コラム
公開日: 2025.03.31

弁護士が解説:遺産分割調停の欠席がもたらすリスクと回避策|難波みなみ法律事務所

難波みなみ法律事務所代表弁護士・中小企業診断士。大阪弁護士会所属(登録番号49544)幻冬舎「GOLDONLINE」連載第1回15回75回執筆担当。法的な問題には、法律の専門家である弁護士の助けが必要です。弁護士ドットコムココナラ弁護士ナビに掲載中。いつでもお気軽にご相談ください。初回相談無料(30分)。

遺産分割調停は、相続問題を解決するための重要な手続きです。

しかし、調停に欠席してしまうと、思わぬ不利益を被る可能性があります。遺産分割で自分の権利を守りたいのに、仕事や他の予定で調停期日を欠席することになると心配している方もいるかもしれません。

そこで、この記事では、遺産分割調停に欠席した場合のリスクと、それを回避するための具体的な方法について、弁護士の視点から詳しく解説します。

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遺産分割調停は欠席できるか?

遺産分割調停は原則として欠席することが可能です。法律上、調停期日への出席が義務付けられているわけではありません。しかし、欠席することで様々な不利益が生じる可能性があるため、安易に欠席すべきではありません。

以下で、詳しく解説していきます。

遺産分割調停とは?

遺産分割調停は、相続人間で遺産の分け方について話し合いがつかない場合に、家庭裁判所の調停委員が仲介役となって相続問題の解決を図る手続きです。

調停では、各相続人の主張が聴取された上で、公平で適切な分割案が提示されます。また、調停委員が仲裁することで、相続人同士の感情的な対立を和らげ、円滑な話し合いを促進する役割も果たします。

遺産分割調停は、遺産分割協議が難航した際に利用され、多くの相続問題の解決に活用されています。

調停期日に欠席してもペナルティはない

遺産分割調停において、調停期日に欠席したからといって、法律上の制裁を受けることはありません。

たしかに、法律上、当事者本人は調停期日に出頭しなければなりません。しかし、調停期日に欠席したからといって、欠席に対するペナルティはありません。

ただ、ペナルティがないからといって、安易に調停期日に欠席することは望ましくありません。

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遺産分割調停を欠席することのデメリット

遺産分割調停を欠席することは、自身の権利や利益を守る上で大きなデメリットとなるため、可能な限り出席するよう努めることが重要です。以下で、具体的に解説します。

調停日に調停委員に対し言い分を述べる機会を失う

遺産分割調停に出席することで、調停委員に直接自分の意見や要望を伝える貴重な機会を得ることができます。一方で、調停期日に欠席すると、この重要な機会を逃してしまいます。

すなわち、調停期日に出席することで、調停委員に対して、相手方の主張に対する反論や自身の事情を詳細に説明することができ、より公平で納得のいく解決策を見出せる可能性が高まります。また、調停委員から専門的なアドバイスを受けられることもあり、法的知識が不足している場合でも適切な判断を下すための情報を得られます。

このように、調停日に出席して自分の言い分を述べることは、遺産分割の公平な解決を図る上で非常に重要ですが、他方で、調停期日に欠席することで、調停委員に対して言い分を述べる機会を失います。

遺産分割の調停手続が長期化する

遺産分割調停の欠席は、調停手続の長期化を招く要因となります。

当事者本人が欠席すると、その日の調停期日はほとんど進展せず、空転してしまいます。これにより、遺産分割の解決が遅れ、調停手続全体の期間が長引くことになります。

また、調停の長期化は、当事者間の感情的な対立を深める原因にもなりかねません。時間の経過とともに、当事者の主張が硬直化し、互いの溝が深まってしまう恐れがあります。これは、最終的な合意形成を一層困難にする要因となります。

このような事態を避けるためには、可能な限り調停期日に出席することが重要です。

欠席が続けば審判手続に移行する

調停期日の欠席が続く場合、家庭裁判所は審判手続に移行することがあります。調停期日の欠席が重なることで、当事者間での合意が困難と判断されるからです。

審判手続では、裁判官が法律に基づいて遺産分割の内容を最終的に決定されるため、当事者の意向が十分に反映されず、硬直的な解決になる可能性もあります。

また、審判の結果に不服があれば、即時抗告という不服申立ての手続きを取ることもできるため、当事者双方には、さらなる負担が生じる可能性もあります。

このような事態を避けるためには、可能な限り調停に出席し、積極的に話し合いに参加することが重要です。

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遺産分割に出席できない時の対応

遺産分割調停に出席できない場合、いくつかの対応策があります。

以下で紹介する対応策を的確に講じることで、遺産分割調停の欠席によるリスクを軽減し、円滑な相続手続きを進めることができます。

相続を得意とする弁護士に依頼する

相続に精通した弁護士に依頼することは、遺産分割調停の欠席リスクを軽減する効果的な方法です。

まず、弁護士を代理人に就けることで、本人がたとえ調停期日に出席できなかったとしても、代理人弁護士が調停期日に代理出席することができるため、依頼者が欠席せざるを得ない状況でも手続きを滞りなく進行させることが可能です。

そのほかには、弁護士は他の相続人や調停委員との交渉を円滑に進め、調停の長期化を防ぐことができます。また、相続問題は感情的になりやすい面もありますが、弁護士が介入することで冷静かつ客観的な判断が可能になります。

ただ、弁護士に依頼する際には、相続問題を専門的に扱う弁護士に依頼するべきです。弁護士には得意不得意があります。相続問題の経験を多く持たない弁護士は、事案の見通しが不十分となり、依頼者の利益を最大化できない可能性があるからです。

このように、相続専門の弁護士に依頼することは、遺産分割調停の欠席リスクを回避し、円滑な相続手続きを実現するための有効な選択肢といえるでしょう。

電話会議システムを利用して遠隔地から参加する

遺産分割調停に出席できない場合、電話会議システムを利用して遠隔地から参加する方法があります。

この方法は、特に遠方に住んでいる相続人や、仕事等の都合で調停期日に出席が困難な方にとって有効です。

電話会議システムを利用する場合には、裁判所に事前に申請することで、電話やビデオ会議システムを通じて調停に参加できます。

この方法を利用すれば、物理的な距離や時間の制約を克服し、調停に積極的に関与することができます。また、移動にかかる時間や費用を節約できるメリットもあります。

ただし、対面でのやり取りと比べて言い分が伝わりにくい点には注意が必要です。そのため、発言の際は明確かつ簡潔に自分の意見を伝えることが重要です。

調停条項案に同意する上申書を提出する

調停条項案に同意する上申書を提出することは、遺産分割調停に出席できない場合の有効な対応策の一つです。

この方法では、調停条項案を事前に確認し、その内容に同意する旨を記した書面を裁判所に提出します。これにより、調停期日に出席しなくても、調停の成立を実現させることができます。

ただし、安易に受諾する書面を出すべきではありません。調停条項案の内容を十分に精査し、これに応じるべきかを検討した上で、受諾書面を出しましょう。場合によっては、弁護士のサポートを受けることも検討しましょう。

無断欠席をせずに事前に連絡を入れて再調整する

遺産分割調停に出席できない場合、無断で欠席するのは避けるべきです。

できるだけ早い時期に事前に家庭裁判所に連絡を入れることが極めて重要です。欠席する理由をできれば明確に説明し、次回の調停期日の候補日を提案するなど、誠意ある対応を心がけましょう。

相続放棄をして調停手続から解放する

相続放棄は、遺産分割調停から完全に離脱する選択肢の一つです。相続人が相続を望まない場合、被相続人の死亡を知った日から3か月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述をすることで、相続権を放棄できます。この手続きを行うと、遺産分割調停に参加する必要がなくなり、相続に関する権利義務から解放されます。

ただし、相続放棄には重要な制限があります。3か月の期限を過ぎると相続放棄はできなくなりますので注意が必要です。

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遺産分割調停で弁護士を代理人として委任するメリット

遺産分割調停において弁護士を代理人として委任することには、多くのメリットがあります。

代理人弁護士が出席するため調停期日を欠席せずに済む

遺産分割調停において、代理人弁護士を立てることで、調停期日への欠席を避けることができます。弁護士が依頼者の代理人として出席するため、仕事や体調不良などの理由で本人が出席できない場合でも、調停手続きを滞りなく進行させることが可能です。

特に、遠方に住んでいる場合や、仕事の都合で調停期日に出席することが困難な場合には、代理人弁護士の活用を検討することをおすすめします。

代理人弁護士のサポートの下、調停手続を有利に進められる

代理人弁護士を立てることで、遺産分割調停を有利に進めることができます。

例えば、弁護士は法律の専門家として、相続法や民法に精通しているため、錯綜した遺産分割の問題を適切に処理できます。また、感情的になりがちな相続問題において、冷静かつ客観的な立場から交渉を行うことができるのも大きな利点です。

さらには、弁護士は調停の場で依頼人の利益を最大限に守るため、相手方の主張に対して適切な反論を行い、法的根拠に基づいた説得力のある主張を展開します。

加えて、弁護士は調停委員とのコミュニケーションにも長けており、依頼人の意向を適切に伝えつつ、円滑な調停進行に貢献します。これにより、調停が長期化するリスクを軽減し、早期解決の可能性を高めることができます。

弁護士のサポートを受けることで、依頼人は法的な専門知識や交渉スキルの不足を補うことができ、より自信を持って調停に臨むことができます。結果として、公平かつ満足のいく遺産分割の実現につながる可能性が高まります。

代理人弁護士が遺産調査をしてもらえ、遺産の漏れを防ぐ

代理人弁護士に遺産調査を依頼することで、遺産の漏れを防ぐことができます。

弁護士は専門的な知識と経験を活かし、預金口座や不動産、有価証券などの財産を網羅的に調査します。相続人自身では見落としがちな隠れた資産や負債も、弁護士の目を通すことで発見される可能性が高まります。

また、弁護士は遺産の評価方法にも精通しているため、適切な価値算定を行うことができます。これにより、公平な遺産分割の基礎を築くことができ、相続人全員の納得を得やすくなります。

このように、専門家である弁護士のサポートを受けることで、相続人は安心して調停に臨むことができるのです。

不明な点や不安な点を弁護士により解消してもらえる

遺産分割調停において、専門的な知識や経験を持つ弁護士に相談することで、調停に関する不明点や不安を解消できます。

弁護士は法的な観点から状況を分析し、依頼者に対して、個々のケースに応じた適切なアドバイスをします。例えば、遺産の評価方法や分割案の妥当性など、複雑な事項についても明確な説明を受けられます。また、調停の進め方や交渉戦略についても専門的な助言を得られるため、より自信を持って手続きに臨むことができます。

このように、弁護士のサポートを受けることで、遺産分割調停に関する様々な懸念や疑問を解消し、より良い結果を得る可能性が高まります。

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遺産分割調停の欠席に関するリスクと対策について、重要なポイントを整理しました。 

遺産分割調停に関わる人は、解説してきました様々な対策を検討し、自身の権利を適切に主張できるよう準備することが大切です。ただし、多くの人にとって調停手続は初めての体験です。調停手続を通じて、自身の権利利益を損なわないためにも、早期に弁護士に相談することが非常に重要です。

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