コラム
最終更新日:2024.01.06

労働審判を労働者に有利に進めるためには|労働審判の流れやメリットを解説

労働トラブル 労働審判とは 労働者が有利に進めるための注意点

労働問題を解決する方法はいくつかあります。その中でも、早期に解決できる裁判所の手続が労働審判です。

労働審判は、不当解雇の問題や残業代請求の問題等の労使間の労働問題を迅速に解決することが期待できます。ただ、スピードを重視するため、十分な審理をすることができません。

労働審判において、労働者が有利に進めていくためにはいくつかの注意点があります。特に、申立ての時点で、十分な主張と証拠の提出をすることが非常に重要です。

労働審判にはメリットやデメリットがあります。今回の記事では、労働審判のメリットやデメリット、労働審判の流れを解説します。

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労働審判とはどんな手続きか?

労働審判の手続は、2004年に成立した労働審判法によって開始された比較的新しい制度です。

労働審判とは、裁判官と労働審判員2名で構成される労働審判委員会が、労働者と使用者の仲裁をするなどして、労使間の紛争を円滑に、かつ、適切に解決させるプロセスです。

2020年の労働審判の件数は、3907件であり、3960件である訴訟事件の件数とほぼ同数となっており、労働審判は労働問題を解決する手段として、よく利用されている手続といえます。

訴訟との違い

労働審判と似た手続に訴訟手続があります。いずれも裁判所の手続である点で共通しています。

しかし、訴訟手続では、原告と被告の双方が、主張と反論を何度も繰り返すなど慎重な審理が予定されています。そのため、訴訟手続では、審理期間が1年を超えることが多くなど長期になることが多いです。

労働審判では、3回の審判期日内で解決を目指すため、審理は訴訟ほど慎重に行われません。

あっせんとの違い

労働紛争を解決するプロセスには、あっせんがあります。

あっせんとは、紛争調整委員会等が労使間を仲裁し、話し合いによる解決を促すプロセスです。あっせんには、労働局のあっせん、労働委員会のあっせん、社労士会や弁護士会によるあっせんがあります。

いずれのあっせん手続も、労使間の話し合いによる解決である点で共通しています。しかし、使用者側は、あっせん手続に参加する義務を負いません。そのため、あっせんの紛争の解決力はそこまで高くはありません。

他方で、労働審判は、使用者側が裁判所からの出頭命令に反すると、5万円以下の罰金が科される場合があります。また、裁判官による強い説得が行われることも多いため、紛争解決力は高いといえます。

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労働者が有利に進めるための注意点

注意点
警告

労働者が労働審判を有利に進めるためには、いくつかの注意点を踏まえる必要があります。弁護士を代理人に就けた上で適切に手続きを進めていきましょう。

早期に有利な事実を主張し、証拠を提出する

申立ての時点で必要な主張をした上で、必要となる証拠を提出する必要があります。

労働審判は、審判期日の回数が3回に限定されており労働訴訟と比べて早期の解決を実現させるプロセスです。そのため、労働審判の審判期日の大部分が裁判所を通じた話し合いとなります。つまり、労働審判では、主張と反論をする機会がそれほどありません。

話合いを有利に進めるためには、労働審判の申立ての時点で、予想される使用者側の反論も含めて主張と立証を尽くす必要があります。

弁護士に依頼することで、申立ての時点で、想定される争点を整理した上で、適切に主張と立証をすることが可能となります。

裁判所の質問に対して端的に回答する

裁判所の質問に対して、端的に回答することが重要です。

労働審判では、第1回目の期日から、裁判官や労働審判委員から事情の聴き取りが行われます。裁判官は、申立書や証拠の内容に加えて、審判期日の回答内容を踏まえて、心証を形成させます。

その上、労働審判の審判期日の時間は限られています。裁判官は労働者だけでなく使用者からも事情を聴きとります。そのため、労働者から事情を聞き取れる時間はそれ程長くありません。

したがって、労働審判の期日において、裁判所の質問に対して、関係のない回答をせずに端的に回答することが重要です。そのためにも、あらかじめ想定される裁判官の質問を検討し、シミュレーションをすることが重要です。

使用者側の資力や訴訟の見通しを踏まえる

使用者の収入や資産、訴訟に移行した場合の見通しを踏まえて、最終的な解決内容を決めるべきです。

労働審判は、労使間の話し合いを裁判所が仲裁する手続きです。話合いができない場合には裁判所から審判が出されます。そのため、話し合いによる早期解決を実現するためには、労働者側にも一定程度の歩み寄りが求められます。

労働者側の譲歩が一切できない場合には、労働審判による早期解決は図れません。逆に、労働者側が必要以上に歩み寄りをすることも適切ではありません。

歩み寄りをする際には、訴訟手続きに移行した場合に見込まれる解決期間や想定される判決の内容、使用者の経営状況や資産状況を踏まえ、実現可能性のある解決内容を提示するように心がける必要があります。

弁護士に依頼することで、訴訟の見通しや使用者側の状況を踏まえながら、適切に交渉を進めることができます。

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労働審判の特徴

労働審判の件数の推移、審理期間、解決方法を紹介します(裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第9回))。

申立ての件数

労働審判は、平成18年4月に始まった新しい制度です。平成21年頃に申立件数が急増し、その後3500件前後で推移しています。

審理期間

令和2年の労働審判の審理期間は107.5日となっています。新型コロナの影響もあり、令和1年の審理期間(80.7日)よりも長くなっているようです。

審理期間の内訳は以下のとおりです。

審理期間の内訳

1か月以内 2.2%

1か月を超え2か月以内 17.3%

2か月を超え3か月以内 25.4%

3か月を超え6か月以内 44.5%

6か月を超える場合 10.6%

参照|裁判の迅速化に係る検証に関する報告書(第9回)

解決方法

労働審判手続には、話し合いによる解決、労働審判を出すことによる解決があります。

話し合い(調停)により解決の割合は、68.1%となっており、半分以上が話し合いにより解決していることがわかります。話し合いによる解決ができず、労働審判が出される割合は16.2%となっています。そのうち、57.1%が異議申立てがあり通常の訴訟に移行しています。

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労働審判を利用するメリットとデメリット

労使間の問題を解決させるプロセスは複数あります。その中でも労働審判は、訴訟手続と同程度に利用されているプロセスです。これは労働審判を利用するメリットがあるからです。

早期の解決ができる 

労働審判の最大の特徴は、早期に紛争を解決できることです。訴訟手続であれば、その平均審理期間は15.9か月となっており、1年を優に超えています。労働審判では、2か月から半年以内で解決する割合が70%程となっており、早期に解決できる手続であることが分かります。

労働問題に精通する専門家が参加する

労働審判では、裁判官に加えて、労働問題に詳しい労働審判委員の2人が参加して手続を進めます。

労働審判委員は、使用者側の立場の委員と労働者側の立場の委員で構成されており、中立公正な判断が行われます。

このように労働問題に精通する労働審判委員会により、紛争の実態に応じた適切な解決が図られます。

口頭による説明が重視されている

労働審判では、審判の期日が限られているため、口頭により事情や主張を説明することが主となっています。訴訟手続では、準備書面や客観的な証拠の提出を通じて、主張や反論を行うことが主となっており、大きく違います。

労働審判は、当事者本人の出席も求められており、当事者本人が直接裁判官に言い分を述べる機会が与えられています。

異議申立てされると解決できない

労働審判委員会は、早い段階で当事者双方に解決案を示します。大部分のケースでは、裁判所の調停案を受け入れて解決します。しかし、調停が成立しない場合には、労働審判を出すことになります。使用者が労働審判から2週間以内に異議申立てをせずに労働審判を受け入れた場合には、審判は確定します。

しかし、使用者側がこの労働審判を受け入れず異議申立てをすれば、手続は訴訟手続に移るため紛争は長期化してしまいます。

労働審判の流れや進め方

労働審判を申立てる準備、申立てから解決までの各プロセスを説明します。

申立書や証拠の準備

労働審判の申立てを行うためには、申立書や主張を裏付ける証拠、証拠説明書を提出する必要があります。

申立書には、請求する内容、請求の根拠となる事実関係や主張を記載します。

そのほか、請求額に応じた印紙代と郵便切手代(2000円前後)を納める必要があります。

労働審判を申立てる

地方裁判所に労働審判の申立てをします。

労働審判の申立てを受理されると、第1回目の審判期日が指定されます。使用者側に既に代理人弁護士が就いている場合には、相手方の日程も踏まえながら日程調整を行います。

第1回期日は、申立てから40日以内に指定されますが、相手方や裁判所のスケジュールの関係で、40日以降の日程が指定されることもあります。

TIPS!管轄の地方裁判所
申立てをする地方裁判所は、会社の本社か労働者が勤務していた事業所の住所地を管轄する裁判所となります。裁判所には支部がありますが、労働審判は、各都道府県の本庁に対して行います。

審判期日を実施する部屋

裁判官、審判委員2人、申立人(労働者)、相手方(使用者代表者)がラウンドテーブルを囲む形で同席します。

そのため、労使間が同じ室内で質疑応答を進めることになります。

第1回期日の流れ

第1回期日までに使用者側から申立書に対する反論文である答弁書が提出されます。

第1回期日では、裁判官が申立書と答弁書の内容を踏まえて、労働者側と使用者側に質問をしていきます。労働者と使用者の同席の下で、裁判官や労働審判委員からそれぞれに対して質問が行われます。

各人あたり、30分ほど質疑応答が行われます。

裁判官等の質問を通じて争点を絞り込み、次回の審判期日までの課題を明確にします。

早ければ、第1回期日から、話し合いの打診、和解協議、解決案の調整が行われることも多くあります。

その場合、片方の当事者を退室させた上で、裁判官から解決に向けた話し合いの提案が行われます。

第2回期日まで

初回期日において、裁判所から主張書面や証拠の追加提出を求められた場合には、次回の期日までにこれらの書面を準備します。また、裁判所から和解案に関する打診があれば、これを検討するようにします。

第2回期日以降

第2回期日以降では、初回期日のような詳細な聞き取りはあまり行われません。

審判期日に制限があるため、期日の冒頭から、当事者方法が入れ替わる形で、労働審判委員会を通じて和解協議を行います。

労働審判委員会は、訴訟に移った場合の見通しを示した上で、双方に対して強く和解による解決を促します。

調停の成立

裁判所による和解協議の結果、合意に至れば調停が成立し、紛争は解決されます。

調停による場合、支払方法(分割や一括、支払時期)の点で柔軟な解決を図ることができます。

労働審判

話し合いの機会を経ても合意に至らなければ、労働審判委員会は労働審判を下します。労働審判では、裁判所が一刀両断的な形で終局的な判断を示すため、柔軟な解決が難しくなります。

労働審判の言い渡しから2週間以内に異議申立てがされなければ労働審判は確定します。異議申立てが行われると、訴訟手続に移ることになります。

労働審判の対象となる紛争

労働審判の対象となる紛争は、労使間の個別の労働紛争です。

労働審判法第1条

労働契約の存否その他の労働関係に関する事項について個々の労働者と事業主との間に生じた民事に関する紛争

賃金トラブル

賃金トラブルの代表は、未払いの残業代請求です。

サービス残業が横行し、使用者から残業代が支払われていないケースは多数あります。

ただ、残業代には時効があるため、残業代が消滅時効により消えてしまう前に速やかに権利を行使しましょう。令和2年4月以降の残業代の時効期間は3年です。それよりも前の残業代の時効期間は2年ですので注意しましょう。

雇用トラブル

雇用トラブルで最も多いのは不当解雇の問題です。

解雇は最も重い処分ですので、従業員を解雇するには、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当といえることが必要です。

このような条件を満たさない解雇は不当解雇として無効となります。

不当解雇を受けた場合には、解雇の無効を主張し、給与の請求等を行います。

パワハラを含む労働トラブル

上司や同僚からパワーハラスメントを受けた場合、従業員はその上司等に対して損害賠償請求をすることができます。また、会社に対しても、使用者責任として損害賠償を請求できます。

ただ、労働審判は、使用者を相手方とする手続ですので、パワハラを行う社員を相手方として労働審判の申立てはできません。

労働審判における弁護士の活用メリット

労働審判では、代理人弁護士を就けずに行うこともできます。

しかし、申立人となる労働者の大半は、弁護士を就けています。90.8%の割合で弁護士が代理人となっています。

申立てを一任できる

労働審判の申立手続きを一任できます。

弁護士は法律の専門家です。労働審判は、早期に解決させる手続ですから、申立ての時点で効率よく法的な主張や立証をすることが求められています。

労働者個人は法律の知識に乏しいことが多いでしょうから、弁護士に依頼することで、労働審判の申立てを適切に行うことができます。

労働審判当日の対応を任せられる

労働審判の当日、弁護士が労働者に帯同し、裁判官等の質疑応答に適切に対応することができます。

労働審判の当日、労働者本人も裁判所に出席する必要があります。しかし、弁護士を代理人に就けておくことで、弁護士も同席することができます。また、裁判官や審判委員からの質疑応答の補助を受けることもできます。

有利な条件で協議できる

労働者個人の利益を最大化できるよう、弁護士が使用者側と協議します。

労働者個人は、労働法や裁判実務について専門的な知識や経験を持っていないことがほとんどです。そのため、自身にとって有利か不利かの判断をすることも簡単ではありません。

弁護士を代理人に就けることで、依頼者である労働者の利益を最大限実現できるように専門的な知見を駆使します。

労働審判の申立ては弁護士に相談を

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労働審判は、行動によるやり取りが多いとしても、的確に法的な主張立証を早期に行わなければ、有利に話し合いを進めることができません。

自身に有利な内容で解決できるよう弁護士に早い時期に相談しましょう。

当事務所では、労働審判を含め多くの労働問題を取り扱っています。

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難波みなみ法律事務所代表弁護士・中小企業診断士。幻冬舎「GOLDONLINE」連載第1回15回75回執筆担当。法的な問題には、法律の専門家である弁護士の助けが必要です。弁護士ドットコムココナラ弁護士ナビに掲載中。いつでもお気軽にご相談ください。初回相談無料(30分)。

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