コラム
更新日: 2024.05.23

パパ活で慰謝料請求できるのか?請求できる場合と慰謝料額の相場を解説|難波みなみ法律事務所

難波みなみ法律事務所代表弁護士・中小企業診断士。幻冬舎「GOLDONLINE」連載第1回15回75回執筆担当。法的な問題には、法律の専門家である弁護士の助けが必要です。弁護士ドットコムココナラ弁護士ナビに掲載中。いつでもお気軽にご相談ください。初回相談無料(30分)。

パパ活は、出会い系アプリの普及に伴い、近年増加傾向にあります。

パパ活は、不貞行為には該当しないと考えている人がいますが、大きな間違いです。

パパ活にもさまざまな種類がありますが、性的な関係を持てば、不貞行為として慰謝料請求の対象にもなりますし、離婚原因にもなります。

本記事では、パパ活で慰謝料を請求できるケースと、具体的な慰謝料額の相場について詳しく触れていきます。

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パパ活とは?

パパ活とは、若い女性が年上の男性とデートや性行為をすることで金銭的支援や物品を受ける活動を指します。

パパ活は、通常、女性側は経済的な支援を受け、男性側は若年の女性との時間を楽しむことを目的としています。

例えば、学生の女性が学費、生活費、又は遊興費を補うためにパパ活を行い、男性と食事に行ったり、時に性的な関係を持つケースがあります。パパ活は、専用のパパ活アプリや出会い系サイトを用いて出会うことが多くなっています。

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パパ活を理由に慰謝料請求できるケース

パパ活にもさまざまな種類があり、夫がパパ活を行えば常に慰謝料請求できるわけではありません。

パパ活の中でも、慰謝料請求できるケースを紹介していきます。

肉体関係があれば不貞行為になる

パパ活であっても肉体関係があれば、それは不貞行為として慰謝料請求が可能です。

性行為に対して経済的な対価を支払っているため、不貞行為にはならないと勘違いしている人もいますが、誤りです。

不貞行為とは、配偶者以外の人と性行為やこれに類似する行為を行うことです。たとえ、女性に対して対価を支払って経済的な支援をする目的があっても、妻以外との性行為を行えば、配偶者の貞操義務に反する行為ですので、不貞行為に該当することに変わりはありません。

長期間にわたりデートを繰り返している場合

長期間にわたりデートを繰り返している場合、慰謝料請求が可能なケースがあります。

パパ活が肉体関係を伴わない場合には、不貞行為には該当しません。例えば、パパ活相手と食事をしたりデートをしている事実は確認できるが、ラブホテルに入ったり、宿泊している事実までは確認できない場合、このパパ活を不貞行為であることを証明することは難しいでしょう。

しかし、パパ活が長期間にわたり行われ、多額の支出をしている場合には、夫婦の共同生活の平穏を害するものとして、慰謝料請求の対象になる可能性があります。

ただし、不貞行為には至っていない以上、不貞行為の場合の慰謝料よりも慰謝料額は低くなる傾向です。

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慰謝料が発生しないケース

パパ活での慰謝料請求が可能なケースがある一方で、慰謝料が発生しないケースも存在します。以下では、慰謝料が発生しない具体的な状況について説明します。

肉体関係がない

パパ活において、肉体関係がない場合には、基本的に慰謝料請求は難しいです。

単なるデートと食事だけでは、不貞行為と認められないからです。例えば、週に一度デートをしていたり、高額なお小遣いを渡していた場合でも、肉体関係がない限り不貞行為とはみなされません。

そのため、肉体関係がない場合には不貞行為が成立せず、慰謝料請求は基本的に困難です。

ただし、先ほど解説したように、パパ活が長期間行われたり、高額の物品の購入が行われている場合には、慰謝料請求の対象になる可能性はあります。

パパ活の時点で婚姻関係が破綻していた

不貞行為があったとしても、その時点で婚姻関係が既に破綻していた場合、慰謝料請求は難しくなります。

不貞行為の慰謝料請求が認められる理由は、不貞行為によって夫婦の共同生活の平穏を害するからです。そのため、パパ活の時点で既に婚姻関係が破綻している場合には、配偶者の不貞行為が婚姻関係に悪影響を与えたとは認められないため、慰謝料請求は認められません。

ただし、夫婦仲が悪い、家庭内別居しているといった程度では婚姻関係の破綻は認められません。

例えば、長期間にわたって別居生活をしている、離婚協議が具体的に行われている、離婚調停の申立てや離婚訴訟が係属しているといった場合などが、婚姻関係が破綻していると判断されることがあります。 

これらの状況では、配偶者がパパ活を行ったとしても、その時点で婚姻関係が破綻しているとして、慰謝料請求が認められない可能性があることを理解しておきましょう。

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パパ活相手に慰謝料請求するためには

パパ活相手の女性に対しても、慰謝料を請求することは認められます。ただし、慰謝料請求が認められるためには、次の要件を満たす必要があります。

故意・過失があった場合

パパ活相手に慰謝料を請求するためには、故意または過失があったことを証明する必要があります。

不貞慰謝料における故意とは、男性が既婚者であることを知っていることをいいます。

過失とは、男性が既婚者であることを知らなかったものの、知らなかったことに落ち度がある場合をいいます。

故意または過失は、様々な証拠資料に基づき証明しなければなりません。

例えば、次のような証拠が挙げられます。

LINEやアプリのメッセージ内容
・パパ活の回数や期間
・アプリの自己紹介文
・SNSのプロフィールや投稿内容
・知り合った経緯や共通の知人の有

LINEやアプリのメッセージにて、既婚者であることや既婚者であることを匂わせるやり取りがある場合には、故意過失の立証に繋がります。

また、共通の知人がいる場合には、共通の知人を通じて既婚者であることを知ることができる場合もあるため、故意過失の証明に役立つことがあります。

ただし、パパ活の場合、パパ活女性が、男性が既婚者であるか否かについて関心を持たないケースも多いため、故意過失の立証が困難となることもあります。

パパ活相手の氏名や住所を特定する

パパ活の慰謝料を請求するためには、まず相手の氏名や住所を特定する必要があります。 

パパ活相手の名前や住所を調べる方法を紹介します。

夫から氏名と住所を聞き出す

パパ活相手の氏名と住所を調べる方法として、夫から聞き出す方法があります。

夫がパパ活相手の名前や住所を知っている場合には、夫から聞き出すことを検討します。

ただ、パパ活の場合、パパ活当事者の関係性が希薄であることも多いため、夫が相手のフルネームや住所を知らないことはよくあります。また、仮に知っていたとしても、夫がパパ活相手の情報を開示しないこともよくあります。

パパ活相手から氏名と住所を聞き出す

夫がパパ活相手の情報を開示しない場合には、パパ活相手から直接聞き出す方法があります。

パパ活相手に対して、直接面談したり、電話やメールを通じて、パパ活相手の名前や住所を聞き出します。ただ、パパ活相手も、慰謝料請求を警戒して個人情報を開示しないことはよくあります。また、聞き出す際には、強要や脅迫にならないように十分に注意しなければなりません。

携帯番号から23条照会する

携帯番号を基に23条照会(弁護士会照会)を利用する方法があります。

23条照会とは、弁護士会を通じて、証拠の収集や事実調査のために、官公庁や企業などの団体に対して必要事項を調査または照会する制度です。

23条照会を用いれば、携帯電話の番号をもとに、契約者の氏名や住所を調べることができます。一部のキャリアによっては、開示を拒否することはありますので注意が必要です。

パパ活相手の勤務先を聞き出す

慰謝料請求の送付先は、自宅住所ですが、自宅住所が分からない場合には、就業場所に送付することも認められています。

そこで、夫やパパ活相手から就業場所を聞き出す選択肢もあり得ます。

ただし、勤務先に送付する場合には、相手方のプライバシーには十分に注意を払うべきです。

パパ活の内容を具体的に記載することを極力控え、相手方以外が開封しないように親展を付けたり、本人限定受取郵便で送付することも検討しましょう。

パパ活の慰謝料額の相場

パパ活を理由に慰謝料請求を行う場合、その額はケースバイケースで異なります。

具体的なケースごとにどの程度の慰謝料が発生するのか、その相場感を知っておくことは重要です。以下に状況別の相場を説明します。

別居や離婚の有無

パパ活によって夫婦が別居しているのか、離婚しているのかによって慰謝料額は大きく変動します。

離婚に至っている場合には、150万円から300万円程度とされることが多いと思います。離婚には至っていないものの、離婚調停や離婚裁判が係属している場合にも、同程度の慰謝料額となります。

離婚には至っていないものの、別居を開始している場合には、慰謝料額は120万円から150万円となる傾向です。

他方で、不貞行為となるパパ活があっても、夫婦が同居を継続している場合には、慰謝料額は100万円前後となる傾向です。

なお、いずれもパパ活が性行為を伴う場合を想定しており、性行為を伴わない場合には、慰謝料額は低くなる傾向です。

その他の慰謝料額の算定要素

慰謝料額の算定には、離婚や別居の有無だけで決まるわけではなく、それ以外の複数の要素が影響します。

例えば、次のような事情を考慮します。

増減の要素考慮方法
パパ活の期間長ければ長いほど高くなる
パパ活の回数・頻度多ければ多いほど高くなる
金銭の授受の有無と金額授受があれば高くなる、金額が高ければ高くなる
婚姻期間の長短長ければ長いほど高くなる
未成年の子供の有無や人数未成年の子供がいれば高くなる
反省や謝罪の有無反省や謝罪がなければ高くなる
パパ活相手の妊娠や出産妊娠や出産があれば高くなる

パパ活で慰謝料請求するには証拠が必要

パパ活を理由とした慰謝料請求が認められるためには証拠が不可欠です。

証拠がなければ、パパ活の事実を立証することが難しくなります。そのため、証拠収集に向けた計画をしっかり立てることが求められます。

パパ活の証拠

パパ活を証明するための証拠には、証明力の高いものから低いものまで様々あります。

パパ活の証拠としては、次のものが挙げられます。

  • 性行為の写真や動画
  • ラブホテルの入退出の写真や動画
  • 探偵の調査報告書
  • 性行為に関するLINEやアプリのメッセージ
  • 食事やプレゼントの領収書(レシート)

性行為の写真や動画、ラブホテルの入退出の写真等は、不貞行為を証明できる強力な証拠です。

他方で、食事やプレゼントの証拠は、パパ活の証明にはなりますが、性行為の証明には強力とはいえません。また、デートや食事の約束をしているメッセージについても同様に不貞行為の証明には直ちには繋がりません。

証拠を確保する方法

パパ活の証拠を確保する方法を紹介します。

ただ、証拠を確保したいあまり、無茶な方法に及んでしまうと、相手方のプライバシーを侵害したり、不正アクセス禁止法等の法令に抵触するリスクがあるため、注意してください。

探偵会社に依頼する

探偵会社に依頼することで、パパ活の確かな証拠を得ることができます。

すなわち、探偵会社に依頼すれば、カメラ機材や調査員を活用して、夫とパパ活相手を追跡し、ラブホテルへの入退出や宿泊の事実を調べることができます。

探偵社への依頼には費用を要しますが、肉体関係や頻繁なデートの実態を明確にすることができます。

LINEやメールを確認する

パパ活の証拠を得るためには、夫のLINEやメールを確認することが重要です。

例えば、LINEメッセージで、待ち合わせのラブホテルの情報を共有していたり、性行為の対価に関するやり取りが残されている場合には、不貞行為の証拠として有力です。

また、メールでの頻繁なやり取りや親密さを示す愛情表現のメッセージも証拠となります。

問題解決のためには、このような具体的なやり取りをしっかりと確認し、写真撮影をするなどして証拠を保全しておくことが大切です。

出会い系アプリ等のやり取りを確認する

出会い系アプリでのやり取りを確認することは、パパ活の証拠として非常に重要です。

出会い系アプリでは、パパ活の条件を交渉するやり取りが残されていることがあります。これらのやり取りを確認できれば、写真や動画を撮るなどして証拠を保全しておきましょう。

パパ活の慰謝料請求の手続き

パパ活を理由に夫や浮気相手に対する慰謝料請求の流れを解説します。無計画に進めてしまうと、本来得られるべき慰謝料額が認められなくなる可能性があるため、注意を要します。

慰謝料請求の通知をする

まずは、パパ活を理由とした慰謝料請求をすることから始めます。

口頭でも慰謝料請求はできますが、慰謝料請求の内容が相手方に伝わらなかったり、事後的に請求した内容を証明することができません。

また、メールやLINEで慰謝料請求を通知することもできます。しかし、メールやLINEでは、請求側の本気度が伝わりにくく、相手方が請求を無視するなど不誠実な対応を取ることがあります。

そこで、請求した内容や日時を証明できる内容証明郵便を用いた書面の送付により行います。

慰謝料の話し合いをする

慰謝料請求をした後、夫や不倫相手との間で話合いを行います。

不倫相手が性行為を否認したり、故意・過失を認めない場合には、これらを裏付ける客観的な証拠を提示するなどして、相手方の翻意を促します。

不貞行為等を認める場合には、慰謝料額の協議を進めます。慰謝料額が高くなる理由を論理的に説明し、慰謝料額の調整を図ります。

協議の甲斐なく合意に至らない場合や相手方が請求を無視する場合には、次のステップに進めていきます。

合意できれば合意書を作成する

慰謝料額やその他の条件を調整できれば、合意内容を明確にした合意書を作成します。

合意は口頭でも成立しますが、書面を作成しなければ合意内容を事後的に証明することができません。

出来る限り合意内容を単純化し、誰の目から見ても分かるような明瞭な内容の文書を作成するように心がけます。

相手方の支払い条件が、一括払いではなく分割払いになる場合には、すぐに強制執行できるように、強制執行認諾文言付の公正証書を作成することがあります。

訴訟提起をする

相手方の協議が難航する場合には、訴訟提起をすることになります。

訴訟手続では、裁判官が手続を主宰しながら、当事者双方が主張と反論を繰り返し行うことで審理を深めていきます。

ある程度の審理が進めば、裁判官から和解の提案がなされます。多くの不倫事案では和解により解決します。裁判上の和解協議を経て合意に至れば、裁判上の和解が成立します。

他方で、裁判上の和解が成立できない場合には、尋問手続を経て判決手続となります。

パパ活の慰謝料問題は弁護士に相談を

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パパ活の慰謝料請求には、パパ活が肉体関係を伴う不貞行為であることが必要であり、これを証明しなければなりません。しかし、証拠の確保には、時に専門的な知識や経験が必要となります。

また、夫やパパ活相手との交渉には、大きな心理的な負担を伴い、精神的な苦痛をさらに大きくさせます。さらには、パパ活相手の住所を調べるにあたっては、弁護士に依頼しなければならないケースもあります。

そこで、パパ活の慰謝料請求を進めるにあたっては、弁護士に相談しながら、進めていくことが得策です。

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