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婚姻費用をもらい続けることはできる?弁護士が解説

別居する

婚姻費用をもらい続けることはできるのでしょうか?

その回答は、離婚するまでは貰い続けることは可能です。

離婚するまでの期間が長くなればなるほど、貰える婚姻費用の総額は大きくなります。

では、離婚するまでの期間とはどのくらいの期間なのでしょうか?

以下では、婚姻費用の基本に加えて、いつまで婚姻費用をもらい続けられるのか解説していきます。

 

婚姻費用とは何か?

婚姻費用とは、別居を続けている夫婦において、夫婦の一方から他方に対して支払われる生活費全般のことです。

別居の結果、夫婦が離婚した場合には、婚姻費用の支払いはなくなります。

離婚後は、子供がいる場合には、養育費の支払いが生じることになります。

婚姻費用の中には、食費等の生活費、住居費、教育費、交際費、娯楽費が含まれています。

婚姻費用は、実際に生活に要した実額ではなく、双方の収入に応じて計算された金額となります。

 

婚姻費用の計算方法とは?

算定表を使って計算する

婚姻費用の算出方法としては、裁判所が公開している算定表を使って算出する方法があります。

この算定表を使うことで、簡易的に婚姻費用の金額を導くことができます。

 

算定表のうちどれを使うのか?

算定表には、養育費の算定表と婚姻費用の算定表があります。

今回は離婚前の婚姻費用を計算するケースですから、婚姻費用の算定表を見ます。

その上で、子供がいない場合には、夫婦のみの表を、子供がいる場合には、子供の人数や年齢に応じて算定表を使います。

例えば、16歳の子供と3歳の子供がいる場合には、(表14)婚姻費用・子2人表(第1子15歳以上,第2子0~14歳)の算定表を使います。

 

算定表の見方とは

算定表には、縦軸に義務者の収入、横軸に権利者の収入が記載されています。

義務者とは、婚姻費用を払う義務のある人、権利者とは、婚姻費用の支払いを求める人をいいます。

それぞれの収入は、給与と自営の枠で分けられています。

給与とは、会社員や公務員が勤務先から受けている一年間の収入を指します。

自営とは、個人事業主や会社役員が得ている一年間の事業収入を指します。

権利者と義務者の収入額を各軸に当てはめて、義務者の収入額から水平に伸ばした線と権利者の収入額から垂直に伸ばした線が交わる点が婚姻費用の金額となります。

 

収入額の見方とは?

給与の場合、源泉徴収票の発行を受けていると思いますが、源泉徴収票の総支給額を当てはめます。

他方で、個人事業主などの事業収入を得ている方の場合、収入の当てはめ方は特殊です。

確定申告書内の所得の金額に、社会保険料の数字を控除した上で、青色申告特別控除額を加算します。

その他、実際に支給していない専従者給与控除額、減価償却費や貸倒引当金といった実際に支出していない経費については、加算する場合があります。

このように、申告書内の所得額に色々な費目を加算したり控除したりして算出された金額が算定表上の収入となります。

 

専業主婦の収入額は?

妻が専業主婦の場合、妻の収入は「ゼロ」として婚姻費用を計算するのでしょうか。

子供が幼く、子供を保育園や幼稚園に預けることができないため、仕事をすることができない場合には、妻の収入をゼロと扱うことはあります。

働きたくても働けない以上、収入を認定することはできないからです。

 

他方で、子供が幼かったとしても保育園に預けられる環境にあったり、既に小学校に入学しているような場合には、たとえ妻が仕事をしていなかったとしても、仕事をすることができると考え、妻の収入額をパートタイマーと同程度の収入、およそ年額120万円で認定することがあります。

 

住宅ローン付の自宅に住んでいる場合

婚姻費用の支払いを求める方が、相手方が住宅ローンを支払う自宅に住んでいる場合には、婚姻費用が幾らか減額されることがあります。

例えば、専業主婦である妻が住宅ローンの付いた自宅に住み続けているところ、そのローンを夫が払い続けながら、夫自身の賃貸マンションの賃料を負担しているケースを想定してみます。

この場合、夫は、自分が住むマンションの家賃に加えて、住宅ローンの支払いもしており、二重に住居費を負担している状況です。

これに対して、妻は、夫が住宅ローンを負担することで、自分自身の住居費の負担から免れています。

つまり、夫は二重に住居費を負担し、他方で妻はそれを負担しないという関係は、不公平ではないかという考えることができると思います。

そこで、婚姻費用の金額から一定額を控除することが認められています。

 

居住費がいくら控除されるのか?

注意が必要なのが、夫が支払う住宅ローンの金額そのものをそのまま控除することはできません。

つまり、夫が住宅ローンを毎月10万円支払っていたとしても、その金額そのままを引くことはできません。

なぜなら、住宅ローンを支払うことで、自宅不動産の権利を取得している側面があるため、1か月のローン全額を引いてしまうと、かえって夫に有利な結論となってしまうからです。

この場合、妻の収入額に対応した住居関係費の平均額を控除することになります。

妻が専業主婦で、実収入がない場合には、住居関係費は、2万2247円となります。

仮に算定表により算出された婚姻費用の金額が10万円であれば、この金額から2万2247円を引いた77,753円が支払われるべき婚姻費用額となります。

 

不貞行為をした場合

婚姻費用とは、夫婦の一方がもう一方に対する扶養義務を負っていることを根拠に支払わなければならないものです。

では、例えば専業主婦である妻が行った不貞行為を理由に別居するに至った場合でも、婚姻費用は支払うべきでしょうか?

この場合にまで、夫に妻の生活費を負担させることは夫婦間の公平さを害してしまうでしょう。

そのため、このような場合には、婚姻費用のうち妻の生活費にあたる部分については負担を免れることがあります。

ただし、婚姻費用のうち妻以外の子供の生活費については負担する必要はありますので、注意してください。

この場合、妻は自身の生活費を請求できませんので、婚姻費用を貰い続けるために、別居生活を継続させる理由はそこまでないのかもしれません。

 

婚姻費用は貰い続けることはできるのか?

婚姻費用は、別居してから離婚するまでの間、支払われるものです。

そうであれば、別居してから離婚までの期間が長くなればなるほど、婚姻費用の総額は大きくなることを意味します。

では、別居してから離婚するまでの期間はどのくらいなのでしょうか?

まずは、離婚の種類について解説します。

 

離婚の種類

離婚には協議離婚、調停離婚、裁判離婚があります。

協議離婚とは、夫婦間で話し合いをして離婚をするものです。

調停離婚とは、家庭裁判所において、調停委員の仲裁により離婚をするものです。

裁判離婚とは、調停離婚が成立しない場合に、訴訟手続により離婚をするものです。

 

合意できれば離婚原因は要らない

離婚原因とは、民法に規定された離婚が認められる理由のことを指します。

離婚原因には、

・配偶者の不貞行為

・配偶者による悪意の遺棄

・配偶者の生死が3年以上分からない

・配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない

・婚姻を継続し難い重大な事由

があります。

ただし、協議離婚も調停離婚についても、夫婦双方が合意をして離婚をするものです。

そのため、民法で規定された離婚原因がなかったとしても、夫婦双方が納得するのであれば離婚することはできます。

また、裁判離婚では、裁判官が、証拠に基づき離婚原因があるかを判断し、判決を出すことになります。

しかし、裁判離婚においても、離婚原因がなかったとしても、双方が納得できるのであれば、裁判上の和解により離婚することはできます。

 

離婚原因がない場合に何年間もらえるのか?

以上のように離婚原因がなかったとしても、夫婦相互で合意ができれば離婚はできます。

これはすなわち、離婚原因がない場合には、夫婦間で合意さえしなければ離婚はできないことを意味します。

しかし、合意さえしなければ、未来永劫、婚姻費用をもらい続けられるか?というと、それは違います。

 

3年から5年の別居が離婚原因となる

別居生活が続き、夫婦としての共同生活の実態がなくなっていくと、夫婦関係は修復できない程に破壊されていくと考えられています。

この場合、長期の別居生活により、夫婦関係が破綻するに至った場合には、離婚原因が認められることになります。

この場合には、婚姻を継続し難い重大な事由に該当することになります。

では、何年間、別居生活を継続させれば、離婚原因と認定されるのでしょうか?

一概には言えませんが、別居期間としては、3年から5年は必要といえるでしょう。

同居している期間が長ければ長いほど別居期間は長く必要になると考えられています。

 

離婚訴訟には時間がかかる

離婚協議から始める

離婚に至るプロセスとしては、まずは離婚協議を行います。

夫婦間による離婚協議が進まない場合には、離婚調停を申し立てるしかありません。

 

離婚協議の後は離婚調停に

離婚調停にプロセスが進んだとしても、夫婦間で離婚に納得できなければ、離婚調停は成立しません。

ケースバイケースですが、離婚調停の申立てをしてから不成立となり終了するまでには、半年から1年の期間を要するのが多いでしょう。

 

離婚訴訟について

離婚調停が不成立となった場合の次のステップは、離婚訴訟の提起となります。

離婚を求める方が離婚訴訟を提起することで、訴訟手続が開始されます。

訴訟手続では、1か月半から2ヶ月に1回の頻度で裁判期日が行われます。

訴訟手続においても、夫婦双方が離婚に関する合意ができなければ、証人尋問を実施した上で判決をすることになります。

訴訟提起から判決手続までに要する期間は、1年半前後、長いケースであれば3年以上のケースもあります。

判決を受けて、その内容に不服がある場合には、控訴や上告をすることもできます。

控訴や上告をすると、さらに判決が確定するまでに時間はかかります。

控訴や上告の手続には、やはり半年から1年ほどの時間を必要とすることが多いと思います。

控訴や上告しない場合や上告したものの上告棄却された場合には、その判決の内容は確定します。

判決内容が離婚を認めるものであれば、判決の確定によって離婚となります。

他方で、判決内容が離婚を認めないのであれば、その後も婚姻関係は続くことになります。

 

離婚原因がない場合には一定期間もらえる

以上のように離婚原因がなければ、3年から5年の別居期間が必要となります。

その上で、離婚協議から離婚判決に至るまでに、2年から3年の時間を要します。

そうすると、この別居期間と離婚手続の時間を合算した期間、あるいは、これに近い期間、婚姻費用を貰うことは可能となります。

 

有責配偶者の場合

有責配偶者とは何か?

先程、婚姻費用を請求する権利者が不貞行為に及んだ場合について解説しました。

逆に、婚姻費用を支払う義務者が不貞行為やDVといった、離婚原因になる行為に及んでいる場合はどうでしょうか?

このように離婚原因に該当する行為を行った配偶者は有責配偶者と呼ばれます。

 

有責配偶者により離婚請求

有責配偶者による離婚請求は原則として認められていません。

 

それは何故でしょうか?

例えば、夫が不貞行為を行ったことが理由で別居を開始させたとします。

確かに、夫の不貞行為は離婚原因にあたりますから、離婚を認める判決がなされるようにも思います。

しかし、夫は、自ら不貞行為という離婚原因を作っておきながら、その張本人である夫による離婚請求を認めてしまうことは、妻からするとあまりにも酷でしょう。

もし、このような場合にまで離婚を認めてしまうと、離婚をしたい夫が、不貞行為やDVを意図的に行うことで離婚をすることができてしまいます。

このような理由から、自ら離婚原因を作った配偶者により離婚請求を認められません。

 

有責配偶者による請求が認められる場合

ただ、有責配偶者による離婚請求が全く認められないわけではないことも注意が必要です。

具体的には

①別居期間が同居期間と比べて相当長期である

②未成熟子がいないこと

③精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状況に置かれないこと

といった事情があれば、離婚請求も認められる余地があります。

 

別居期間と未成熟子について

有責配偶者による離婚請求が認められるのかを判断するにあたり、最も重視される事情が別居期間です。

別居期間として、どの程度の年数で足りるのかはケースバイケースです。

別居期間としては7年から10年ほどは必要であると考えます。

別居期間の長短の判断において、考慮される事情が未成熟子の有無です。

たとえ別居期間が10年に至っていたとしても、子供が小学生や中学生である場合には、いまだ未成熟といえるため、離婚請求を認めない可能性はあります。

他方で、子供が高校生になっており、別居してから現在まで婚姻費用の支払いが十分になされている場合には、子供が未成年であったとしても、ある程度の年齢に達しているため離婚請求を認める可能性はあります。

 

有責配偶者の場合には別居期間は相当長期に

以上のように、婚姻費用を負担する配偶者が有責配偶者であれば、離婚が認められるためには、10年前後の長期の別居が必要となります。

これに加えて、先程述べた離婚判決に至るまでの期間を合算すると、さらに長期の別居期間になることが分かると思います。

このように、相手方が有責配偶者である場合には、7年から10年以上の期間、婚姻費用を貰い続けることができる可能性があります。

 

婚姻費用の調停申立て

裁判外での合意ができる場合

婚姻費用について、夫婦双方で合意ができれば、その合意に沿って、婚姻費用を支払ってもらいます。

この場合には、婚姻費用の支払いを約束する合意書を作成しておきましょう。

 

公正証書を作成しておこう

さらに合意ができるのであれば、公正証書まで作成しておくようにしましょう。

なぜなら、いくら夫婦間で合意書を作成したとしても、相手方がこれを守らない場合、この合意書だけでいきなり、相手方の財産を差し押えることはできません。

つまり、合意書の内容を実現させたい場合には、合意書の履行を求める訴訟を提起した上で、判決を得なければなりません。

しかし、先程解説したように訴訟手続はとても時間がかかります。

判決が出るまでの期間、生活を維持させることができるかは分かりません。

公正証書であれば、判決や裁判上の和解がなくとも、公正証書に基づき差押えなどの強制執行をすることができます。

 

合意ができない場合には調停の申し立てをする

夫婦間で合意ができない場合には、婚姻費用の調停申立てをするしかありません。

この場合に申立てをする家庭裁判所は、申立てをする側ではなく、相手方の住所地を管轄する裁判所になります。

もし、相手方の住所地が遠方であったとしても、調停が行われる期日に遠方の裁判所に赴く必要はなく、電話による対応も可能です。

 

調停手続とは何か?

調停手続は、裁判所において、裁判所の調停委員の仲裁により、夫婦間の話し合いを進めていく手続です。

話し合いの結果、調停が成立した場合には、調停の内容には強制力がありますから、差押えなどの強制執行をすることができます。

1か月半から2ヶ月に一度の頻度で開かれる調停期日に、申立てをした人とその相手方は、家庭裁判所に赴きます。

調停期日では、調停委員2名が在室している調停室に、申立人と相手方が双方入れ替わりで入室し、言い分を喋ったり、調停委員から質問を受けます。

通常、申立人と相手方は別々の待合室で待機しますから、調停中にお互いが対面することがないようになっています。

婚姻費用の調停では、3回前後の調停期日を行い、双方が納得できれば調停が成立します。

成立時には、調停室に、申立人と相手方が同席して調停の内容を確認しますから、概ね5分から10分程度の時間ですが、この時には対面することにはなります。

 

婚姻費用は請求をした時から貰える

婚姻費用は、内容証明や調停申立書の提出をした時の月から請求することができます。

仮に、月末のギリギリに提出したとしても、通常はその1ヶ月分を請求することが認められます。

婚姻費用の請求をしてから婚姻費用の合意ができるまでに、一定期間が経過していたとしても、合意までの婚姻費用は未払婚姻費用として、貰うことができます。

 

調停が成立しなければ審判に移行する

仮に、調停手続を経ても合意に至らない場合には、審判という手続に移ります。

調停手続は、調停委員が間に入った、話し合いの要素が強いものでした。

他方で審判は、裁判官が双方の主張や客観的資料に基づいて、適正な婚姻費用の金額を算定していきます。

そのため、審判手続では、話し合いの要素は調停手続と比べて少ないといえます。

ただ、審判手続においても、事案によっては、裁判官から和解の提案がなされることはあります。

和解の提案を受けたものの、やはり合意できない場合には、審判がなされます。

審判に不服がある場合には、審判書という書面を受け取った日の翌日から2週間以内に即時抗告という手続をとることで、審判の内容に対する不服申立てができます。

 

困ったら弁護士に相談する

婚姻費用の調停手続や審判手続には、専門的な知識や経験が求められることが多くあります。

通常、調停などの裁判手続に慣れている方はそれ程多くないと思います。

ご自身に不利な内容で合意をしてしまっているケースも多くあります。

婚姻費用のことでお悩みであれば弁護士に相談してみましょう。

当事務所では初回相談30分を無料で実施しています。

面談方法は、ご来所、zoom等、お電話による方法でお受けしています。

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