コラム
最終更新日:2023.07.24

DV防止法とは?保護命令やDV防止法を分かりやすく弁護士が解説します

配偶者からDVを受けている人にとって、救済される方法を知るのは重要なことです。

DV被害者の救済手段の一つがDV防止法による「保護命令」です。

DV防止法でどのような救済措置を受けられるのかわからない人も多いのではないでしょうか。

この記事では、内閣府男女共同参画局の公式サイトや冊子をもとにDV防止法について具体的に解説していきます。   

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DV防止法とは    

はじめに、DV防止法について基本的なことを説明していきます。

正式名称と対象

DV防止法の正式名称は「配偶者暴力防止法」といいます。DVというと男性をイメージする人もいるかもしれませんが、対象は夫と妻の両方です。性別に関係なく配偶者から暴力を受けている人を守るための法律で、DV防止法という通称で呼ばれています。

DV防止法の歴史と改正

DV防止法は、配偶者の暴力から被害者を守るために2001年(平成13年)に成立した法律です。配偶者からの暴力に関する通報や相談、保護、さらに自立支援等あらゆる面での体制を整備して救済を図ることを目的にしています。相手が配偶者であっても、暴力は立派な人権侵害であり犯罪にもつながる行為です。これまでにも何度か改正されてきましたが、2023年(令和5年)5月12日に法律の一部を改正する法律が成立し、同年の5月19日に公布されています。そして、2024年(令和6年)4月に施行されることになっています。

対象者の定義

対象となる配偶者は、婚姻の届出をしている相手だけに限定されていません。事実婚の相手も対象に含まれます。男女の性別は問わず、離婚後も暴力を受け続けている場合も対象です。なお、離婚とは、事実上離婚したと同じ状況にある場合も含まれます。

対象となる行為

では、実際にどういった行為が暴力として認められるのか、説明していきます。

身体的暴力

まずあげられるのは、身体的暴力です。殴る、蹴る、平手で打つといった行為から物を投げつける、髪を引っ張る、首を締めるなどの暴力的な行為全般が該当します。刃物などの凶器を体に突きつけるのも対象になります。

精神的暴力

精神的暴力とは、言動などによって相手を精神的に攻撃することです。怒鳴る、ののしるといった行為はもちろん、相手をバカにした言動も対象になります。例えば「誰のお陰で生活できているんだ」などという言葉を口にすることです。仕事や行動を制限したり監視したり人前でバカにしたりする行為も精神的暴力に含まれます。無視をするのも精神的暴力です。

性的暴力

夫婦や夫婦に準ずるパートナーであっても、性行為の強要は許されません。脅しや暴力による性的な行為は、刑法第177条の強制性交等罪に該当することもあります。他にも中絶の強要や妊娠に協力しないといった行為も性的暴力とみなされます。

経済的暴力

経済的暴力とは、生活費を渡さないなどの行為です。生活費の他に、子どもの教育にかかるお金や病院での治療費など、必要なお金を渡さないことは暴力の対象になります。

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DV防止法の改正ポイント 

ここでは、DV防止法の改正ポイントを紹介していきます。

DV防止法は、2004年、2020年、2021年にも改正されています。

 2020年と2021年の改正内容

改正されたのは、児童相談所の法文上の明確化です。児童虐待防止対策および暴力を受けている被害者の保護対策を強化することが目的で、その関係機関として児童相談所があります。配偶者によるDVは児童虐待とも密接な関係があるという考えのもとで改正されました。

2004年の改正ポイント

被害者を暴力から守るために、加害者を住居から退去させることができます。退去期間は当初2週間でしたが、それでは不十分であるとして改正され、2カ月間に延長されています。

保護命令の概要と種類

はじめに解説するのは、保護命令の概要と種類です。DV防止法では、次のような措置が取られます。

接近禁止命令

配偶者が被害者につきまとったり住居や勤務先の近隣を徘徊したりすることを禁止するもので、期間は6カ月間です。配偶者には、事実婚の配偶者や元配偶者も含まれます。また、同居している交際相手から暴力等を受けている場合も保護命令の対象となります。

接近禁止命令の条件

  1. 配偶者からの身体に対する暴力を受けたこと、又は生命等に対する脅迫を受けたこと
  2. 生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいこと
  3. 配偶者暴力相談支援センター又は警察への相談等を求めた事実があること

退去命令

被害者の住居から配偶者を退去させることができます。期間は2カ月間です。

退去命令の条件

  1. 接近禁止命令の要件があること
  2. 申立時に被害者が配偶者と生活の本拠を共にしていること

親族等との接触禁止命令

被害者の親族や子どもに対しても接触を禁止することが可能になります。被害者への接近禁止命令の実効性を強化するもので、期間は6カ月間です。

親族等との接触禁止命令

  1. 被害者への接近禁止命令の要件があること
  2. 被害者の親族等であること
  3. 配偶者が親族等の住居に押し掛けて著しく粗野又は乱暴な言動を行っていること、その他の事情があることから、被害者がその親族等に関して配偶者と面会することを余儀なくされることを防止する必要があること
  4. 当該親族等の同意があること

保護命令の発令までの流れ

裁判所に保護命令の申立てを行い、裁判所の面接等を経る必要があります。保護命令の申立てから発令までの流れを説明します。

申立書を提出する

申立書と証拠を管轄の地方裁判所に提出することで、保護命令の申立てを行います。

裁判所は申立てを受理すると、支援センター又は警察署に対して、相談し又は保護を求めた状況、これに対して行った措置の内容を記載した書面の提出を求めます。

申立人の審尋を行う

裁判官は、申立人本人又は代理人と面接し、申立書に記載された内容を質問します。これを審尋(しんじん)といいます。

過去の暴力や脅迫の内容や実情、現在の危険性について、裁判官が申立人に対して聞き取りを行います。

申立人の面接は、申立てをした当日か、これに近い日に行われます。

相手方の審尋期日

保護命令は、原則として、相手方の立ち会う審尋期日を経なければ行うことはできません。

申立人の面接をした後、1週間程経過した日に相手方の審尋を行う期日が指定されます。

相手方の審尋期日において、裁判官が相手方に対して、申立書に記載した過去の暴力やこれからの危険について質問をします。

保護命令の決定

裁判所は、申立人と相手方双方の審尋の結果、相談先機関からの回答、証拠の内容を踏まえて、保護命令の条件を満たせば、保護命令を発令します。

保護命令が出されると、保護命令が発令された事実とその内容を申立人の住所又は居所を管轄する警視総監又は道府県警察本部長に通知することになっています。

保護命令に違反すると、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金を科されることになります。

▶保護命令に関する裁判所の解説はこちら

DV被害者への支援と相談窓口        

続いて、DV被害者への支援と相談窓口にはどのようなものがあるか紹介していきます。

はじめに、相談窓口にはどのような機関があるのか見ていきましょう。

配偶者暴力相談支援センター

警察や福祉事務所などと連携している機関で、被害者からの相談やカウンセリング、緊急時の安全保護にも対応しています。

地方公共団体の支援窓口

自立支援を行う福祉事務所や児童相談所などです。

警察署

暴力の防止をはじめ配偶者の検挙や警告、被害者の保護も行ってくれます。

無料相談窓口

無料で相談できる窓口です。相談ナビ(#8008)に電話をすると、都道府県ごとの中核的な相談機関に自動でつながります。他にもDV相談プラス(0120-279-889)や配偶者暴力相談支援センターなどがあります。

シェルターと一時保護施設

DVで悩んでいる人を保護してくれる施設です。シェルターも一時保護施設も滞在できる期間は決まっているのが一般的で、NPO法人などが運営しています。被害者を守るため、原則として住所は公開されていません。

カウンセリングと法的支援

暴力を受けた人に適切なカウンセリングを行います。配偶者の接近禁止命令など被害者を守ることを中心とした法的支援を受けることができます。経済的に困窮したときでも弁護士への相談と委任ができる法テラスの利用も可能です。”          

DV加害者への対策と防止 

DV防止法は、被害者を保護するだけで終わりではありません。保護した後についてもさまざまな対策や支援が期待できます。

加害者への警告と制裁

先述したように、加害者へは「接近禁止命令」「退去命令」「親族等との接触禁止命令」が出されます。他にも「電話等禁止命令」によって乱暴な言動や面会要求、メール送信、名誉を害する告知などが禁止されます。これらを破った場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金という制裁を与えることも可能です。

加害者に対するカウンセリングと更生支援

加害者が暴力を繰り返さないよう、適切なカウンセングを実施します。脱暴力化を促しながら関与を続け、地域においてコントロールを行います。

離婚と慰謝料請求

DV加害者との離婚を希望する場合は、離婚の手続きが行われます。慰謝料の請求についても、弁護士に委任することが可能です。経済的に余裕がなくても、法テラスの利用によって弁護士への相談や委任ができます。

DV防止法とモラハラ

精神的なDVとしてモラハラがあげられます。具体的にはどのような状態を指すのか、定義や対策、見分け方などを紹介します。

モラハラの定義

モラハラとは、言葉などによって相手を虐待することです。正確にはモラルハラスメントと呼ばれるもので、目に見えない暴力であるために被害者本人も気づかない場合があります。例えば「お前はバカだ」などと人格否定をしたり収入のない(少ない)相手に高圧的な態度を取ったりする行為です。行動の制限や、自分の意思に反することをしたときに激怒するのもモラハラに含まれます。言葉や態度で相手を支配し、しいたげる行為がモラハラです。

DV防止法でのモラハラ対策

DV防止法では、モラハラに対しても保護の対象になります。配偶者の言動や制限によって精神的に辛いと感じているときは、保護を求めることが可能です。

モラハラの見分け方

夫の場合は、妻に生活費を渡さない、自立を阻止するなどの行動が見られます。妻の場合は、子どもに夫の悪口を話す、夫の収入や地位をバカにするなどがあげられます。男女ともに共通しているのは、相手の監視や行動の制限、無視などです。いずれも夫婦喧嘩による一時的なものではなく、継続的に行われているかどうかが見分けるポイントになってきます。

ハネムーン期とDV発症の兆候

ハネムーン期とは、主にモラハラを行う夫に対して使われる言葉です。一定期間やさしくなることをハネムーン期と呼びますが、決してモラハラが治ったわけではありません。配偶者をつなぎとめるための一時的なものです。ハネムーン期は、ストレスが発散できたり離婚を切り出されたりしたとき、普段の言動を謝罪するなどやさしくなります。

ハネムーン期の後は、配偶者の中で不満が少しずつ蓄積されていきます。そして、再び爆発し、ひどい暴言となって被害者を苦しめるのです。ストレスが発散されるなど何かのきっかけがあればハネムーン期に入りますが、物を投げるなどの暴力に及ぶ可能性もゼロではありません。

DV被害があれば弁護士に相談を

配偶者からの暴力は、立派な人権侵害です。生活に支障を及ぼすとともに、自尊心をうちのめされる要因にもなります。経済力がない場合でもあきらめてはいけません。シェルターや無料で相談できる機関など、子どもを抱えていても助かる道はあります。DV防止法を活用して配偶者の暴力から逃れ、1日も早く自立への道を歩みましょう。

一人で抱え込まず早い時期に弁護士に相談をして適切な対応をしていきましょう。

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難波みなみ法律事務所代表弁護士・中小企業診断士。幻冬舎「GOLDONLINE」連載第1回15回75回執筆担当。法的な問題には、法律の専門家である弁護士の助けが必要です。弁護士ドットコムココナラ弁護士ナビに掲載中。いつでもお気軽にご相談ください。初回相談無料(30分)。

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