顧問弁護士と一般の弁護士の違いを正確に理解していますか?
多くの企業経営者や担当者は、法律トラブルが発生した際に弁護士に相談すべきか、それとも顧問契約を結んでおくべきか迷われているのではないでしょうか。法律問題が定期的に発生することが予想されるのであれば、顧問契約を積極的に検討するべきでしょう。
そこで、この記事では、顧問弁護士と弁護士の違いを徹底的に解説し、企業にとっての顧問契約のメリットを詳しくご紹介します。この記事を読むことで、自社のビジネスに最適な法的サポート体制が明確になり、将来的なリスク管理や法務コストの最適化につながるでしょう。法律の専門家との関わり方を見直すきっかけにしていただければ幸いです。
顧問弁護士と一般弁護士の基本的な違い
顧問弁護士と一般弁護士の違いは単なる契約形態の違いだけでなく、企業との関係性の深さや提供するサービスの範囲、そして法的問題へのアプローチ方法にまで及びます。
企業が自社に最適な法的サポート体制を検討する際には、これらの違いを十分に理解することが重要です。
顧問弁護士とは何か?その定義と役割
顧問弁護士とは、法人や個人事業主と継続的な契約関係を結び、法律面でのサポートを行う弁護士のことを指します。一般的な弁護士と同じ資格を持ちながらも、特定の依頼者と長期的な関係を構築する点が特徴です。
顧問弁護士の最も重要な役割は、企業活動における法的リスクの予防と対応です。これを予防法務といいます。具体的には、日常的な法律相談への対応、契約書のチェックや作成、トラブル発生時の対応策の提案、訴訟が必要な場合の代理人としての活動などが含まれます。
顧問契約は月額制や年額制の顧問料を支払う契約形態が一般的で、顧問契約で定められた範囲内の法律相談や法務サービスを受けることができます。企業の規模や業種によって必要とされる法的サポートは異なりますが、顧問弁護士は企業の事業内容や組織文化を深く理解した上で、最適な法的アドバイスを提供します。
一般弁護士の業務範囲と特徴
顧問弁護士ではない一般の弁護士は、依頼者から個別の案件ごとに依頼を受けて法的サービスを提供する法律専門家です。
一般の弁護士の特徴は、案件ごとの依頼に基づいて業務を行う「スポット対応」という点です。依頼者は特定の法的問題が発生した際に弁護士に相談し、その都度料金を支払います。このため、問題が発生してから弁護士に依頼するケースが多く、予防的な法務サポートは限定的になりがちです。
また、一般の弁護士は複数の依頼者から案件を受けているため、特定の企業に対して継続的に深い理解を持つことが難しい場合があります。そのため、企業の内部事情や課題について十分な知識を得ないまま対応することもあるでしょう。
料金体系としては、案件の種類や複雑さによって異なりますが、着手金と成功報酬や時間単位の報酬(タイムチャージ)を設定したりするのが一般的です。
契約形態の違い:顧問契約vs単発相談
顧問弁護士と一般弁護士の最も明確な違いは、契約形態にあります。顧問契約は企業と弁護士事務所との間で結ばれる継続的な契約関係です。通常、月額または年額の顧問料を支払うことで、定期的な法律相談や法務サポートを受けることができます。
一方、単発相談は必要が生じた時のみ弁護士に依頼する形態です。トラブルが発生した際や特定の法律問題について助言が必要な場合に、その都度弁護士に相談料を支払います。相談料は時間単位で計算されることが多く、1時間あたり1万円から3万円程度が相場となっています。
顧問契約では事前に費用が固定されているため予算管理がしやすく、また弁護士との信頼関係を構築することができることから、企業の状況を理解した上で的確なアドバイスが期待できます。これに対して、単発相談は、必要な時だけ費用が発生するため、法律問題が少ない企業には経済的な選択肢となりますが、企業の状況や課題を深く理解することはあまり期待できません。

顧問弁護士を持つ5つのメリット
顧問弁護士を契約することで企業が得られるメリットは数多くありますが、特に重要な5つのポイントを詳しく解説します。
継続的な法務サポートが受けられる
顧問弁護士の最大の特徴は、企業に対して継続的な法務サポートを提供できる点です。一般の弁護士に単発で相談する場合と異なり、顧問契約を結ぶことで、企業は日常的に発生する法律問題について随時相談できる体制を整えることができます。
突発的な法的トラブルが発生した際にも、企業の背景を熟知している顧問弁護士であれば、状況を一から説明する必要がなく、迅速かつ的確な対応が可能になります。このような継続的な関係性は、企業の法的なリスク管理において大きな安心感をもたらします。
予防法務による法的リスクの回避
予防法務とは、問題が発生する前に法的リスクを特定し、対策を講じることで法的リスクが顕在化することを防ぐことをいいます。顧問弁護士の最大の強みの一つがこの予防法務の実践にあります。
具体的には、契約書のレビューや社内規程の整備、コンプライアンス体制の構築などを通じて、企業活動の様々な場面で生じうる法的リスクを回避します。定期的な法律相談や従業員向けの法務研修の実施も予防法務の重要な一環です。一方、一般弁護士に単発で相談する場合、既に問題が発生してからの「事後対応型」になりがちです。
この違いは企業経営において非常に重要で、問題発生後の対応コストは予防にかかるコストの何倍にもなることがあります。
迅速な対応が可能になる
顧問弁護士を選ぶ最大のメリットの一つが、法的問題が発生した際の迅速な対応です。
一般の弁護士に単発で相談する場合、事案の概要や背景事情の説明から始める必要があり、弁護士が企業の状況を理解するまでに時間がかかります。また、緊急時に依頼したい弁護士がすでに他の案件で多忙であれば、対応が遅れる可能性もあります。
一方、顧問弁護士は企業の事業内容や組織体制、過去の法的課題などを事前に把握しているため、問題発生時に素早く状況を理解し適切なアドバイスを提供できます。
コスト面での長期的なメリット
顧問弁護士を起用する最大のメリットの一つが、長期的に見たコスト効率の良さです。一見すると月額の顧問料が負担に感じられるかもしれませんが、実際には計画的なコストの管理が可能になります。
顧問契約では、月額固定料金で一定の法律相談や書類確認などのサービスが受けられるため、予算の見通しが立てやすくなります。一方、案件ごとに弁護士に依頼する場合、時間単価や成功報酬などが発生し、最終的なコストが予測しづらいことがあります。
また、契約書のチェックや社内規程の整備など、予防法務の観点からの助言も受けられるため、将来的な訴訟リスクを回避できる点も経済的メリットとして重要です。
さらに、顧問契約をしていると、弁護士費用の割引制度があります。そのため、交渉や訴訟案件を依頼する場合に、弁護士費用の負担を軽減させることができます。
会社特有の課題に精通した助言が得られる
顧問弁護士の最大の強みの一つは、契約企業の社内事情に精通した的確なアドバイスができる点です。一般の弁護士が案件ごとに企業の状況を理解する必要があるのに対し、顧問弁護士は継続的な関係の中で企業の事業内容、組織構造、過去の法的課題などを深く把握していきます。また、企業の成長フェーズや経営戦略の変化に応じた法的アドバイスも提供できます。
このように、顧問弁護士は単なる法律相談の窓口ではなく、企業の事情を理解した上で経営判断をサポートする「法務パートナー」としての役割を果たします。
どんな場面で顧問弁護士が必要になるか
企業経営において法的な問題は日常的に発生するものですが、どのような場面で顧問弁護士が必要になるのでしょうか。一般的に、以下のようなケースでは顧問弁護士の存在が重要になります。
日常的な法律相談や契約書チェック
企業経営において日々発生する法律問題に対処するには、顧問弁護士の存在が非常に有効です。
特に以下のような状況では、単発相談よりも顧問弁護士との継続的な関係が適しています。
まず、契約書のチェックや取引先とのトラブル対応など、ビジネス上で頻繁に生じる法律問題があります。これらは突発的に発生するため、いつでも相談できる体制が重要です。顧問弁護士がいれば、小さな疑問でもすぐに確認でき、問題が大きくなる前に対処できます。
また、労務管理に関する質問や社内規定の整備など、継続的なアドバイスが必要な分野も顧問弁護士が適しています。雇用関係のトラブルは企業にとって大きなリスクとなるため、日常的な相談を通じて予防的な対応が可能になります。
これらの状況では、問題が発生してから弁護士に相談するのではなく、予防的・継続的なリーガルアドバイスを受けられる顧問弁護士との関係構築が企業経営の安定につながります。
緊急に対応する必要があるケース
緊急に対応しなければならないケースがあります。例えば、裁判所から訴訟や調停の案内が届くことがあります。その場合には、初回の期日までに答弁書を提出したり、調停期日に出頭する必要があります。顧問弁護士がいない場合には、早急に初回の裁判期日までに弁護士を探した上で依頼をしなければなりません。しかし、初回期日までの時間的な猶予が少ないことも珍しくないため、弁護士を依頼するための時間も限られています。場合によっては十分な対応をできずに初回期日を迎えてしまったり、初動を遅延させてしまうこともあります。
他方で、顧問弁護士であれば、わざわざ弁護士を探して、紛争の背景などを詳細に説明する時間を必要としません。そのため、裁判所や代理人から文書が届いたらすぐに、顧問弁護士に報告して速やかに対応に着手することができます。
顧問弁護士の選び方と契約時の注意点
顧問弁護士を選ぶ際には、企業の法務ニーズに合った専門家を見つけることが重要です。
専門分野と実績を確認する
顧問弁護士を選ぶ際には、その弁護士の専門分野と実績を十分に確認することが重要です。企業が抱える法的課題は多岐にわたるため、自社のニーズに合った専門性を持つ弁護士を選定することが成功の鍵となります。
顧問料の相場と契約内容の確認
顧問弁護士の契約を検討する際、料金体系と契約内容を事前に確認しておくことは非常に重要です。顧問料の相場は企業規模や業種、提供されるサービス内容によって大きく異なりますが、一般的には月額3万円から10万円程度が中小企業の相場となっています。
小規模企業や個人事業主向けの基本的な顧問契約ではさらに安価な顧問契約もあります。難波みなみ法律事務所では、小規模事業者向けの顧問サービスとして月額9500円のスマートプランをご用意しています。
また、契約内容を確認する際は、具体的にどのようなリーガルサービスが含まれているかを確認することが重要です。月間の相談可能時間や回数、対応する法律分野の範囲、書面作成の可否、出張対応の可否などが含まれています。また、顧問料に含まれないオプションサービスや追加料金が発生する条件についても事前に確認しておくべきです。
長期的な関係構築のための相性の確認
顧問弁護士と長期的な信頼関係を築くためには、相性が非常に重要な要素となります。企業の経営理念やビジネスの進め方に共感できる弁護士を選ぶことで、より効果的な法務サポートが期待できるでしょう。
相性の良し悪しは、コミュニケーションの質に直結します。定期的な法律相談や緊急時の対応において、企業側の状況や懸念を的確に理解し、分かりやすく説明してくれる弁護士であれば、信頼関係が自然と構築されていきます。逆に、専門知識が豊富でも説明が難解だったり、企業の実情に合わない助言を行う弁護士では、長期的な関係維持が難しくなります。
企業内弁護士・専任弁護士との違い
顧問弁護士と比較する際に混同されやすいのが、企業内弁護士(インハウスロイヤー)の存在です。
企業内弁護士、いわゆるインハウスロイヤーは、企業に直接雇用され、その企業のみに法的サービスを提供する弁護士です。一般の顧問弁護士や外部の弁護士事務所と異なり、インハウスロイヤーは企業の正社員として雇用関係を結び、給与体系も月給制が一般的です。
ただ、インハウスロイヤーは顧問弁護士と比べて、企業が負担する給与額が大きくなります。また、インハウスロイヤーの経験値にもよりますが、訴訟や交渉案件については外部の弁護士に依頼することもあり、結局弁護士費用の負担が生じることもあります。
顧問弁護士のことなら難波みなみ法律事務所へ
顧問弁護士と一般弁護士の違いについて理解することは、顧問契約を結ぶかを判断する上で、重要な要素となります。
顧問弁護士は単なる法的アドバイザーに留まらず、企業の成長を法的側面からサポートするビジネスパートナーとしての役割も担います。長期的な視点で自社に合った顧問弁護士を選び、効果的に活用することで、企業経営の安定性と競争力を高めることができるでしょう。
初回相談30分を無料で実施しています。
面談方法は、ご来所、zoom等、お電話による方法でお受けしています。
お気軽にご相談ください。対応地域は、大阪難波(なんば)、大阪市、大阪府全域、奈良県、和歌山県、その他関西エリアとなっています。