コラム
公開日: 2025.02.04

養子の兄弟がいる場合の相続問題を弁護士が徹底解説|難波みなみ法律事務所

難波みなみ法律事務所代表弁護士・中小企業診断士。幻冬舎「GOLDONLINE」連載第1回15回75回執筆担当。法的な問題には、法律の専門家である弁護士の助けが必要です。弁護士ドットコムココナラ弁護士ナビに掲載中。いつでもお気軽にご相談ください。初回相談無料(30分)。

養子がいるご家庭では、相続の場面で実子や兄弟姉妹との関係が複雑になるケースが多くみられます。

親が死亡した場合には、実子だけでなく養子も相続人となりますし、その相続分は実子と同じ程度になります。養親だけでなく実親との関係でも養子となった子供は、相続人となります。ただし、養子縁組が特別養子縁組については、状況が変わります。

その他の相続関係についても、普通養子縁組か特別養子縁組かで、相続関係は大きく変わります。

この記事で、養子の兄弟がいる場合の相続問題を徹底解説いたします。

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養子縁組の基礎知識

養子縁組とは、生物学的な親子関係の養親と養親が法律上の親子関係を作る制度です。ここでは、民法が定める普通養子縁組と特別養子縁組を区別して、その相続への影響を見ていきます。

普通養子縁組とその特徴

普通養子縁組は、実親との親子関係を続けたまま養親との親子関係が新たに成立する制度です。養子になった子どもは、実親との血縁関係もそのまま継続しつつ、養親との親子関係が成立する形となります。そのため、例えば養親が死亡した場合だけでなく、実親が死亡した場合も法定相続人となります。

特別養子縁組の詳細と普通養子縁組との違い

特別養子縁組は、実親との親子関係を完全に終了させた上で、養親との法律上の親子関係を成立させる制度となります。

特別養子縁組には、普通養子縁組にはない条件がいくつかあり、養子となる子どもの年齢が原則15歳未満であること、養親側は夫婦共同で縁組することなどが必要となります。

特別養子縁組により、実親との親子関係が解消される点が重要です。つまり、実親と実親側の兄弟姉妹は法律上の親族ではなくなるため、将来これらの人々が死亡した場合でも養子が相続人になることはありません。

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親の相続関係における養子の立場

ここでは、養子縁組の種類や当事者の立場によって、親が死亡した場合にどのように相続が進むのかを解説します。実親が死亡した場合と養親が死亡した場合では、相続関係が微妙に異なるため、正確な知識が必要です。

実親が死亡した場合の相続関係

普通養子縁組であれば、実親と子の親子関係は法律上も継続しています。そのため、実親が死亡すると、養子は実親の遺産を相続できます。一方、特別養子縁組をしている場合は、実親との関係が完全に解消されるため、実親側の相続人にはなりません。

養親が死亡した場合の相続関係

養親が死亡した場合、通常の実子と同様に養子も第一順位の相続人となります。普通養子縁組はもちろんのこと、特別養子縁組であっても養子は親の相続権を持ちます。養親に配偶者や別の子が存在する場合には、その相続人間で遺産分割協議をしなければなりません。

養子も実子と同じ法定相続分となる

養子は、実子と同一の相続分を有します。複数の子が相続人である場合には、養子であろうと実子であろうと相続分は子全員で等分となるのが原則です。

つまり、実親のその他の子供の持つ相続分は、養子に入った子供の相続分と同じですし、養親の実子を含めたその他の子供の相続分も、養子となった子供の相続分と同じとなります。

特に養親・実親の両方が大きな資産を有している場合には、親の死亡ごとに相続税の申告が必要になったり、銀行口座の凍結解除や不動産名義変更などの相続手続を行う必要があるので、事前に相続計画を立てることが賢明です。

養子が先に死亡している場合の影響

養子が先に死亡した場合、養子の実子が代襲相続人となり、養親の財産を相続する権利を得ます。代襲相続とは、本来の相続人が相続開始以前に死亡している場合に、先に死亡した相続人の子が代わりに相続人となる制度です。養子の場合も同様に、養子が先に死亡していれば、養子の子が代襲相続人として養親の財産を相続することができます。

しかし、注意すべき点として、養子縁組前に生まれた子は代襲相続人になれません。なぜなら、養子縁組により、養親と養子に親族関係が成立しますが、縁組時点で生まれている子供には、縁組の効果が及ばないからです。

そのため、縁組前の子は養親との親族関係がないため、代襲相続人としての権利を持ちません。

一方、縁組後に生まれた子は養親との法的な親族関係が認められるため、代襲相続人となる資格があります。

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親の両親が死亡した場合の相続関係

親の両親、つまり祖父母が亡くなった場合の相続関係です。祖父母が亡くなった場合、祖父母の子供が相続しますが、祖父母の子が先に死亡していれば、祖父母の孫が代襲相続します。祖父母の孫が子供の養子であっても、養子は代襲相続人となります。

また、祖父母の孫が養子に出ているとしても、同様に代襲相続人になれます。ただし、特別養子縁組をしている場合には、実親やその親族との親族関係が解消されるため、代襲相続人にはなれません。

親の兄弟姉妹が死亡した場合の相続関係

ここでは、親の兄弟姉妹が死亡した場合に養子となっている人が相続人になり得るのかを整理します。普通養子縁組と特別養子縁組の違いや、血縁関係の有無がポイントになることが多いです。

実親側の兄弟姉妹が死亡した場合にも相続人となる

普通養子縁組においては、実親との関係が継続するため、実親に兄弟姉妹がいれば、実親の兄弟姉妹が死亡した場合に養子が相続人となる可能性があります。

民法上、相続順位は子、直系尊属の次に兄弟姉妹が位置づけられていますが、被相続人に子や直系尊属がいない場合は、兄弟姉妹が相続することになります。そして、兄弟姉妹が先に死亡している場合には、その子供、つまり、甥や姪は代襲相続人となります。 

そのため、たとえ養子縁組をしたとしても実親側の親族関係が続くことから、養子に入った子供は、実親の兄弟姉妹の法定相続人になることができるのです。

一方、特別養子縁組の場合、実親やその親族との親族関係が無くなるため、養子に入った子供は、実親の兄弟姉妹の法定相続人になることができません。

血縁関係のない養親の兄弟姉妹が死亡した場合

普通養子縁組では、養親だけでなく養親の兄弟姉妹、つまり、叔父や叔母とも親族関係が成立します。そのため、養親の兄弟姉妹が死亡した場合、既に養親が死亡しているのであれば、養子は相続人となる可能性があります。 

養子の兄弟姉妹が死亡した場合の相続関係

故人に子供がおらず、両親も他界している場合には、兄弟姉妹が法定相続人となります。

ただ、実親側の兄弟姉妹が亡くなった場合と養親側の兄弟姉妹が亡くなった場合では、相続の取り扱いが異なることがあります。

実親側の養子の兄弟姉妹が死亡した場合

養子縁組をしても、実親やその実子との親族関係は継続します。そのため、実親側の養子の兄弟姉妹が死亡した場合、養子は相続権を持つことができます。具体的には、実親側の兄弟姉妹に子供がおらず、両親も他界している場合、兄弟姉妹が相続人となります。この場合、養子も相続人の一人として認められます。

ただし、特別養子縁組の場合は例外となります。特別養子縁組では、実親との法的な親子関係が完全に解消されるため、実親側の養子の兄弟姉妹が死亡しても、養子は相続人にはなれません。

養親側の養子の兄弟姉妹が死亡した場合

養子縁組により養親の実子とも親族関係が成立します。そのため、養親側の養子の兄弟が死亡した場合にも、養子は相続権を持つことになります。しかし、養子が夫婦の一方だけの養子である場合、兄弟姉妹の地位で相続人となる場合には、相続分に差が生じます。具体的には、養子の相続分は実子の相続分の2分の1となります。(昭32・6・27民事甲1119号民事局長回答)。

養子が死亡した場合の相続関係

養子自身が死亡した場合の相続関係を説明します。養子が普通養子縁組か特別養子縁組かによって、相続関係が異なる場合があります。

まず、養子が死亡した場合でも、相続人の順位に変わりはありません。養子に子供がいれば子供が相続人となります。

養子の子供が先に死亡している場合には、子供の子供、つまり、孫が代襲相続人となります。

養子に子どもがいない場合、さらに養親や実親も既に亡くなっているときには、兄弟姉妹が相続人となります。その兄弟姉妹には、養子から見て実親側の兄弟姉妹だけでなく、養親側の兄弟姉妹も含まれます。

ただし、特別養子縁組では実親側の親族関係は解消されています。そのため、実親側の養子のきょうだいは、養子の法定相続人にはなりません。

養子がいる時の相続手続の注意点

養子縁組をする場合、相続関係に一定の影響を生じさせます。相続関係を変化させるため、一部の相続人との対立を招くことも少なくありません。

実子と相続分が一緒なために不満を持ちやすい

養子は実子と同一の相続分を持つため、実子側からすると「自分の相続分が減ってしまう」という不満が生じることがあります。特に、親の生前に行った養子縁組で、その理由が明確でない場合や、親が親族に相談なく養子を迎えたケースでは実子や親族との間で摩擦が生じやすいです。

こうした感情的対立を問題化させないためにも、生前から遺言書を作成しておき、遺産分配の理由を記載しておくなどの対策が望ましいでしょう。遺言書に加え、エンディングノート等で家族全員に分かりやすい説明を残すことも有効です。

離婚後に縁組を解消していない場合には対立しやすい

夫婦が離婚したのちも、養子縁組を解消しないでいるケースが見受けられます。

結婚に際して配偶者の連れ子と養子縁組することは珍しくありません。しかし、離婚に伴って、養親と養子に親子関係の実態がなくなったとしても、離婚時に連れ子との縁組を解消することなく、その状況を放置していることがあります。

縁組を解消しない状態で養親が死亡すると、実子だけでなく養子も相続人となってしまいます。実子からすると、予想外の相続人が現れてしまうため、相続人間の対立が生じてしまい、相続手続きが停滞してしまう可能性があります。

養子の相続問題は難波みなみ法律事務所へ

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養子縁組は相続手続きを大きく左右させる制度ですが、普通養子縁組と特別養子縁組ではその法的効果が異なり、兄弟姉妹への影響も変わります。相続関係が複雑になることが予想される場合には、事前に遺言書を作成したりすることで、将来の紛争を防ぐことが期待できます。

養子が含まれる場合には、相続人間の対立を招き相続手続が進まないこともあります。

相続問題で悩んでいる場合には、まずは専門家への相談を強くおすすめいたします。ぜひ早めに弁護士にご相談ください。

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