素化 |
ただ、この改正により、口約束だけの合意では先取特権を使えないため、合意内容は必ず書面で残すことがこれまで以上に重要になっています。
③ 収入情報の開示命令
養育費に関する裁判手続きで、家庭裁判所が当事者に対して収入情報の開示を命じることができるようになりました。開示命令に正当な理由なく従わない場合は10万円以下の過料の対象となります。
不倫が発覚した相手方が収入を隠そうとするケースでも、この制度を活用できます。
養育費の相場と支払期間
養育費の相場と支払期間(始期と終期)について詳しく解説します。
養育費は父母の収入額と子どもの生活費で算定する
養育費は父母の収入額と子どもの生活費に基づいて算定されます。
この点は先ほど解説したとおりです。養育費算定表を用いたり、標準算定方式を用いて養育費を計算します。
養育費の終期は20歳まで
養育費の支払いは子どもが20歳になるまで続きます。
成人年齢が18歳に引き下げられましたが、養育費の終期は20歳のままです。なぜなら、大学進学率の向上から、18歳を超えても依然として子供が親の扶養を必要とするケースが多いからです。
したがって、親は子どもが20歳になるまで養育費を支払う必要があります。
養育費請求の流れ
養育費を適切に受け取るためには、請求の流れを理解しておくことが重要です。
養育費の支払を請求する
まずは、親権者である親が親権者ではない親に対して、養育費の支払いを求めます。
口頭やメール・LINEを通じて、養育費の支払いを請求することもできます。
しかし、事後的に養育費を請求した日時や請求内容を証明するために、内容証明郵便を用いて養育費の請求をするべきです。
養育費の金額や条件を交渉する
養育費の金額や条件を父母間で交渉し、合意を目指すことが重要です。
父母がそれぞれの収入に基づいて子供の養育費の金額や終期等について話し合いを進めます。
父母間できちんと話し合い、養育費の金額や条件を合意するように努めます。
合意書や公正証書を作成する
養育費に関して合意が成立した場合、その合意内容を明確にするために合意書や公正証書を作成することが重要です。
合意内容を文書化しておくことで、後々のトラブルや誤解を防ぎ、合意内容が有効であることを証明することができます。
特に、公正証書を作成しておくことは、紛争の蒸し返しや不払い時のリスクを回避する上で重要な手段といえます。公正証書は、公証役場の公証人の作成する公文書であり、強制執行認諾文言を規定しておくことで、相手が支払いを怠った場合に、調停や裁判をすることなく直ちに強制執行が可能になります。
養育費の調停申立をする
養育費の金額や条件に合意できない場合、家庭裁判所に対して調停申立てをします。
調停は調停委員の仲裁を通じて、双方が納得のいく解決を図る手段です。
調停委員の説得により当事者が合意に至れば調停は成立します。しかし、説得の甲斐なく合意に至らない場合には調停は不成立となります。
調停が不成立となれば審判手続に移行し終局的な解決が図られます。
養育費の不払いがあれば差押えをする
公正証書又は調停等により確定した養育費の不払いがある場合には、養育費の支払義務者の財産を差押えます。支払義務者の預貯金に加えて勤務先に対する給与債権も差押えの対象となります。
よくある質問(FAQ)
Q. 私が不倫をして離婚することになりましたが、子どもの養育費はもらえますか?
A. はい、請求できます。養育費は子どもの権利であり、離婚の原因(不倫かどうか)は養育費の請求権に影響しません。親権者となった親が不倫をしていた場合でも、非親権者の親は養育費を支払う義務があります。ただし、不倫の慰謝料や婚姻費用の問題は別途生じます。
Q. 相手が不倫をしていました。養育費を減額したいのですが可能ですか?
A. 難しいです。養育費は子どもの生活費であり、相手の不倫という離婚原因によって金額を減らすことは原則として認められません。相手の不倫に対しては、慰謝料請求という別の手段で対応することになります。
Q. 2026年4月以降に離婚しましたが、養育費の取り決めをしていません。どうすればいいですか?
A. 2026年4月1日以降の離婚であれば、取り決めをしていなくても法定養育費(子1人あたり月額2万円)を請求する権利があります。ただしこれは最低限の金額ですので、速やかに協議・調停で実態に即した養育費を取り決めることをお勧めします。取り決め後は書面(公正証書等)に残しておくと、万が一の不払い時に差し押さえがしやすくなります。
Q. 不倫相手が妊娠・出産しました。認知すれば養育費を支払う必要がありますか?
A. はい、認知をすることで法律上の親子関係が成立し、養育費の支払い義務が生じます。認知がなければ扶養義務は発生しませんが、不倫相手から認知を求める調停や訴訟(認知の訴え)を起こされた場合、DNA鑑定などにより強制認知となることがあります。また、2026年4月以降の離婚・認知であれば、法定養育費制度の対象にもなり得ます。
Q. 養育費を払ってもらえない場合、どうすれば回収できますか?
A. 2026年の改正で養育費の回収がしやすくなりました。父母間で合意書などの文書があれば、裁判所の調停調書・審判書・判決などの債務名義なしに差し押さえ申立が可能です(先取特権:上限月額8万円/子1人)。取り決めがない場合は法定養育費(月額2万円/子1人)を根拠にした差し押さえも可能です。ただし手続きは複雑なため、弁護士への相談をお勧めします。
養育費の問題は弁護士に相談を

養育費の問題は、父母間の心情的な対立から争いが絶えないことが多く、さらには法律の専門知識が求められます。2026年4月の民法改正によって養育費のルールも大きく変わったため、改正内容を踏まえた適切な対応が重要です。
不倫が絡む離婚・養育費問題は特に複雑です。養育費の計算・交渉・調停・書面作成などでお困りの場合は、速やかに弁護士にご相談ください。
初回相談30分を無料で実施しています。面談方法は、ご来所・Zoom等・お電話による方法でお受けしています。
対応地域:大阪難波(なんば)、大阪市、大阪府全域、奈良県、和歌山県、その他関西エリア
お気軽にご相談ください。











