コラム
最終更新日:2024.03.26

遺言の検認に欠席するとどうなる?検認後の流れと欠席時のリスク|難波みなみ法律事務所

難波みなみ法律事務所代表弁護士・中小企業診断士。幻冬舎「GOLDONLINE」連載第1回15回75回執筆担当。法的な問題には、法律の専門家である弁護士の助けが必要です。弁護士ドットコムココナラ弁護士ナビに掲載中。いつでもお気軽にご相談ください。初回相談無料(30分)。

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親族が亡くなった場合、その相続人にはさまざまな相続手続きが立ちはだかります。その中でも重要な手続きの一つが遺言の検認です。

検認期日は家庭裁判所から一方的に指定されます。

そのため、検認期日に出席できないことも当然ながらあり得ます。

ただ、検認期日に欠席したからといって、相続手続きに大きな不利益が生じるわけではありません。検認後、裁判所から検認調書といって検認時に確認された遺言の内容を確認することもできます。また、検認それ自体によって、遺言の有効無効が確認されるものでもありません。

本記事では、検認の意義や欠席した場合のリスクについて、分かりやすく解説します。 

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遺言書の検認期日を欠席することもできる

検認期日に欠席をしたとしても、ペナルティを受けたり、その後の相続手続きで大きな不利益を受けることはありません。

遺言書の検認期日には仕事や急な体調不良といったやむを得ない理由で出席できないこともあるでしょう。検認期日に欠席したとしても、検認自体は中止されず予定通り実施されます。

できれば、代理人を選任して代理人に出席してもらうのが望ましいです。代理人の選任ができない場合でも、裁判所によって作成される検認調書を確認することで、検認された遺言の内容や検認時の状況を把握することができます。

そのため、検認期日を欠席したとしても、大きな不利益は生じにくいといえます。

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遺言書の検認とは

遺言書の検認とは、相続人等に対し遺言の存在と内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名などを確認して、証拠として残す手続きです。注意すべき点は、遺言書が有効か無効かを確認する手続きではないということです。

この検認は遺言の執行を行うための前提条件であり、遺言書の提出を怠り、家庭裁判所の検認を経ないで遺言を執行したり、家庭裁判所外で開封した場合には、5万円以下の過料を課せられるおそれがあります。

検認が必要な遺言書は自筆証書遺言

検認を必要とする遺言書は自筆証書遺言であって、公正証書遺言は検認を必要としません。

自筆証書遺言は、遺言者が遺言の全文、日付、氏名を自筆で記し、押印して作成する遺言の形式です。

この自筆証書遺言が遺されている場合には、遺言書の保管者や発見者は、遺言者の死後遅滞なく、家庭裁判所に検認の申し立てをしなければなりません。

法務局で保管された遺言は検認不要

自筆証書遺言であっても、法務局で保管されている場合には、検認手続きを行う必要がありません。

平成30年7月13日「法務局における遺言書の保管等に関する法律」が公布されました。この法律により、自筆証書遺言を法務局にて保管してもらうことができるようになりました。

遺言書の保管時に、民法の要式に合致しているかなどの外形的なチェックが行われます。また、遺言書の原本だけでなく、画像データも法務局にて管理されます。原本であれば遺言者死亡後50年間、画像データは150年間、保管されます。

検認を受けたからと言って遺言が有効となるわけではない

遺言書の検認手続きを受けたからといって、その遺言書が有効となるわけではありません。

検認は遺言書の存在を公にし、遺言書の形状や署名、日付といった外観を確認するプロセスです。遺言が民法の要式に合致しているのか、遺言能力がある状態で作成されたのかといった点を確認することはありません。

遺言に形式上の不備がある場合や遺言能力がなく作成された場合には、別途遺言の無効を主張して争うことになります。したがって、検認を経た後でも、遺言書の内容が遺族間で争われる場合があるのです。

遺言書の検認を受けないと遺言の執行ができない、過料を受ける

遺言書が正しい手続きを経ずに執行されることを避けるため、法律では遺言の検認というプロセスが定められています。

遺言の検認を受けずに遺言の内容を実現しようとすると、5万円の過料を課されるリスクがあります。その他にも、裁判所外で開封した場合にも過料の対象となります。

遺言の執行をするためには、遺言の検認を行うことが不可欠です。

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遺言書の検認申立をする方法

遺言書の検認申立ては所定の手続きを踏まえて行う必要があります。

申立ての方法として、管轄する家庭裁判所に戸籍謄本等の必要書類を提出し、申立てを行うことになります。書類の準備から申立てまでの手続きは複雑な部分があるため、法律の知識が必要となる場面もあります。

3.1. 申立をする裁判所

検認申立は、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で行うことが基本になります。

たとえ、相続人が遠方に住んでいたとしても、検認申立てをする家庭裁判所は、遺言者の最後の住所地の裁判所になります。

申立てをする裁判所を間違えると、手続きをやり直す必要が出てくるため、事前に正確な情報を確認しておくことが重要です。

3.2. 申立てに必要な書類

遺言書の検認申立てを行う際には、様々な書類が必要となります。

具体的には、次の資料を準備して提出する必要があります。

  • 遺言書(封書の場合は封書)1通につき収入印紙800円分
  • 連絡用の郵便切手
  • 申立書
  • 遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本

これらの書類を集め、正しいフォーマットで裁判所に提出する必要があります。書類に不備がないよう注意を払い、適切に手続きを進めることが求められます。その際、専門家のアドバイスを受けることも一つの手段です。

3. 検認日当日の流れ

遺言書の検認は、家庭裁判所で行われます。検認日当日は指定された時間までに家庭裁判所に出頭する必要があります。 

3.1. 家庭裁判所で受付をする

検認手続の開始にあたっては、まず家庭裁判所の窓口で申立人や関係者が受付をします。裁判所の担当から事件番号を聞かれるため、裁判所から送付された書類に記載された事件番号を伝えると、待合室に案内されます。

3.2. 遺言書の内容の確認をする

申立人が裁判官や相続人等の同席の中で、遺言書を提出します。

裁判官は、相続人らの立ち会いの下、遺言書を開封します。その上で、遺言書の記載内容や外観を確認します。

3.3. 裁判官から質問がされる

遺言の開封後、裁判官から相続人らに対して、封筒の表書き、遺言書の筆跡、押印されている印影が遺言者のものであるか質問されることがあります。

ただし、裁判官の質問に対する回答によって、何らかの事実が確定されるものではありません。

3.4. 検認調書が発行される

検認の手続きが終わると、遺言書の原本に検認済証明書が添付、契印された上で、申立人に返還されます。

また、裁判所書記官が検認した遺言書のコピーを添付し、開封時の状況、当事者の発言などを記載した検認調書を作成します。検認調書は裁判所にて保管されるため、裁判所に検認調書の謄写申請をすることで、内容を確認することができます。

4. 検認期日に欠席した場合

遺言書の検認手続きにおいては、相続人や利害関係人の出席が求められますが、さまざまな事情によってここに出席できないこともあります。出席できない場合、遺言の確認手続自体が停止するというわけではありませんが、代わりに代理人弁護士が出席することもできます。また、上述のとおり、検認調書の閲覧・謄写をすることで、検認期日当日の状況や遺言の状況を確認することもできます。

そのため、出来る限り検認期日には出席することが望ましいですが、仮に欠席したとしても、検認以降の相続手続きに大きな不利益が生じることは想定しにくいでしょう。

5. 検認申立後の流れ

検認手続を終えると、遺言書に基づく遺産の分配が本格的にスタートします。検認後のプロセスは、後の遺産問題をなるべくスムーズに解決するためにも、適切に進めていく必要があります。

5.1. 遺言書の遺言執行が行われる

遺言検認が完了しても直ちに遺言の実現(遺言執行)ができるわけではありません。

遺言書内で遺言執行者の指定がない場合や既に指定された人が死亡しているような場合には、遺言の執行を行うため、遺言執行者選任の申立てを家庭裁判所に行う必要があります。

遺言執行者が選任されれば、遺言執行者は遺言書の内容に従って、遺産の分配や管理を行います。

遺言の執行には、不動産の登記変更手続きから、預金の解約・株式の名義変更や現金化などが含まれます。遺言執行者は、遺言書に明記された指示に基づいて、遺言者の最後の意志を尊重し、その責任を果たしていくことになります。

5.2. 遺言の無効を主張する

検認により確認された遺言の内容に疑義がある場合には、遺言無効を主張することを検討します。

例えば、遺言の形式が民法所定の要式を備えていない場合には、遺言は無効となります。また、様式を備えていても、遺言能力がない状態で遺言書が作成されている場合にも遺言は無効となります。

このような場合には、遺言無効を主張します。相続人や受遺者との間で話し合いによる解決ができない場合には、裁判所に無効確認の訴えを提起し、遺言の効力を争います。

5.3. 遺留分の侵害があれば遺留分侵害額請求をする

遺言書の内容が遺留分を侵害するものであれば、相続人は遺留分侵害額請求を行使することができます。

遺留分は、一定の相続人に保障された最低限の相続分です。もし遺言によって遺留分が侵害されていた場合は、遺留分を侵害された相続人は、遺留分侵害額の取り戻しをすることができます。ただ、遺留分請求には1年の期限があるため、速やかに遺留分請求をするか否かを検討するべきです。遺言における各相続人の利益を正しく調整するためにも、遺留分の存在を理解し、適切な手続きを取る必要があります。

6.遺言の検認手続きの問題は弁護士に相談を

遺言の検認は、遺言書の外形的な状況を確認するための手続きです。そのため、遺言の検認それ自体によって、その後の相続手続きを決定づけるようなものではありません。ただ、遺言の検認によって相続手続きが終わるわけではありません。検認される遺言を基に相続手続きが進行する以上、検認期日の通知を受け取って漫然と放置することは控えるべきです。初回相談30分を無料で実施しています。

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