コラム
最終更新日:2023.11.13

マザコン夫との離婚を考えるあなたへ|マザコンと離婚原因、離婚手続きを弁護士が解説

 夫のマザコンぶりに嫌気が差し、離婚を考える女性は少なくありません。

 自分を生んで育ててくれた母親を大切にするのは、素晴らしいことです。しかし、度を過ぎると結婚生活に支障をきたしてしまうのも事実です。

そこで気になるのは、夫がマザコンであることを理由として離婚できるのか、ということではないでしょうか。あるいは、そもそもご自身の夫が度を超えたマザコンであるのかどうかが気になる方もいらっしゃることでしょう。

そこでこの記事では、マザコン夫とは何かを解説した上で、マザコン夫と離婚する方法や注意点を紹介します。

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マザコン夫とは何か?

マザコン夫と「母親思いの夫」には大きな違いがありますが、表面的にはよく似ているところもあります。

そのため、結婚するまでは母親思いの人だと思っていたところ、結婚生活を続けていくうちにマザコン夫だと感じ、幻滅してしまうこともあるものです。

そこでまずは、マザコン夫とはどのような夫のことをいうのかを説明します。

マザーコンプレックスとは?

そもそもマザコンとは「マザーコンプレックス」の略称です。

マザーコンプレックスは法律上の用語ではなく、明確な定義はありませんが、一般的には母親に対して強い愛着や執着を持つ状態のことを指します。

誰しも幼少期に母親に対する愛着や執着を強く持ちますが、成長するにつれて自立心が芽生え、母親とは適度な距離を置くようになるものです。

しかし、なかには大人になっても母親に対して精神的に依存したままで、常に母親の顔色を窺ったり、母親に意見を求めたりするような人もいます。このような男性のことを「マザコン」ということもあります。

そして、結婚しても母親に対して精神的に依存したままの男性のことを「マザコン夫」と呼称することがあります。

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マザコン夫の特徴

マザコン夫には、次のような特徴があります。

マザコン夫の特徴

・何事も自分で判断せず母親の意見に従う

・仕事だけでなく家庭内の問題まで何でも母親に相談する

・妻と母親の意見が対立するときは母親の味方をする

・家庭の事情よりも母親の都合を優先する

・何かにつけて妻と母親を比較する

・母親とのスキンシップが多く、電話やメールでも頻繁にやりとりしている

・どこへ行くにも母親がついてくる

ひとことで言えば、母親から自立できていないことがマザコン夫の最大の特徴です。

マザコンの問題点

マザコン夫のほとんどは、自分が度を超えて母親に依存していることを自覚していないという問題もあります。母親が息子夫婦のことから家庭のことまで逐一、介入してきますが、マザコン夫はそれを当然のことと考えており、問題意識すら持ちません。

妻としては、夫のことを信頼できないだけでなく、家事や子育てのやり方にまで義母から口出しされ、大きなストレスを抱えることになります。度が過ぎると耐えきれなくなり、離婚問題に発展するのもやむを得ないといえるでしょう。

マザコン夫と離婚するためには

マザコン夫と離婚するためには、基本的に話し合いで決着を付けるのが得策です。裁判で一方的に離婚するためには、戦略が必要となります。また、慰謝料請求は基本的に難しいと考えておきましょう。

以下で、ひとつずつ分かりやすく説明します。

夫のマザコンは離婚理由にはならない

夫がマザコンであるというだけでは、法律上の離婚理由にはなりません。

民法第770条1項では、裁判で強制的に離婚が認められる理由として5つの法定離婚事由が定められていますが、その中に「配偶者がマザコン」という規定はありません。

そのため、夫がマザコンであっても、それだけを理由として一方的に離婚することはできないのです。

マザコンを理由とした慰謝料請求は難しい

マザコン夫と離婚できるとしても、マザコンを理由とした慰謝料請求は認められません。

そもそも、離婚慰謝料を請求できるのは、配偶者の違法な行為によって夫婦関係が破綻した場合です。配偶者が不貞行為やDV、モラハラなどを行ったケースが典型的です。マザコンは性格的なものであり、それ自体は違法ではないので慰謝料請求の根拠にはならないのです。

ただし、マザコン夫が妻に辛く当たり、その行為がDVやモラハラに該当する場合は、DVやモラハラを理由として慰謝料を請求できる可能性があります。

協議離婚を目指す

法定離婚事由がなくても、夫婦が合意すれば協議離婚ができます。そのため、夫のマザコンを理由として離婚したい場合は、基本的に協議離婚を目指すことになります。

ただし、マザコン夫から離婚の合意を得ることは、簡単ではないことが多いものです。話し合いの際には、夫のマザコンが原因で夫婦関係が破綻していることや、これ以上は夫婦関係を続けられないことなどを具体的に説明しましょう。そして、時間をかけて夫の理解を得るように努めた方が、離婚できる可能性が高まります。

離婚の話し合いがスムーズに進まない場合は、別居して物理的に距離を置くのが有効です。別居すれば、マザコン夫もことの重大さを悟り、離婚と真剣に向き合うようになることも期待できます。

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離婚調停や離婚裁判を進める

どうしても話し合いがまとまらない場合は、離婚調停や離婚裁判といった家庭裁判所での手続きが必要となります。

離婚調停では、家庭裁判所の調停委員が中立・公平な立場で間に入り、夫婦間の話し合いが進められます。あくまでも話し合いによって解決を図る手続きですが、調停委員の理解を得れば、相手方に対して離婚する方向で助言や説得を図ってくれる可能性があります。

そのため、調停委員に対して夫婦の実情を具体的に話し、夫婦関係が修復不可能なほどに破綻していることを分かってもらうように努めましょう。

離婚裁判とは

調停でも離婚の合意ができない場合は、離婚裁判を検討しましょう。

夫のマザコンが原因で夫婦関係が修復不可能なほどに破綻している場合は、民法第770条1項5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」という法定離婚事由に該当する可能性があります。

その場合には、裁判で夫婦関係が破綻していることを証明できる証拠を提出しましょう。具体的には、夫や義母の言動を録音・録画したデータや、メール・LINEのやりとり、夫婦の実情を継続的に記録した日記などが有効な証拠として挙げられます。

裁判の結果、婚姻を継続することが難しいと判断されれば、判決で離婚が認められます。

マザコン夫との離婚手続きの注意点

マザコン夫との離婚手続きを進める上では、以下の点に注意が必要です。

義母の介入による心理的な負担

マザコン夫と離婚するには協議離婚が得策と説明しましたが、実際には離婚の話し合いにも義母が介入することがほとんどです。むしろ、夫との話し合いというよりは、義母との話し合いという様相を呈してしまうのが実情でしょう。

そして、義母は息子が悪いとは考えず、感情的になって嫁が悪いと責めてくることが多いものです。そこまで感情的ではなくても、義母に対して理屈は通じないことが多いでしょう。

このような義母の介入により、妻としては、一般的な離婚のケースよりも話し合いにかかる心理的な負担が重くなってしまいます。

代理人弁護士に依頼する

義母の介入によって話し合いが進まない場合には、弁護士に離婚協議を依頼するのがおすすめです。

弁護士は、代理人として夫や義母との話し合いを代行します。そのため、妻は別居していれば、夫や義母と直接やりとりする必要が一切なくなります。弁護士を立てることで、心理的な負担が大きく軽減されることでしょう。

そして、弁護士は、あなたにやり直す意思がないことを夫や義母に対して明確に告げた上で、冷静に交渉します。弁護士という法律の専門家が毅然とした態度で交渉することで、夫や義母も観念して離婚に応じる可能性が高まります。

離婚を保留にして別居を継続する

ただ、弁護士に依頼したとしても、法定離婚事由がなければ一方的に離婚することはできません。その場合には、離婚を保留にして別居を継続することが有効です。

別居は、夫婦関係が破綻していることの現れでもあります。そのため、別居が長期間に及ぶと「婚姻を継続し難い重大な事由」があるものとして、裁判で離婚が認められるようになります。

どれくらいの期間、別居が継続すれば裁判で離婚が認められるのかというと、一般的には5年以上が必要です。ただし、マザコン夫や義母からの仕打ちによって辛い思いをしていたという事情と併せて考えれば、2~3年の別居でも離婚が認められる可能性はあります。

具体的に必要な年数はケースによって異なるので、弁護士に相談して確認することをおすすめします。

婚姻費用を請求する

離婚のために別居を続ける場合、その間の生活費が不足することもあるでしょう。そんなときは、夫に対して婚姻費用を請求しましょう。

婚姻費用とは、夫婦が生活していくために必要なお金のことです。別居していても法律上の夫婦である限り、婚姻費用を分担して負担する義務を負っています。そのため、別居中は収入が低い配偶者から収入が高い配偶者に対して、婚姻費用の支払いを請求できるのです。

請求できる金額の目安は裁判所が公表している「養育費・婚姻費用算定表」に掲載されているので、参考になさってください。

参考:裁判所|養育費・婚姻費用算定表

婚姻費用の支払い額や支払い方法は、夫婦で話し合って決めるのが基本です。話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の「婚姻費用の分担請求調停・審判」で決めることができます。

なお、婚姻費用は基本的に請求してからの分しかもらえません。以前の分を遡って請求することは基本的にできないので、別居したら早めに請求手続きを行いましょう。

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マザコン夫との離婚のメリット

マザコン夫の中には、マザコンでさえなければ素晴らしい夫であり、父親であるという人も多いものです。そのため、離婚を迷っている方もいることでしょう。

ここでは、離婚するかどうかを判断する際の参考にしていただくために、マザコン夫と離婚するメリットを紹介します。

離婚による心の解放

マザコン夫と離婚すれば、精神的に大きな解放感が得られます。

マザコン夫は何事についても母親の意見に従い、それを妻にも押し付けてきます。母親の意見が絶対に正しいと信じているので、妻の意見が受け入れられることはありません。

義母が妻に対して直接、様々な意見を押し付けてくることも多いです。妻としては、煩わしさを感じない日はないといっても過言ではないでしょう。

さらに、義母が頻繁に家に来ては食事を一緒にしたり、家族旅行や夫婦での外出にまで義母がついてくるとなると、ストレスを解消することもままなりません。

離婚すれば、このような夫と義母との縁が切れるので、妻は心の自由が得られます。

新たな人生のスタート

離婚後は、人生の再スタートを切ってやり直すことができます。

夫選びに一度失敗した経験を踏まえて、次は健全な男性を見つけて再婚するのもよいでしょう。

仕事に全力を注ぐのもよいですし、女手ひとつで子どもを育てていくのもよいでしょう。

マザコン夫や義母からの介入がなくなるので、自分の人生の可能性を納得いくまで追求できるようになります。

離婚前に試すべきこと

マザコン夫に辛い思いをさせられているとしても、早急に離婚を切り出すのは考えものです。状況にもよりますが、離婚を迷っているのであれば、まずは以下のようなことを試してみましょう。

夫(マザコン)の理解を深める

マザコンは長年の親子関係の中で培われてきた性格のようなものなので、夫が悪いわけではありません。妻の立場としては納得できなくても、夫の立場でみれば、母親を尊重したいという気持ちも理解できるのではないでしょうか。

また、マザコンとはどういうものであるのかについて、インターネットや本などで詳しく調べてみるのもよいでしょう。

夫の性格やマザコンに対する理解が深まれば、夫への正しい接し方も分かってくるはずです。

夫婦間のコミュニケーションの改善

夫婦間のコミュニケーションにおいては、妻であるあなたが夫をリードするように心がけることが有効です。

マザコン夫は、母親のような存在に甘えたい、引っ張ってほしいという心理を強く持っているものです。そこで、あなたがその役割を果たすことで、夫は徐々に母親への依存から離れていく可能性があります。

さらに、夫をことあるごとに褒めるのもおすすめです。仕事のことでも、家事や育児を手伝ってくれたことでも、何でも褒めて自信を持たせるようにしましょう。

夫が自信を持てば、徐々にですが自立心が強まり、母親とは適度な距離を置いて家庭に目を向けるようになることが期待できます。

マザーコンプレックスに適切に対処する

夫のマザーコンプレックスに対処していくなかで重要なことは、夫を必要以上に傷つけないようにしながら、自立心を強めるように仕向けることです。

そのためには、夫に対して義母の悪口を言うことは控えましょう。義母のことを悪く言うと、夫は母親の味方となってしまうため逆効果です。

自立心を強めるためには、夫にマザコンを自覚させることも必要です。ただし、「あなたはマザコンです」などとストレートに言うと夫を傷つけてしまったり、夫を逆上させたりするおそれがあります。

それよりは、夫が母親に相談せずに何かをしてくれたときに、「こういうふうに自分の意思で行動してくれると嬉しいな」というように、褒め言葉を使うようにするとよいでしょう。

対立を避け、理解し合う

夫と対立を避けて理解し合うためには、あなたが義母と仲良くなることが有効です。夫に対しても義母に対する感謝の言葉を日常的に伝えると、さらに効果的です。

あなたが義母と仲良くしていると、夫も安心しますし、あなたのことも母親の仲間であり、味方だと認識するようになります。

また、義母と親しくすることで、夫のことを義母に相談できるという大きなメリットも得られます。嫁と姑が対立していると、姑は断固として自分の意見を押し付けてくるものです。しかし、仲良くしていれば嫁の気持ちも理解してくれて、意見を聴いてくれる可能性が高まります。

1人で夫と義母に立ち向かうよりも、義母を味方に付けてしまった方が、夫婦関係の改善にも大きく役立つことでしょう。

カウンセリングを通じた解決策

マザコンは病気ではなく性格のようなものなので、完全に直すのは難しいです。直すというよりは、子どもを育てるつもりで夫の自立心を育てていくような、地道な努力が必要となります。

少しでも改善の効果を高めるためには、カウンセリングの利用がおすすめです。できれば、夫婦2人で専門のカウンセラーに相談してみましょう。夫に対して、心理学の見地から適切なアドバイスをしてもらえるはずです。

夫が同行してくれない場合は、あなただけでもカウンセリングを利用してみるのもよいことです。その場合には、夫に対する適切な対処法の他、マザコン夫と折り合って生活していくための具体的なアドバイスが得られるでしょう。

また、マザコン夫の問題を弁護士にご相談いただくことも有効です。弁護士によっては信頼できるカウンセラーを紹介してくれることもありますし、「夫婦円満調停」という手続きによって話し合い、夫婦関係の改善を図ることも可能です。 

マザコン夫との離婚問題は弁護士に相談を

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