コラム
最終更新日:2024.01.06

遺産分割のやり直しはできるのか?遺産分割の流れや期限を弁護士が解説します

相続問題  遺産分割協議 遺産分割をやり直せるのか

親族が亡くなった時に、亡くなった人(被相続人)の遺産を取得するためには、相続人の間で

遺産分割協議を行う必要があります。

しかし、遺産分割をした後に、何らかの事情により、遺産分割をやり直しできるのでしょうか?

本記事を読んで分かること

  1. 遺産分割協議とは❓
  2. 遺産分割協議の無効原因
  3. 遺産分割協議の取消理由
  4. 遺産分割協議を解除できるのか❓
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遺産分割協議とは何か?

亡くなった人(被相続人)の遺産を取得するためには、法定相続人の話し合いにより、法定相続分等に従い、誰が何をいくら取得するのかを決めなければなりません。

この相続人間の遺産分けの話し合いを遺産分割協議といいます。

遺産分割協議ができれば、その内容を記載した遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書には、相続人全員の署名と実印による捺印が行われた上で、相続人の印鑑登録証明書が添付されます。

遺産分割が成立した場合、遺産分割の内容に従って、各相続人が遺産を取得します。

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遺産分割が無効・取消しとなる場合

遺産分割協議も、相続人らが被相続人の遺産に関して行った合意です。

そのため、この合意において間違いがあれば、遺産分割は無効となる可能性があります。

相続人が除外されていた

遺産分割協議は、相続人全員が参加して行わなければなりません。

1人でも相続人を欠いた状態で遺産分割をしたとしても、その遺産分割は当然に無効となります。

欠いていた相続人を参加させて改めて遺産分割協議をする必要があります。

金融機関や法務局において戸籍謄本による相続人の特定作業が行われます。

そのため、ある相続人の欠いた状態で遺産分割協議書を作成したとしても、金融機関や法務局から相続人の欠落を指摘されるでしょう。

TIPS!戸籍謄本の取り寄せ

相続手続を行うためには、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本が必要となります。

相続人の漏れを無くすためには、取り寄せた戸籍謄本の内容を確認して相続人の特定を行うことが必要です。

相続人の漏れがないよう、遺産分割協議の時点で戸籍謄本を精査することが重要です。

 

相続人の行為能力に問題がある場合

相続人の一部が、認知症に罹患するなど十分な判断能力を有していない場合や未成年者であるにもかかわらず単独で遺産分割協議に参加している場合、遺産分割協議は無効になります。

また、相続人が意思能力を欠いているため成年後見人が就任しているにもかかわらず、後見人が法定代理人として遺産分割協議に参加していない場合も遺産分割協議は無効となります。

特別代理人が選任されていない場合

上記のとおり未成年者は単独で遺産分割協議に参加することはできません。ただ、親権者である法定代理人も相続人である場合、子と親権者の利害が対立してしまうため、相続人である親権者は子の法定代理人として遺産分割協議に参加することはできません。この場合、未成年の子のために、特別代理人の選任を家庭裁判所を通じて行い、特別代理人が子のために遺産分割協議を行う必要があります。

特別代理人の選任が必要であるにもかかわらず、これを経ずに遺産分割協議を行うと、遺産分割協議は無効となります。

詐欺や錯誤による取り消し

遺産分割協議において錯誤があった場合、遺産分割をやり直すことができるのでしょうか。

類型ごとに解説していきます。

法定相続分を勘違いしていた場合

法律上、相続人の立場に応じて法定相続分が定まっています。

相続人がこの法定相続分を勘違いした上で遺産分割協議に応じた場合、その勘違いがなければ遺産分割協議に応じなかったのであれば、遺産分割は錯誤により取り消される可能性あります。

重大な過失

しかし、錯誤があったとしても、その錯誤に重大な過失がある場合には、錯誤による取り消しができません。

容易に知ることができたにも関わらず、調査を怠ったために知ることができなかったような場合には重大な過失となります。

法定相続分についても、インターネット検索や法律相談等を通じて容易に知ることができます。

そのため、仮に法定相続分の誤信があったとしても、重大な過失が認められる可能性があるでしょう。

遺産が漏れていた場合

被相続人の遺産とするべき財産が漏れている場合です。

遺産分割時に把握していない財産が、遺産分割協議後に不意に発見されることは多々あります。

新たに発見された財産が極めて重要で、この財産が遺産分割時に発覚していれば、合意した遺産分割をする事がなかったのであれば、遺産分割協議は錯誤により取り消すことできる可能性があります。

錯誤による取消しは難しい

しかし、遺産分割協議それ自体を、錯誤を理由に取り消すことができるケースは非常に限られています。

多くの事案では、錯誤による取り消しになることはなく、新たに発見された財産のみを対象とした遺産分割協議をします。

あるいは、遺産分割協議書にあらかじめ『新たに発見された財産は、〇〇によって取得される』と定められていることも多く、錯誤の問題にはなりにくいかと思います。

相手方の説明による錯誤

相続人の1人が虚偽の説明をしたことで、遺産の範囲や金額について誤信した場合、遺産の範囲や金額に錯誤がなければ遺産分割することがなかったといえる場合にも、遺産分割協議が詐欺や錯誤により取り消されることがあります。

その遺産の範囲や金額が遺産全体に占める割合や遺産分割によって相続人が受ける影響の程度を踏まえて、重要な錯誤であることが必要となります。

また、相続人の虚偽の説明を受けても、その説明が間違いであることを容易に知ることができた場合には、重大な過失があるものとして、錯誤による取消が認められない可能性もあります。

債務の存在が明らかになった場合

遺産分割協議をした後に、借金などの債務の存在が明らかになった場合です。

遺産分割の時点で多額の債務の存在を知っていれば、相続放棄の手続を行なっていたが、債務が存在しないものと誤信して遺産分割協議をした場合には、被相続人との生活状況や協議内容を踏まえ、その遺産分割協議は錯誤により取り消しされる可能性があります。

①発覚した債務の額が預貯金等のプラスの財産よりも大きく上回る場合や②ほとんど財産を取得しない内容の合意がなされたが、債務の存在を知っていれば、このような内容の合意をすることがない場合には、錯誤となる可能性があります。

遺言書が見つかった場合

遺産分割協議をしたものの、遺産分割協議後に、被相続人の遺言書が見つかった場合です。

見つかった遺言書において相続分の指定がされており、その遺言書の内容を知っていれば、遺産分割協議をすることがなかったといえる場合には、その遺産分割は錯誤により取り消される可能性があります。

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プロセス(手続き)の瑕疵・問題

遺産分割協議を行うにあたって、その過程に問題があった場合、遺産分割のやり直しはできるのでしょうか。

遺産分割の方法

遺産分割協議の方法には様々なものがあります。

必ず相続人全員が一同に介して話し合いをしないといけないわけではありません。

一部の相続人が相続人に対して個別に遺産分割の内容を提案し、了解を得ていく方法でも遺産分割は有効に成立します。

また、遺産分割協議書を持ち回りで署名捺印していく方法もよく利用されています。

手続が信義に反する

遺産分割協議書に相続人が署名捺印したものの、その内容が一部の相続人に不公平な内容であっても、相続人が署名捺印をしている以上、外形的には、遺産分割協議は有効に成立しているとされます。

しかし、各相続人に十分に検討する時間を与えず、異論を出しにくい状況を意図的に作るなど、特定の相続人に有利な遺産分割をするために、遺産分割協議のプロセスが恣意的に行われたような場合には、遺産分割協議は例外的に無効となる可能性があります。

✓遺産分割調停に関する裁判所の解説は、こちら

遺産分割の解除

相続人の1人が他の相続人に対して代償金を支払うことを遺産分割の内容としている場合があります。

例えば、相続人Aが不動産を取得する代わりに、相続人Bに対して、代償金として〇〇円を支払う、という内容を合意する場合があります。

債務不履行を理由とした解除は?

しかし、相続人が遺産分割で合意された内容を守らない場合、遺産分割全体を解除することができるのでしょうか?

相続人1人の義務違反を理由に遺産分割全体が解除できるとなると、遺産分割を前提として積み上げてきた法律関係が崩れてしまい、多くの関係者に影響が生じます。

そこで、相続人の義務違反を理由として、遺産分割を解除することはできないと考えられています。

この場合には、義務を負っている相続人と、権利を有している相続人の個別の問題となります。

具体的には、義務を履行を求める訴訟を提起したり、義務者の財産を差押える等の強制執行を行い、遺産分割で定められた義務の履行を実現させます。

合意解除はOK

義務違反を理由とした一方的な解除はできません。

しかし、相続人全員が遺産分割をやり直すことを合意する場合には、遺産分割の解除は認められます。

遺産分割をするにあたっての注意点

これまで説明してきたとおり、一度成立した遺産分割協議を事後的に無効・取消しとしたり、解除することはそう容易いことではありません。つまり、いくら不満・不服があっても覆すことは出来ません。

そのため、遺産分割をするにあたって、疑問点・不審点が残らないように十分に吟味しなければなりません。特に注意を要するのが次の事情です。

遺産分割にあたっての注意点

  • 法定相続分を確認する
  • 遺産を正確に把握する
  • 生前贈与を正確に把握する
  • 遺言書の有無を確認する
  • 遺産の評価を確認する
  • 遺産分割協議書の内容に納得してから署名捺印する

法定相続分を確認する

遺産分割の大前提として、相続人を確定した上で、各相続人の法定相続分を確定させます。相続人の確定には、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本と相続人の戸籍謄本の取り付けをすることで行います。

相続人の特定と相続分の正確な把握なくして、適切な遺産分割協議を行うことは出来ません。

遺産を正確に把握する

被相続人が遺した遺産の種類や金額を正確に把握しなければなりません。通帳履歴を確認して、抜け落ちている金融資産等がないかをチェックします。

生前贈与を正確に把握する

一部の相続人が、被相続人から生前贈与を受けていれば、これは「特別受益」として遺産分割で考慮しなければなりません。通帳履歴や遺言書などを確認して、特定の相続人に対する資金移動があれば生前贈与の可能性があります。

遺言書の有無を確認する

被相続人が生前に遺言書を遺している場合、遺産分割協議をする必要がありません。遺言書の内容に沿って遺産の分配をするだけで良いのです。そのため、公正証書遺言や自筆証書遺言が残されていないかを遺品整理等により確認しましょう。場合によっては公証役場にて遺言書の有無を照会することも検討します。

遺産の評価を確認する

遺産の評価に間違いがないかをチェックします。特に、不動産の評価額については、大きく差が生じやすいでしょう。不動産を取得したいと考える相続人は、その不動産の評価額をできるだけ低めに主張することで、より多くの遺産を取得しようと試みます。

不動産をはじめ遺産額の評価額が不当に低すぎないか、高すぎないかをチェックしましょう。

遺産分割協議書の内容を十分に精査する

遺産分割協議書に署名捺印するよう依頼されて、その中身をよく精査することなく、言われるがまま署名捺印に応じてしまうことはよくあります。しかし、説明を受けていないことをもって遺産分割協議を無効にできるかというと、非常にハードルは高いです。

サインをする前に、遺産分割協議書の内容を十分に精査し、不利な内容とされていないかをチェックしましょう。内容を十分に理解し納得できればサインをするようにします。

税務上の問題

遺産分割をやり直す場合、相続税等の税金の問題が生じます。

無効や取消の場合

遺産分割に無効や取消となる理由があったために、遺産分割をやり直す場合です。

相続税の申告と納税をしている場合には、払い過ぎていれば納め過ぎた税金の還付を受けるために、更正の請求をします。

納税額が少なかった場合には、修正申告により不足分を納める必要があります。

合意解除の場合

遺産分割を合意解除して、遺産分割をやり直したとしても、当初の相続税の申告に影響は生じません。

そのため、更正の請求や修正申告をする必要はありません。

その代わり、再分割で取得した財産について、贈与税または所得税が課税されることになります。

不動産がある場合

最初の遺産分割協議により不動産登記をしている場合、改めて登録免許税や不動産取得税を要する場合もあるため、二重に不動産関連の税負担が生じてしまいます。

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遺産分割のやり直しができるケースはかなり限られています。

やり直しのできる事情があっても、これを事後的に客観的な資料により証明しなければなりません。

弁護士に相談することで計画的な証拠収集を行うことができます。

ご自身で頑張り過ぎずに、適切に弁護士に相談することが重要です。

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難波みなみ法律事務所代表弁護士・中小企業診断士。幻冬舎「GOLDONLINE」連載第1回15回75回執筆担当。法的な問題には、法律の専門家である弁護士の助けが必要です。弁護士ドットコムココナラ弁護士ナビに掲載中。いつでもお気軽にご相談ください。初回相談無料(30分)。

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