コラム
最終更新日:2023.07.25

性格の不一致で離婚できるのか?性格の不一致と離婚の流れを弁護士が解説します

離婚問題 性格の不一致 離婚原因となるのか

離婚調停や離婚訴訟において、離婚原因として性格の不一致や価値観の相違が主張されることは多くあります。

性格の不一致や価値観の相違だけでは離婚原因になりにくいでしょう。

離婚原因は、客観的な資料を基に証明する必要があります。しかし、性格の不一致や価値観の相違は、第三者からすると判断しにくい主観的な事情であるからです。そのため、性格の不一致を理由に離婚するためには、離婚協議や離婚調停等のプロセスを通じて、離婚条件の話し合いを十分に尽くすことが重要となります。

本コラムでは、性格の不一致について解説していきます。

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性格の不一致は離婚原因になるのか?

夫婦が合意すれば、性格の不一致で離婚することはできます。

しかし、夫婦の一方が離婚することに反対すれば、離婚原因がなければ離婚できません。そのため、性格の不一致が離婚原因となるのかが問題になります。

離婚原因とは?

離婚原因とは、民法で規定された夫婦が離婚できる理由や原因を指します。

民法では、離婚原因として、以下のような事由を列記しています。

配偶者に不貞な行為があったとき。
・配偶者から悪意で遺棄されたとき。
・配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
・配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
・その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

相手方が離婚に応じない場合に、離婚を求める配偶者がこれら離婚原因が存在する事を主張立証しなければなりません。

そのため、相手方が離婚に応じる場合には、これら離婚原因の立証は求められません。

性格の不一致や価値観の相違は、先程紹介した離婚事由のうち、不貞行為、悪意の遺棄、生死不明、強度の精神病のいずれにも該当しないことは明らかです。

そのため、性格の不一致が離婚事由となるためには、婚姻関係を継続し難い事由と言えることが必要となります。

婚姻関係を継続し難い事由とは?

婚姻を継続し難い事由とは、夫婦関係が深刻に破綻して夫婦としての共同生活を維持できなくなるような事情とされています。

暴力や暴言等の継続的なDV、長期間にわたる別居は、この継続し難い事由に該当し得ます。

ただ、継続し難い事由にあたるかについては、不貞行為のような分かりやすい基準はありません。

そのため、さまざまな事情を組み合わせて総合的に評価して判断することになります。

具体的には、以下の事情を考慮して判断します。

婚姻中の当事者双方の行為、態度、
②婚姻継続の意思の有無、
③子の有無・状態
④双方の年齢
⑤別居の有無、その期間の長短

性格の不一致を理由に離婚するためには

性格の不一致それ自体では、離婚原因にはなりにくいのが現状です。

ただ、性格の不一致の内容や程度、性格の不一致を原因とした問題行為やそれによって生じた結果等から、婚姻関係を継続できない重大な事由に該当する場合もあります。

具体的なエピソードを挙げる

主観的に性格が合わない、価値観が違うといった程度では離婚事由に当たりません

当事者がいくら性格の不一致や価値観の相違を訴えかけても、第三者である裁判官にはそれを判断することはできません。

性格の不一致や価値観の相違などを主張したいのであれば、抽象的に性格の不一致等を述べるだけでなく、どのような点で性格の不一致と考えるのかを具体的なエピソードを挙げながら主張しなければなりません。

婚姻関係の修復の努力を尽くしてきたこと

夫婦と言えども、それぞれ生まれ育ってきた環境は通常異なるものです。

そうすると、夫婦間で生活様式や価値観などが異なることはいわば当然のことと言え、価値観等に大なり小なり相違があることは予定されているといえます。

そのため、夫婦はそれぞれに異なる部分があっても、話し合いながら、互いに譲れる部分があれば譲り合いながら夫婦関係を維持していく努力が求められます。

しかし、夫婦関係の維持のための努力の甲斐もなく、深刻な性格の不一致や価値観の相違により夫婦関係の破綻が深まれば、離婚原因になり得ます。

客観的な証拠で裏付ける

性格の不一致を離婚事由としたい場合、性格の不一致に関連する具体的なエピソードを主張した上で、これによって夫婦関係が修復できない程度に壊れてしまったことまで主張することが必要です。

さらに、性格の不一致の具体的なエピソードとこれによって夫婦関係が壊れたことを客観的な証拠によって裏付けられることが理想です。

客観的証拠とはどのようなものか?

性格が合わない、価値観が違うといった事情はとても主観的な事情です。

性格の合うのか合わないのかは、一見しても分かりません。

その上、多くの夫婦は、多かれ少なかれ価値観や生活様式の違いを感じます。

そのため、性格の不一致によって夫婦関係が破綻したことを説明することも非常に難しいことが多いでしょう。

つまり、性格の不一致や価値観の相違それ自体を証拠によって直接証明することは通常できないと考えるべきです。

そのため、同居期間中に生じた具体的なエピソードを客観的な証拠により証明し、複数あるエピソードを掛け合わせて、夫婦関係を維持できないような性格の不一致や価値観の相違を証明していくことになります。

これらエピソードを証明できるものとしては、日々の日記、録音、録画、相談記録、陳述書等があります。

日記については、過去のいくつかのエピソードを思い起こして記載するよりかは、エピソードが生じた都度、記憶が新鮮なうちに書き綴ることが重要です。

これら客観的な証拠により、性格の不一致があること、これが夫婦関係を破綻に追い込んだことを、如何に説得的に説明できるかがポイントです。

他の有責行為と掛け合わせることで離婚原因を証明する

多くの事案では、性格の不一致や価値観の相違のみで離婚が認容されることはあまりありません。

そこで、性格の不一致だけでは夫婦関係の破綻を証明できないとしても、長期間に及ぶ別居、暴言や暴力、不貞行為といったその他の離婚理由と掛け合わせることで、夫婦関係が修復できない程に壊れていることを証明させることはよくあります。

不貞行為がある場合

性格の不一致や価値観の相違から夫婦関係が悪化した結果、配偶者以外の異性と性行為に及ぶこともあります。

DV(暴力・暴言)がある場合

モラハラがある場合

長期間の別居をしている場合

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性格の不一致で離婚する場合の「財産分与」

性格の不一致も含めて離婚をする場合、財産分与が問題となります。

財産分与とは、夫婦が築いてきた財産を離婚に伴って清算することです。

財産分与の対象は共有財産

財産分与の対象は、夫婦が経済的に協力して得られた財産です。これを共有財産といいます。

たとえ、性格の不一致で夫婦関係が悪化していたとしても、別居するまでに得られた財産は夫婦の共有財産と推定されます。

預貯金、不動産、保険の解約返戻金、婚姻期間に対応する退職金などが共有財産となります。

財産分与は別居時の財産となる

財産分与は、別居した時点の財産が対象となります。

同居期間中から性格の不一致が原因で夫婦仲が悪かったとしても、別居時の財産が対象となります。

性格の不一致により、家庭内別居をしていたとしても、別居をせずに同居生活を維持できている以上、財産分与の対象は別居時の共有財産となります。

財産分与の割合は50:50

財産分与の割合は半々(50:50)となります。

たとえ夫婦が性格の不一致により不仲であったとしても、財産分与の割合は半々となり、共有財産を2分の1とします。

配偶者の特殊な資格や能力により、共有財産が形成されたと言える場合には、例外的に財産分与の割合が修正される可能性があります。

性格の不一致で離婚する場合の「慰謝料」

性格の不一致のみを理由とした離婚慰謝料の請求は認められません。

性格の不一致だけでなく、不貞行為やDVといった有責行為が存在する場合には、慰謝料を請求することができます。

しかし、単なる性格の不一致だけは離婚原因にはならないだけでなく、慰謝料請求の発生原因にもなりません。

ただ、性格の不一致が原因となり、夫婦の一方が配偶者に対して、人格を否定する暴言や精神的な虐待を継続して行う場合には、被害を受けた配偶者は慰謝料請求をすることが認められます。

また、性格の不一致を理由とした離婚慰謝料の請求が認められないとしても、相手方との交渉により解決金の支払を得られるケースもあります。

性格の不一致で離婚する場合の「親権や養育費」

夫婦に未成年の子どもがいる場合には、離婚時に子供の親権者を誰にするのかを決めなければなりません。

話し合いをする

子供の親権者を誰にするかは、夫婦の話し合いにより決めるのが原則です。

性格の不一致が激しいため、夫婦間の話し合いが難しい場合でも、子供の将来に関わる事柄ですから、話し合いによる解決に努めましょう。

調停や訴訟で決める

当事者間での話し合いが奏功しなければ、離婚調停や離婚訴訟の手続きで、子供の親権者を決めざるを得ません。

子供の親権者は、同居中の子供の監護実績、別居してから子供の監護状況、子供の年齢や子供の意思を踏まえて決定されます。

養育費も決めておく

子供の親権者の問題とともに決めておくべき事柄が子供の養育費です。

子供の親権者にならない親は親権者に対して、養育費を支払う義務を負います。

養育費は、父親と母親の収入状況に応じて、家庭裁判所の定める養育費算定表あるいは標準算定方式に基づき算出されます。

また、養育費を支払うべき期間(例えば、20歳までか、大学卒業時までか)も決めておかねばなりません。子供の年齢が幼齢であれば、20歳までと定めるのが一般的です。

TIPS!婚姻費用を請求しておく
婚姻費用とは、夫婦が、社会生活を送る上で必要となる生活費です。
夫婦は、それぞれ扶養義務を負い、自身の生活レベルと同程度の生活を送れるように尽くさなければなりません。そのため、収入の多い配偶者は少ない配偶者に対して、婚姻費用の支払をしなければなりません。
よって、離婚手続きの長期化が予想される場合には、生活の安定を図るために、相手方に対して婚姻費用の請求をしておくことが重要です。

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性格の不一致で離婚する場合の「子供の面会交流」

子供の親権問題と一緒に子供の面会交流について協議しておきましょう。

夫婦が性格の不一致により不仲であったとしても、親子の面会交流は、子供の健全な成長のために不可欠なものです。

また、離婚後、子供と離れて暮らす親が面会交流を通じて子どもと交流できることは、親としての自覚を持ち続けることができます。

夫婦が、面会交流を継続して実施できるように、それぞれに過度な負担とならない条件を協議しておくことが大切です。

性格の不一致で離婚する場合の「離婚手続き」

性格の不一致で離婚手続きをする場合、一般的な離婚手続きと特段異なりません。

離婚協議→離婚調停→離婚訴訟といった流れで離婚手続きは進んでいきます。

離婚協議

離婚手続きの第一歩は、離婚協議です。つまり、夫婦の話し合いにより離婚条件などを協議します。

たたえ性格の不一致により夫婦関係が相当程度悪化していたとしても、まずは話し合いを進めていきましょう。

当事者間の話し合いが難しい場合には、弁護士を代理人に就けて離婚協議を進めることも検討しましょう。

離婚協議により合意ができれば、合意書を作成した上で、離婚届を提出します。

合意書については、公正証書として作成しておくべき場合もありますので、弁護士に相談するようにしましょう。

離婚調停

話し合いが奏功しなければ、離婚調停を申し立てることになります。

調停手続きでは、家庭裁判所の裁判官と調停委員(男女2名)で構成される調停委員会が当事者を仲裁して、争点となっている問題の解決を図ります。

離婚調停が成立すれば、調停の成立時に離婚が成立します。調停の成立後、裁判所で作成された調停調書を市役所に提出することで、戸籍上も離婚となります。

他方で、離婚調停が成立しなければ、調停手続きは不成立となり終了します。

離婚訴訟

離婚調停が不成立となれば、夫婦の一方が離婚訴訟を提起することで、訴訟手続きが開始されます。

離婚訴訟では、夫婦の双方が、準備書面と主張を裏付ける証拠を提出し合うことで、審理を進めます。

調停手続きでは、裁判所の仲裁による話し合いの要素が強いです。他方で、訴訟手続きでは、当事者の主張と証拠による審理を進め、最終的には裁判官が集客的な判断を下すため、話し合いの要素はそれ程強くありません。

ただし、訴訟手続きでも、裁判官による和解の提案を受けることが、ほとんどです。そのため、多くの事案では、裁判官の和解勧告により離婚問題は解決します。

離婚裁判を通じて和解が成立すれば裁判離婚が成立することになります。

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性格の不一致が離婚原因となるためには、さまざまな準備が必要です。

性格の不一致以外の事情を掛け合わせることで離婚原因となることもあります。

性格の不一致を理由に離婚を考えている場合、弁護士に相談してみましょう。

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