コラム
最終更新日:2023.08.11

別居中の不倫は慰謝料の対象となるか?別居中の慰謝料の請求方法や金額の相場を解説|難波みなみ法律事務所

難波みなみ法律事務所代表弁護士・中小企業診断士。幻冬舎「GOLDONLINE」連載第1回15回75回執筆担当。法的な問題には、法律の専門家である弁護士の助けが必要です。弁護士ドットコムココナラ弁護士ナビに掲載中。いつでもお気軽にご相談ください。初回相談無料(30分)。

離婚問題 別居中の不倫 慰謝料請求の対象となるのか

配偶者が、婚姻期間中に異性と性行為に及べば慰謝料を求めたいと思うのは自然です。

しかし、配偶者の性行為が行われた時点で既に夫婦が別居している場合、慰謝料請求が認められない可能性があります。

別居により夫婦関係が回復できない程に壊れてしまっていれば、別居後の不倫は慰謝料を求めることができません。

今回の記事では、別居中の不倫の問題を弁護士が解説します。

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不貞行為とは

不貞行為とは、配偶者以外の異性と性行為を行う行為をいいます。

不貞行為は、民法上の離婚原因の一つとして規定されています。

性行為に及ばない性行為に類似する行為、異性とデートをする行為、愛情表現を含むメッセージは不貞行為には当たりません。

ただし、不貞行為そのものに当たらないとしても、夫婦関係の継続を困難にさせる行為であれば、不法行為として慰謝料の対象になる可能性があります。

関連記事|不貞行為とは何か?どこからが不貞行為かを弁護士が解説します

不倫や浮気の違い

不貞行為に似た言葉として、不倫、浮気があります。いずれも、配偶者以外の人との非道徳的な接触であることで共通しています。

しかし、不貞行為は、挿入行為を伴う性行為に限定するのに対して、不倫や浮気はこれよりも広い行為も含んでいることが多く、不貞行為よりも広い概念といえるでしょう。

別居中の不貞行為は違法か

別居後に配偶者以外の異性と性行為に及んでも、常に慰謝料の対象となるわけではありません。

浮気不倫が慰謝料の対象となるための条件を説明します。

不貞行為が慰謝料の対象となる理由

不貞行為を行えば慰謝料の支払いを求めることができます。

その理由は、不貞行為によって夫婦関係の平穏という法律上守られた権利が侵害され、これによって精神的苦痛を受けるからです。

そのため、性行為の時点で既に夫婦関係が回復できない程に破壊されていれば、権利の侵害はないといえます。

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別居により夫婦関係が破綻するといえるか

次に別居により夫婦関係が破綻したといえるのかが問題となります。

別居さえすれば夫婦関係が当然に破綻するかといえば、そうではありません。

様々な事情を総合的に考慮して夫婦関係の破綻を考えます。

夫婦関係の破綻を判断する要素

  • 別居に至る経緯や理由
  • 別居期間
  • 別居後の離婚手続の進行具合
  • 別居後の行動

別居直後の不貞

別居してから数日以内であれば、婚姻関係が回復できないほどに悪化しているとは考えにくいでしょう。

別居に至る原因が、継続的に行われてきた相手方のDV等であり、別居時点で婚姻関係は修復できない状況になっている可能性はあります。

しかし、別居前から夫婦関係が破綻していると認められるような事情がない限り、別居してから期間が経過していない場合には、夫婦関係の破綻は認められにくいでしょう。

東京地方裁判所平成29年6月30日

不貞相手と交際するようになった妻が一方的に夫に離婚を申し入れた後、家を出た事実をもって、直ちにそのわずか10日後である不貞行為時までに婚姻関係が客観的に完全に破綻に至ったと認めることはできない。

別居期間が1年以上に及んでいる

別居期間が1年以上に及んでいる場合には、不倫慰謝料との関係では、夫婦関係は修復できないほどに破綻したと認定される可能性があります。

別居をしてから同居を再開したり、夫婦関係の修復を示すような行動があれば、別居期間がたとえ1年以上続いていたとしても、婚姻関係の破綻は否定される可能性があります。

また、別居期間が1年以上続けば必ず破綻と認定されるものでもありません。あくまで1年以上の期間は目安であり確立された期間ではありません。別居期間中に離婚意思を表明したか、離婚届の取り寄せをしたかなどのアクションも考慮しながら総合的に判断されます。

離婚の意思を表明した

別居後に配偶者が離婚の意思を表明した上で離婚協議の申入れをしている場合、不貞慰謝料の関係で夫婦関係が破綻したといえる可能性があります。離婚届を取りに行って、署名捺印の上、これを配偶者に交付する行為も離婚意思の表れといえます。

その後も、別居が解消されることもなく、離婚協議が進められている場合には、夫婦関係が修復できない程に破綻されたと認定され易くなるでしょう。

ただ、別居直後に離婚の意思表明をしている場合には、別居期間を踏まえて、表明時点の夫婦関係の破綻が否定される可能性はあります。

離婚調停の申立後の性行為

離婚調停の申立てを行う場合、それ以降については、不倫慰謝料との関係では、夫婦関係は破綻していると判断される可能性があります。

しかし、離婚調停の申立てをしたものの、取り下げをしてしまうと、夫婦関係の破綻が否定される可能性があります。

また、当事者による一方的に行われる離婚調停の申立てのみを形式的に捉えて、直ちに夫婦関係の破綻を判断するわけではありません。

別居に至る理由や別居期間、別居後の生活状況等も含めて総合的に判断します。

東京地方裁判所平成30年1月10日

妻は夫に対して、10月4日離婚意思を明確に告げ、わずかな期間で離婚調停を申し立てた上で、子らの転校や転園などの手続きを済ませ、11月1日に子らを連れて別居に及んでいることから、この別居の時点で、妻には夫婦の共同生活を維持する意思が全くなくなり婚姻関係が破たんに至ったと評価できる。

別居後も定期的に夫婦が交流している場合

別居後も、一時的に自宅に戻ったり、外食や旅行に行くなどの交流を行っている場合、婚姻関係は回復できないほどに破壊されたとは言い難いでしょう。

さらに、別居後も夫婦が性行為を行っている場合には、一層夫婦関係の破綻は認定され難くなるでしょう。

東京地方裁判所平成28年2月16日

当時すでに婚姻関係が破綻していたと主張するが,夫婦間では当時性交渉も行われ、平成25年8月には家族旅行に行くなどしており、当時夫婦関係が破綻していたことを認めるに足りる証拠はない。

家庭内別居中の性行為

同じ屋根の下で生活しながら別居する、いわゆる家庭内別居の場合、夫婦関係の破綻は認定されないことが多いでしょう。

夫婦仲が悪化しているとしても、何とか同居を維持できている以上、家庭内別居をもって夫婦関係の破綻を認めることが難しいからです。

単身赴任中の性行為

単身赴任中の性行為は、不貞行為であり慰謝料の対象となります。

単身赴任は、夫婦が物理的に離れて生活をしていますが、夫婦関係の実態は続いています。

単身赴任中であっても、夫が妻に対して離婚協議の申し入れをしたり離婚調停の申立てをするなど、離婚意思を明確にしている場合には、夫婦関係の破綻が認定される可能性はあります。

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別居中の不倫発覚後の慰謝料請求

別居中の不倫が発覚した場合、これが夫婦関係の破綻前の不倫であれば、慰謝料を請求することができます。

慰謝料請求の流れを解説していきます。

証拠の収集

まずは、不貞行為の証拠が必要です。

不貞慰謝料の請求する側で、不貞行為があったことを証明しなければなりません。

そのため、不貞行為に関する証拠を計画的に収集しておくことが慰謝料請求の第一歩となります。

関連記事|不貞行為の証拠集めについて弁護士が解説

慰謝料の通知

証拠の保全ができれば、不貞配偶者または不貞相手に対して、慰謝料請求をしていきます。不貞慰謝料の請求は、口頭でも行うことはできます。しかし、口頭では、いつ、どのような内容の意思表示をしたかが明確にはなりません。

相手方に対して、どのような理由で、いくらの慰謝料の支払いを求めているのかを明示するために、文書により慰謝料請求の通知をするべきでしょう。

内容証明を活用する

事後的に通知内容や送達時期を証明するために、内容証明郵便を用いて慰謝料を通知するのが望ましいです。内容証明郵便は、単なる文書よりも相手方に対して大きなプレッシャーを与えることもできます。

交渉する

慰謝料通知をした後、相手方から何らかの回答があれば、慰謝料請求に関する交渉を進めていきます。

相手方は、不貞行為そのものを否定することもあれば、不貞行為の存在を認めるものの、婚姻関係の破綻を主張してくることもあります。また、損害額の減額を求めてくることもあります。

交渉を重ねて、慰謝料額や支払時期等が調整できれば合意が成立します。

合意書を作成する

相手方との間で合意が成立する場合には、合意内容を明記した合意書を作成します。言った言わないの水掛論にならないようにするためです。

慰謝料の支払いが分割払いとする場合には、公正証書の作成も検討します。

訴訟提起する

相手方との交渉が進まない場合、相手方から何らの応答もない場合、不倫慰謝料を求める訴訟を提起することになります。

訴訟では、当事者双方が不貞行為に関する主張反論を繰り返します。ある程度審理が尽くされた段階で裁判官から和解の提案がなされます。

和解による解決ができれば紛争は解決します。和解が成立しない場合、証人尋問を行なった上で判決が下されます。

▶不倫慰謝料に関する裁判所の解説はこちら

消滅時効に気を付ける

不倫慰謝料にも時効があります。慰謝料を請求することなく放置していると時効が到来することで請求できなくなる可能性があります。

不貞相手に対する慰謝料請求であれば、不貞行為や加害者を知った日から3年が時効期間となります。不貞配偶者に対する慰謝料請求であれば、離婚時から3年となります。仮に不貞行為等を知らなったとしても不貞行為時から20年が経過すれば時効となります。

関連記事|不貞行為の消滅時効は何年か?時効を防ぐための方法を弁護士が解説します

不倫慰謝料の相場

不倫慰謝料額の相場は、50万円から300万円程です。

不倫慰謝料の金額は、婚姻期間、子供の有無、不貞行為の結果、不貞行為の回数や期間等を考慮して判断されます。

また、不貞行為が行われた時点で、婚姻関係が破綻していなかったとしても、円満ではなかった、亀裂が生じていた、破綻寸前であった場合には、夫婦関係が完全に良好ではない以上、慰謝料額は減額される方向で認定されます。

関連記事|不倫・浮気の慰謝料の相場とは?不貞慰謝料の計算方法を弁護士が解説します

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別居により夫婦関係が破綻しているかの判断は簡単ではありません。

単に別居の事実のみを捉えて判断するほど、簡単ではありません。

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