コラム
最終更新日:2024.04.12

連れ子に相続権はあるのか?連れ子が遺産を取得する4つの方法を解説|難波みなみ法律事務所

難波みなみ法律事務所代表弁護士・中小企業診断士。幻冬舎「GOLDONLINE」連載第1回15回75回執筆担当。法的な問題には、法律の専門家である弁護士の助けが必要です。弁護士ドットコムココナラ弁護士ナビに掲載中。いつでもお気軽にご相談ください。初回相談無料(30分)。

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家族の形は様々、血の繋がらない子どもたちを大切に思う方も多いはずです。

原則として、連れ子は法定相続人にはなりません。何もせずにいると、連れ子に財産を残すことはできません。

連れ子にも財産を残すためには、養子縁組をしたり、遺言書を作成したり、生前贈与をするなどの方法を生前にしておく必要があります。

ただ、連れ子に財産を残すことで、他の相続人との対立を生んだり、遺留分の問題を生じさせることもあるため、注意が必要です。

この記事では、連れ子の相続問題について、遺産を残す方法や、養子縁組の違い、注意点などを詳しく解説していきます。

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連れ子は相続人にはならないのが原則

連れ子は相続人ではない

連れ子は、原則として相続人ではないため、故人の遺産を相続する権利を持ちません。

実親と再婚相手の結婚によっても、連れ子は当然に再婚相手と親子になるわけではありません。

連れ子が法律上の相続人になるためには、特別な手続きが必要とされています。

連れ子が遺産を取得する方法4つ

連れ子に遺産を残したいという親の意思を実現させるためには、3つの方法が挙げられます。

一つ目は養子縁組をすることで、これにより連れ子は法定相続人となることができます。

二つ目は遺言書を作成し、その中で連れ子に遺産を遺す旨を記述することです。

三つ目の方法は生前贈与という手段を用いることであり、親が生きている間に贈与することで連れ子をサポートします。

これらのいずれの方法も選択できない場合には、特別寄与料の請求を検討することになります。

これらの方法を適切に利用することで、親の望む形で連れ子に財産を継がせることができるでしょう。

養子縁組をする

養子縁組で相続人となる

養子縁組により、連れ子は養親との間に法律上の親子関係が成立し、相続人として認められるようになります。

養子縁組には普通養子縁組と特別養子縁組の2種類がありますが、いずれの養子縁組は、連れ子に遺産を相続させる手段となります。

遺言書を作成する

遺言書を作成することは、連れ子に遺産を残す確実な方法のひとつです。遺言書により、養子縁組をしていなくても、法定相続人でない連れ子にも財産を相続させることが可能となります。

遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の三種類があり、それぞれ特徴や手続きが異なります。遺言書を通じて、遺産分割による相続人の対立や紛争を回避し、親の意志に沿った相続を実現させることができます。ただし、遺言書を作成する際には、遺言書の要式を守るとともに遺留分への配慮もするようにしましょう。

生前贈与をする

生前贈与を活用する

生前贈与をすることで、連れ子に財産を残すことができます。

養子縁組をしていなくても、連れ子に生前贈与することができます。当然、遺言書も必要ありません。ただし、生前贈与の内容や時期などを明確にするため、贈与時には贈与契約書や合意書などの書類を作成しておきましょう。

特別寄与料の請求をする

生前に義理の親の介護等をしている場合、連れ子は特別寄与料の請求をすることができます。

養子縁組をしておらず、遺言の作成もない場合、原則として連れ子は、義理の親の遺産に対して、権利を主張することはできません。

しかし、法律上の親子関係がなくても連れ子が、被相続人の療養看護等を行い、これにより被相続人の財産の維持や増加に寄与した場合には、「特別寄与料」の請求をすることが認められています。ただし、特別寄与料の請求は、相続開始と相続人が誰であるかを知った時から6か月を経過したとき又は相続開始時から1年を経過したときは請求することができません。

民法第1050条 被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者及び第891条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者を除く。以下この条において「特別寄与者」という。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(以下この条において「特別寄与料」という。)の支払を請求することができる。

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養子縁組した連れ子の相続分

養子の連れ子と実子の違い

養子縁組は、法律上の親子関係を成立させる手続きです。

特に連れ子がいる場合、実親とは異なる新たな親との間に法的な親子関係を構築することで、相続の際に生じる問題を解決する手段となります。養子とされた子供は、実子と同じように親の遺産を相続する権利を持つようになります。

養子縁組の方法には「普通養子縁組」と「特別養子縁組」の二つのタイプがあります。これらの違いについても理解することが重要です。

普通養子縁組では実親と養親の両方の相続人となる

普通養子縁組を行った場合、養子は実親と養親の双方の相続人となることが特徴です。

これは、養子が養親にとっての子供として認められると同時に、実の親子関係も消えずに残るからです。

結果として、養子は実親の遺産だけでなく、養親の遺産についても相続権を有することになります。

その反面で実親と養親の双方の相続人となることによる複雑な事情も存在します。たとえば、実親と養親の両方と親子関係があるため、その両方に対して扶養義務を負います。また、疎遠になっている親の相続手続きで相続権を主張することで、他の相続人からの反発を受ける可能性もあります。

特別養子縁組では実親の相続権を失う

特別養子縁組の場合、養子は実親との親子関係を解消させ、養親との親子関係が成立することになります。

これにより、養子は実親の相続権を失う代わりに、養親の法定相続人としての地位を得ることになります。

特別養子縁組は、養子が養親とより強固な家族絆を築くための手段として利用されることが多いです。また、特別養子縁組は原則として15歳未満の未成年者に適用される制度であるため、あらゆるケースで利用できるわけではありません。

養子の連れ子と実子の法定相続分は同じ

養子になった連れ子と実子の間で、法定相続分に差異はありません。つまり、連れ子と実子は相続手続きにおいて平等に扱われます。

この仕組みは平等な相続を保証するためのもので、一度養子縁組が成立すると、連れ子も実子も同じく法定相続人となるわけです。

普通養子縁組であれば、連れ子は実の親だけではなく、新たな養親からも法定相続分を受け取ることができるようになります。ただし、遺言によって異なる配分を指定することも可能です。

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養子縁組せずに連れ子が遺産を取得することがある

被相続人
妻B
【連れ子と養子縁組していないケース】
連れ子C

連れ子と養子縁組をせずに、遺言や生前贈与を利用しなくても、連れ子が遺産を取得することがあります。それは、いわゆる「数次相続」です。

「数次相続」とは、被相続人の死亡後、その遺産分割が終わるまでに、被相続人の相続人が死亡しまい、次の相続が開始される状況を指します。

例えば、被相続人が配偶者の連れ子と養子縁組をしていない状況で、①被相続A人が先に死亡した後、被相続人の相続手続きが終わる前に②妻Bが死亡した場合、被相続人の相続人ではない連れ子Cは妻B(つまり実親)の相続人となる以上、妻Bが相続した被相続人Aの遺産を相続する権利を取得します。

連れ子に遺産を承継する際の注意点

他の相続人との対立が生じる
相続税が2割増し
遺留分の問題を回避する
相続税の基礎控除

連れ子へ遺産を承継させる際には、いくつかの注意点があります。他の相続人がいる場合は、相続人との対立や遺留分の問題が生じることがあり、相続トラブルの原因となることが考えられます。そのため、可能であれば家族間で遺産分けに関する話し合いをするのと、専門家のアドバイスを求めることも重要でしょう。ただ、家族間で話し合いをすることで、かえって生前から相続問題を顕在化させてしまうリスクもあるため、注意を要します。

さらに、相続税に関しては通常の相続人に比べ、連れ子が相続税の面で不利になることがないよう配慮する必要があります。

他の相続人からの反発を生む可能性

連れ子が遺産を受け継ぐという事実が他の相続人の反対や反発を招く可能性があります。

特に養子縁組を行わずに遺言により遺産を連れ子に承継させる場合、他の法定相続人は納得がいかない場合が多いです。

また、養子縁組をしたものの、遺言書を作成していない場合、他の相続人と養子が遺産分割協議をしなければなりません。養子と他の相続人の関係性が良好であれば問題ありません。ただ、関係が悪かったり、疎遠になっている場合、遺産分割協議には相応の負担を招きます。

相続人間の争いを避けるためにも適切な手続きと十分な説明が必要となります。

遺留分の侵害をしないよう注意する

連れ子に遺言により遺産を残す場合には、他の相続人の遺留分侵害に注意しましょう。

遺留分とは、法定相続人の保護を目的とした制度です。たとえば、遺言によって全財産や大部分の財産を連れ子に遺すといった場合でも、法定相続人の遺留分は法律上守られます。遺留分の権利が侵害されると、相続人は遺留分侵害額請求をすることができます。連れ子に財産を残す場合には、この遺留分を十分に考慮し、実子や配偶者などの法定相続人の権利を侵さないように配慮することも大切です。

相続人ではない連れ子の相続税は2割加算される

相続税の計算において、連れ子が相続人ではない場合、一般的な相続人よりも高い税率で税金が課せられます。

具体的には、連れ子への相続に際しては、相続税の税率に2割の加算がされます。このため、連れ子に財産を残す際には、税金の負担増を避けるための方法を考慮する必要があります。例えば、養子縁組をした上で、生前贈与を積極的に活用することです。生前贈与については、亡くなる7年前までの生前贈与(2024年1月1日移行の贈与に限ります。)は相続税の対象となるため、注意が必要です。2023年以前の贈与については、7年ではなく3年前のものが相続税の対象となります。

相続税の基礎控除の人数には含まれない

相続税の計算における基礎控除は、以下の計算式で算定されます。

TIPS! 相続税の基礎控除の計算式
3000万円+相続人の人数×600万円

この相続人には、実子だけでなく養子も含みますが、養子縁組をしていない連れ子は含みません。相続税の負担を軽減させるためにも、連れ子に遺産を遺す場合には、養子縁組をすることをおすすめします。

ただ、被相続人に実子がいる場合は養子1人まで、実子がいない場合は養子は2人までが相続人として基礎控除の計算の対象となります。そのため、基礎控除を増やすため複数の養子縁組をしても、上記のとおり養子の人数には制限があるため、基礎控除の金額も制限されます。

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連れ子に遺産を遺す方法は複数あります。しかし、無計画に進めてしまうと、他の相続人との対立を産む結果となりますし、予想外の相続税の負担や遺留分の負担を招きます。

せっかく相続対策をするのであれば、大事な家族間の争族を生じさせないようにすることが重要です。

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