コラム
最終更新日:2023.08.17

アルバイトの解雇は難しい?解雇理由と対処法を弁護士が解説します

アルバイトであっても労働者です。アルバイトなどの非正規雇用であっても、解雇には厳しい条件をクリアしなければなりません。

十分な理由のない解雇は無効となります。

不当解雇を受けた場合には、解雇が無効であることを主張した上で、解雇後の給与などを請求しましょう。

本記事では、アルバイトの解雇問題を弁護士が解説します。

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解雇になる主な理由

アルバイトがクビになってしまうよくある理由から確認しておきましょう。アルバイトを解雇できるだけの十分な理由とはなりにくいものが多いでしょう。

遅刻や欠勤が多い

予定していたシフトに遅刻したり欠勤を繰り返していていることを理由に、突然解雇を通知されることも珍しくありません。

勤務態度が悪い

上司やお客さんに対する態度が悪かったり、勤務中に私語やスマホをずっとみていて、きちんと業務を行っていないことが続いている場合には、勤務態度の悪さを理由に解雇されることがあります。

対人関係でトラブルが起きる

上司や同僚との間で性格のそりがあわなかったり、男女関係のもつれなどトラブルが起きることもあります。

そのトラブルを解決するために、クビとなってしまうこともあるでしょう。

病気や健康状態が原因

病気や健康状態が原因で、アルバイトを継続することが難しくなった場合にも、アルバイトをクビになってしまうこともあります。

ただ、仕事が原因で発症した病気や怪我を理由に解雇することは制限されます。また、休職制度があるにもかかわらず、休職させずにいきなり解雇することも制限されるでしょう。

バイトテロ

アルバイトによるいたずら、設備や機器の破壊、在庫や原材料の破損などの不正行為を行った場合、解雇処分を受けることがあります。いわゆるバイトテロと呼ばれる類の不正行為については、その影響の度合いが大きい場合には、解雇とされても致し方ないでしょう。

経営不振によるリストラ

勤務先の経営状態が悪化し、人件費を削減せざるを得なくなった場合には、アルバイトが先行して整理解雇となることがあります。

解雇は不当解雇になりやすい

解雇処分は、アルバイトを含め労働者との労働契約を一方的に終了させる重たい処分です。

そのため、解雇処分が有効となるためには、厳格な要件を満たすことが必要です。解雇するためには、客観的に合理的な解雇理由があり、社会通念上相当な処分といえることが必要です。

パフォーマンスの低さ

パフォーマンスが低い、能力不足を理由に解雇することは難しいことが多いです。なぜなら、能力が低いか否かは、主観的な要素が強いため、能力不足を第三者である裁判所が判断することが非常に難しいからです。

能力不足である場合には、注意指導の機会を十分に与えたり、配置転換するなどの改善の機会を与えなければなりません。

遅刻や無断欠勤

遅刻や欠勤を繰り返すことは良くないことではあります。しかし、遅刻欠勤を理由に解雇することは不当解雇となる可能性は高いでしょう。

厳重注意から、戒告や譴責といった軽い処分から順を追って懲戒処分を行い、それでも改善されない場合に解雇処分とするべきです。

関連記事|無断欠勤が続くと解雇となるのか?欠勤の理由や不当解雇の対応方法を弁護士が解説します

勤務態度が悪い

勤務態度の悪さは、能力不足と同様、主観的な理由です。第三者の裁判官等には、判断しにくい理由です。

そのため、勤務態度の悪さのみを理由とした解雇は不当解雇として無効となる可能性は高いでしょう。

病気や健康状態の不良

アルバイトが精神疾患や怪我で出勤できないからといって、直ちに解雇処分とすることは不当解雇となる可能性があります。

就業規則において休職制度があれば、休職の利用を申し出るべきです。

また、病気や怪我が長時間労働やパワハラ、業務中の事故による場合、業務災害となります。業務災害による休業中と休業終了後30日間は解雇を禁止されています。

バイトテロ

バイトテロを行ったことを理由とする解雇は有効となる可能性は高いでしょう。

ただ、全てのバイトテロが解雇の理由として十分というわけではありません。

バイトテロをSNS等を通じて広く拡散させたことで、企業やその商品に対する社会的な信用が悪化し、重大な損失が発生する場合には、解雇処分は致し方ないでしょう。

他方で、そのような悪影響は生じず、アルバイトの悪ふざけにすぎない場合には、解雇処分は行き過ぎたものとして無効になる可能性はあります。

契約期間の途中での解雇

アルバイトは、有期雇用契約というもので一定の契約期間が決まっている場合も多くあります。

有期契約の場合、契約期間の満了前の途中で解雇する場合には、やむを得ない事由が必要となります。

やむを得ない事由とは、契約期間の満了を待たずに今すぐに解雇しなくてはならないような重大な事情です。そのため、通常の解雇処分よりも、さらに一層厳格な条件を満たすことが必要となります。

不当解雇を受けた場合の対応

使用者が不当解雇を受けた場合、アルバイトであるからといって諦める必要はありません。

不当解雇を受けた場合の対応方法を解説します。

解雇理由を確認する

まずは解雇理由が何かを確認しましょう。

不当解雇の場合、口頭や簡単な書面で通知されるだけで、解雇理由の説明を受けないことも多くあります。

解雇理由が分からなければ、不当解雇であるかの判断もできません。

そこで、雇い主に対して解雇理由証明書の発行

関連記事|解雇理由証明書とは?

解雇の無効を主張する

解雇理由の確認をした後、解雇理由として十分ではないことが分かれば、使用者に対して、解雇が無効であることを通知します。

口頭で通知することも可能ですが、口頭では、こちらの主張内容を的確に伝わらないリスクがあります。また、アルバイト従業員の主張を軽んじて誠実に向き合わないリスクもあります。

そこで、解雇無効の主張は、内容証明郵便により通知するようにします。

バックペイの請求

解雇が無効である場合は、アルバイトの雇用契約は解雇後も存続していることになります。

そのため、アルバイト従業員は、解雇を受けてから解決するまでの期間の賃金を請求することができます。この賃金を実務上バックペイと呼びます。

バックペイの計算方法としては、一定期間における1か月の労働時間の平均に対して時給額を掛けた金額とする方法があります。

解決金の支払いを求める

解雇が無効であれば、使用者は従業員を復職させなければなりません。 

しかし、使用者は、一度解雇とした従業員を復職させることを復職させることを嫌います。

そのため、使用者は、従業員を復職させずに契約を終了させるために、解決金を支払うことがあります。

解決金の金額は、給与の半年分から1年分が多く、訴訟手続による解決時に支払われることが多いです。

残業代を請求する

アルバイトでも残業をすれば、残業代の請求をすることはできます。

解雇無効の主張とセットで残業代の請求をしましょう。

ただ、残業代請求には消滅時効があります。残業代の時効は3年です。かつては、2年の消滅時効でしたが、法改正により3年に伸びました。3年の期間が経過するまでに残業代を請求するようにしましょう。

関連記事|固定残業代とは?固定残業代のメリットとデメリットを弁護士が解説

解雇理由別の対処法

アルバイトが解雇処分を受けずに、能力に応じたパフォーマンスを出せるようにするための対処法を解説します。

遅刻や欠勤の対処法

時間管理の向上

遅刻や欠勤をしてしまうとアルバイト先は他の人員を用意する必要があり、大変な迷惑が掛かってしまいます。信用が落ちてしまう行為なので、遅刻・欠勤をしないように、アルバイト先に早めに到着するように出発したり、直前に予定を入れないようにしたり、体調管理に気を付けたりするなど、時間管理・自己管理を徹底しましょう。

アルバイト先に相談

しかし、アルバイト以外にも学校に通っていたり、別のアルバイトもやっていたり、プライベートの用事もあったりするでしょう。

どうしてもアルバイト以外の予定が調整しづらい場合には、そのことを前もってアルバイト先に伝えておき、柔軟にシフトを調整できるようにしてもらいましょう。

態度が悪い場合の改善策

自分の行動や言動を客観的に振り返る

勤務態度が悪いと指摘されときは、自分が勤務中にどのような行動や言動を行っていたのか、客観的に振り返ってみましょう。

周りの意見を聞く

自分で振り返ったうえで、周りの同僚にも意見を聞いてみましょう。

自分で振り返ったり、周りからの意見から、自分の問題がある点がわかれば、その点を改善するよう意識することで、クビとなることを回避できるかもしれません。

対人関係でトラブルを避ける方法

コミュニケーションスキルの向上

上司や同僚とのトラブルが起きてしまう原因は、コミュニケーションの取り方に問題があることにある可能性があります。

上司や同僚とのコミュニケーションの取り方に問題がないか振り返ってみて改善を図ってみましょう。

相談窓口や上司との連携

トラブルについて、相談窓口や上司などの第三者に相談をしてみることで、うまく仲介をしてもらうことができるかもしれません。それによってだれもアルバイトを辞めることなくトラブルが解決する可能性があります。

病気や健康状態を考慮したアルバイト選び

病気を持っていたとしても、その病気のまま問題なく行えるアルバイトもあれば、難しいものもあるでしょう。

肉体労働が難しかったとしても、事務的なアルバイトであればできるということもあります。

自分の病気や健康状態にあったアルバイトを選ぶことが重要です。

解雇予告手当について

解雇が有効であるとしても、使用者は労働者を解雇する場合、30日前に解雇予告しなければなりません。即日解雇する場合には、使用者は労働者に対して、解雇予告手当を支払う義務を負います。

解雇予告手当の金額

解雇予告手当は、解雇通知前の過去3か月分の平均賃金の30日分となります。解雇日が30日よりも短い場合には、足らずの日数の平均賃金を支払う必要があります。

アルバイトの解雇予告手当

アルバイトのようなパートタイマー労働者の場合、正社員と異なり出勤日数や勤務時間が短いことが多いです。

そのため、3か月分の平均賃金を計算すると、1日あたりの給与額が少なくてなってしまいます。

そのため、解雇予告手当の1日あたりの金額には最低保障額が定められています。

3か月の賃金総額÷3か月の労働日数×0.6

失業手当を受けることもできます

アルバイトも労働者ですから、解雇により失業すれば失業給付金(失業手当)をもらうことができます。

ただ、失業手当をもらうためには、以下の条件を満たす必要があります。

• 週20時間以上の所定労働時間

• 31日以上の雇用期間が見込める者

• 学生ではないこと

受給するための条件

離職前1年間に、労災保険の被保険者期間が通算して6月以上であること

受給開始時期

解雇などの会社都合による離職の場合には、7日間の待機期間を満了後

給付日数

90日〜330日

アルバイトの解雇問題は弁護士に相談を

アルバイトとはいえ、社会人としてのマナーやルールを守ることが、クビとならないために重要なことです。

もしそれでもクビの可能性を実感してきた場合、自分の勤務態度を見つめなおし、クビとならないよう改善を図りましょう。

まずは、弁護士に速やかに相談しましょう。

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