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【弁護士解説】再婚して子供が産まれた場合に養育費を減額できるのか?

4人家族

離婚をする際には、子供の親権者を決めなければなりません。

その上で、親権者とならなかった親は、親権者となった親に対して養育費を支払う約束をすることが多いでしょう。

しかし、離婚の際には予期していなかった事情が離婚後に生じてしまい、離婚時に約束した養育費を払えなくなることがあります。

特に、再婚したり、子供が産まれる等した場合、養育費を減らすことはできるのか?という問題が生じます。

このような場合には、養育費を減額できる可能性があります。

今回のコラムでは、再婚+子供の出生を含めた事情の変更により養育費の減額が認められるのかについて解説します。

養育費とは

養育費とは何か?

養育費とは、未成熟な子供が経済的・社会的に自立するまでの間に必要となる子供の生活費のことをいいます。

養育費は、親の子供に対する扶養義務を根拠に発生します。

養育費の計算方法

養育費を簡易的に算出する場合に用いるのが、養育費算定表です。

養育費算定表は、裁判所のホームページで公開している表です。

算定表の見方は?

算定表をみると、縦軸に義務者(支払う人)の収入、横軸に権利者(受け取る人)の収入が書かれています。

各軸には、自営と給与という項目の二つに分かれています。

自営とは、個人事業主をしている方の所得額、給与とは、会社員や公務員の給料の総支給額を差しています。

支払う人と受け取る人の収入の種類と金額に応じて養育費の金額を導きます。

算定表開設
引用 養育費・婚姻費用算定表(裁判所)

つまり、縦軸の収入額に該当する箇所から水平線を引きます。

次に、横軸の収入額に該当する箇所から垂直線を引きます。

水平線と垂直線が交差する点が養育費の金額となります。

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養育費の決め方

子供の養育費について、父母の協議によりその具体的内容を決め、その内容を定めた合意書や公正証書を作成します。

父母の協議を尽くしても、養育費の具体的な内容を決めることができない場合には、養育費の支払いを求める調停の申し立てを行います。

調停手続により具体的な内容が確定すれば、調停が成立します。

仮に、調停手続を通じても養育費の内容が合意に至らない場合には、審判手続に移行します。

審判手続では、当事者による話し合いという要素が弱くなり、裁判官の判断により養育費の内容が示されます。

養育費の減額ができる場合とは

簡単には減額できない

調停や審判により養育費の内容が定められた場合、この調停や審判の内容は、確定判決と同じ効力を持ちます。

また、公正証書であっても、強制執行を可能とする文言を含む場合には、判決と同様に執行力を持ちます。

さらに、調停や公正証書がない場合でも、夫婦間の合意書や口頭による約束でも、法的な効力はあります、つまり、それぞれは合意の内容に縛られます。

そのため、一度決められた養育費の金額を減額できないのが大原則です。

事情の変更があれば例外的に減額できる

しかし、離婚当時に予想していなかった事情が離婚後に生じ、離婚時に決めた養育費を維持することが相当ではなくなる事態は生じることがあります。

しかし、養育費の負担者や権利者にとって、その生活状況にほとんど影響を及ぼさないような軽微な事情の変更でも養育費を減額できるとなると、安定して養育費を受け取ることができなくなります。

そこで、養育費の減額は、養育費が決まった時点で、予想できなかった、相当ではない程に重要な事情の変更が生じる場合にすることができると考えられています。

そのため、軽微な事情の変更では減額されず、また、養育費が決まった時に予想できたような事情であれば、たとえ重要な事情であったとしても、減額の対象にはなりません。

細かい養育費の計算方法

先程は養育費算定表を用いた養育費の概算を算出する方法を解説しました。

しかし、養育費算定表では、ざっくりした金額しか導くことができません。

『6〜8万円の真ん中辺りなので、7万円前後』といった具合です。

しかし、細かい金額を算出したり、後述する『再婚+子供が増えた』ケースにおいて養育費を計算するような場合には、養育費算定表だけでは十分ではありません。

その場合には、基礎収入割合と生活費指数などを用いた計算方法により算出する必要があります。

①義務者の基礎収入×②子供の生活費指数÷(子供と義務者の生活費指数の合計)×義務者の基礎収入/義務者と権利者の基礎収入の合計

基礎収入を計算する

養育費算定表では、給与所得であれは源泉徴収票等の支払金額を、事業所得であれば、申告書上の所得額に各控除額等を加減した金額を算定表に当てはめました。

しかし、細かい金額を算出する場合には、先程の総支給額や所得額に各控除額を加減した金額に基礎収入割合を掛けることで基礎収入というものを算出します。

基礎収入割合

例えば、養育費を支払う人がサラリーマンで給料をもらっており、源泉徴収票の支払金額が500万円の場合、210万円が基礎収入となります。

【計算式】

500万円×42%=210万円

生活費指数

基礎収入を計算できたら、次は生活費指数を用います。

生活費指数とは、成人が必要とする生活費を「100」とした場合に、子供が必要となる生活費の割合を定めたものです。

成人である親の生活費指数を「100」とすると、15歳未満の子の生活費指数は「62」

15歳以上の子の生活費指数は「85」となります。

養育費を負担する親と子供の生活費指数の合計のうち子供の生活費指数が占める割合を基に養育費の金額が導き出します。

権利者の収入を考慮する

養育費を受け取る権利者にも収入がある場合には、その収入を考慮する必要があります。

基礎収入に生活費指数の割合を掛け算した後、義務者と権利者の基礎収入の合計額のうち、義務者の基礎収入が占める割合を掛けることで、義務者が負担するべき養育費の金額が算出されます。

実際に計算する

義務者の基礎収入が210万円

子供が10歳

養育費を貰う権利者の基礎収入が100万円の場合

【計算式】

210万円×62/162(100+62)=803,703円

803,703円×210万円/310万円(権利者と義務者の基礎収入の合計)=54.4万円

54.4万円÷12月=4.53万円

重要な事情の変更とは?

では、どのような事情の変化であれば、養育費を減額できる重要な事情の変化と言えるのでしょうか?

収入が減額した場合

養育費は父母双方の収入によって算出されます。

そのため、養育費を支払う側の収入が減額したのであれば、養育費を計算する大前提に変化が生じたことになります。

しかし、養育費の決定時と比べて僅かな収入減だけでは減額の対象とはならず、仮に大幅な収入減であったとしても、審判においては、養育費算定表通りの金額まで減額されないこともあります。

そのため、養育費の減額をする場合には、できる限り当事者間の協議や調停手続を通じた話し合いにより、養育費算定表通りの金額まで減額できるように努めるべきでしょう。

【参考 山口家審平成4年12月16日】

離婚調停後に義務者の収入が3分の1まで減少した上、再婚して2人の子供が産まれた事案において、義務者である父が受取人である母に対して、3人の子の養育費を減額調停申立てをしたところ、1人当たり3万5000円を3万円に減額された。

義務者が再婚した場合

次に本コラムのテーマである再婚した場合の養育費の減額についてです。

再婚後に子供が産まれたか、産まれていないかに分けて検討します。

子供がいない場合

離婚成立後に再婚したものの、子供がいない場合には、再婚のみを理由に養育費の減額を求めることは難しい可能性が高いでしょう。

仮に、再婚相手が無職で、養育費を負担する人の扶養に入っていたとしても、それだけでは養育費の減額理由にはなりにくいでしょう。

なぜなら、再婚相手が無職であったとしても、働こうと思えば働いて、一定程度の収入を得ることができると考えることができるからです。

ただ、再婚相手が病気等の理由により働きたくても働けないような特別の事情があれば、再婚相手の生活費指数を考慮に入れて養育費を計算することもあるでしょう。

ただ、再婚相手の生活費指数は大人の100ではなく、15歳以下の62で計算します。

【計算式】

義務者の基礎収入×子供の生活費指数/(義務者の生活費指数+再婚相手の生活費指数指数62+子供の生活費指数)

子供が産まれた場合や養子縁組した場合

離婚後、再婚した上で、新たに子供が産まれた場合や再婚相手の連れ子と養子縁組した場合には、義務者が扶養するべき対象が増えるため、重要な事情の変更に該当するものといえます。

その上で、再婚相手に収入がある場合とない場合で計算方法が分かれます。

再婚相手に収入がない場合

この場合には、再婚相手との間で生まれた子供の生活費指数を考慮して養育費を計算します。

【計算式】

義務者の基礎収入×子供の生活費指数/(子供の生活費指数+再婚相手との子供の生活費指数+義務者の生活費指数)=子供の生活費

養育費の金額=子供の生活費×義務者の基礎収入/義務者と権利者の基礎収入の合計

例えば、

義務者である父の基礎収入300万円

権利者である母の基礎収入120万円

前妻の子供が16歳

再婚相手の子供が2歳

【計算式】

300万×85/(85+62+100)×300万/420万=737,420円

737,420円÷12月=61,451円

再婚相手が健康上の理由で働けない場合や子供が幼く保育園に入れることも難しい場合には、再婚相手の生活費指数を考慮して計算することもあります。

再婚相手の生活費指数は62とします。

先程の例で言うと、

300万×85/(85+62+62+100)×300万/420万=589,459円

589,459円÷12月=49,121円

再婚相手に収入がある場合

再婚相手にも収入がある場合、再婚相手の収入によって、子供の生活費の一部が支払われているといえます。

そのため、再婚相手との子の生活費指数は、義務者と再婚相手との収入比によって修正されます。

例えば、

再婚後の子供が3歳

義務者である父の基礎収入 450万円

再婚相手の基礎収入 150万円

62×450/600=46.5

となります。

これを踏まえて、養育費を計算していきます。

例えば、

再婚後の子供が3歳

前妻の子供 16歳

義務者である父の基礎収入 450万円

再婚相手の基礎収入 150万円

権利者である母の基礎収入 120万円

【計算式】

450万円×85/(85+100+46.5)×450/570万=1,304,421円

1,304,421÷12月=108,701円

計算結果とは異なる判断も

上記の計算方法により算出される養育費が、減額後の養育費として当然に認定されるわけではありません。

再婚後に子供が産まれた事情に加えて、個別のさまざまな事情を考慮しながら、養育費の金額が決定されます。

そのため、計算式により算出される養育費に近づくよう、できる限り当事者間の協議や調停手続を通じて話し合いを進めていくことが重要です。

養育費が減額される始期

養育費が減額されるのは、いつからなのでしょうか?

重要な事情の変化が生じたか否かは、養育費を受け取る側からすれば、簡単に知ることはできません。

そこで、養育費が減額される開始時期は、養育費減額を求める意思表示をした時からとされています。

養育費減額を求める意思表示をした時期が判然としない場合には、養育費減額の調停申立てをした時が減額の始期とされることが多いでしょう。

養育費減額のための手続

養育費を減額する必要のある重要な事情が生じた場合、それだけで当然に養育費が下がるわけではありません。

養育費減額のための手続を解説します。

まずは、当事者で協議する

養育費を減額する事情が生じたら、いきなり調停の申立てをするよりも、まずは相手方に対して、養育費の減額を依頼します。

内容証明郵便等により、養育費の減額を求める通知書を送付することが一般的です。

いきなり内容証明郵便を送付すると、相手も身構えてしまうため、相手方との関係性を踏まえて、LINEやメールによりソフトに養育費の減額を依頼しても良いかもしれません。

公正証書を作っておく

もし相手方との協議の結果、養育費の減額について合意できれば、必ず合意書は作成しておきましょう。

養育費の支払いは、長期間に及ぶことも多いため、養育費の内容が曖昧なままだと、問題が起きがちです。

そのため、相手方の合意内容を記した合意書を作成しておきます。

また、合意内容を公正証書にしておくことが肝要です。

特に、養育費の受取人側からすれば、単なる合意書よりも公正証書にしておくことは、養育費の回収をより確実なものにできます。

公正証書は、公証人の面前で作成される公文書で、信用性の高い文書です。

その上、公正証書の中に強制執行を認める文章を設けることで、判決や審判を得るための裁判手続をすることなく、差押え等の強制執行を進めることができます。

調停の申立てをする

当事者の協議が進まない場合には、家庭裁判所に対して調停の申立てをします。

申立てをする家庭裁判所は、相手方の居住地を管轄する裁判所となります。

法律上最初から審判の申立てをすることもできますが、裁判官の判断により調停手続に付する判断がなされることがほとんどです。

調停手続とは?

調停手続とは、家庭裁判所の調停委員の仲裁により、当事者間で話し合いを進めていく手続です。

3回から5回ほど調停手続を行い、養育費に関する条件の調整ができれば、調停が成立します。

調停が行われる日(調停期日)は1ヶ月半から2ヶ月に一回の頻度で行われます。

調停期日の当日

調停手続が行われる当日、養育費の減額を求める申立人とその相手方は、双方が対面しないように、異なる時間(例:申立人は10時、相手方は10時20分)に家庭裁判所に出向き、それぞれ別々の待合室で待機します。

調停委員(男女2人)が在室する調停室に、申立人と相手方が交代で入室します。

当事者のうち一方が入室すると、調停委員が調停事件に関係する事情一切を聴き取りします。

当事者の一方がその言い分を一通り話し終えると、専用の待合室に戻ります。

待合室に戻ると、他方の当事者が調停室に入室し、言い分を述べたり、調停委員から事情の聴き取りをされます。

これを一回の期日につき2〜3回行い、次回の調停期日が決まると、その日の調停期日は終了します。

次回の調停期日までにそれぞれの言い分を書いた主張書面や証拠を提出し、問題なっている事項を解決していきます。

何回かの調停期日を経て、養育費の金額や条件について調整ができれば、調停が成立します。

審判に移行することも

調停が不成立となれば、審判手続に移行します。

審判では、調停手続のような話し合いの要素は弱く、裁判官が、当事者の提出した主張書面や証拠に基づいて、適正な養育費の金額を判断します。

弁護士に相談しましょう

養育費の計算には複雑な計算過程を要します。

また、養育費の計算結果がそのまま減額された養育費として認定されるわけではなく、様々な事情に基づいた法的な判断を経て減額後の養育費が認定されます。

養育費の減額を求めたい場合には、まずは弁護士な相談してみましょう。

当事務所では初回相談30分を無料で実施しています。

面談方法は、ご来所、zoom等、お電話による方法でお受けしています。

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