コラム
最終更新日:2023.12.08

離婚原因とは何か?離婚したい理由や離婚手続きを弁護士が分かりやすく解説

離婚とハートブレイク

離婚を検討している夫婦であれば、聞いたことがあると思う、離婚原因というワード。

男女ともに離婚したい理由の1位は「性格の不一致」です。しかし、性格の不一致では、法律上の離婚原因として不十分です。法律上離婚原因が列記されていますが、列記された離婚原因に該当するのか判断を悩ませる事案も多くあります。

今回は、個々の離婚原因の概要を解説していきます。

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離婚したい理由のランキング

夫婦が離婚したいと考える離婚理由は様々です。

離婚したい理由のランキング(参照|婚姻関係事件数  申立ての動機別申立人別  全家庭裁判所)をみると、法律上の離婚原因に該当する理由もあれば、離婚原因にはなりにく理由もあります。

ただし、夫婦が離婚に同意するのであれば、離婚したいと思う理由が法律上の離婚原因に当たらなくても、離婚することは可能です。

夫が離婚したい理由

司法統計によれば、夫が離婚したい理由の1位は「性格の不一致」で、59.6%を占めています。2位の「精神的な虐待」は、モラハラの一種です。3位は、配偶者の不貞行為なども含む「異性関係」です。

離婚したい理由ランキング
1 性格の不一致
2 精神的な虐待
3 異性関係
4 家族との不和・不調和
5 浪費

上位3位のうち全てが法定の離婚原因に該当するというわけではありません。

性格の不一致や性行為に至らない異性関係は離婚原因には該当しにくいです。また、精神的な虐待についても、悪質性の高い人格非難であれば、夫婦関係を維持させることのできない離婚原因に該当する可能性はあります。しかし、これに至らない暴言やモラハラのすべてが離婚原因に当たるものではありません。

妻が離婚したい理由

妻が離婚したいと思う理由の1位は、夫と同じく、「性格の不一致」でした。2位は「生活費を支払わない」、3位は「精神的な虐待」、4位が「暴力を振るう」、5位が「異性関係」でした。

離婚したい理由ランキング
せい核の不一致
生活費の不払い
精神的な虐待
暴力DV
異性関係

これらの原因のうち、生活費の不払いが継続的に行われるなど経済的な虐待と言える場合には、離婚原因に当たります。暴力やDVについても、夫から妻に対して一方的に継続して行われた暴力であれば離婚原因に該当します。精神的な虐待や異性関係は、先ほど述べたとおりです。

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離婚原因とは?

離婚原因とは、民法770条1項に列記された各事情にあてはまる、夫婦関係を破綻させる理由を言います。民法770条1項には,『夫婦の一方は,次に掲げる場合に限り,離婚の訴えを提起することができる。』と定められ、離婚原因として、次の内容が規定されています。

  • 1号 配偶者に不貞な行為があったとき。
  • 2号 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
  • 3号 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
  • 4号 配偶者が強度の精神病にかかり,回復の見込みがないとき。
  • 5号 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

離婚原因があれば、離婚請求が認められるとともに、離婚原因を作り出した配偶者に対する慰謝料請求も認められます。

どのような時に離婚原因が必要か?

離婚に際して、常に離婚原因が求められるわけではありません。

話し合いにより離婚をする協議離婚の場合、双方が離婚に納得していれば、離婚原因があることは求められません。また、離婚の調停手続においても、裁判所を介した話し合いにより離婚手続を進めていきますから、離婚原因がなかったとしても、調停離婚が成立するケースはあります。

他方で、裁判離婚では、裁判官が離婚原因の有無やその他の一切の事情を考慮して、離婚の是非を判決で示します。そのため、裁判離婚においては、裁判上の和解が成立する場合は除き、離婚原因がなければ離婚することができません。

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不貞行為はどのような行為か

離婚原因の一つ目は、配偶者に不貞な行為があったときです。つまり、不貞行為(浮気・不倫)を離婚原因として定めています。不貞行為とは、自分の意思により、配偶者以外の人と性交を行う行為です。

さらに、性交を行わなかったとしても、これに準じる行為、口腔性交(オーラルセックス)や肛門性交(アナルセックス)も不貞行為に当たると判断される場合があります。仮にこれら性交類似行為が不貞行為に当たらないと判断されたとしても、婚姻を継続し難い重大な事由と判断される可能性はあります。

他方で、キスをしたり、女性の胸を触る行為といった不適切な行為については、不貞行為には当たりません。ただ、これら不適切な行為も、婚姻を継続し難い重大な事由とされる可能性があります。

関連記事|不貞行為とは何か?どこからが不貞行為かを弁護士が解説します

自らの意思による行為

先程も述べたように不貞行為とは、自分の意思に基づく性行為です。そのため、自らの意思に反して行った性行為、例えば、強姦や準強姦のような場合には不貞行為には該当しません。また、自らの意思による行為であれば足りるため、相手方の意思は関係ありません。

そのため、配偶者が相手方の意思に反して性行為を行っても、離婚原因である不貞行為にあたります。

同性間の性行為

かつては不貞行為とは、異性間の性行為を前提としていました。しかし、時代が移り変わり、同性愛やLGBTQに対する社会的な認識も変化してきたといえるでしょう。そして、同性間で性行為あるいはその類似行為が行われた結果として、夫婦関係の平穏が害される事態は十分に想定できるといえます。

そこで、同性間の性行為についても、不貞行為に該当すると判断される可能性があります(東京地方裁判所判決令和3年2月16日参照)。

悪意の遺棄とは何か

悪意の遺棄とは、正当な理由もなく、夫婦の同居・協力・扶助義務を果たさないことをいいます。

悪意とは?

悪意の遺棄における悪意とは、夫婦関係を破壊しようと意図したり、これを認容するような態度をいいます。

遺棄とは?

夫婦は相互に、同居し、協力・扶助をする義務を負っています。つまり、夫婦は、正当な理由がない限り同居しなければならず、夫婦の一方が扶助を必要とする状況であれば、自分と同等の生活を送れるようにしなければなりません。

それにもかかわらず、この同居・協力・扶助義務に違反してこれらを果たさないような状況を遺棄といいます。また、条文上は示されていませんが、遺棄といえるためには、ある程度の期間(半年以上など)がそのような状態が続いていることが必要です。

正当な理由がないこと

上記の遺棄に当たる行為があっても、それに正当な理由がある場合には、悪意の遺棄には当たりません。例えば、単身赴任のように仕事の関係で同居できない場合には、遺棄には該当しません。

ただ、正当な理由があり同居できないとしても、協力扶助義務を負いますから、生活費を送らなければ、悪意の遺棄には該当する可能性があります。

具体例

半身不随で日常生活もままならない妻を自宅に残置き去りにしたまま、妻の生活状況を知りながら長期間別居を続けた上、妻に対して生活費を支払わなかった事案において、夫の行為が悪意の遺棄と認定されました(浦和地判昭60年11月29日)。

配偶者の生死が3年以上不明であるとき

『3年以上生死不明』は、実務上あまり離婚原因として問題になるケースはありませんので、簡単に解説します。

生死不明とは、生存も死亡も証明できない状態です。配偶者の所在不明が長期間が続いている場合には、生死不明であると推認されます。他方で、連絡が取れないだけで、SNSの更新などがされている場合には、生死不明とは言えません。

生死不明が3年続いていない場合

生死不明が3年続いていないものの、配偶者と連絡が取れず、行方不明な状態が一定期間続いているケースがあります。あらゆる手段を使っても、配偶者と連絡が取れず所在を掴めないことがあります。

たとえ、3年間生死不明という状況ではなかったとしても、悪意の遺棄や婚姻関係を継続できない重大な事由に該当する可能性があります。このような場合には、公示送達という特殊な送達手続を利用することで、配偶者欠席の下で離婚判決がなされることがあります。

失踪宣告をする場合

配偶者が失踪宣告を受けると、配偶者は死亡したものとみなされますので、配偶者の死亡を理由に婚姻関係を解消させることができます。

失踪宣告とは、不在者の生死が7年間明らかでない時等に死亡したものとみなす制度をいいます。失踪宣告の場合、その後に配偶者の生存が明らかになると、失踪宣告は取り消されるため、婚姻関係が復活することになります。

回復の見込みがない強度の精神病

強度の精神病とは、夫婦が負っている協力義務を十分に果たされない程の精神障害をいいます。

成年後見を利用しなければならない程度に達している必要はありません。また、身体障害は精神障害ではありませんので、この離婚原因には該当しません。回復の見込みがないとは回復の見込みがないとは、夫婦間の協力義務を果たせる程に回復できる可能性がない場合をいいます。

直ちに離婚できるわけではない

仮に、配偶者が回復の見込みのない強度の精神病であったとしても、直ちに離婚が認められるわけではありません。これを具体的方途論と呼んでいます。

具体的には、配偶者の療養や生活等に配慮し、離婚後の看護体制について見通しが付いていなければ、離婚の請求は許さないという考えです。

婚姻関係を継続し難い重大な事由

離婚原因を具体的に定めた1号から4号に該当しないものの、その他の事情により婚姻関係が回復できない程に破綻している場合には、離婚原因となります。

この事情を「婚姻を継続し難い重大な事由」と呼びます。

婚姻関係が回復できない程に破綻しているかは、以下の事情を考慮して客観的に判断します。

「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するか

  • 夫婦双方の行為や態度、
  • 婚姻継続の意思の有無
  • 子の有無・状態
  • 双方の年齢
  • 別居の有無と別居期間の長短

DV(暴力)

配偶者に対する暴力は、民法上違法な行為ですから、金額の大小はありますが、損害賠償請求の対象となります。

しかし、全ての暴力が離婚原因となるわけではありません。暴力にも、夫婦喧嘩の延長でなされた軽微な有形力の行使もあれば、理不尽にも日々継続された暴力行為もあり、違法性の程度には大きな差があります。

そのため、暴力・DVが婚姻を継続し難い重大な事由といえるためには、次の事情を踏まえて、婚姻関係が修復できない程に破綻しているかを判断します。

  • 暴力の態様と程度
  • 受傷の有無と程度
  • 回数や期間
  • 暴力を誘発したのが被害者側であったのか
  • 別居の有無と期間
  • 離婚の意思の程度

モラハラ

モラハラとは、モラルハラスメントの略称で、家庭内での侮辱的言動、脅迫的言動などをいいます。

モラハラとは、単なる夫婦間の口喧嘩ではなく、相手の人格を否定するような暴言は精神的な暴力・虐待といえます。そのため、暴力や虐待と言えない程度の暴言は離婚原因にはなり難いでしょう。

そこで、モラハラが離婚原因となるのかは、次の事情を考慮して、夫婦関係が修復できない程に破壊されているかを検討します。

  • 暴言の内容
  • 暴言の回数や期間
  • 暴言をするに至った経緯(暴言を誘発させた原因の有無)

関連記事|モラハラ夫への対策を弁護士が解説|離婚問題に詳しい法律事務所

セックスレス

セックスレスそれ自体が離婚原因になることはあまりありません。

夫婦の性的な営みは、夫婦の信頼関係を維持するための自然な営みです。それにもかかわらず、正当な理由もなく性行為を拒否し続ければ、夫婦関係を傷つけることになりかねません。そこで、セックスレスが正当な理由もなく長期間にわたって及んでいる場合には、離婚原因になる可能性があるでしょう。

関連記事|セックスレスを理由に離婚できるのか?慰謝料の相場や離婚手続

性格の不一致

夫婦間の性格の不一致や価値観の相違を離婚原因として離婚請求するケースは比較的多く見られます。

しかし、夫婦間では、多かれ少なかれ生活習慣や価値観の違いはあり、お互いにこれらの違いを受け入れてこそ夫婦関係を維持することができます。そのため、単なる性格の不一致や価値観の違いだけでは離婚原因になることは難しいでしょう。

ただ、性格の不一致や価値観の違いがきっかけとなって、夫婦関係に溝を生み、暴言や暴力等を引き起こした結果、夫婦関係を回復できない程に破壊されたといある場合には、性格の不一致が、その他の事情と合わさって離婚原因になることはあるでしょう。

関連記事|性格の不一致で離婚できるのか?性格の不一致と離婚の流れ

配偶者の犯罪行為や服役

配偶者が犯罪行為を行い服役した場合、婚姻関係を継続し難い重大な理由として離婚原因になる可能性があります。ただ、犯罪行為を行ったことだけで、ただちに離婚原因となるものではありません。犯罪が重大な犯罪行為である場合、服役期間が長期に及ぶ場合、犯罪被害者が残された配偶者である場合(強制性交や傷害等)などにおいては、夫婦関係の継続が困難といえ、離婚原因となり得ます。

有責配偶者による離婚請求

離婚原因を作った配偶者、いわゆる有責配偶者による離婚請求は認められないのが原則です。

自ら離婚原因を作っておきながら、その離婚原因を理由とした離婚請求を認めてしまうと、不貞行為などの有責行為を行えば、容易に離婚が認められることになってしまい、もう一方の配偶者があまりにも酷です。

そこで、有責配偶者による離婚請求は、信義則に反するとして認められのが原則です。

ただ、例外的に

①夫婦の別居が夫婦の年齢及び同居期間と比べて相当の長期間に及ぶこと

②夫婦に未成熟の子が存在しないこと、

③離婚請求を認めることが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情が存在しないこと

といった各要素を踏まえ、離婚請求が信義則に反しない場合には、有責配偶者による離婚請求も認められます。

離婚手続きの流れ

離婚手続きは、夫婦の話し合いにより進めていくのが基本です。離婚を成立させる方法や流れを説明します。

離婚協議
離婚調停
離婚訴訟

離婚協議(話し合い)

まずは、夫婦間で話し合いをします。別居前に話し合いをするのか、別居後に話し合いをするのかはケースバイケースです。円満離婚を目指すのであれば、同居中から離婚協議を進めるのが理想です。しかし、DVやモラハラの気質のある配偶者であれば、速やかに別居をした上で、離婚協議をする方が良いかもしれません。

当事者間での話し合いが進展せず、折り合いが付かない場合には、弁護士に委任をした上で、弁護士を代理人として離婚協議を進めることを検討しましょう。

離婚協議の結果、夫婦間で合意できれば、合意書を作成した上で、離婚届けを提出します。

離婚調停の申立をする

離婚協議が進まない場合には、離婚調停の申立てをします。調停手続きは、裁判所が仲裁をして、夫婦間の話し合いを行い、離婚の成立を目指すプロセスです。

調停期日では、当事者双方が入れ替わりで調停室に入室し、調停委員から聞き取りを受けます。入れ替わりで入室するため、相手方と顔を合わせることは原則としてありません。

調停手続きは、平均して3回から5回程実施されます。調停手続の結果、離婚条件について合意ができれば調停が成立します。

関連記事|離婚調停中にやってはいけないこととは?離婚調停の不利な発言や注意点

訴訟提起をする(離婚裁判)

調停が不成立となれば、家庭裁判所に対して離婚訴訟を提起することになります。訴訟手続きでは、双方が、準備書面と証拠を提出することで、審理を進めていきます。当事者による主張・立証が尽くされれば、証人尋問(当事者尋問)を行い、最終的な判断(判決)が出されます。

ただ、証人尋問を行う前に裁判官から和解の提案がなされるのが大半です。和解により夫婦が合意できれば、裁判上の和解により離婚が成立します。判決が出される場合には、2週間以内に控訴しなければ判決が確定しますので、離婚が成立します。

関連記事|離婚裁判の期間と流れ|長期化する原因や早期解決のポイント

離婚手続きに関連する問題

指輪

離婚手続きでは、離婚原因の有無だけでなく、様々な問題が生じます。離婚にまつわる問題を解決しなければ離婚手続きが遅々として進まないことはよくあります。

子供の親権と養育費

子どものいる夫婦である場合、離婚に際して未成年の子どもの親権者を決める必要があります。また、未成熟の子の養育費の金額やその条件も協議する必要があります。

財産分与

財産分与とは、夫婦が婚姻期間を通じて協力して築いた共有財産を清算する制度です。財産分与の対象は、夫婦の別居した時点の共有財産です。婚姻前の財産や親族から譲り受けた財産(特有財産)は、財産分与の対象から除外されます。

離婚慰謝料

不貞行為やDVといった離婚原因がある場合には、慰謝料請求をすることができます。慰謝料額は、不貞行為やDV等の有責行為の内容や程度、婚姻期間、子供の有無等の諸事情から計算されます。

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離婚原因は様々なものがあります。主観的に離婚原因であると思っても、裁判上離婚原因とならないことはよくあります。また、離婚原因になったとしても、これを裏付ける客観的な証拠がなければ意味がありません。そのため、離婚原因を主張するとしても、計画的にその証拠を収集する必要があります。

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難波みなみ法律事務所代表弁護士・中小企業診断士。幻冬舎「GOLDONLINE」連載第1回15回75回執筆担当。法的な問題には、法律の専門家である弁護士の助けが必要です。弁護士ドットコムココナラ弁護士ナビに掲載中。いつでもお気軽にご相談ください。初回相談無料(30分)。

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