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家庭内別居は離婚原因になる?割合やよくある理由を弁護士が解説

家庭内別居は離婚原因になる?割合やよくある理由を弁護士が解説

夫婦関係が悪化しても、すぐに別居できないケースもよくあります。

例えば、現在の自宅に継続して居住したいと思っているのに、相手方が自宅をなかなか出て行かない場合、選択されるのが「家庭内別居」です。

家庭内別居とは、夫婦関係が破綻に近いほど悪化しても同じ家に住み続け、接触を避けて生活を続けることです。会話を最小限におさえてお互いに顔を合わせないようにしているケースが多数です。

 

ただし家庭内別居は実際の別居とは異なります。将来離婚するときに「離婚原因」が認められない可能性もあるので注意しましょう。

 

この記事では家庭内別居が法律上の離婚原因になるのか、日本における家庭内別居の割合やよくある理由、知っておきたい法律知識をお伝えします。夫や妻との関係が悪化して別居に踏み切れない方はぜひ参考にしてみてください。

家庭内別居の割合と離婚率

家庭内別居は別居と異なり、外観上分かりにくいです。特に、当事者以外の裁判官や調停委員からは、同じ屋根の下で生活している状況で別居している実態があるか否かを確認することは簡単ではありません。

では、このような家庭内別居をしている夫婦の割合はどのくらいになっているのでしょうか?

婚活メディア「e-venz(イベンツ)」を運営するノマドマーケティング株式会社(東京都渋谷区)が、全国の30歳以上の男女100名を対象にとったアンケート結果があります。

●家庭内別居の経験者…44%

●家庭内別居後に離婚になったケース…83%

●家庭内別居後離婚に至るまでの期間…5年以内が22%でもっとも多く、次いで1年以内の17%、3番目は半年以内の15%

母数が小さいので必ずしも正確ではありませんが、30歳以上の夫婦の半数近くが家庭内別居を経験しており、8割以上が離婚に至る可能性があるというデータが出ています。

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000034.000059676.html

 

家庭内別居でよくある理由

家庭内別居を選ぶ夫婦でよくある理由は以下のとおりです。

経済的な理由

片方が専業主婦の場合などには、離婚すると生活が苦しくなる可能性が高いでしょう。

「別居したい」と思っても引越しなどの新居の準備に費用がかかりますし、別居後の生活費も二重になってしまいます。

経済的な事情から家庭内別居を選択するパターンがよくあります。

対外的な問題

実際に別居すると周囲に気づかれて、実家や親戚、勤務先や友人などから事情を尋ねられたり好奇の目で見られたりする可能性があります。

家庭内別居であれば一見普通の夫婦に見えるので、対外的な問題は発生しにくいものです。

外見を気にして家庭内別居を選択される方も少なくありません。

子どもへの影響

夫婦が別居すると、子どもと暮らせるのは一方の親だけとなり、別居親は子どもと自由に会えなくなってしまいます。

特に子どもが小さい場合、影響を懸念してしばらく家庭内別居する例がよくあります。

その他

相手方の不貞行為やDVが理由で別居をしようと決意している事案で、現在の自宅に住み続けたいものの、相手方が自宅から退去しようとしないため、やむなく家庭内別居をしている場合です。

 

家庭内別居は離婚原因になる?

家庭内別居を続けていると、「離婚原因」になるのでしょうか?

離婚原因が必要なのは訴訟で離婚するケース

協議離婚や調停離婚では、特別な離婚原因は不要です。ここでいう「離婚原因」とは、民法770条で列記された以下のような事情を指します。

・配偶者に不貞な行為があったとき。

・配偶者から悪意で遺棄されたとき。

・配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。

・配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。

・その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

家庭内別居であっても実際の別居であっても明確な離婚原因がなくても、双方で合意ができるのであれば離婚をすることはできます。

一方で離婚訴訟になると「法律上の離婚原因」がなければ離婚できません。

 

家庭内別居は離婚原因にならない

結論からいうと家庭内別居だけでは離婚原因にならない可能性が高いといえます。

同居している以上、「夫婦関係が破綻している」と認定されにくいからです。

自分としては「相手との関係が破綻している」と主張しても、相手が否定したら「共同生活を送っている」とみなされ、離婚は認められにくいでしょう。

 

長期にわたって家庭内別居を続けていても、将来もめたときに相手方が離婚を受け入れなければ離婚できない可能性が高くなります。

 

家庭内別居で離婚原因が認められる場合

家庭内別居でも、以下のような事情があれば離婚原因が認められる可能性があります。

  • 相手が不貞行為している
  • DVやモラハラの被害を受けている
  • 相手が生活費を渡してくれないため、経済的に困窮している

これらの事情が「客観的な資料」により十分に証明できる場合には、たとえ完全に別居せずに家庭内別居に留まっていたとしても離婚することは可能です。

しかし、これらの事情がない場合には、長期にわたり家庭内別居を継続したとしても、夫婦関係を継続し難いとして離婚を求めることは困難です。

ただ、家計が完全に分離されており、食事や洗濯などの共同生活の実態も皆無で、このような状況が長期間にわたり継続している等の事情が客観的に証明できる場合には、例外的に家庭内別居が婚姻を継続し難い事由として離婚原因となる可能性はあるでしょう。

不貞行為の違法性との関係

不貞行為の訴訟や交渉において、不貞相手や不貞行為を行った配偶者から、不貞行為を行った時点で、既に家庭内別居の状況にあり婚姻関係が破綻していたため、不貞行為は違法ではないとの反論がよくなされます。

しかし、先ほど述べたように、家庭内別居によって婚姻関係が破綻していたことの立証は非常に難しく、不貞行為の時点で既に離婚調停が係属していた等の事情があれば別ですが、このような事情がない限り、家庭内別居に関する主張が認定されることはありません。特に、第三者である不貞相手からすれば、家庭内の状況について主張立証する材料に触れる機会が乏しいため、一層難しい主張になることが多いです。

 

長期間の別居は離婚原因になる

長期に渡って別居していると、離婚原因の一つである婚姻関係を継続し難い重大な事由があるとされと認定され、だいたい3年~5年程度別居していたら訴訟で離婚が認められるケースが多数です。なお、別居期間については、同居している期間の長短や未成年の子供の有無等の事情を考慮して判断されますから、事案に応じた実質的な判断が必要です。

より確実に相手と離婚したいなら、家庭内別居よりも夫婦の一方が退去する完全な別居をお勧めします。

 

家庭内別居と財産分与

家庭内別居と実際の別居では、財産分与の取り扱いも異なります。

財産分与には「基準時」があります。基準時とは、「いつの財産を基準に計算するか」というタイミングです。

財産分与は「夫婦が共同生活において築いた財産」を対象にするので、別居するとその後の財産の変化は考慮されません。つまり「別居時点の財産」が財産分与の対象財産になります。

 

一方、家庭内別居の場合には「別居」とはいっても家計が1つです。家庭内別居を開始しても、財産分与の基準時になりません。将来本当に別居するときか、離婚するタイミングを財産分与の基準時として計算します。

 

証拠を集めやすいメリットも

財産分与を有利に進めるためには相手の財産に関する資料を集めなければなりません。

実際に別居してしまったら、これらの資料集めは難しくなるでしょう。

家庭内別居であれば相手の手持ちの資料にアクセスしやすいので、預金や保険などの財産資料を集めやすくなります。

 

 

家庭内別居と不貞行為

家庭内別居中に夫や妻が不貞行為したら、慰謝料を請求できるのでしょうか?

できるケースとできないケースがあります。

不貞行為で慰謝料が発生するのは、不貞行為によって夫婦関係を破綻させられたためです。

別居すると通常夫婦関係が破綻したと考えられるので、別居後に行われた不貞行為が発覚しても慰謝料請求は困難となります。ただ、別居後の不貞行為であっても、別居直後のものであれば、その時期や不貞相手との関係性によっては、別居以前から不貞関係があったと認定される可能性もあります。

一方、家庭内別居の場合、夫婦関係が冷え切っていたとしても、婚姻関係が破綻しているとまでは評価されないため、「不貞行為によって夫婦関係が破綻した」と評価されやすくなります。その場合、配偶者や不貞行為相手に慰謝料を請求できます。

 

不貞行為の証拠を集めやすい

同居していると不貞行為の証拠を集めやすいメリットもあります。

相手のスマホやかばんなどの中身を見る機会もありますし、相手の行動パターンも把握しやすいからです。探偵事務所に依頼するときにも「いつどこで尾行すればよいか」などの計画を立てやすくなります。

客観的な資料がなければ不貞行為が行われたことを認定されません。完全別居をしてしまうと、このような資料の収集する機会がかなり乏しくなりますから、同居期間中に十分な資料収集を行うことを推奨します。

 

家庭内別居中に離婚を決意したときにすべきこと

家庭内別居中、離婚したいと考えたら以下のように対応しましょう。

資料や証拠を集める

まずは財産に関する預貯金通帳のコピーや不貞行為の証拠など、資料を集めましょう。

いきなり離婚を打診すると、交渉で不利になる可能性があります。離婚を打診すると相手方が防御態勢に入り、これにより資料の収集が困難となることが多いため、離婚を打診する前に、十分な証拠収集を行いましょう。

 

離婚条件を検討する

次に希望する離婚条件を検討しましょう。

決めておくべき条件は主に以下の6つです。

  • 財産分与
  • 慰謝料
  • 年金分割
  • 親権
  • 養育費
  • 面会交流

自分の希望する条件を事前にまとめておくと、話し合いをスムーズに進めやすくなります。

 

相手に離婚を打診する

準備が整ったら相手に離婚を打診しましょう。相手が離婚を受け入れれば条件交渉を行います。相手が離婚を拒否したら、離婚に応じるよう説得しなければなりません。

 

合意できなければ別居または離婚調停を申し立てる

相手がどうしても離婚に応じない場合や離婚条件で合意できない場合には、協議離婚は難しくなります。

いったん別居して冷却期間を置くか、離婚調停を申し立てましょう。

 

専門家に相談する

家庭内別居中に離婚する方法は、相手の反応によっても異なります。別居すべき場合も調停を申し立てるべき場合もあり、将来訴訟が予測されるケースも考えられます。

子どもの親権争いが生じるケースも多く、素人判断で対応すると、予想外の不利益を受けてしまうリスクも心配です。

家庭内別居で離婚を考えたら、法律の専門知識をもった弁護士へ相談しましょう。

子どもの問題、お金の問題、離婚後の生活など、あらゆる面から「できるだけ有利になる方法」の提案を受けられて、後悔しない離婚を実現しやすくなります。

当事務所でも離婚に関するご相談を数多くお受けしています。親身になって対応いたしますので、お気軽にお問い合わせください。

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