コラム
公開日: 2025.12.07

養育費が高くて生活できない…減額は可能?押さえておくべき対処法と注意点を解説

養育費は子どもの成長を支える大切なお金ですが、もともと金額設定が高すぎた場合や、その後の状況変化によっては、支払う側の生活が困難になってしまうこともあります。しかし、諦めるのはまだ早いです。

養育費は、状況によっては減額できる可能性があります。本記事では、養育費の減額が認められるケースや、減額交渉の進め方、調停・審判といった法的手続きについて解説します。

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養育費を計算する方法を確認

まずは、養育費の正しい計算方法や決め方、相場について確認しておきましょう。

養育費の金額はどう決まる?

養育費の金額は、次の3つの方法のどれかで決定されます。

・当事者間での協議

・家庭裁判所での調停

・家庭裁判所での審判

最も一般的なのは、両親の話し合いで金額を取り決める「協議」です。協議で金額を取り決めたときは、口約束ではなく、合意内容を「公正証書」として残すことが強く推奨されます。公正証書には法的な強制力があり、将来的な支払いの滞りを防ぐ役割を果たします。

協議で合意できない場合は、家庭裁判所に「養育費請求調停」(離婚の際に養育費を取り決める場合は「離婚調停」)を申し立てます。調停手続きでは、調停委員が中立的な立場で双方の意見を聞き、話し合いでの解決を目指します。

それでも話がまとまらない場合は、最終的に「審判」手続きへと移行します。審判では、裁判官が父母双方の収入や子どもの状況など一切の事情を考慮し、養育費の金額を決定します。

決定方法主な内容/特徴合意に至らない場合の次のステップ
当事者間の協議両親が直接話し合い、金額や支払い条件を決定します。口約束ではなく公正証書に残すことが推奨されます。家庭裁判所での調停へ
家庭裁判所での調停調停委員が中立的な立場で双方の意見を聞き、話し合いによる解決を目指します。家庭裁判所での審判へ
家庭裁判所での審判裁判官が父母双方の収入や子どもの状況など一切の事情を考慮し、養育費の金額を決定します。最終的な決定

あなたの養育費は相場通りか確認しよう

適正な養育費の目安を知る上で非常に役立つのが、家庭裁判所が公表している「養育費算定表」です。この算定表は、家庭裁判所における調停や審判においても、裁判官や調停委員が基準とする公的な資料となっています。

養育費算定表は、標準的な養育費の金額を簡易かつ迅速に算出するための仕組みですが、現代の社会経済情勢や国民の平均的な生活費の変化が反映されています。そのため、この算定表によって算出される金額を、養育費の「相場」と考えて差し支えありません。

ご自身が支払っている養育費がこの算定表から大きく逸脱していないかを確認することは、減額を検討する際の重要な第一歩となるでしょう。最新の算定表は、裁判所のウェブサイトで確認できます。

養育費算定表の見方と計算シミュレーション例

家庭裁判所のウェブサイトで公開されている養育費算定表には、父母の年収や子どもの状況に応じた養育費の目安が掲載されています。算定表を正しく活用するには、まず次の3つの情報が必要です。

●  1. 義務者(支払う側)と権利者(受け取る側)それぞれの年収額

●  給与所得者の場合は源泉徴収票の支払金額を、自営業者の場合は確定申告書の所得金額を参考にしてください。

●  2. 給与所得者か自営業者かの別

●  3. 子どもの人数と年齢(0~14歳、15~19歳)

これらの情報を基に、該当する算定表(子ども1人用、子ども2人用など)を選び、表の縦軸(義務者の年収)と横軸(権利者の年収)の交差する箇所を確認することで、養育費の目安額を算出できます。

以下は、養育費の計算シミュレーション例です。

義務者年収(給与)権利者年収(給与)子どもの人数と年齢算定表による目安(月額)
400万円0円1人(3歳)4~6万円
600万円100万円2人(15歳、12歳)10~12万円
800万円200万円3人(17歳、15歳、12歳)14~16万円

ただし、算定表で示される金額は、あくまで標準的な目安にすぎません。子の私立学校や大学への進学費用、特別な医療費、当事者の借金など、個別の事情がある場合には、算定表の目安額とは異なる金額が認められる可能性もあります。

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養育費の減額が認められる可能性がある4つのケース

一度取り決めた養育費であっても、その後の状況が変化した場合には、減額が認められる可能性があります。特に、養育費算定表で算出した目安額よりも高額の養育費を支払っている場合には、その可能性が高いといえます。

ただし、養育費を取り決めた時点では予測できなかった「事情の変更」がなければ、減額が認められにくい傾向にあります。以下では、「事情の変更」として減額が認められる可能性がある代表的な4つのケースについて詳しく解説していきます。

【ケース1】自分(支払う側)の収入が大幅に減少した

養育費を支払う側の収入が大幅に減少した場合、養育費の減額が認められる可能性があります。特に、リストラや会社の倒産、あるいは病気や怪我による長期療養など、自身の責によらない「やむを得ない事情」で収入が減った際は、減額理由として認められやすい傾向にあります。実際に、こうした理由での収入減少が養育費の減額事由として認められた事例は少なくありません。

ただし、収入の減少は一時的なものではなく、ある程度の期間継続することが見込まれる状況である必要があります。自己都合による退職や、収入の減少が予測できた上での転職など、自発的な理由による減収の場合、減額が認めらないケースもあるため注意が必要です。

収入の減少を客観的に証明するためには、正確な資料の提出が求められます。

種類具体例備考
収入証明書類源泉徴収票、給与明細、確定申告書など現在の収入状況を明確に示します。
退職理由を証明する書類退職証明書、解雇通知書などやむを得ない事情で退職した場合に必要です。
病状を証明する書類診断書など     病気や怪我による長期療養が減収の原因である場合に必要です。

これらの書類を準備し、現在の経済状況を明確に示すことが重要です。

【ケース2】相手(受け取る側)の収入が大幅に増加した

養育費は、父母双方の収入状況を考慮して負担額が決定されるため、相手(養育費を受け取る側)の収入が大幅に増加した場合、養育費の減額が認められる可能性があります。

具体的なケースとしては、以下のような状況が挙げられます。

●  パートタイマーから正社員への転職

●  新たな資格を取得し、高収入の専門職に就いた場合

しかしながら、単なる通常の昇給や、離婚時にある程度想定されていた範囲での収入増加では、減額が認められない場合もあることにご留意ください。家庭裁判所では、収入の増加が、養育費を取り決めた時点である程度「予測可能」であったか、また、現状を維持することが「著しく不公平」となるかどうかが慎重に判断されます。

【ケース3】自分が再婚し、扶養家族が増えた

自分が再婚し、再婚愛との間に新たな子どもが生まれた場合は、養育費の減額が認められる可能性が高いといえます。これは、新たに生まれた子どもに対しても、元配偶者との子どもに対するのと同等の扶養義務を負うことになるため、後者に対する養育費は減らさざるを得ないためです。

再婚相手の子どもと自分が養子縁組したときも、法律上の親子関係が発生しますので、同様に養育の減額が認められやすいです。

再婚後に子どもができなかった場合でも、再婚相手が病気などで働けない状況であれば夫婦間の扶養義務を負わなければなりませんので、養育費の減額が認められる可能性があります。

ただし、再婚相手に十分な収入がある場合は、あなたの扶養義務が大幅に増加したとは見なされにくく、養育費の減額が認められない可能性が高い点には留意が必要です。

【ケース4】相手が再婚し、子どもが再婚相手と養子縁組した

元パートナーが再婚し、その再婚相手と子どもが「普通養子縁組」をした場合も、養育費の減額や免除が認められる可能性が高いといえます。養子縁組が成立すると、法律上、再婚相手(養親)が子どもの第一次的な扶養義務者となるため、実親であるあなたの扶養義務は後退し、二次的なものとなるからです。

実際に、養子縁組を理由として養育費の減額や支払免除が認められた裁判例も存在します。ただし、養育費が減額や免除が認められるかどうかは、再婚相手の収入や資力、子どもの養育状況など、具体的な事情によって異なります。

再婚相手に十分な資力がない場合には、養育費の減額が認められない可能性もあります。

なお、元パートナーの再婚相手と子どもが「特別養子縁組」をした場合は、あなたと子どもとの親子関係が解消されて扶養義務は消滅するため、養育費の支払いは免除されるのが一般的です。

養育費を減額するための具体的な3つのステップ

元パートナーに対して実際に養育費の減額を請求検討する際は、主に以下の3つのステップを踏んで進めることになります。それぞれのステップについて詳しく見ていきましょう。

ステップ1:元パートナーとの直接交渉

まずは、元パートナーとの直接交渉から始めましょう。調停や審判といった法的手続きと比べ、時間や費用、心理的な負担を抑え、円満な解決も期待できるでしょう。当事者同士が冷静に話し合い、お互いの状況を理解することが、円滑な解決への第一歩となります。

交渉を切り出す際は、感情的にならず、以下の点を心がけましょう。これらの記録は、後の調停や審判において有力な証拠となります。

●  減額が必要となった具体的な事情を客観的な資料(給与明細や源泉徴収票など)と合わせて丁寧に説明し、現在の経済状況を明確に伝えるようにしましょう。

●  LINEやメールなどを活用し、話し合いの内容を記録に残すことが大切です。特に、減額を求める具体的な理由、現在の収入状況、提案する養育費の金額などを具体的に記録しておくことが望まれます。

話し合いで合意に至った場合は、口約束で済ませず、必ず合意内容を書面に残しておくことが重要です。合意内容を証拠化しておかなければ、元パートナーが態度を翻して従来どおりの金額を請求してきた場合に、その支払いを拒否できなくなる可能性があるためです。

元パートナーが「公正証書」の作成を求めてくる可能性もありますが、公正証書を作成した場合には、約束どおりに支払わなければ、給与や銀行口座などを差し押さえられてしまう可能性があることに注意しなければなりません。

書面の種類による法的効力の違いは以下のとおりです。

書面の種類法的強制力(強制執行の可否)
公正証書(強制執行認諾文言付き)あり(裁判手続きを経ることなく強制執行が可能)
合意書なし(強制執行には別途裁判手続きが必要となる)

ステップ2:家庭裁判所での「養育費減額請求調停」の申立て

元パートナーとの直接交渉で養育費の減額について合意に至らなかった場合には、その次の手段として、家庭裁判所に「養育費減額請求調停」を申し立てることになります。

調停は、調停委員会(裁判官1名と民間から選ばれた専門家2名で構成)が中立の立場で間に入り、双方の意見を聞きながら話し合いを進め、合意形成を目指す手続きです。当事者間だけで話し合う場合よりも冷静に交渉を進めやすくなるため、妥当な条件での合意による解決が期待できます。

調停の申し立ては、原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所で行います。当事者双方が合意する場合には、申立人の住所地を管轄する家庭裁判所でも手続きを進められます。

調停当日は、原則として当事者が直接顔を合わせることはありません。調停委員が個別に双方の言い分を交互に聞き取り、現実的な解決策を探っていきます。

双方が減額に合意すると「調停調書」が作成されます。これは裁判における確定判決と同等の法的効力を持つため、合意内容は遵守しなければなりません。万が一支払いが滞った際には、この調停調書を根拠として強制執行の手続きにより、給料や銀行預金などを差し押さえられる可能性があることに注意が必要です。

ステップ3:調停不成立の場合は「審判」手続きへ

調停で当事者双方の合意が得られず「不成立」となった場合、手続きは自動的に「審判」へと移行します。この際、改めて審判の申し立てをする必要はありません。

審判とは、調停のように当事者同士の話し合いで解決を目指すのではなく、裁判官が介入し、法的な観点から判断を下す手続きです。裁判官は、双方から提出された資料や主張内容を総合的に考慮し、養育費を減額すべきか、また具体的な減額後の金額を決定します。

この審判手続きでは、減額を求める理由となる「事情の変更」(収入の減少や扶養家族の増加など)を裏付ける客観的な証拠が極めて重要となります。具体的な証拠の例としては、以下のものが挙げられます。

●  源泉徴収票

●  給与明細

●  確定申告書(これらは収入関係資料です)

●  戸籍謄本

●  診断書

裁判官が下した審判の結果にも確定判決と同等の法的効力があり、当事者双方はその内容に従う義務が生じます。もし審判の内容に不服がある場合は、審判書を受け取った日から2週間以内に「即時抗告」という不服申し立てを行うことが可能です。

生活が苦しくても絶対にやってはいけないこと

養育費の支払いが困難な状況では、焦りや精神的な負担から、つい自己判断で行動してしまいがちです。しかし、一方的な養育費の減額や支払いの停止は、新たなトラブルや深刻なリスクを引き起こす可能性があるため、十分な注意が必要です。以下では、養育費の支払い義務者が絶対に避けるべき行為と、それに伴う具体的な危険性について詳しく解説します。

一方的な減額や支払いの停止

いったん養育費を取り決めた以上は、その約束を守るべき法律上の義務が生じています。元パートナーとの合意がないまま、ご自身の判断で養育費の支払額を一方的に減らしたり、支払いを完全に停止したりすると、債務不履行責任を負わなければなりません。具体的には、未払となった金額と、場合によっては遅延損害金も付加して支払いを命じられることもあるのです。

離婚時に調停や審判で養育費を取り決めた場合や、協議で取り決めた場合でも合意内容を公正証書にしていた場合には、ある日突然、給料や銀行預金などを差し押さえられてしまうおそれがあります。単なる合意書しか作成していなかった場合でも、元パートナーから裁判を起こされると敗訴し、最終的には差押えを受ける可能性が高いことに注意が必要です。

このような独断での行動は、元パートナーとの信頼関係を著しく損ねるだけでなく、その後の養育費減額交渉を極めて困難にする可能性もあります。また、感情的な対立を深める原因となり、お子さまとの面会交流などに悪影響を及ぼすことにもなりかねません。

感情的になって減額を迫る

元パートナーと養育費に関する交渉をする際、感情的になって減額を迫ってはいけません。

暴言や脅し、威圧などを伴う強行的な態度で減額を迫った場合、仮に合意が得られたとしても、民法上の「強迫」を理由として合意を取り消される可能性があります。合意を取り消された場合、養育費減額の法的効果は認められません。

場合によっては、あなたが暴行罪や脅迫罪などに問われて、処罰されるおそれもあります。それだけでなく、元パートナーが精神的苦痛を受けた場合には、民事上の慰謝料支払い義務が生じることもあります。

このように、感情的に行動してしまうと、かえって自身が不利な状況に陥ってしまう可能性が高いことに注意が必要です。元パートナーとは感情的に対立するケースも多いですが、冷静な交渉が難しい場合には、弁護士などの第三者を間に入れて話し合った方がよいでしょう。

虚偽の書類で減額を請求する

養育費を毎月支払っていると、収入が大幅に減少したわけではなくても、ときには生活費が不足してしまうこともあるでしょう。そんなときでも、給与明細や確定申告書などを改ざんしたり、診断書などを偽造したりして、その書類を証拠資料として養育費の減額を請求してはいけません。

このように虚偽の書類をもとに交渉した場合、仮に元パートナーの合意が得られたとしても、民法上の「錯誤」や「詐欺」を理由として合意を取り消される可能性があります。

調停や審判では、家庭裁判所がさまざまな事情を厳しくチェックするため、虚偽の証拠を提出しても見破られることがほとんどです。特に審判では、このように不誠実な態度を取った当事者は不利になる可能性があります。

本当に生活が苦しいのであれば、ありのままの事情を元パートナーに伝えて、丁寧に交渉することが大切です。

交渉や手続きに不安があるなら弁護士への相談がおすすめ

養育費の減額が可能なケースであっても、元パートナーとの話し合いや調停・審判といった法的手続きの進め方次第では、満足できる結果が得られないこともあります。そもそも自分一人で交渉や手続きを進めることが難しいという方も多いことでしょう。

このような場合に有効な選択肢となるのが、弁護士への相談です。以下では、弁護士に依頼する具体的なメリットや、費用の目安について詳しく解説します。

弁護士に依頼する3つのメリット

養育費の減額交渉を弁護士に依頼すると、主に次の3つの大きなメリットが期待できます。

●  精神的・時間的負担の大幅な軽減

●  法的な観点からの的確な判断と主張の組み立て

●  より有利な条件での合意形成

まず一つ目は、精神的・時間的負担の大幅な軽減です。元パートナーとの直接交渉は感情的な対立を生みやすく、多大な精神的ストレスを伴います。また、家庭裁判所での調停や審判では、専門的な法律知識に基づいた書類作成や手続きが必要となり、時間と労力がかかります。弁護士を代理人に立てれば、これらの交渉や手続きを任せられるため、依頼者が直接やり取りをする負担がなくなります。その結果、精神的な重圧や時間・労力の負担から解放され、日常の仕事や家事などに集中できるようになるでしょう。

二つ目は、法的な観点からの的確な判断と主張の組み立てです。弁護士は法律の専門家として、現在の状況において養育費の減額が認められる可能性の有無・程度を正確に判断します。さらに、収入の減少を裏付ける資料など証拠の収集方法や、法的に有効な主張の仕方について具体的なアドバイスをします。客観的な証拠に基づいて説得力のある交渉や主張を展開するため、減額が認められる可能性が高まるでしょう。

三つ目は、より有利な条件での合意形成が期待できる点です。弁護士は依頼者の代理人として、交渉や手続きを全面的にサポートします。交渉においては、依頼者に成り代わって感情的な側面を排し、冷静かつ論理的に話し合います。調停期日には弁護士も同席して的確に発言しますし、審判でも説得力のある主張と有力な証拠の提出をサポートします。このように専門的なサポートを受けることで、依頼者の状況に応じて最も妥当な減額が実現しやすくなります。実際に、弁護士の交渉によって養育費の減額に成功した事例は多く見られます。

弁護士費用の目安

養育費の減額交渉を弁護士に依頼する際には、いくつかの費用が発生します。主な費用の種類は以下の通りです。

費用種類内容
相談料弁護士に相談する際にかかる費用。
着手金案件を弁護士に依頼する際に支払う初期費用。
報酬金案件が解決した際に、成功の度合いに応じて支払う費用。
実費交通費、通信費、印紙代などの諸経費。

着手金は10万円から30万円、報酬金は得られた経済的利益(養育費を減額できた金額の2年~5年分)の10%から16%程度が一般的な相場とされます。ただし、具体的な金額は事案の内容や、依頼する事務所によって異なります。総額では、交渉で解決できた場合には30万円~40万円程度となることも多いですが、調停や審判に進むと、60万円~80万円程度、あるいはそれ以上の費用がかかるケースもあります。

弁護士費用の負担が重く感じることもあるかもしれませんが、毎月の養育費を適切に減額できれば、長い目で見ると大きな利益が得られることも多いです。

養育費の減額に関するよくある質問

実際に養育費の見直しを検討される際には、個々の状況に応じたさまざまな疑問や、具体的なケースでの対処法に関する不安も少なくないでしょう。

以下では、これまでの解説内容を踏まえつつ、多くの方が抱えがちな養育費の減額に関する疑問や不安に焦点を当て、Q&A形式で分かりやすく回答していきます。 

会社の業績悪化によるボーナスカットも減額理由になりますか?

会社の業績悪化によるボーナスカットも、養育費を取り決めた当時には予測できなかった「事情の変更」にあたるため、減額理由になる可能性があります。ただし、一時的なボーナスカットだけでは減額が認められにくく、継続的に年収が大幅に減少したといえる状況が必要です。これは、家庭裁判所ではボーナスの変動も加味した年収によって養育費の分担額が決められるためです。もともと年収に占めるボーナスの割合が高く、ボーナスがカットされたことで従来どおりに養育費を支払うことが現実的に困難になったような場合は、減額が認められやすいといえます。

元パートナーとの交渉や調停、審判の手続きにおいては、給与明細や源泉徴収票

などで年収の減少を客観的に示すとともに、家計表や主な支出に関する領収証などで現在の経済状況を正確に伝えることが重要となります。

相手が収入を教えてくれない場合はどうすればいいですか?

養育費の減額交渉において、相手がご自身の収入情報の開示を拒むケースは少なくありません。収入に関する情報が不明確では、養育費の適正な金額を判断することが困難になり、話し合いが停滞する原因となります。しかし、相手が非協力的であっても、法的な手続きを通じて収入を確認する方法がありますので、諦める必要はありません。その方法として、次の3つが挙げられます。

・弁護士会照会の申し出

・養育費減額請求調停の申し立て

・調査嘱託の申し立て

弁護士会照会とは、弁護士が依頼を受けた事件の証拠や参考資料を収集するために、弁護士会を通じて官公庁や企業などに対して、必要な事項の報告を求めることができる制度です。この制度を利用することによって、相手が勤務している会社などから、相手の収入に関する情報を回答してもらえる可能性があります。

ただし、照会を受けた官公庁や企業が「個人情報は開示できない」との理由で回答を拒否するケースも少なくありません。そんなときは、養育費減額請求調停を申し立ててしまうことも考えられます。調停の席上では、調停委員が中立的な立場で妥当な解決を目指して介入するため、相手に対し収入に関する資料の提出を促します。相手が調停委員の説得に応じて、資料を家庭裁判所に提出することは多いです。

相手が頑なに資料の提出を拒む場合には、「調査嘱託」という手続きの利用が有効です。これは、裁判所が官公庁や企業などに対して、事件の審理に必要な調査を依頼し、回答を求めることができる制度です。弁護士会からの照会に応じなかった官公庁や企業でも、裁判所からの嘱託には応じるケースがほとんどです。調査嘱託の申し立ては、調停や審判の手続きの中で行う必要があるため最終手段となりますが、この手続きによって相手の収入が判明する可能性は高いといえます。

とはいえ、相手の収入はできる限り早い段階で把握しておくことが望ましいです。相手が非協力的な場合には、まず弁護士に相談した上で、最適な手段を検討した方がよいでしょう。

減額の話し合いをしたら、子どもに会わせてもらえなくなりませんか?

養育費の支払いと面会交流は、法律上、全く別の問題として扱われます。それぞれの目的は以下の通りです。

項目目的
養育費子どもの生活を支える金銭的な扶養
面会交流親子の交流を通じた子どもの健全な成長

そのため、養育費の減額交渉を理由に元パートナーが面会交流を拒否することは、原則として認められません。いかなる理由で面会交流が中断していようとも、養育費の未払いは別の問題とされています。

しかし、現実には養育費の減額交渉が原因で、相手が感情的に反発し、面会交流を一時的に拒否してしまうケースも起こり得ます。

もし不当に面会を拒否された場合は、家庭裁判所に「面会交流調停」を申し立てることで、法的な手続きを通じて面会交流の実現を求めることが可能です。この調停では、申し立て理由を「子どもの利益」という観点から説明し、感情的な表現は避けることが大切です。

トラブルを避けるためには、減額の話をする際も感情的にならず、あくまで「子どものために最大限のことをする」という姿勢で誠実に話し合う姿勢が重要になるでしょう。

まとめ|養育費は状況次第で減額可能!まずは専門家に相談を

親身に対応します お一人で悩まずにお気軽に相談ください。 初回相談30分無料 離婚問題ならお任せください。

離婚はしても子どもとの縁は切れないため、法律上の扶養義務に基づき養育費の支払い義務は続きます。しかし、扶養義務があるとはいえ、借金をしてまで養育費を支払わなければならないわけではありません。自身の収入や生活状況に応じて適正な金額を支払えば、それで扶養義務を果たしたことになります。

養育費は子どもを育てるための大切なお金ではありますが、自身の生活も軽視するわけにはいきません。養育費の支払いで生活費が圧迫されていると感じたら、放置せず早めに弁護士へご相談の上、減額請求を検討してみた方がよいでしょう。

弁護士は、減額の可否を的確に判断した上で、可能な場合には証拠資料の収集から元パートナーとの交渉、さらには調停・審判に至るまで、全面的にサポートしてくれます。1人で悩まず、弁護士に相談してみることで解決の糸口が見つかることでしょう。

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