コラム
公開日: 2025.01.12

遺産分割協議がまとまらない時の対応|原因や対応、調停の流れを解説|難波みなみ法律事務所

難波みなみ法律事務所代表弁護士・中小企業診断士。幻冬舎「GOLDONLINE」連載第1回15回75回執筆担当。法的な問題には、法律の専門家である弁護士の助けが必要です。弁護士ドットコムココナラ弁護士ナビに掲載中。いつでもお気軽にご相談ください。初回相談無料(30分)。

遺産分割協議がまとまらなくてお困りの方は少なくありません。特に相続人間の意見の食い違いや不動産の取り扱い、家族間の距離感など、さまざまな理由で協議が進まないことも多いものです。このような状況に直面すると、どのように進めていけば良いのか不安になることでしょう。

そこで、この記事では、遺産分割がまとまらない原因や、その際に取るべき対応、さらには調停の流れについて詳しく解説します。

この記事を読むことで、冷静に状況を整理し、適切なステップを踏むための知識と方向性を持てるようになるでしょう。ぜひ最後までお読みいただき、円滑な解決へのヒントを見つけてください。

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遺産分割協議がまとまらない原因とは

遺産分割協議がまとまらない原因には様々あります。一つだけでなく、複数の原因が絡み合って遺産分割協議をより一層複雑なものにさせていることもあります。

不動産の評価額で対立する

遺産分割協議において不動産の評価額で対立が生じるのは、相続人それぞれの立場や求める条件が異なることが原因です。

不動産の評価には、固定資産税評価額や地価公示価格、相続税申告評価額など多様な方法がありますが、それぞれが異なる金額となるため、相続人間でどの評価方法を用いるかで意見が分かれることがよくあります。

その不動産の取得を希望する相続人からすれば、より多くの遺産を取得したいために、不動産の評価額を低めに主張しますが、取得を求めない相続人からすれば、不動産以外の遺産を多く得たいために、不動産の評価額を高めに主張するなどして、相続人間の主張の対立を招きます。

再婚歴がある・婚外子がいる

再婚歴がある場合や婚外子がいるケースでは、遺産分割協議が複雑化することがあります。

再婚家庭では、前婚の子供が相続人となります。また、婚外子、すなわち婚姻関係ない人との間で生まれた子供も法的には、相続人となり、その他の子供と同じ法定相続分を持ちます。

前婚の子供も婚外子も相続人である以上、遺産分割協議に参加させなければなりません。

しかし、前婚の子供や婚外子との交流があれば別ですが、遺産分割協議で初めて接触することも珍しくなく、互いに利害対立してしまうことがあります。

そのため、再婚歴があったり婚外子がいる場合には、遺産分割協議がまとまらないことがあります。

相続人が不仲・疎遠

相続人が不仲または疎遠であるケースは、遺産分割協議の進行を妨げる場合があります。

相続人同士が不仲である場合、感情的な対立が原因で合意に至れないことが多く見られます。

また、相続人が疎遠で交流がないような場合には、相続人間の円滑なコミュニケーションを難しくします。不仲ではなかったとしても、疎遠であることで相続人同士が互いに理解を示すことがなく、自身の利益を追求することに終始してしまい、遺産分割協議を難航させることがあります。

不仲または疎遠な相続人との協議には、冷静で客観的な姿勢を保ち、公平性を欠かさないことが不可欠です。

相続人の一部と連絡が取れない

相続人の一部と連絡が取れない場合、遺産分割協議の進行に大きな支障をきたすことがあります。

遺産分割は相続人全員が参加して合意しなければ成立しません。たとえ、一部の相続人が所在不明であったり連絡が取れなかったとしても、同様です。

一部の相続人との連絡が取れない場合には、遺産分割協議はまとまりません。相続人の所在が不明である場合、不在者財産管理人の選任を裁判所に申し立てることが一般的な対応策となります。

連絡先は判明していても、意図的に連絡を拒んでいる相続人がいる場合には、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることが考えられます。

代襲相続・二次相続がある

代襲相続や数次相続が関与するケースでは、遺産分割協議が複雑化しがちです。

代襲相続は、相続人が被相続人より先に亡くなった場合に、直系の子供が代わりに相続する制度です。

二次相続とは、相続開始から遺産分割の成立までに相続人が死亡することで、相続人の相続が開始する場合をいいます。二次相続により、相続人が取得した相続分を相続人の相続人が承継することになります。

代襲相続や二次相続がある場合には、相続人の数が増える可能性があり、それに伴って相続人間の意見調整が困難になることがあります。

そのため、遺産分割協議がまとまらない場合があります。

寄与分で対立している

遺産分割協議が寄与分や生前贈与を巡って対立することは珍しくありません。

寄与分は、療養看護などの特別な寄与をしたことで、故人の財産維持や増加に貢献した場合に、相続分を増やす制度です。例えば、特定の相続人が故人の介護を一手に担っていた場合に、寄与分を主張することがよくあります。

しかし、寄与分と認められるためには、「特別」の寄与であることが求められ、その条件はそれなりに厳格なものとなっています。そのため、寄与分を巡って遺産分割協議が難航する場合があります。

生前贈与を受けている場合

特定の相続人が生前贈与を受けている場合、その生前贈与は特別受益として遺産分割で考慮されます。これを特別受益の持ち戻しといいます。特別受益に関しても、生前贈与を示す客観的な証拠があれば別ですが、十分な証拠がなければ相続人間の対立を招くきっかけとなります。

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遺産分割協議がまとまらない場合の対応

遺産分割協議がまとまらないときでも、すぐに弁護士に依頼したり調停の申立てをするのではなく、一歩立ち止まってみましょう。まずは冷静なアプローチが求められます。

遺産分割協議案を再度検討して修正する

遺産分割協議案がまとまらず再度検討が必要な場合には、まず相続人全員が現状の合意に至らない要因を特定し、それを踏まえて新たな協議案を検討することが重要です。

現在の協議案に対する不満や問題点を明確にし、それらを解消するための代替案を立案します。

まずは遺産の再評価を行います。相続人間で遺産の評価額で対立する場合には、双方の主張する評価額の中間値で合意できないか探ります。また、生前贈与や寄与分に関する争いがある場合には、その一部を計上できないかを検討してみます。

相続人間の対立がさらに深刻化することのないよう、なるべく公平で明確な分割案を作るようにしましょう。

弁護士に遺産分割協議の代理人になってもらう

遺産分割協議がまとまらない状況において、弁護士に代理人として関与してもらうことは有効な選択肢となります。

弁護士に依頼することで、法律の専門知識に基づく適切なアドバイスを受けられるだけでなく、感情的なもつれを避ける役割も果たします。

相続人間に感情的な対立がある場合、第三者である弁護士が介入することで、冷静かつ客観的な調整が期待されます。さらに、遺産の分割について法的視点からの適正な判断を示すことで、当事者間の不信感を軽減させ、話し合いを円滑に進めることが可能となります。

遺産分割調停を申し立てる

遺産分割協議がまとまらないとき、家庭裁判所に遺産分割調停を申立てることが考えられます。

当事者間の話し合いでは、冷静さを失い感情的な対立を生じさせてしまい、遺産分割協議が成立しないこともよくあります。

しかし、専門的な知識と経験を持つ、かつ、中立的な立場にある調停委員が相続人間を仲裁することで双方の意見を踏まえた柔軟な解決を実現させることができます。

遺産分割協議がまとまらない時の調停の進み方

遺産分割協議が合意に至らない場合、家庭裁判所の調停を活用することができます。まず、調停申立書を家庭裁判所に提出することで、調停手続が開始されます。調停期日が設けられ、相続人やその代理人が出席した上で、調停委員の仲裁の下、話し合いが進められます。

遺産分割調停の流れを紹介していきます。

遺産分割調停を申し立てる

遺産分割協議がうまくまとまらない場合、家庭裁判所の遺産分割調停を申し立てることが次のステップとなります。

調停は、相続人同士の話し合いだけでは解決に至らない際に、調停委員の仲裁を通じて合意形成を図るプロセスです。調停では、中立の立場を持つ調停委員が仲裁役として加わり、相続人たちの意見を聞きながら解決に向けてアドバイスや提案を行います。

遺産分割調停を申し立てるためには、家庭裁判所に対して申立書、事情説明書や戸籍謄本等の必要書類を提出する必要があります。

申立ての手続きには専門的で複雑な点もあるため、可能であれば弁護士に相談・依頼することをお勧めします。

調停期日で話し合いをする

調停期日で、申立人と相手方が集まり、第三者である調停委員の助言を受けながら非公開で話し合いを進める場です。

調停の場では、各相続人がそれぞれの主張を丁寧に伝え、解決への道筋を探ります。

話し合いは裁判所内で行われ、プライバシーが守られるため、各自が率直な意見交換をすることが可能です。調停期日内で伝えきれない部分や調停手続を円滑に進めるために、主張書面や証拠の提出により、自身の主張をすることもあります。

調停はあくまで合意を目指すものであるため、強制力はありませんが、調停委員の意見を参考にしながら現実的な解決策を模索します。

もし話し合いが進展し、相続人間で意見が一致した場合には、調停調書が作成され、この内容は法的な効力を持ちます。一方で、意見がまとまらない場合には、審判へと移行することとなります。そのため、調停期日での話し合いは、相続人にとって大変重要なステップとなります。

調停が成立する

調停を成立させるためには、相続人全員が納得する内容に調整される必要があります。

調停が成立するポイントは、各相続人が柔軟な姿勢を持ち、互いに歩み寄る姿勢が必要です。

調停期日を重ねた結果、相続人全員が合意に達した場合、調停が成立します。調停が成立することで、相続人は調停調書の内容に法的に拘束され、その内容に従って相続手続きが行われます。 

調停不成立となれば審判に移行

調停手続において相続人双方の意見が調整できない場合には、調停は不成立となります。

調停が不成立となれば、調停手続は審判に移行します。

審判では、調停とは異なり、裁判官が法に基づいて客観的に判断を下すことになります。審判手続では、まず提出された証拠や書面を基に裁判官が終局的な判断を下します。

審判と即時抗告

遺産分割審判は、遺産分割調停が不成立となった場合に、家庭裁判所が遺産分割の内容を決定する法的手続です。

審判の結果に不満がある場合には、審判書を受け取ってから2週間以内に即時抗告という方法で異議申立てを行うことができます。

即時抗告とは、審判に対する不服を申し立てる手段で、即時抗告が行われると、上級審である高等裁判所が事実関係や法的判断を見直します。

遺産分割協議をまとめるためには

遺産分割協議を円滑に進めるためにはまず、相続人間で、遺産の全体像を正確に把握することが重要です。

また、遺産分割協議においては特定の相続人のみが得をするような案を作ることは避け、全ての相続人の意見を尊重する姿勢が求められます。

遺産を調査して遺産目録を作成する

遺産分割協議がまとまらない状況を避けるためには、まず遺産の内容を正確に把握し、遺産目録を作成することが重要です。

遺産の全容を明かさないと、相続人の一部が、自身に有利な遺産分割を実現させたいがために、遺産を隠しているのではないかとの疑念を持たれてしまい、遺産分割協議を難航させます。

そこで、適切に遺産の調査をした上で遺産目録を作成します。遺産目録には、各遺産の具体的な内容や評価額を明示し、相続人間での透明性を確保します。

遺産の種類や評価額についての理解が一致すれば、後の遺産分割協議も円滑に進めやすくなります。

客観的な証拠に基づいて主張する

互いに証拠によらずに、過去の記憶や伝聞に基づく主張をすると、遺産分割協議は難航します。例えば、故人が、かつて相続人の1人に財産を贈与したと言っていた、相続人の1人に通帳を預けていると言っていたなどです。このような記憶に基づく主張は、相続人の対立を深めます。

仮に、このような主張をする場合でも、誰でも納得のできるような客観的な証拠を提出するように心がけましょう。

特定の相続人のみが有利な遺産分割案を作成しない

遺産分割を進める際に特定の相続人のみが有利になるような分割案を作成することは避けるべきです。なぜなら、それは他の相続人との関係を悪化させ、遺産分割協議を停滞させる原因になる可能性があるからです。

相続人全員が納得のできる遺産分割を成立させるためには、公平な分割内容です。合理的な理由もないのに、一部の相続人だけが有利になる遺産分割案では、相続人全員が納得できません。ただし、故人の療養介護などの寄与分があったり、生前贈与を受けているような場合には、相続分を修正することもあります。

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遺産分割協議がまとまらない場合、まずは冷静な視点で現状を見つめ直すことが重要です。 

遺産分割協議では、相続人間の利害が対立しやすく、遺産分割を円満に成立させることは簡単ではありません。

相続は一度きりの経験であり、多くの人にとって知識も経験も限られています。

そこで、遺産分割協議がまとまらない時には、弁護士などの第三者に相談することも検討しましょう。

それでもなお、遺産分割が成立しない場合には、遺産分割調停のプロセスを活用することも視野に入れてみてください。いずれにしても、遺産分割協議が難航している場合には、相続を得意とする弁護士のサポートを受けてみてください。

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