コラム
公開日: 2025.04.23

顧問弁護士とは?役割やメリット・デメリット、活用方法を徹底解説|難波みなみ法律事務所

難波みなみ法律事務所代表弁護士・中小企業診断士。大阪弁護士会所属(登録番号49544)幻冬舎「GOLDONLINE」連載第1回15回75回執筆担当。法的な問題には、法律の専門家である弁護士の助けが必要です。弁護士ドットコムココナラ弁護士ナビに掲載中。いつでもお気軽にご相談ください。初回相談無料(30分)。

企業経営において法的リスクを管理することは、ビジネスの持続的な成長に欠かせない要素です。「顧問弁護士」というワードを耳にしたことがあっても、実際に顧問弁護士がどのような役割を担い、どのようなメリットがあるのか、具体的に理解している経営者は多くないかもしれません。

また、顧問契約を結ぶべきかどうか迷っている方や、すでに契約しているものの十分に活用できているか不安を感じている方もいらっしゃるでしょう。

そこで、この記事では、顧問弁護士の基本的な役割から具体的なメリット・デメリット、さらには効果的な活用方法まで徹底的に解説します。

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顧問弁護士の基本概念と一般弁護士との違い

顧問弁護士とは、企業や個人事業主と継続的な契約関係を結び、定期的に法律相談や法務サポートを提供する弁護士のことです。一般的な弁護士との最大の違いは、この「継続性」にあります。以下では、顧問弁護士と一般の弁護士との違いを説明します。

顧問弁護士の定義

顧問弁護士とは、企業や個人事業主と継続的な契約関係を結び、法律面でのサポートを行う弁護士のことを指します。

一般的に月額の顧問料を支払うことで、法律相談などのリーガルサービスを定期的に受けることができます。この契約関係は「顧問契約」と呼ばれ、企業経営や事業運営における様々な法的課題に対して、予防的かつ継続的なサポートを提供することを目的としています。

顧問弁護士の特徴は、単発的な案件対応ではなく、依頼者の経営状況を長期的に把握した上で、総合的な法務サポートを行う点にあります。つまり、顧問弁護士は、事業内容や取引関係、社内体制などを理解した上で、その企業特有の法的リスクを予測し、適切な助言を行います。

顧問弁護士と一般の弁護士との違いとは

顧問弁護士と一般の弁護士の最も大きな違いは、継続的な関係性にあります。

一般の弁護士は特定の案件や問題が発生した際に都度依頼する「スポット対応」が基本ですが、顧問弁護士は月額の顧問料を支払うことで継続的に法律相談などの法務サポートを受けられる関係を構築します。

継続的な関係を持つことで、顧問弁護士は顧問先企業の事業内容や経営方針、法的な課題などを理解した上でアドバイスができるという強みがあります。一般弁護士への依頼では、毎回ビジネスの背景や現状を一から説明する必要がありますが、顧問弁護士はすでに企業の状況を把握しているため、より的確で迅速な対応が可能です。

また、対応範囲にも違いがあります。一般弁護士への依頼は通常、訴訟対応や契約書チェックなど具体的な法律業務に限定されますが、顧問弁護士は予防法務の観点から経営判断に関わる助言や、法的リスクの早期発見など幅広いサポートを提供します。

費用面では、一般弁護士は案件ごとの弁護士費用やタイムチャージ(時間単価制)が一般的ですが、顧問弁護士は月額固定の顧問料を基本とし、訴訟案件や内容証明の作成などの別案件では、通常の依頼より割引きされた料金体系となることが多いです。

さらに、対応の優先度も異なります。一般弁護士は複数の依頼者を抱えているため即時対応が難しい場合もありますが、顧問弁護士は契約企業からの相談に優先的に対応することもできます。

顧問契約の基本的な仕組み

顧問契約とは、企業や個人が弁護士と継続的な法律相談や法務サポートを受けるために結ぶ契約です。一般的な顧問契約では、月額固定料金を支払うことで、定められた範囲内での法律相談が可能となります。

顧問契約の基本的な仕組みは、主に「サービス内容」「相談可能時間」「連絡手段」「料金体系」の各要素で構成されています。

相談可能時間については、月に数時間から無制限まで契約内容によって異なります。連絡手段としては、電話やメール、チャットワーク、ライン、オンライン会議、事務所での対面相談など、複数の連絡手段が用意されていることが多いです。緊急時の対応についても、契約内容に明記されているケースが増えています。

料金体系は、基本的に月額固定制となっており、相談件数、契約書チェックの有無や回数、内容証明の作成、紛争時の弁護士費用の減額率などによって金額が設定されます。基本料金に含まれる相談範囲を超えた場合や、訴訟対応などの追加業務が発生した場合には、別途料金が発生することが一般的ですが、顧問契約の内容によっては通常の料金から減額されることも多いです。

契約期間は通常1年単位で更新される形式が多く、自動更新とされていることも珍しくありません。

顧問弁護士の3つの重要な役割

顧問弁護士は企業や個人の法務面をサポートする重要なパートナーとして、主に3つの重要な役割を担っています。

以下で紹介する役割を通じて、顧問弁護士は企業の法的リスクを最小化し、安定した経営を実現させます。

法的リスクの発生予防と早期の対応

顧問弁護士の最も重要な役割の一つが、法的リスクの予防と早期対応です。

企業活動においては様々な法的リスクが潜んでおり、問題が顕在化してから対処するのでは大きな損失を被る可能性があります。

顧問弁護士は定期的な法律相談を通じて、企業活動に潜む法的リスクを事前にチェックします。例えば、取引先との契約書に不利な条項がないか、労務管理が労働法に違反していないか、新規事業が各種規制に抵触しないかなどを事前に確認することで、将来的なトラブルを未然に防ぎます。

また、企業内で発生した小さな法的問題の段階で相談できることも大きな強みです。些細な従業員とのトラブルや、取引先からのクレームなど、初期段階で適切な対応を取ることで、問題の拡大を防止できます。

さらに、法改正や判例の動向を常に把握している顧問弁護士は、企業に影響を与える法的環境の変化を事前に伝え、対応策を提案することもあります。

企業経営における法務サポート

企業経営において法的な問題は避けて通れません。契約書の作成や確認、労務問題への対応、取引先とのトラブルなど、日々の経営活動には法務的な視点が常に必要とされます。顧問弁護士は、こうした企業経営における法務面でのサポートを包括的に提供する重要なパートナーになります。

また、企業内での法務知識の向上にも貢献します。従業員向けの法務研修を実施したり、社内規定やマニュアルの作成をサポートしたりすることで、組織全体の法的なリテラシーを高める役割も担います。これにより、法的リスクに対する社内の感度が向上し、問題の早期発見や早期対応が可能になります。

さらに、日常的に法律相談を通じて、経営者や担当者が抱える法的な疑問に答えることで、企業が自信を持って事業展開できる環境を整えます。

顧問弁護士は単なる法律相談の窓口ではなく、企業の持続的な成長を法的側面から支える重要な存在といえます。

トラブル発生時の迅速な対応と解決

企業が顧問弁護士と契約する最大の利点の一つが、法的トラブルが発生した際の迅速な対応と早期の解決です。一般的に、顧問契約を結んでいない場合、法的問題が生じてから弁護士を探し、状況や背景を説明し、対応策を検討するまでに貴重な時間を失ってしまいます。

顧問弁護士がいれば、トラブル発生直後からすぐにアドバイスを受けられるため、初動対応のスピードが格段に向上します。例えば、取引先からのクレームや契約違反の問題が発生した場合、どのような対応が法的に適切かを即座に相談できます。また、従業員との労働紛争など、企業活動の中で突発的に起こりうる様々な問題に対しても、迅速に対応方針を決定できます。

さらに、顧問弁護士は企業の事業内容や組織体制をあらかじめ理解しているため、個別のケースに応じた最適な解決策を提案できる点も大きな強みです。

訴訟等の裁判手続に発展するケースでは、初期段階からの適切な証拠収集や法的戦略の構築が勝敗を分けることも少なくありません。顧問弁護士は問題の初期段階から関与することで、訴訟リスクを抑えるだけでなく、万が一訴訟となった場合の勝訴を実現させるための準備を整えることができます。

紛争時の弁護士費用負担の軽減(割引制度)

顧問弁護士と契約している企業が法的紛争に直面した場合、通常の弁護士費用と比較して一定程度の弁護士費用の負担が軽減されます。顧問弁護士は、顧問契約を結んでいるクライアントに対して、顧問契約のコースに応じて、訴訟や交渉などの紛争解決業務に関する費用を10〜30%程度割り引く制度を設けています。

例えば、通常であれば着手金50万円、成功報酬が解決金額の20%といった場合でも、顧問契約があれば着手金が35万円、成功報酬が15%に軽減されるといった具合です。

また、紛争の初期段階で顧問弁護士に相談できることで、問題が大きくなる前に適切な対応が可能となり、結果的に訴訟コストそのものを抑制できることも大きな利点です。

顧問契約の月額料金を支払っていても、一度大きな紛争が発生した際の費用負担を考えると、長期的には経済的メリットが大きいといえます。

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顧問契約のデメリット

顧問弁護士との契約には多くのメリットがある一方で、いくつかの注意すべきデメリットも存在します。

契約内容と費用のバランス(相談がなくても固定的に発生する)

顧問契約では、毎月一定額の顧問料が発生するという特徴があります。この費用は、実際に相談や依頼がなかった月でも固定的に支払う必要があります。例えば月額5万円の顧問契約を結んだ場合、その月に一度も相談しなくても5万円は支払わなければなりません。

このような費用体系は、法的問題が頻繁に発生する企業にとっては費用対効果が高いものの、法律相談の頻度が少ない企業にとっては、契約内容と費用のバランスが取れていないと感じることがあります。

顧問弁護士との契約を検討する際は、自社の法的なニーズを正確に把握し、それに見合った契約内容と費用設定を選ぶことが、このデメリットを解消させる鍵となります。

相性や専門分野のミスマッチリスク

顧問弁護士との契約において見落としがちなのが、弁護士との相性や専門分野のミスマッチによるリスクです。弁護士との長期的な関係構築において、このミスマッチは問題解決の質に大きく影響します。

まず専門分野のミスマッチについてです。弁護士にも得意分野があり、企業法務、労働問題、知的財産権など専門性は様々です。例えば、製造業が労働問題に強い弁護士と契約しても、取引先との契約トラブルには対応しきれないかもしれません。

また、相性の問題も見逃せません。顧問弁護士との関係は単なる一時的な委任関係ではなく、長期的なパートナーシップです。コミュニケーションスタイルや価値観の違いが大きいと、相談のしづらさや意思疎通の問題が生じます。

さらに、対応スピードや連絡方法の違いも契約上の壁となります。緊急時に迅速な対応を期待していても、繁忙により即座の対応が難しい場合があります。また、メールでの簡潔なやり取りを好む経営者と、対面での詳細な説明を好む弁護士では、コミュニケーション方法に不満が生じることもあるでしょう。

このようなミスマッチを避けるためには、契約前の十分な面談や相談を通じて相性を確認することが重要です。

顧問弁護士の費用相場と契約形態

顧問弁護士との契約を検討する際、費用相場と契約形態を理解することは重要です。一般的に顧問弁護士の月額費用は企業規模や相談頻度によって大きく異なります。

顧問料の相場

中小企業の場合、月額3万円〜10万円程度が相場となっています。小規模事業者であれば月額3万円〜5万円、中規模企業では5万円〜10万円が目安です。大企業になると10万円以上の顧問料が一般的で、事業規模や法務リスクの大きさに応じて30万円以上になることもあります。

また、顧問契約には最低契約期間が設定されていることが多く、一般的には6ヶ月〜1年の契約が標準です。契約内容と費用のバランスを考慮し、自社のニーズに合った契約形態を選択することが賢明です。

追加料金が発生するケースと対策

顧問契約では基本的な月額顧問料に含まれるサービス範囲が定められていますが、その範囲を超える業務が発生した場合には追加料金が必要となります。主な追加料金が発生するケースとしては、訴訟や調停などの紛争案件の代理業務があります。これらは通常の法律相談の範囲を超える業務であるため、別途着手金や成功報酬が発生するのが一般的です。

また、契約書の作成や交渉の立会いなど、特別なリーガルサービスにも追加費用がかかることが多いでしょう。さらに、顧問契約で定められた相談回数や時間を超過した場合や、契約時に想定していなかった新たな法律分野に関する相談が必要になった場合も追加料金の対象となることがあります。

スマートプランの活用を

難波みなみ法律事務所の顧問契約は、中小企業向けの各コースをご用意しています。中でも、月額顧問料が9500円のスマートプランがおすすめです。

はじめて顧問弁護士を利用するため、試験的に顧問契約を締結したい企業、既に顧問弁護士がいるもののセカンドオピニオンとして利用する企業、経営資源が限られている小規模企業や個人事業主がスマートプランをご利用頂いています。詳しくは、下記リンクよりご確認ください。

スマート顧問

個人向け顧問弁護士サービスの特徴

個人事業主や一般個人も顧問弁護士を活用できることはあまり知られていませんが、実際には様々なニーズに対応したサービスが提供されています。個人向け顧問弁護士サービスは、企業向けとは異なる特徴を持っています。

個人向け顧問契約では、月額料金が比較的低く設定されていることが多く、当事務所のスマートプランを利用される個人のお客様もいらっしゃいます。

個人向けサービスでは特定分野に特化した顧問契約も増えています。例えば、不動産オーナー向け、医師・歯科医師などの開業医向け、クリエイターや著作権関連の相談に特化したものなど、個人の職業や状況に応じた専門的なサポートを受けられるのが特徴です。

顧問弁護士の選び方と契約時の注意点

顧問弁護士を選ぶ際には、単に料金だけでなく自社のニーズに合った専門性や相性を重視することが重要です。

企業のニーズに合った専門性の確認

企業が顧問弁護士を選ぶ際、最も重要なポイントの一つが専門性です。すべての弁護士が同じ法律分野に精通しているわけではなく、各弁護士には得意分野があります。企業の業種や直面している法的課題に適した専門知識を持つ弁護士を選ぶことが、顧問契約の効果を最大化する鍵となります。

相性や対応スピードの見極め方

顧問弁護士との相性や対応スピードは、長期的な関係を構築する上で非常に重要な要素です。まず相性を見極めるには、初回の無料相談や面談を積極的に活用しましょう。

この際、自社の業界や事業内容をどの程度理解してくれるか、専門用語を使わずに分かりやすく説明してくれるかを観察することが大切です。また、質問に対する回答が明確で、自社の立場に立った提案をしてくれるかどうかも重要なポイントとなります。

対応スピードの見極めには、初回相談時のレスポンスの速さが一つの指標になります。メールや電話での返信が迅速かどうか、緊急時の連絡体制が整っているかを確認しましょう。

最終的に「この弁護士なら安心して相談できる」と感じられるかどうかが最も重要です。法律の専門知識だけでなく、企業経営者としての悩みや懸念を理解し、共感してくれる姿勢があるかどうかを見極めましょう。

契約前に確認すべき重要事項

顧問弁護士と契約する前には、いくつかの重要事項を確認しておくことが重要です。まず契約書の内容を詳細に確認し、顧問料に含まれるサービスの範囲を明確にしておきましょう。どのような相談が無料で、どこからが追加料金になるのかを事前に把握しておくことで、予期せぬ出費を避けられます。

また、相談方法や対応時間についても確認が必要です。電話やメール、オンライン会議、対面相談など、どのような方法で相談できるのかを明らかにしておきましょう。

契約期間と更新条件も重要なポイントです。多くの顧問契約は1年単位で自動更新される場合が多いですが、解約条件や更新時の料金改定の可能性についても事前に確認しておくべきでしょう。

顧問弁護士の効果的な活用事例

顧問弁護士を効果的に活用している企業では、法的リスクの低減や経営の安定化に成功しています。

契約書チェックで不利な契約を回避する

企業活動において契約書は非常に重要な法的文書であり、不利な条件を見落とすことで大きな損失を被るリスクがあります。

顧問弁護士の重要な活用例として、契約書のチェックによる不利益回避が挙げられます。多くの企業、特に中小企業では、取引先から提示された契約書をそのまま受け入れてしまうケースが少なくありません。しかし、契約書には、契約期間、債務不履行時の損害賠償、解除条件など重要な条項が含まれており、これらが自社に不利な内容になっていることがあります。

顧問弁護士は契約書の専門家として、法的観点から問題点を指摘し、修正案を提案します。例えば、過大な損害賠償条項、一方的な契約解除条件、知的財産権の帰属に関する不利な条件などを見つけ出し、交渉の余地を示してくれます。

具体例を挙げると、長年取引のあった企業が大手企業に買収されたことをきっかけに、顧問先企業が契約書の巻き直しを求められたケースがありました。結果としては、取引先から提示された契約書の内容は特段問題のないものでした。

しかし、法的な知識の乏しかった顧問先は、契約書の仰々しい文言に躊躇してしまい、契約書案をそのまま受け入れるか、頭を抱えていました。特に、債務不履行時の条項が専門的な内容であったため、自社に大きな不利益となるのではないかと危惧していました。

ただ、弁護士の目線からすると、問題視していた契約条項はいずれも確認的な規定であり、あえて契約内容の変更を求めるようなものではありませんでした。弁護士のリーガルチェックを受けたことで、顧問先企業は安心して契約書の作成手続を進めることができました。

逆に、顧問弁護士がいなければ、躊躇する必要のない契約書の内容に疑義を抱き、契約手続を遅滞させるだけでなく、取引先との信頼関係を悪化させるおそれもありました。

不当解雇の問題を回避する(安易な解雇を避けて退職勧奨を推奨する)

企業が直面する法的リスクの中でも、雇用問題は特に慎重な対応が求められる分野です。特に従業員の解雇に関しては、安易な解雇処分が不当解雇として訴訟に発展するケースが少なくありません。顧問弁護士は、このようなリスクを未然に防ぐための重要な役割を担っています。

具体例を挙げると、不動産業を営む企業のケースです。営業担当の営業成績が芳しくない社員を解雇したいとの相談でした。しかも、協調性が欠如しており、頻繁に他の社員と対立しているような典型的な問題社員でした。

労働契約法では、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇は無効とされています。多くの経営者は「問題社員だから」という理由だけで解雇を検討しがちですが、法的には非常に厳しい要件が課されています。そのため、先ほどの事案でも、たとえ問題社員であっても、安易に解雇処分をすることはリスクが高いため、解雇処分を回避した上で、退職勧奨をするようにアドバイスをしました。

退職勧奨とは、会社側から従業員に対して退職を勧める行為で、合意があって初めて雇用関係が終了します。解雇と異なり、双方の合意に基づくため、後のトラブルを大幅に減らせるメリットがあります。

退職勧奨後、労使間で退職条件を調整した結果、無事、合意退職に至りました。安易な解雇処分を回避できたことで、円満に問題社員の問題を解決することができたケースの一つでした。

顧問弁護士に関するよくある誤解と事実

顧問弁護士に関する誤解は多く存在します。その誤解が、大きな法律問題を招くかもしれません。

「高額すぎて中小企業には不要」という誤解

「顧問弁護士は高額だから中小企業には必要ない」という考えは、多くの経営者が抱く誤解の一つです。

確かに従来の顧問契約では月額10万円以上の顧問料も多くありましたが、近年は中小企業向けに月額3万円から5万円程度の手頃なプランも増えています。特に、当事務所では月額9500円のスマートプランを用意しております。

自社の状況や予算に応じて、適切なプランを選択することで、中小企業でも無理なく顧問弁護士のメリットを享受することができるのです。

「トラブル発生時だけの相談で十分」という間違った認識

多くの経営者や個人が「問題が起きたときだけ弁護士に相談すればよい」と考えがちですが、これは大きな誤解です。

トラブルが発生してから弁護士に相談するアプローチでは、すでに状況が悪化していることが多く、解決にかかるコストや時間、そして企業イメージへのダメージが大きくなりがちです。

顧問弁護士の大きなメリットは「予防法務」にあります。契約書のチェックや社内規定の整備、法改正への対応など、問題が発生する前に潜在的なリスクを特定し対策を講じることで、トラブルそのものを未然に防ぐことができます。

また、定期的に弁護士と接することで、経営者や従業員のリーガルマインドが養われ、日常業務における法的感覚が向上します。

トラブル発生時のみの相談では、急場しのぎの対応となってしまい、根本的な問題解決や将来的なリスク低減につながりません。

「経営者一人で解決できる」という誤解

経営者は多くの場合、自社の事業に関する深い知識と経験を持っていますが、法律の専門家ではありません。「自分で調べれば解決できる」「これくらいの問題なら自分で対応できる」という考えは、法的リスクを見過ごす危険性をはらんでいます。

法律は複雑で常に変化しており、判例の積み重ねによって解釈も変わります。経営者が業界の動向や常識を把握していても、民法、労働法その他特別法など多岐にわたる法律すべてに精通することは現実的ではありません。

また、法律の問題は早期対応が重要です。問題が大きくなってから弁護士に相談するのでは、すでに選択肢が限られている場合があります。予防法務の観点からも、速やかに法的リスクを発見して対応することが必要です。

顧問弁護士は難波みなみ法律事務所へ

顧問弁護士は企業の法務体制を強化する重要なパートナーです。企業規模や業種を問わず、適切な顧問弁護士との顧問契約は法的リスクの予防と迅速な対応を可能にします。

顧問弁護士を最大限に活用するためには、まず自社のニーズを明確にし、それに合った専門性と相性の良い弁護士を選ぶことが重要です。また、顧問弁護士との定期的なコミュニケーションを通じて信頼関係を構築し、経営判断の前に法的アドバイスを求める習慣をつけることで、問題の芽を早期に摘むことができます。

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