コラム
更新日: 2025.07.29

親の借金を肩代わりしたくない!対処法や生前にできることを弁護士が解説

親が残した借金を肩代わりしたくないと考えるのは、多くの人にとって当然のことです。突然の親の死去や不測の事態で借金を相続する可能性があることを知り、どう対処すればよいのか不安に感じている方も少なくないでしょう。

親が借金を背負っていることを生前に知った場合には、あなたが親の借金を背負わないようにするために、できる限り生前に対処しておきましょう。万が一、生前に適切な対処ができなかった場合には、相続放棄や限定承認といった方法を検討しましょう。相続放棄の期限を過ぎてから親の借金を知った場合でも、相続放棄の申述が受理される場合もあるため、諦めずに相続放棄を検討しましょう。

そこで、この記事では、親の借金を相続しないための具体的な対処法や手続きについて、弁護士の視点から詳しく解説します。

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親の借金に関する基本的な情報

親の借金問題に直面したとき、まず重要なのは冷静に状況を把握することです。 

借金の総額、債権者、返済状況などの情報収集が必要です。そして自分が法的にどのような立場にあるのかを確認し、弁護士などの専門家に相談することが解決への第一歩となります。早期の対応が問題解決の鍵を握っています。

親の借金の種類と特徴

親の借金には様々な種類があり、それぞれ特徴が異なります。

住宅ローンは金額が大きく返済期間が長期にわたるため、親が高齢になると完済前に相続問題が発生しやすい傾向があります。

カードローンやキャッシングは比較的少額ですが、高金利で複数社から借入れしているケースも多く、総額が把握しづらいという特徴があります。

事業資金の借入れは、個人事業主の場合は個人の債務となるため相続の対象になります。また、連帯保証人になっている借金は、主債務者が返済できなくなると保証人に請求が来るリスクがあります。

闇金からの借入れは法外な金利で返済ができないほどに膨らんでいる可能性がありますが、法的には公序良俗に反する無効な借入となるため、返済義務を負いません。

親の借金の種類を把握することは、将来的な相続問題に備える上で重要なステップとなります。借金の種類によって対応方法や相続時のリスクが大きく変わってくるからです。

親の借金が子に影響するケース

親の借金が子に影響するケースは主に3つあります。

まず、親が亡くなった際に相続が発生すると、プラスの財産だけでなく借金などのマイナスの財産も相続対象となります。

次に、親の借金の連帯保証人になっている場合です。親が返済できなくなると、子が全額返済する義務を負います。

最後に、親が子の名義を無断で使って借金をしているケースがあります。無断で名義を使用していたのであれば詐欺行為ですが、名義貸しに同意していた場合は債務を負担せざるを得ません。

いずれのケースも、早期に専門家に相談し、適切な対応をとることが重要です。親の借金問題は放置すればするほど解決が難しくなるため、問題が発覚した時点での迅速な行動が求められます。

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親の借金を肩代わりしなければならない場合

親の借金を肩代わりしなければならないと感じる状況は、誰にとっても大きな負担になります。

まず初めに知っておくべきことは、親の借金を、親の生前に直接肩代わりする必要はありません。あくまでも親の借金であって、あなたの借金ではないからです。

しかし、連帯保証人になっている場合や、相続によって借金を受け継ぐ場合には、その責任が生じる可能性があります。

親の借金を相続した場合

親の借金を相続した場合には、法律上親の借金を返済する義務を負います。

法定相続人は、故人(被相続人)の預貯金や不動産などのプラスの資産だけでなく、借金等の債務も相続分に従って承継します。子供は、親の法定相続人となるため、たとえ親と疎遠であったり、両親が離婚していたとしても、法定相続人である限り、借金の責任から免れることはできません。

親の死後に親の借金の負担を避けるためには、相続放棄や限定承認をする必要があります。いずれの方法も期限があるため、速やかに弁護士に相談しましょう。

親の借金の連帯保証人になっている場合

親の借金の連帯保証人になっている場合、まず連帯保証人として親の借金を背負う必要があります。

連帯保証人は、借金をした本人と同等の返済義務を負うため、本人の返済が滞った場合には自分が直接返済を求められることになります。このため、連帯保証人になることを求められた場合は、連帯保証人になるべきかを慎重に判断することが極めて重要です。

そのため、あなたが親の借金の連帯保証人になっている場合、あなたは、親の生死に関わらず、連帯保証人として親の借金を背負わなければなりません。

親が連帯保証人欄を偽造して、勝手にあなたの署名捺印をしている場合には、連帯保証契約は無効となります。ただ、連帯保証契約を無効とするためには、あなたの方で、偽造されたことを証拠により証明しなければなりません。

親が自分の名義で借金をしている場合

親が自分の名義で借金をしている場合、その借金はあなた自身の借金としてその負担を背負わなければなりません。

あなたの名義で借金をする背景にはさまざまな理由が考えられます。無断であなたの名義で借金をしている場合には、たとえあなた名義であっても、借金の契約(金銭消費貸借契約)は無効です。しかし、契約が無効であることは、あなたの方で証明しなければなりませんが、無効であることの証明は簡単な作業ではありません。

一方、あなたが名義使用を許諾している場合には、あなたが金融機関に対して借金を支払う義務を負います。この場合には、返済をするか、返済が難しければ債務整理を検討しましょう。

相続開始後に親の借金の肩代わりをしないためには

鎖で縛られた息子

親が亡くなった後に、その借金を肩代わりしないための方法について知識を持っておくことは、大切な備えとなります。

親の借金の肩代わりを避けるためには、相続開始後すぐに専門家に相談し、適切な手続きを取ることが重要です。

相続放棄をする

相続放棄とは、相続人としての地位を失うことて被相続人(亡くなった人)の財産を一切相続しない制度です。借金などの債務も含めて、プラスの財産もマイナスの財産も全て放棄することになります。

相続放棄の手続きは、相続の開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。この期間を「熟慮期間」と呼び、特別な事情がある場合には伸長が認められることもあります。

相続放棄の申述には、相続放棄の申述書のほか、被相続人の戸籍謄本や相続人の戸籍謄本などの書類が必要です。費用は一人あたり800円の収入印紙と連絡用の郵便切手代がかかります。家庭裁判所に提出した後、数週間から数ヶ月で「相続放棄申述受理通知書」が送られてきます。

相続放棄をすると、初めから相続人ではなかったものとみなされるため、親の借金を肩代わりする必要がなくなります。ただし、一度相続放棄をすると撤回はできず、プラスの財産も一切相続できなくなる点に注意が必要です。また、親の財産を処分したり、隠したりすると「相続の承認」とみなされる可能性があります。

なお、熟慮期間内に合理的な理由により相続放棄の申述できない時には、熟慮期間の延長申請をすることができます。そのため、熟慮期間内の申述が間に合わない場合には、延長申請をすることを検討しましょう。

限定承認をする

限定承認は相続財産の範囲内でのみ被相続人の債務を引き継ぐ制度で、最大のメリットは相続財産を超える借金の支払い義務から負わずに済むことです。また、相続放棄と違い財産を一部受け取れる点も魅力的です。

しかし、デメリットとして手続きの複雑さが挙げられます。家庭裁判所への申立てに加え、相続財産の調査・評価・清算という煩雑なプロセスが必要です。さらに共同相続人全員の合意が必要なため、家族間で意見が分かれると実行が困難になります。また、手続き費用も相続放棄より高額になりがちです。

プラスの財産が債務より明らかに少ない場合は相続放棄の方が簡便ですが、財産と債務の差が不明確な場合や一部財産を受け取りたい場合は限定承認が適しています。手続きは相続開始を知ってから3ヶ月以内に行う必要があるため、迅速な判断が求められます。

消滅時効の援用をする

消滅時効とは、一定期間債権者が権利行使をしない場合に、債務者が時効を援用することで債務が消滅する制度です。

親の借金に関しても、この消滅時効を援用できる可能性があります。時効の援用には、まず債権の種類に応じた時効期間が経過していることが条件となります。一般的な貸金債権や商事債権は5年で統一されていますが、判決等で確定した債権については時効期間が10年に伸長されています。

次に重要なのは、時効期間中に債権者からの請求や差押えなどの時効の更新事由がないことです。また、一部弁済したり支払いの猶予を求めている場合には、債務の承認となり時効は更新されます。

さらに、時効の援用は自動的に適用されるものではなく、債務者側から「時効を援用します」と明確に意思表示をする必要があります。そのため、時効の援用は書面で行うのが一般的で、内容証明郵便などで債権者に送付します。

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借金を知らずに相続した場合の対処法

親の借金を知らずに相続してしまった場合の対処法です。相続開始から3か月を経過していたとしても、相続放棄を直ちに諦める必要はありません。例外的に相続放棄が認められる場合もあります。もし相続放棄ができないとなった場合には、債務整理の手段を検討することになります。

相続放棄できる場合がある

親の借金を知らずに相続してしまった場合でも、一定の条件下では相続放棄が可能です。

通常、相続放棄は「相続の開始を知った時」から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要があるため、この熟慮期間を経過してしまうと、相続放棄はできないのが原則です。

ただ、熟慮期間内に相続放棄しなかった理由が相続財産が全く存在しないと信じたためであり、かつ、その信じるについて相当な理由があると認められるときには熟慮期間は相続人が相続財産の全部又は一部の存在を認識した時または認識できる時から起算すると解されています。

そのため、上記のような例外的な場合であれば熟慮期間の始期を遅らせることができ、自己のために相続が開始したことを知った日から3か月以上を経過していても相続相放棄をできる余地があります。

ただし、裁判所によって判断が分かれることもあるため、このような状況に直面した場合は早急に弁護士に相談することが重要です。

相続放棄できなければ債務整理を検討する

相続放棄が難しい場合でも、債務整理を検討することが重要です。

親の借金が少額である場合には、自己の資産で弁済することも検討しますが、少額とまではいえない場合には、債務整理を検討します。

具体的な債務整理の方法としては、任意整理、個人再生、自己破産などがあります。

任意整理は、債権者と交渉して、将来利息をカットしてもらうなどして債務負担を軽くさせるものです。

個人再生は、借金額を5分1に圧縮させた上で、これを3年から5年かけて弁済する方法です。圧縮率は債務額等に応じて変動します。

自己破産は、債務の全額免除を受ける手段ですが、99万円の自由財産を超える財産は手放さなければなりません。

いずれの債務整理についても、信用情報に事故歴として記録されてしまいます(いわゆるブラックリスト)ので、新たな借入が一定期間難しくなる点に留意しましょう。

親の借金について生前にできる方法

情報収集

親の借金を生前に把握し、対策を講じることは重要です。まず、親の債務状況を詳しく調査することから始めましょう。その上で、親に債務整理を促すことも一つの方法です。

こうした生前の準備と対応によって、相続時にあなたが親の借金を肩代わりする必要がなくなります。

親の債務状況を調査する

親の債務状況を把握することは、親の借金を肩代わりしないための重要なステップです。

最初に行うべきは、信用情報機関から親の借入情報を取得することです。具体的には、CIC、全国銀行個人信用情報センター、JICCといった信用情報機関に問い合わせを行い、親の借入状況を確認します。

次に、親の金融機関に関係する書類を確認することも欠かせません。親が所有する通帳を確認し、過去の入出金履歴を調べることで、未払いの債務がないかを追跡できます。また、銀行から送付されるダイレクトメールやクレジットカードの明細書も、潜在的な借金に関する情報を含んでいますので、見落とさないよう注意が必要です。

さらに、不動産が絡む借金については、親が所有する不動産の登記情報を確認することも効果的です。法務局やインターネットを通じて登記事項証明書や登記情報を取得し、不動産が担保にされているか否かを調べます。担保にされている場合は、登記情報を基に借金の情報を調査しましょう。

これらの調査を通じて、親の債務状況を正確に把握することができれば、親の借金を肩代わりすることは避けることができるかもしれません。

親に債務整理をさせる

親が抱える借金に対して、子どもとしてどのように関わるべきかは非常に重要な問題です。

親に債務整理をさせることは、その一つの有効な手段となります。債務整理には、先ほど紹介したように、任意整理、個人再生、自己破産の三種類があり、それぞれの方法には特徴と条件が異なります。親の借金額と親の資産状況を踏まえて、どの債務整理が適切であるかを検討しましょう。ただ、債務整理には、法律の知識が必要となるため、専門家である弁護士に相談または委任することが推奨されます。

時効の援用をする

親の借金を調査した結果、時効が完成している場合には、消滅時効の援用をして、借金を消しましょう。

親の生前であれば、時効の援用は親自身により行う必要があります。時効の援用をする前に、時効に気付かずに返済したり、訴訟提起を見過ごしてしまうと、時効の援用ができなくなります。

時効の援用ができなくならないように、適切に時効の援用を確実に行うようにしましょう。

生前に借金を肩代わりすると贈与税が発生する

親の借金を生前に肩代わりすると、贈与税について注意が必要です。

つまり、あなたが、親の借金を返済するために、親に対して返済資金を贈与することがあります。ただ、あなたが親に対して贈与をすると、贈与税の負担が生じる可能性があります。具体的には、贈与税の基礎控除の年額110万円を超える贈与には、贈与税が発生します。ただし、贈与ではなく立て替えである場合には、あなたが親に対して返還債権を有し、贈与ではないため、贈与税は発生しません。

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親の借金問題は、家族として非常にデリケートな問題です。

肩代わりをしたくないと考えるのは自然な感情です。まず重要なのは、生前に親の借金をきちんと把握しておくことです。その上で、親の生前に、債務整理等をしておくことで、肩代わりをする状況を回避しなければなりません。親が抱える借金について、生前から早めに動き始めることで、後々の混乱を防ぐことができるでしょう。

万が一、生前に十分な対処ができなかったとしても、冷静になりましょう。弁護士のアドバイスを受け、相続放棄や限定承認、消滅時効の援用などの法的手続きを進めることで、親の借金の負担を回避させましょう。

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