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更新日: 2026.04.21

建物明け渡しの強制執行|申立てから断行までの流れ・費用・期間を大阪の弁護士が解説【2026年版】

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📌 この記事は「強制執行」の実務に特化した記事です

明け渡し全般の基礎知識や明け渡し訴訟の手続きについては、以下の関連コラムをご参照ください。

明け渡し訴訟で勝訴判決を得たのに、借主が物件から退去してくれない…。そのような状況に直面した貸主にとって、最後の法的手段が強制執行です。

「強制執行って何から始めればいい?」「費用はいくらかかる?」「どのくらいの期間でかたがつく?」本記事ではこうした貸主の疑問に答えるため、強制執行の申立てから断行までの流れ・実費の内訳・所要期間を、実務経験豊富な弁護士が詳しく解説します。ぜひ、最後までお読みいただき、今後の対応にお役立てください。

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目次
  1. 強制執行とは?明け渡し訴訟との違い
  2. 強制執行が完了するまでの5つのステップ
  3. 明け渡し強制執行にかかる費用と期間の目安
  4. ケース別の注意点|借主不在・残置動産・所在不明の場合
  5. 強制執行を弁護士に依頼する3つのメリット
  6. よくある質問(FAQ)
  7. 建物明渡の強制執行は難波みなみ法律事務所へ

強制執行とは?明け渡し訴訟との違い

強制執行とは、裁判所の判決・和解調書などの「債務名義」に基づき、借主の意思に関係なく、貸主が土地・建物の占有を強制的に取り戻す法的手続きです。

貸主が自分で鍵を交換したり家財を運び出したりする「自力救済」は法律で禁じられているため、どれだけ正当な権利があっても、この強制執行の手続きを経なければ物件を取り戻すことはできません。

明け渡し訴訟と強制執行の関係

段階手続き何をするか
① 訴訟段階明け渡し訴訟裁判所に借主への明け渡し命令(判決)を求める
執行段階強制執行判決に従わない借主に対し、強制的に明け渡しを実現する

訴訟で勝訴しただけでは借主は退去しません。判決後も借主が居座る・所在不明などの場合、本記事で解説する強制執行の手続きが必要になります。先ほど解説したように強制執行の手続きを経ずに自力救済を行うことは厳禁です。

明け渡し訴訟の詳しい流れについては、関連コラム「明け渡し訴訟とは?手続きの流れ・費用・注意点」をご参照ください。

強制執行は「執行官」が実施する

強制執行は、地方裁判所に所属する執行官によって実施されます。執行官は裁判所の判決・決定を実現する職務を担う裁判所職員で、明け渡しの催告から断行まで一貫して対応します。

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強制執行が完了するまでの5つのステップ

①
②
③
④
⑤
債務名義の取得
執行文付与の申立て
強制執行の申立て
明渡しの催告
強制執行の実施(断行)

明け渡しを命じる判決が確定した後、借主が自ら退去しなかった場合、いよいよ強制執行の手続きを開始せざるを得ません。強制執行の手続きが実際にどのような手順で進むのか、その全体像をあらかじめ把握しておくことは、今後の見通しを立て、適切な対応を検討する上で非常に重要です。

ここでは、強制執行が完了するまでの基本的な流れを理解しやすいように5つのステップに分けて解説します。

ステップ1:明け渡しを命じる判決の確定

強制執行の手続きは、まず裁判所による明け渡しを命じる判決が確定することから始まります。明渡訴訟において、裁判所が貸主の明渡請求を認め、借主に対し物件の明け渡しを命じる判決をした場合、これが強制執行へ進むための第一段階となります。

判決書は、裁判所から借主へ送達されます。借主が判決書を受け取った日の翌日から2週間(14日)以内に上訴をしない場合等に判決が「確定」します。判決が確定すると、その内容は法的に覆すことができなくなります。

このように、明け渡しを命じる判決が確定すると、貸主が次のステップである強制執行の申立てを行うことができるようになります。なお、判決主文に仮執行宣言が付された場合には、判決の確定前であっても仮執行宣言に基づく強制執行を行うことができます。

ステップ2:執行文付与の申立て

明け渡しを命じる判決が確定しても、借主が自らの意思で退去しない場合、貸主は裁判所に対して強制執行の申立てを行います。これは、確定した判決の内容を法的に強制し、実現させるための手続きです。

建物明渡しの強制執行の申立てをするためには、確定判決等の債務名義のほかに、執行文の付与を受けることが必要となります。また、執行文の付与を受けるためには、裁判所に対して執行文付与の申立てを行います。債務名義が確定判決である場合には、「確定証明」を受けておくことが必要となります。

必要な手続き内容
執行文付与の申立て判決した裁判所に申し立てる
確定証明の取得確定判決の場合、確定したことを証明する書類
送達証明判決書が相手方に送達されたことの証明

ステップ3:貸主による強制執行の申立て

強制執行の申立ては、対象となる物件の所在地を管轄する地方裁判所の執行官に対して行います。

建物明渡しの強制執行の申立てには、申立書の他に、以下の書類が必要です。

  • 判決等の債務名義の正本
  • 送達証明書の原本
  • 執行文
  • 執行予納金

申立ての際には、手続きを進める上で必要となる費用として、裁判所が定める予納金を貸主が納める必要があります。申立てが受理されると、執行官から執行予納金の保管金提出書が送られてきますので、予納金を納付します。なお、未払賃料等がある場合には、残置動産の差押えをセットで行うこともあります。

ステップ4:執行官による退去期限の告知(明渡しの催告)

自宅訪問

強制執行の申立後、執行官との間で、催告期日の日程調整を行います。通常は強制執行の申立から2週間以内の日を催告日として調整します。

催告日には、執行官が執行場所となる物件を訪れた上で、借主等の占有者に対して、強制執行実施予定日(断行日)までに物件を明け渡すように催告をします。同時に、執行官は、引渡期限(催告日から1か月を経過した日)と占有移転を禁止する公示書を貼り付けます。

催告日には、断行日に家財類等の搬出を行う専門業者と相手方の留守時に備えて鍵を開錠するための解錠業者(鍵屋)に同行してもらいます。搬出作業を請け負う専門業者は、物件内を内見した上で、搬出費用の見積書を作成してもらいます。

なお、残置動産の差押えをしている場合には、催告日に動産差押えも行います。

催告日当日の流れ

  1. 執行官が物件を訪問
  2. 借主等の占有者に対して、断行日までの退去を催告
  3. 引渡期限(催告日から1か月経過した日)と占有移転禁止の公示書を貼付
  4. 搬出業者・解錠業者が同行し、搬出費用の見積書を作成
  5. 残置動産の差押えがある場合は、ここで動産差押えも実施

ステップ5:荷物の強制的な運び出し(断行)

明渡しの催告で通知された最終的な引き渡し期限までに、借主が自らの意思で退去しなかった場合、強制執行を断行します。これは、裁判所の執行官が強制的に建物から荷物を運び出し、物件の明け渡しを完了させるための強制執行における最終段階です。

断行当日の注意

  • 申立人(貸主)または代理人の立会いが必須(不在だと断行できない)
  • 執行官・執行補助者(搬出業者)・解錠業者が現場に集合
  • 借主が既に退去している・残置動産もない場合は、鍵交換で完了
  • 借主が在宅している場合は、残置動産を借主や家族に引き渡す
  • 借主が受け取らなければ、執行官が即日売却可能
  • 多量・高価な動産や引取希望がある場合は、保管場所へ搬出(保管替え)して約1か月保管
  • 保管期間内に引き取られなければ売却。買受希望者がいない場合は貸主が買い受け
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明け渡し強制執行にかかる費用と期間の目安

建物明け渡しの強制執行は、貸主にとって最終的な手段となりますが、費用と期間がどの程度かかるのかは重要な関心事となります。

強制執行にかかる費用も期間も、個別の事案の状況によって大きく変動するため、十分な注意が必要です。以下では、建物明渡しの強制執行に要する費用と期間を解説します。

必要な費用総額とその内訳(予納金・鍵交換費用など)

建物明け渡しを強制執行によって実現するには、様々な実費が発生します。

費用総額は事案によって大きく異なりますが、一般的には数十万円から、物件の規模や残置物の量によっては100万円を超えるケースもあります。

建物明け渡しに伴い、主に以下の費用が発生します。

  • 執行文付与申立ての印紙代(300円)
  • 送達証明申請時の印紙代(債務者1人につき150円分の収入印紙)
  • 予納金(執行官に納める費用)
  • 解錠技術者の費用
  • 残置物の搬出業者の費用
  • 目的外動産の保管費用
  • 鍵の交換費用

発生する費用の中でも主要なものが「予納金」です。これは裁判所に納める費用で、執行官の日当などの費用に充てられます。予納金の金額は、大阪地方裁判所では一件6万円となります。 

予納金以外にも発生する費用として、明渡し後の「鍵の交換費用」や、室内に残された家財道具などの「残置物の搬出・運搬費用・破棄費用」「保管費用」があります。

残置物の搬出や破棄に要する費用は、残置物の量や物件の面積に応じて高額になることがあり、通常、催告後に業者に見積書を発行してもらえます。催告後に借主が残置物を運び出して搬出作業が必要なくなれば、搬出業者の費用はかかりません。また、残置物である目的外動産を倉庫などに保管する場合には、その保管費用も発生します。

執行予納金や執行業者の費用は借主などの債務者の負担となっていますが、貸主側で一旦立て替えた上で、借主側に取り立てることになります。しかし、借主側に十分な資産がないことも多いため、貸主側の負担となってしまうことも少なくありません。

申立てから完了までにかかる期間

建物明け渡しの強制執行は、申立てから実際に物件が明け渡されるまで、一定の期間を要します。

まず、強制執行の申立てまでに、確定証明や送達証明の申請、執行文付与の各手続きを経なければならず、1か月程の期間を要します。

その上で、強制執行の申立てから催告日までに2週間程、催告日から断行日までは1か月ほどの期間を必要とします。

目的外動産を保管している場合には、約1か月ほどの保管期間を要します。

手続きをできるだけスムーズに進め、期間を短縮するためには、必要書類の準備を迅速に行うことや、弁護士に委任し、手続きを効率的に進めることが有用です。

ケース別の注意点|借主不在・残置動産・所在不明の場合

強制執行の現場では、様々なケースが発生します。

ケース① 借主がすでに退去しているが残置動産がある

借主が退去していたとしても鍵の返還をしない場合には、明け渡しは完了しているとはいえないため、強制執行の手続きを通じて明渡手続きを進める必要があります。また、物件内の残置動産を借主・家族が受け取らない場合、動産差押えの手続きを通じて、執行官が即日売却できます。買受希望者がいない場合、貸主が買い受ける形で処分することになります。

ケース② 借主が在宅し、引き取りを希望している

目的外動産がある場合には、借主等に引渡します。ただ、借主等にその場で目的外動産の引き渡しができない場合や多量・高価な動産がある場合には、保管場所へ搬出して約1か月保管します。保管期間内に引き取られなければ売却に移ります。

ケース③ 借主が所在不明

確定判決の段階で送達ができていれば問題ありませんが、所在不明のまま手続きを進めたい場合は公示送達などの手続きが必要になります。借主が所在不明であっても、強制執行の手続きを経ることなく自力執行することは認められていません。

ケース④ 借主が亡くなっている

借主が死亡している場合は、相続人や相続財産管理人を特定する必要があります。相続関係の対応については、関連コラム「借主が亡くなった場合の明け渡しに必要な手続」も参考にしてください。

強制執行を弁護士に依頼する3つのメリット

弁護士に建物明渡しの強制執行を依頼することで得られる具体的なメリットについて、詳しく解説していきます。

複雑な法的手続きをすべて一任できる

建物明け渡しの強制執行には、訴訟提起から強制執行の申立て、執行官とのやり取りに至るまで、専門的な法律知識が不可欠な一連の手続きを必要とします。 

ご自身でこれらの法的手続を進める場合、裁判所へ何度も足を運んだり、膨大な書類を作成したりと、多大な時間と労力がかかります。

弁護士に依頼すれば、これらすべての法的手続きを貸主側に代わって対応してもらえます。弁護士は法律の知見に基づき、訴訟提起、強制執行の申立て、執行官との面接や打ち合わせなどを、正確かつ迅速に進めます。これにより、貸主側はこれらの手続きに煩わされることなく、時間と労力を大幅に削減できます。

入居者との直接交渉を避け、精神的負担を軽減

借主側との直接交渉は、貸主にとって大きな精神的負担を伴います。特に、家賃滞納している借主に対して、督促の連絡をしたり、支払いを巡って話し合ったりすることは、大きな負担を招きます。

弁護士に建物明渡しの強制執行手続きを依頼すれば、入居者と貸主側が直接顔を合わせたり、感情的なやり取りをしたりする必要がなくなります。弁護士が代理人として、借主との交渉や法的な手続きを進めるため、貸主は矢面に立つことなく事態の推移を見守ることができます。弁護士に任せてしまえば気持ちも楽になり、精神的負担を軽減できるメリットがあります。

よくある質問(FAQ)

Q. 強制執行にかかる費用は最終的に誰が負担しますか?

A. 法律上は借主(債務者)負担ですが、実務上は貸主が立て替えて支払います。その後、借主に対して費用を請求しますが、借主に資力がない場合は回収困難となり、貸主の実質負担になることが多いです。

Q. 借主が「出ていくから待ってほしい」と言っている間に、どの段階まで手続きを進めるべきですか?

A. 口約束だけでは退去が実現しないケースが多いため、催告までは手続きを進めておくことをお勧めします。催告段階で正式な退去合意書を取り付けるのも有効です。

Q. 大阪地裁以外で強制執行を申し立てる場合、予納金は変わりますか?

A. 予納金は物件所在地の地方裁判所により異なる場合があります。大阪地方裁判所は1件6万円ですが、他の裁判所では金額が異なることもあるため、事前に管轄の裁判所に確認してください。

Q. 断行日に貸主が立ち会えない場合、弁護士の立会いで代わりにできますか?

A. はい、可能です。貸主の代理人弁護士が立ち会えば断行は実施できます。仕事の都合等で立ち会えない貸主の方にとって、これは弁護士に依頼する大きなメリットの一つです。

Q. 残置動産の中に貴重品があった場合はどうなりますか?

A. 執行官は換価価値のあるものは売却処分の対象とし、借主に引き渡せない場合は保管または売却に回します。価値のない動産は廃棄処分されます。貸主側で勝手に処分すると損害賠償請求を受けるリスクがあるため、必ず執行官の手続きに従ってください。

Q. 強制執行の申立て前に内容証明で最終通告をしたほうがいいですか?

A. 判決確定後に、断行までの最後のチャンスとして内容証明郵便で任意退去を促す通知を送ることは有効です。この段階で任意退去に応じる借主も一定数います。催告前の任意退去であれば、搬出費用の大半が節約できます。関連コラム「家賃滞納者への内容証明郵便の書き方」も参考にしてください。

建物明渡の強制執行は難波みなみ法律事務所へ

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建物の明け渡しを求める強制執行は、法的な手続きが必要となるため、複雑で時間と費用がかかります。これまでの解説を通じて、強制執行には予納金や鍵交換費用、残置物撤去費用などがかかり、その総額が数十万円から100万円を超えるケースがあること、また、申立てから完了まで一定程度の期間を要することをご理解いただけたかと存じます。

こうした法的手続きをご自身で行うには、多大な時間と労力を要します。裁判所への対応や必要書類の準備など、専門知識がないと戸惑う場面も少なくありません。そこで有効な選択肢となるのが、弁護士への依頼です。弁護士に依頼すれば、これらの複雑な手続きをすべて一任できます。これにより、貸主ご自身の負担が大幅に軽減され、時間や労力を節約できます。また、滞納者との直接交渉を避けることができ、精神的なストレスも軽減されるという大きなメリットがあります。

そのため、できるだけ早い段階で弁護士に相談することを推奨します。

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