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不貞行為と時効について(最高裁判所平成31年2月19日判決)

配偶者の一方が妻(夫)以外の男女と不貞行為を行なった場合、不貞行為を行なった配偶者とその不貞相手は損害賠償を支払う義務を負います。
では、この不貞行為に基づく損害賠償義務はいつまで負わなければならないのでしょうか?いわゆる不貞行為の消滅時効について解説します。

不貞行為に関する別コラムもご参照ください。

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不貞行為とは

 

1 不貞相手について

不法行為に基づく損害賠償請求権は、損害及び加害者を知った時から3年とされています(民法724条)。そして、不貞行為に基づく損害賠償請求の場合、不貞行為の事実及び加害者が発覚してから3年が経過することで時効により消滅します(最判平成6年1月20日)。かつては、不貞行為の後、離婚に至った場合には、たとえ不貞行為から3年が経過していたとしても離婚時から時効はスタートすると考えられていました(東京高判平成10年12月21日)。
しかしながら、最高裁判所平成31年2月19日判決により、この考え方は否定されました。つまり、不貞行為の事実とその不貞相手を知ってから3年が経てば、いくら離婚が成立したとしても、不貞相手に対する慰謝料請求は時効により消滅することになります。ただし、不貞相手が夫婦の離婚それ自体について不当に干渉するなどした結果、離婚に追い込まれたような場合には、不貞相手に対して離婚それ自体に関する慰謝料を請求することは可能と考えられます。

【最高裁判所平成31年2月19日判決】
夫婦が離婚するに至るまでの経緯は当該夫婦の諸事情に応じて一様ではないが、 協議上の離婚と裁判上の離婚のいずれであっても、離婚による婚姻の解消は、本来、当該夫婦の間で決められるべき事柄である。
したがって、夫婦の一方と不貞行為に及んだ第三者は、これにより当該夫婦の婚 姻関係が破綻して離婚するに至ったとしても、当該夫婦の他方に対し、不貞行為を 理由とする不法行為責任を負うべき場合があることはともかくとして、直ちに、当該夫婦を離婚させたことを理由とする不法行為責任を負うことはないと解される。 第三者がそのことを理由とする不法行為責任を負うのは、当該第三者が、単に夫婦 の一方との間で不貞行為に及ぶにとどまらず、当該夫婦を離婚させることを意図してその婚姻関係に対する不当な干渉をするなどして当該夫婦を離婚のやむなきに至 らしめたものと評価すべき特段の事情があるときに限られるというべきである。

2 不貞行為を行なった配偶者に対して

配偶者に対する不貞行為に基づく損害賠償請求権についても、上述と同様に損害及び加害者を知った時から3年であると考えます。ただ、不貞相手とは異なり、貞操義務を負っていること等からして、たとえ不貞行為の消滅時効の3年が経過していたとしても、不貞行為により離婚に至った場合には、離婚成立時から3年間は、離婚それ自体の慰謝料請求は可能であると考えています。この場合、不貞行為の時から一定期間が経過してしまっているため、その不貞行為によって離婚に至ったのかという不貞行為と離婚との因果関係が問題になり得ると考えます。

3 最後に

勘違いされることが多いですが、不貞行為から3年が経過していたとしても、上述したように、不貞行為の事実やその不貞相手を知らなかった場合には、消滅時効はスタートしません。つまり、その事実を最近知るに至ったのであれば、不貞行為に基づく慰謝料請求は可能です。期間が経過していたとしても、諦めることなく一度弁護士に相談してみて下さい。

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