- 離婚できない主な理由は①経済的な不安 ②相手が応じない ③子どものこと ④自分が有責配偶者 ⑤心理的に踏み切れないの5つ。
- 相手が拒否しても、協議→調停→裁判と進めば、法定離婚事由があれば離婚できます。
- 2026年4月の民法改正で、共同親権・財産分与の請求期限5年・法定養育費(月2万円)など、離婚後の不安に備える選択肢が広がりました。
- 準備(お金・証拠・相談先)を整えれば、今は「できない」状況も動かせます。
「離婚したい。でも、できない」——そう感じている方は少なくありません。経済的な不安、相手が同意してくれない、子どもへの影響、あるいは自分に離婚原因がある(有責配偶者)など、理由はさまざまです。
大切なのは、「なぜできないのか」を理由ごとに切り分け、それぞれに合った対策をとることです。この記事では、離婚できない5つの理由と、ケース別の具体的な解決策、2026年4月の民法改正で変わった点、そして離婚前に確認したいチェックリストまで、弁護士がわかりやすく解説します。
1離婚したいけどできない「5つの理由」早見表
まず、自分がどの理由で立ち止まっているのかを整理しましょう。多くのケースは次の5つに分けられます。
| 離婚できない理由 | 主な悩み | 対策の方向性 |
|---|---|---|
| ① 経済的な不安 | 離婚後の生活費・養育費・住居費が心配 | 貯金・就労準備・支援制度+財産分与/養育費の確保 |
| ② 相手が応じない | 配偶者が離婚を拒否している | 協議→調停→裁判。法定離婚事由があれば離婚可 |
| ③ 子どものこと | 子どもへの影響が心配で踏み切れない | 親権・養育費・面会交流を取り決めて環境を整える |
| ④ 自分が有責配偶者 | 自分に離婚原因があり請求しづらい | 別居期間・条件提示など厳格な要件をふまえ交渉 |
| ⑤ 踏み切れない | 世間体・不安で決断できない | 準備リストで見通しを立て、専門家に相談 |
以下、それぞれの理由について、具体的な解決策を見ていきます。
2【理由①】経済的な不安への解決策
離婚をためらう最大の理由が、離婚後の生活費・養育費・住居費といったお金の不安です。特に専業主婦(主夫)やパート収入の方は、離婚後に生活を維持できるか不安に感じやすいものです。次の準備で不安を小さくできます。
離婚前に生活資金を準備する
まずは離婚後の生活費・引っ越し費用・当面の住居費を見込んで、計画的に貯金を進めましょう。家計を見直し、収入源を増やすことも大切です。ただし、同居中に貯めた預貯金は原則として財産分与の対象になる点には留意が必要です。
就労・資格取得で経済的自立を目指す
収入が不安定な場合は、就職に有利な資格の取得や職業訓練で、安定した収入源を確保することが再スタートの支えになります。早めに準備を始めましょう。
ひとり親の支援制度を活用する
- 児童扶養手当(ひとり親世帯への手当)
- 児童手当(2024年10月から高校生年代まで拡充・所得制限撤廃)
- ひとり親家庭の医療費助成・住宅手当・就労支援 など
さらに、離婚時には財産分与・慰謝料・婚姻費用・養育費といった形で受け取れるお金があります(後記「離婚で受け取れるお金」を参照)。これらを適切に確保することも、経済的な不安への有効な備えになります。


3【理由②】相手が離婚に応じないときの解決策
配偶者が離婚を拒否していても、あきらめる必要はありません。話し合いで合意できなくても、次のステップを踏めば、最終的に裁判所の判断で離婚できる可能性があります。
- 離婚協議(話し合い)まずは夫婦で条件を話し合います。感情的な対立で進まない場合は、弁護士が代理人として交渉することもできます。
- 離婚調停家庭裁判所で、調停委員が間に入って話し合いを仲介します。中立の第三者が入ることで冷静に協議でき、相手が拒否していても解決に至ることが少なくありません。
- 離婚裁判調停が不成立なら訴訟へ。法定離婚事由(不貞・悪意の遺棄・3年以上の生死不明・回復し難い精神病・その他婚姻を継続し難い重大な事由。民法770条)があると認められれば、相手が拒否していても判決で離婚できます。
4【理由③】子どものために踏み切れないときの解決策
子どもへの影響を心配して離婚をためらう方は多いものです。離婚後も子どもが安心して育つ環境を整えることが、判断のポイントになります。
面会交流を取り決める
離れて暮らす親と子どもが定期的に会う面会交流を適切に行うことで、離婚後も親子関係を保ち、子どもへの影響を和らげることができます。頻度・方法をあらかじめ取り決めておきましょう。
養育費をきちんと確保する
養育費は子どもの生活費・教育費を支える大切なお金です。家庭裁判所の養育費算定表を目安に、金額・支払方法・期間を取り決め、できれば公正証書にしておくと未払い時に差押えがしやすくなります。
5【理由④】自分が有責配偶者で離婚しづらいとき
有責配偶者とは、不貞や暴力など離婚原因を作った側の配偶者のことです。有責配偶者からの離婚請求は、相手が同意しない限り原則として認められにくく、認められるには厳格な条件が求められます。
- 相当の長期間にわたる別居が続いている
- 未成熟の子がいないなど、相手が過酷な状況に置かれない
- 財産分与・慰謝料など、相手への十分な経済的配慮を提示している
6【2026年4月改正】離婚をめぐる制度が変わりました
2026年4月1日施行の改正民法により、「離婚したいけどできない」の背景にある不安への備えが強化されました。
共同親権の導入で「子どものため」の選択肢が広がる
これまで離婚後は父母どちらか一方の単独親権のみでしたが、改正後は離婚後も父母双方が親権を持つ「共同親権」を選べるようになりました(子の利益を最優先に判断)。「子どものために離婚できない」と悩む方にとって、離婚後の親の関わり方の選択肢が増えました。ただし、DVや虐待のおそれがある場合などは単独親権となります。
財産分与の請求期限が「2年→5年」に延長
離婚後に財産分与を請求できる期間が、2年から5年に延長されました(2026年4月1日以降に成立した離婚が対象。それ以前は従前どおり2年)。離婚を急がず、経済的な準備を整える時間的な余裕が生まれています。
法定養育費・先取特権で離婚後の生活を下支え
取り決めがなくても一定額(子1人あたり月2万円)を請求できる「法定養育費」の制度や、養育費の先取特権(他の債権者に優先して回収できる仕組み)が新設され、離婚後の経済的不安への備えが強化されました。
7離婚で受け取れるお金(経済的な備え)
離婚では、次のようなお金を受け取れる可能性があります。経済的な不安への具体的な備えとして押さえておきましょう。
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 財産分与 | 婚姻中に夫婦で築いた財産を分ける。原則2分の1(同居中の預貯金・不動産・退職金等) |
| 慰謝料 | 不貞・暴力など相手に離婚原因がある場合に請求可(性格の不一致等では難しいことも) |
| 婚姻費用 | 離婚成立までの別居中の生活費。収入・子の人数等で算定 |
| 養育費 | 親権を得た側が受け取る。養育費算定表を基に算定。2026年改正で法定養育費も |
8離婚前に確認したいチェックリスト
- 離婚後の住まい(実家・賃貸など)の目星をつけたか
- 当面の生活費・引っ越し費用の貯金を準備したか
- 収入源(就労・資格・転職)の見通しを立てたか
- ひとり親向けの公的支援制度を調べたか
- 夫婦の財産(預貯金・不動産・保険・退職金等)を把握したか
- 年金分割の対象になるか確認したか
- 親権・養育費についての希望を整理したか
- 面会交流の方針を考えたか
- 離婚原因を示す証拠(不貞・暴力等)を確保したか
- 弁護士など相談先を確保したか
9よくある質問(FAQ)
- 相手が離婚を拒否し続けたら、離婚はできないのですか?
- いいえ。協議・調停で合意できなくても、裁判で法定離婚事由(民法770条)が認められれば、相手の同意がなくても離婚できます。まずは調停で話し合い、不成立なら裁判に進みます。
- 専業主婦で収入がなくても離婚できますか?
- できます。離婚時の財産分与や、別居中の婚姻費用、離婚後の養育費などで経済的な備えが可能です。ひとり親向けの公的支援もあわせて活用しましょう。
- 自分が浮気をした側でも離婚できますか?
- 有責配偶者からの離婚請求は認められにくいですが、長期間の別居や十分な経済的配慮など厳格な条件を満たせば認められる場合があります。相手が同意すれば離婚は可能です。
- 子どもがいると離婚は不利になりますか?
- 不利になるわけではありません。親権・養育費・面会交流を適切に取り決め、子どもの環境を整えることが大切です。2026年改正で共同親権も選べるようになりました。
※本記事は一般的な解説です。個別の見通しや有責配偶者の要件の当てはめ等は事案により異なります。具体的なご相談は弁護士にご確認ください。
経済的な不安、相手の拒否、子どものこと。理由ごとに正しい手順と準備をとれば、今は動かないと思える状況も前に進められます。
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