コラム
最終更新日:2024.03.16

不貞慰謝料の相場と高額になる理由|慰謝料額で損しないための注意点

離婚問題  不倫慰謝料の相場 不倫慰謝料の増減要素

不貞行為の慰謝料のご相談に際して、ご相談者から「不貞行為の慰謝料の相場はいくらでしょうか?」、「不貞行為の慰謝料の相場は大体300万円くらいですよね?」といったご質問を受けることがよくあります。

不倫慰謝料の相場をあえて言えば、「50万円から300万円」と言えますが、不貞行為の慰謝料の金額算定は、機械的・画一的に決まるものではありません。不貞行為の結果、期間・回数、浮気相手の社会的地位、離婚の有無等の様々な事情によって算定されるものです。

以下で述べる各要素を総合的に考慮することで不貞行為によって受けた精神的苦痛を金額で算出します。

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不貞慰謝料の相場と算定要素

不貞慰謝料額の相場は50万円から300万円と言われています。

かなり幅のある相場になりますが、後述するような様々な事案に応じた事情を踏まえながら個別に算出していきます。

特に、次のような事情を踏まえながら計算します。特に、離婚・別居・同居継続か否かによって損害額は大きく左右されることが多いです。

✓離婚・別居・同居継続か
✓不貞行為の結果(妊娠・中絶・出産)
✓婚姻期間の長短
✓未成熟の子どもの有無や人数
✓不貞行為の認否(謝罪の有無や誠実さ)
✓発覚後の関係解消の有無 
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不貞慰謝料額が増減する要因とその事例

不貞慰謝料の金額は、不貞行為による結果だけでなく、不貞行為によって妊娠・出産した場合、不貞行為の回数や期間などの要素を踏まえて、不倫慰謝料の金額は増減します。裁判例を紹介しながら解説します。

離婚・別居・同居継続か否か

不貞行為の慰謝料の金額は、不貞行為が原因で離婚したのか、別居したのか、あるいは、同居を継続しているのかによって変動します。

不貞行為によって離婚にまで至れば、夫婦関係に与えたダメージは大きく、他方で、別居せずに同居を継続できている場合にはダメージはそれ程大きくないと考えれます。

不貞行為によって夫婦が離婚した場合や離婚調停の申立てに至った場合には、慰謝料額の相場は150万円~500万円となります。

離婚には至っていないものの別居している場合には、慰謝料額の相場は、125万円から150万円となります。不貞行為に及んだものの、別居せずに同居を継続している場合には、慰謝料の相場は、50万円~100万円となります。

ただ、離婚・別居・同居継続といった事情だけでなく、それ以外の事情も考慮しながら適正な慰謝料額を算出します。

【慰謝料額の大小関係】
離婚(離婚調停)>別居>同居継続

妊娠・出産

単なる不貞行為と比べて、不倫をした女性が妊娠した場合、それだけでなく子供を出産したような場合、慰謝料額は相当程度増額することが多いです。

【東京地方裁判所平成15年9月8日】妻が平成12年1月5日に長女を出産した後、不貞相手が同じ1月27日に男児を出産した事案では、慰謝料として500万円の支払を命じている。

不貞行為の期間や回数

不貞行為の期間が長くなれば、また、不貞行為の回数が多くなれば慰謝料額は高くなります。

【東京地方裁判所平成19年9月28日】交際していた時期は、2か月から3か月程度の短期間であるとして、慰謝料の減額要素として考慮しています。
【東京地方裁判所平成22年7月15日】不貞関係が約1年7か月という長期にわたり継続的に繰り返されたとして、慰謝料の増額要素として考慮しています。

婚姻期間が長い

婚姻期間が短い場合には慰謝料額の減額要素となります。逆に、婚姻期間が長ければ長いほど、慰謝料額は高額となります。

【東京地方裁判所平成20年10月3日】不貞行為が開始された当時、婚姻期間が約2年半程度にすぎなかったと認定して減額要素としています。
【東京地方裁判所平成23年2月24日】婚姻関係が約1年9か月であることを慰謝料の減額要素としました。

幼い子供がいる場合

子供の人数や年齢も慰謝料の増減要素となります。子どもが多い場合や子供が未成年である場合には、慰謝料の増額要素となるでしょう。

不貞行為に対する態度や反省

不貞行為を行った配偶者や不貞相手が、不貞行為をしたことを否認している場合や何ら謝罪・反省をしていない場合には、慰謝料の増額要素となります。

そのため、不貞行為の存在が客観的資料から高い確度で証明される場合には、不貞行為の存在を認め、謝罪をすることも必要になってくると思います。

また、過去に不貞行為が発覚したことがあり、その時点で不貞行為を今後一切行わないと誓約をしておきがら、再び不貞行為に及んだようなケースでは、慰謝料額の増額要素になるでしょう。

【東京地方裁判所平成24年3月29日】不貞行為に当たることを当初から自認し、謝罪の意思を表明していることを慰謝料の減額理由としました。
【東京地方裁判所平成22年12月9日】不貞相手との肉体関係を否定するなど、配偶者に対して不誠実な対応に終始しているとして、慰謝料の増額理由としました。

発覚後も不貞関係を解消していない

不貞行為の発覚後、不貞関係を解消することもなく、不貞相手との不貞関係を継続させている場合や同棲を続けている場合には、慰謝料の増額要素となるでしょう。

DVやモラハラといった事情がある場合

不貞行為だけでなく、DV、モラハラ、悪意の遺棄といった有責行為も存在している場合には、慰謝料額の増額要素となります。

不倫相手が故意である場合

不倫相手が、不貞配偶者が既婚者であることを知っておきながら、漫然と不貞行為を行ったといえる場合には、慰謝料額の増額理由となります。さらに、不倫相手が、不貞配偶者を離婚させるために、積極的に不貞行為を行い、離婚するよう促していた場合には、さらに慰謝料額の増額要素となります。

他方で、不倫相手が、不貞配偶者が既婚者であることを知らなかったものの、知らないことに過失があった場合には、慰謝料額の減額要素となる可能性があります。

不貞相手が経済的な利益を得ている場合

不貞相手が不貞配偶者から金銭や不動産などの経済的利益を得ている場合にも、慰謝料の増額要素となります。

【東京地方裁判所平成28年12月22日】妻は、マンション購入資金を夫が不貞相手に援助したことなどを知り大きな衝撃を受け過度のストレスから自律神経等に不調をきたすようになったこと等を勘案して180万円の慰謝料を認容しました。

生活費を支払っていない場合

不貞配偶者が被害配偶者に対して、生活費や婚姻費用を十分に支払ってこなかった場合には、慰謝料の増額要素となります。ただ、裁判例では、婚姻生活に必要な生活費を負担しなかった事情を増額要素とするものもあれば、生活費の不払いは夫婦間の問題であることを理由に増額要素として否定的に捉えるものもあります。

【東京地方裁判所平成28年1月29日】婚姻生活における被害配偶者の多大な経済的負担は、配偶者間の問題で、慰謝料算定に当たって斟酌すべき事情としては重視し得ない。

浮気相手の社会的地位や収入が高い場合

浮気相手の社会的地位が高い場合や収入額が高い場合には、慰謝料額が増額される余地があります。ただ、補充的な要素に留まり、主要な増額要素にはなりにくいと考えます。 

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不貞慰謝料が認められない場合

配偶者が異性と性行為に至れば、必ず配偶者やその相手方に対して慰謝料請求できるわけではありません。

不貞行為の慰謝料は、①不貞行為に該当しない、②不貞相手に過失がない場合、③性行為が婚姻関係の破綻後である場合には、認められません。

不貞行為に該当しない

不貞慰謝料を請求するためには、不貞行為が存在していることが必要です。その上で、これを証拠により証明しなければなりません。

不貞行為とは、配偶者が、妻(または夫)以外の異性と性行為を行うことです。口淫や手淫といった性交に準じる行為も、不貞行為に該当するとの考えもあります。

他方で、キスや胸を触る行為も不貞行為ではありません。さらに、異性と食事に行く行為も不貞行為ではありません。

そのため、配偶者が異性と挿入行為を伴う性行為やこれに準じる行為を行ったことを証明できなければ不貞慰謝料の請求は認められません。

過失がない場合

不貞相手が、不貞配偶者が既婚者であることを知らなかったことに過失すらなければ、不貞相手に対する慰謝料請求は認められません。

不貞相手に不倫慰謝料請求をする場合、不貞配偶者が既婚者であることを知っていることが必要です。仮に、既婚者であることを知らなかったとしても、知ることができたにもかかわらず、その注意を払わなかったため知らなかった場合にも、不貞相手に対して不貞慰謝料を請求できます。

既婚者であることを知っていることを「故意」、知らなかったものの、知ることができた状態を「過失」といいます。

過失の有無は、不貞配偶者との関係性(出会い方)や交際期間・不貞行為の回数といった様々な事情を踏まえて判断されます。

不貞相手に過失すらない場合には、不貞相手に対する慰謝料請求は認められません。

婚姻関係の破綻後の性行為

不貞行為が、夫婦の婚姻関係の破綻後に行われた場合には、慰謝料請求の対象にはなりません。

不貞行為による慰謝料請求が認められるためには、性行為によって、夫婦の共同生活の平穏を害しなければなりません。

しかし、性行為が行われた時点で、既に夫婦関係が破綻しているのであれば、性行為によって侵害される権利・利益が存在しないことになります。

そのため、性行為が夫婦関係の破綻後に行われた場合には、慰謝料は発生しません。

不倫慰謝料を請求する時の注意点

不倫慰謝料を請求するにあたってよくある間違い・注意点を紹介します。

証拠を収集しておくこと

不貞慰謝料が認められるためには、不貞行為の存在を証明しなければなりません。不貞行為の証明は、不貞慰謝料を求める配偶者によって行わなければなりません。

不貞行為の証明ができない場合には、不貞行為は存在しないと認定されます。そのため、不貞慰謝料を請求するにあたっては、不貞行為の証拠を計画的に収集しておくことが重要となります。

【不貞行為の証拠
・性行為の写真・動画
・ラブホテルに入る・出てくる写真・動画
・性行為に関するLINEメッセージ
・探偵社の調査報告書
・性行為を認める念書や録画

慰謝料の二重取りはできない

不貞配偶者
B男
ダブル不倫のケース
不貞配偶者
C女
配偶者
D男
配偶者
A女

不倫相手と不倫配偶者の両方から「不貞慰謝料」を二重取りすることはできません。

不倫慰謝料は、不倫相手と不倫配偶者の共同の不法行為です。そのため、不倫当事者が被害者の配偶者に対して、連帯して不倫慰謝料を支払う責任を負います。これを法律上「不真正連帯債務」といいます。

しかし、不真正連帯債務は、その責任を負う当事者の一方が慰謝料を弁済すれば、その限度で他方の当事者にも弁済の効力が及びます。例えば、不倫慰謝料150万円を不倫相手が支払った後、不貞配偶者から同じ名目で不倫慰謝料の支払いを求めることはできません。

関連記事|不貞行為の慰謝料を二重取りできるのか?不貞行為の二重取りできるケース

配偶者から財産分与等の名目の金銭を受け取っている場合

被害配偶者が不貞配偶者から財産分与を受けていたとしても、当然に慰謝料額が減額するものではありません。

財産分与とは、夫婦の共有財産を離婚に伴い清算する制度です。そのため、財産分与には不貞慰謝料を含みません。

しかし、財産分与には、共有財産の清算的な意味合いに加えて慰謝料的要素を含む場合があります。そのため、支払われた財産分与に不貞慰謝料の要素も含んでいる場合には、その限りで不貞相手の慰謝料額に影響を及ぼします。

なお、財産分与のみを受け取っている事情を、慰謝料の増額理由とする裁判例もあれば、逆にその事情を慰謝料の減額理由とする裁判例があります。

ダブル不倫の場合には慰謝料を取れないこともある

ダブル不倫のケースでは、お金の還流を防ぐために四者でゼロ和解をすることもあります。

例えば、互いに配偶者がいるB男とC女が不倫をしたケースを想定します。A女がC女に、D男がB男にそれぞれ慰謝料請求する場合、それぞれの夫婦が離婚せずに同居を維持すれば、それぞれの慰謝料額に大きな差が生じません。仮に、B男がD男に慰謝料を支払っても、同じ家計であるC女がA女にほぼ同額の慰謝料を支払うと、事実上、B男が支払った慰謝料がA女に戻ってくることになります。

このようなお金の還流を避けるために、AからDの四者で慰謝料の支払いを求めない内容の和解をすることがあります。

関連記事|ダブル不倫による慰謝料の問題|ダブル不倫のケース別の対処法

不倫慰謝料の問題は弁護士に相談を

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不倫慰謝料を請求する際には、不貞行為の証拠を計画的に収集しておくことが必要です。その上で、相手方に対して、事案に応じた適切な慰謝料額を請求し、適切な金額で合意できるように交渉や訴訟手続きを進めていかなければなりません。

また、当事者本人による交渉や訴訟の対応は、大きな心理的な負担を生じさせます。

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難波みなみ法律事務所代表弁護士・中小企業診断士。幻冬舎「GOLDONLINE」連載第1回15回75回執筆担当。法的な問題には、法律の専門家である弁護士の助けが必要です。弁護士ドットコムココナラ弁護士ナビに掲載中。いつでもお気軽にご相談ください。初回相談無料(30分)。

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