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更新日: 2023.06.12

車の財産分与とは?車のローンがある場合の分与方法を解説|難波みなみ法律事務所

難波みなみ法律事務所代表弁護士・中小企業診断士。幻冬舎「GOLDONLINE」連載第1回15回75回執筆担当。法的な問題には、法律の専門家である弁護士の助けが必要です。弁護士ドットコムココナラ弁護士ナビに掲載中。いつでもお気軽にご相談ください。初回相談無料(30分)。

自動車と財産分与 車の分与法方法 ローンがある場合の分与

財産分与の対象財産には、所有する自動車も含まれます。しかし、自動車のローンの全額を財産分与により相手方に請求することは通常できません。

本記事では、財産分与と自動車の関係について解説していきます。

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1.自動車も財産分与に含まれるのか?

車と一万円札

結婚してから購入した自動車も共有財産となり、財産分与の対象となります。

財産分与とは、夫婦が協力して得た財産を清算することをいいます。

財産分与の対象は、夫婦で協力して得られた共有財産となります。

そのため、結婚後に購入された自動車も共有財産として財産分与の対象となります。

この場合、自動車の評価額をベースにして自動車の財産分与を行います。

他方で、婚姻前から有していた自動車、親族から贈与・相続を受けた自動車は、共有財産ではないため、財産分与の対象から除外されます。

2.自動車の分与方法

自動車の財産分与の方法としては、売却して現金化する方法と、一方が使用を継続する方法があります。

  • 売却して現金化
  • 使用の継続

2-1.売却する場合

売却して現金化する場合には、現金化した金額を2分の1にして分与することになります。

2-2.使用を継続する場合

夫婦のうち一方が自動車を継続して使用する場合には、他方に対して、自動車の評価額の半分に相当する金額を分与することになります。

例えば、夫婦に1000万円の預貯金と評価額が200万円の自動車がある場合、夫が自動車の使用を継続する事案で検討します。

【共有財産】
預貯金 1000万円
自動車 200万円
【分与額】
 
預貯金 400万円
自動車  200万円
妻 
預貯金 600万円

2-3.自動車の評価額は?

車の査定をする人たち

自動車の評価額は、自動車の新車価格ではなく、財産分与を行う時点の自動車の時価額となります。

時価額の算出方法には以下の金額を参考にすることが多いです。

  • レッドブックによる金額
  • シルバーブック
  • インターネット上の中古車サイトの金額

レッドブックとは、有限会社オートガイドが発行する 「オートガイド自動車価格月報」 を指します。

レッドブックには、メーカー、車種、グレード、年式等に応じた新車価格や中古車小売価格が記載されています。

レッドブックに記載された金額を参考に、自動車の時価額を算出します。

レッドブックに掲載されていない自動車(年式の古い自動車等)の場合には、中古車サイトの同一車種で走行距離も類似している中古車の販売価格を参考に、時価額を算出します。

3.自動車ローンを組んでいる場合

自動車ローンを組んで自動車を購入している場合、自動車の所有権がローン会社に留保されていることが多いです。

これを所有権留保といいます。

自動車ローンを組んでいる場合の自動車の財産分与について説明します。

オーバーローンしている場合とアンダーローンの場合に分けて説明します。

3-1.オーバーローンしている場合の計算方法

ローン額が自動車の評価額を上回る場合をオーバーローンといいます。

自動車 200万円
ローン 300万円 
マイナス100万円⇦これがオーバーローンしている状態

オーバーローンしていたとしても、マイナス部分を相手方に負担させることはできません。

つまり、上記例のマイナス100万円のうち50万円を相手方に請求することはできません。

財産分与は、共有財産を清算させるものであって、債務の清算を予定していないからです。

ただ、その他のプラスの財産と相殺するという限りで、マイナス部分を考慮することはできます。

【夫の財産】
預貯金 500万円
自動車 200万円
ローン 300万円
【財産分与の対象額】 
プラスの財産合計額700万円−ローン額300万円=400万円

売却する場合

所有権留保が付いているため、車検証の所有者はディーラーやローン会社等となっています。

そのため、ローン付きの自動車を売却する場合には、自動車ローンを完済しなければなりません。

オーバーローンしている以上、売却による利益はありません。

そのため、夫婦で分配する利益はありません。

ただ、オーバーローンに相当する金額については、その他のプラスの財産と通算できる可能性があります。

使用継続の場合

自動車ローンの債務者である配偶者が、引き続き自動車を使用するのであれば、ローン会社との関係で特段の手続を要しません。

他方配偶者が、自動車の使用継続をする場合、残ローンを一括で支払った上で名義変更をするか、ローン会社とローン契約を締結した上で名義変更をすることになります。

ローン契約を締結する以上、ローン審査を経なければなりませんので、注意が必要です。

4-2.アンダーローンの場合の計算方法

オーバーローンとは逆に、自動車の評価額がローン残高を上回る場合をアンダーローンと言います。

この場合には、ローン残高を上回る部分が財産分与の対象額となります。

【夫の財産】
預貯金 500万円
自動車 200万円
ローン 100万円
【財産分与の対象額】 
プラスの財産合計額700万円−ローン額100万円=600万円

売却する場合

アンダーローンの場合も、所有権留保が付いている以上、自動車の売却にあたっては、ローン会社の残ローンを完済させる必要があります。

売却により得られた売却益は、その他の共有財産を踏まえて、夫婦間で分配することになります。

使用継続の場合

自動車ローンの債務者である配偶者が、引き続き自動車を使用するのであれば、ローン会社との関係で特段の手続を要しません。

他方配偶者が、自動車の使用継続をする場合、残ローンを一括で支払った上で名義変更をするか、ローン会社とローン契約を締結した上で名義変更をすることになります。

使用継続する配偶者は、相手方に対して利益分の半分を分与しなければなりません。

【事案】
夫がローンの債務者であり、自動車の使用を継続させる場合
【共有財産の内容】
① 夫
預貯金 500万円
自動車  200万円
ローン  100万円
合 計  600万円
② 妻 
預貯金  400万円
③夫婦合計
 1000万円
【分与額】
➊ 夫
預貯金 300万円
自動車 200万円
➋ 妻
既に妻は手元に200万円の預貯金を有していますから、夫は500万円との差額である100万円を妻に対して分与することになります。

4.車の購入代金を特有財産で払っている場合

自動車を購入する際に、自動車の代金の一部を、親族から譲り受けた財産で支払っている場合です。

親族から譲り受けた財産は、夫婦で協力して得た財産ではない特有財産です。

特有財産を自動車の代金の一部に充てている以上、自動車の評価に反映させなければなりません。

具体的には、①特有財産の金額が購入代金に占める割合を算出し、②これを現在の評価額に掛けることで特有財産の金額を差し引く方法があります。

なお、自動車の分与額の算出方法には様々あり得ますので注意してください。

【事案】
購入代金 400万円
特有財産 100万円
現在の評価額 200万円
 
①購入代金に占める割合
100万円÷400万円=0.25
②現在の評価額に掛ける
200万円×0.25=50万円
③財産分与の対象額
200万円−50万円=150万円

財産分与に関する法務省の解説はこちら

5.車の財産分与は弁護士に相談しよう

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購入してから日が浅い場合には、自動車の評価額も高くなることも多いです。

自動車ローンを組んでいる場合や特有財産により代金の一部を支払っている場合、自動車の評価は複雑になりがちです。

適正な財産分与額を計算するためには、まずは弁護士に相談することが重要です。

弁護士に依頼するメリット

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