コラム
最終更新日:2023.06.12

遺留分の放棄をする方法を弁護士が解説します

相続問題 遺留分の放棄 遺留分放棄のメリット

相続問題でよく生じるのが遺留分の問題です。

遺留分の問題が生じると、長期間にわたって紛争に巻き込まれるだけでなく、親族関係を修復できないほどに悪化させます。

本記事では、遺留分の問題を未然に防ぐために認められている「遺留分の放棄」について解説します。

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1.遺留分の放棄とは

遺留分とは、遺言や生前贈与によっても奪うことのできない相続人の権利を言います。

遺留分の放棄とは、保障された遺留分の権利を喪失させ、遺留分侵害請求をできなくすることです。

2.生前の遺留分放棄

遺言書

遺留分の放棄の手続きには、亡くなった人の生前に行う手続きと死亡後に行う手続きの2種類あります。

その一つで生前の遺留分放棄です。

被相続人の生前の遺留分放棄は、家庭裁判所の許可を受けることで行うことができます。

無制限に遺留分放棄を認めると、遺留分の権利を持つ相続人が遺留分の放棄を強要される事態が生じてしまいます。

そこで、遺留分の放棄は家庭裁判所の許可制となります。

2-1.遺留分放棄の許可審判申立て

生前の遺留分放棄をするためには、遺留分を放棄する相続人が家庭裁判所に対して「遺留分放棄許可審判申立書」を提出しなければなりません。

2-2.提出先の裁判所

被相続人となる人の住所地を管轄する家庭裁判所です。

2-3.提出書類

申立てにあたり以下の書類を提出する必要があります。

  • 申立書
  • 財産目録
  • 被相続人の戸籍謄本
  • 申立人の戸籍謄本
  • 収入印紙800円分
  • 郵便切手

申立書には、遺留分を放棄する理由や遺留分放棄に対する代償金の有無等の具体的な事情を記載する必要があります。

また、財産目録には、申立時点で把握している被相続人の財産を記載しなければなりません。

2-4.審問期日

遺留分放棄の申立てをすると、家庭裁判所は、申立人に対して、審問期日を指定します。

申立人は、指定された審問期日に家庭裁判所に出頭さなければなりません。

審問期日では、家庭裁判所の裁判官が申立人に対して質問をし、申立人は、この質問に対して回答する必要があります。

具体的には、遺留分放棄が自由な意思によるものか、遺留分放棄の理由、遺留分放棄に見合うだけの代償を受けているか等の事情を聞き取ります。

遺留分放棄の理由が合理的であると判断されれば、遺留分放棄の審判が行われます。

遺留分放棄の審判に対して、不服を申し立てることはできません。

2-5.何を判断されるのか

遺留分放棄の審判には、以下の事情を考慮して遺留分放棄が相当であるといえるときに、遺留分放棄の許可の審判が出されます。

①遺留分権利者の自由意思

②放棄の理由の合理性・必要性

③放棄の引き換えの代償の有無

そのため、遺留分放棄の申立てをすれば、必ず許可の審判が出るわけではありません。

①遺留分権利者の自由意思

遺留分放棄の申立てが、申立人本人の自由な意思により行われていることが必要です。

被相続人や親族から強要されたり、間違った情報の提供を受けて申立てをしている場合には、認められません。

②放棄の理由の合理性・必要性

遺留分を放棄する理由に合理性や必要性が必要です。

単に、兄弟や家族の仲が悪いからといった感情的な理由では、遺留分放棄は認められません。

例えば、被相続人が会社を経営している場合に、自社株を後継者に集中させて、株式の分散を防ぐ場合には、放棄の理由としては合理的といえます。

また、死後の相続問題を回避するために、婚外子に対して生前贈与をして遺留分の放棄をする場合も、放棄をする理由として合理的といえるでしょう。

さらに、老齢の親の介護をするために同居する子供以外の子供に遺留分を放棄させる場合には、放棄の理由として合理性必要性が認められています。

③ 放棄の引き換えの代償の有無

遺留分の放棄の代償として贈与をしている場合、遺留分の放棄の時点で既に贈与済みであるか、これと同時に贈与されることが求められます。

遺留分の放棄の数年後に贈与をするという不確定な内容では、十分な代償がなされているとは判断されません。

相続開始後の遺留分放棄

二つ目の遺留分放棄は、被相続人が亡くなった後の遺留分放棄です。

生前の遺留分の放棄とは異なり、相続開始後の遺留分放棄には、法律上の規定はありません。

そのため、相続開始後の遺留分の放棄は、自由に行うことができます。

遺留分放棄のメリット

遺留分を放棄するメリットは、立場によって様々あります。

遺留分を放棄した人のメリット

遺留分を放棄した相続人のメリットは、被相続人から遺留分放棄の引き換えに代償金を受け取れる点です。必ず代償金を受け取れるわけではありませんが、家庭裁判所は、放棄する理由や必要性に加えて、被相続人が放棄する相続人に対して、代償金を払っているかを考慮して、遺留分放棄を認めるかを判断します。

また、遺留分の放棄をすることで、相続人に対して対決姿勢がないことを示すことができ、親族間の信頼関係を維持できるかもしれません。

遺留分の支払義務者となる相続人のメリット

遺留分を放棄することで、遺留分の義務者となり得る相続人は、遺留分の義務から解放されるため、大きなメリットを受けることができます。

被相続人から多くの遺産を承継している相続人は、遺留分侵害請求を受けることで、遺留分侵害額を支払わなければなりません。

しかし、遺留分の放棄をすることで、遺留分義務者の相続人は、この遺留分侵害請求を受けずに済むため、経済的な負担から解放されます。

また、遺留分侵害請求を受ければ、調停や訴訟といった裁判手続きに長期間対応しなければならず、心理的な負担も大きくなります。

しかし、遺留分の放棄により、裁判手続に伴う心理的な負担からも解放されます。

被相続人のメリット

被相続人のメリットとしては、被相続人の意思を実現できる点です。

遺留分を放棄することで、遺言や生前贈与に対して、遺留分侵害請求がなされることが無くなります。

そのため、遺言や生前贈与による被相続人の意思を実現させることができます。

また、遺留分侵害請求によって、相続人間が激しい対立関係となることを防ぐことができます。

特に、被相続人が会社経営をしている場合には、相続紛争を予防することができるため、特定の相続人に自社株を集中させて経営の安定を実現できます。

遺留分放棄の注意点

遺留分放棄には、メリットがあるものの、注意点もあります。

不服申し立てできない

遺留分放棄の審判に対して、許可または却下のいずれに対しても、不服申し立てをすることはできません。

相続権は放棄されない

遺留分を放棄しても、相続人としての地位にはあります。

そのため、遺留分を放棄したとしても、遺言がなければ、相続開始後に遺産分割をしなければなりません。

また、被相続人が債務超過となっている場合には、相続人としての地位を有する以上、相続放棄をすることも検討する必要があります。

他の相続人に影響しない

複数の相続人のうちの一部が遺留分を放棄しても、他の相続人には影響を与えません。

そのため、他の相続人の遺留分が、入りの放棄に伴って増加することもありません。

遺留分の放棄は弁護士に

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遺留分放棄の審判には不服申し立てができません。

そのため、生前の遺留分放棄には十分な準備が必要です。

当事務所では、信託会社に勤務経験のある弁護士が在籍しており、相続問題に関する数多くの経験を持っています。

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