コラム
更新日: 2024.10.05

離婚に夫が応じない場合の対処法は?夫の心理や注意点|難波みなみ法律事務所

難波みなみ法律事務所代表弁護士・中小企業診断士。幻冬舎「GOLDONLINE」連載第1回15回75回執筆担当。法的な問題には、法律の専門家である弁護士の助けが必要です。弁護士ドットコムココナラ弁護士ナビに掲載中。いつでもお気軽にご相談ください。初回相談無料(30分)。

離婚したいと決意したが、夫が離婚に応じてくれず悩んでいる人は多くいます。

協議離婚に応じてくれない場合、夫が離婚に応じない理由、心理を把握した上で、それを踏まえた離婚協議の申し入れをする必要があります。事前の準備を一切講じることなく、協議離婚の申入れをしたところで、夫婦間の感情的な対立を深めるだけで、かえって離婚の成立を困難にさせてしまいます。

離婚を拒否する夫との協議を重ねても離婚に応じない場合には、離婚調停の申立てや離婚訴訟の提起を視野に入れながら進めて行くほかありません。その場合には、速やかに夫に対して婚姻費用の支払いを求めることが重要です。

夫が離婚に応じなくて途方に暮れている人に対して、適切な対処法を解説します。

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夫が離婚に応じない時の心理

夫が離婚に応じない時の心理には以下の6パターンがあります。夫の深層心理を理解した上で、離婚協議におけるポイントを把握することが大切です。

まだ愛情がある

離婚に応じない理由の一つとして、夫が妻に対する愛情を持っていることが挙げられます。

夫が妻に対して強い愛情を持っている場合、妻が夫に対する不満を持っていることを夫が認識できないため、妻の離婚意思も把握していないことも多くあります。

そのため、夫としては、夫婦関係が離婚するまでに亀裂が入っているとの認識を持てず、妻からの離婚の申入れを受けてもなお、夫婦関係を修復できると期待してしまい、協議離婚が困難になることがあります。

関係を修復できると思っている

離婚に応じない理由の一つに、夫婦関係の修復に対して期待を持っていることが挙げられます。

妻の不満に全く気づいていない、あるいは、不満に気付いているものの、夫婦関係を修復できるものと期待して、妻からの離婚の申し入れを真摯に受け止めない夫はいます。

『話せば分かる』といった夫の思いから、離婚したいという妻の意向に向き合えず、離婚協議が進展しないことがあります。

離婚の意思が伝わっていない

妻の離婚意思が夫に対して適切に伝わっていないことが、離婚に応じない要因となることもあります。

夫婦が同居生活を続け、これまでと変わりない共同生活を継続している場合や別居を開始しても、夫婦間がこれまでと同様にやり取りをしているような場合、妻の離婚したい意思が夫に対して伝わりにくいことがあります。

夫が妻の離婚意思を受けても、一過性の感情であり、時間が経てば自然と修復できると勘違いしてしまうことは多くあります。

また、夫が妻の離婚意思を受け取っても、精神的に混乱してしまい、妻の気持ちを理解できないケースもあります。

世間体を意識している

世間体を気にするあまり、離婚に応じないことがあります。

離婚すると、家族、友人、同僚などの目がなったり、職場での評価が下がることを懸念して離婚に応じられないこともあります。

特に、プライドの高いモラハラ気質の夫に多い傾向のようです。

ご自身の離婚意思やその理由を丁寧に説明して伝えることが大切です。

慰謝料を払いたくない

妻に離婚慰謝料を払いたくないという思いから、夫が離婚を拒否することがあります。

不貞行為やDVの慰謝料請求は、離婚しなくても夫に対して行うことができます。

しかし、夫が、そのような正確な知識を持っておらず、離婚さえ拒否すれば慰謝料の支払いを回避できると勘違いしているために、離婚に応じないケースがあります。

親権を取られたくない

子供の親権を取られたくないという心理から、夫が離婚に応じないケースがあります。

未成年者の子供の親権は母親に指定されることが多くあります。母親が親権者となることで、夫は子供と離れて暮らすことになります。子供との面会交流の頻度も制約されることも多くあります。これまでのように、子供と触れ合って交流する日々が失われてしまいます。

このように、子供と離れて暮らすことの寂しさや子供の将来の不安から、夫が離婚に応じないことがあります。

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夫が離婚してくれない時の対処法

夫が離婚してくれない時の対処法を以下の6パターン紹介します。

夫が離婚しない理由・心理を理解した上で、どのような対処が適切であるかを検証しましょう。

具体的な理由を伝える

対処法の一つとして、離婚したい具体的な理由を伝えることです。

夫に対して離婚したいと伝えても、その真意が伝わらないために、夫が離婚になかなか応じないことがあります。

そこで、離婚したいと考えている理由・経緯を具体的に伝えて、離婚意思が強いことを伝えましょう。また、離婚条件や離婚後のプランについても提示することで、離婚したい意思が伝わりやすくなります。

相手の気持ちに寄り添った態度をとる

夫の気持ちにも寄り添った冷静な態度をとることが重要です。

夫婦関係の悪化している夫婦が直接話し合いをすると、どうしても感情的となり冷静さを保てなくなることはよくあります。感情的に離婚を切り出しても、離婚協議を進展しないことも多くあります。

そのため、互いに冷静を保持しながら離婚協議を進めるため、出来る限り夫の気持ちに寄り添う態度を示すように努めましょう。

慰謝料や財産分与などを譲歩する

慰謝料や財産分与などの離婚条件を譲歩することも検討しましょう。

夫が離婚に応じない理由として、慰謝料や財産分与などの離婚条件に応じられないことが挙げられます。妻側の離婚条件があまりにも厳しい条件である場合には、夫としても容易には妻の離婚条件を受け入れることはできません。

そこで、夫の意見を踏まえながら、夫に対して提示している離婚条件の一部を譲歩することで、離婚を拒否する夫の翻意を促しましょう。

別居して婚姻費用の支払いを請求する

別居を開始した上で、婚姻費用を請求する方法も有効な手段です。

夫との離婚協議を重ねても離婚に応じない場合や離婚協議すら応じようとしない場合、夫婦関係に何らかの変化を生じさせなければ、離婚手続は進展しません。

そこで、夫との同居生活を解消し、別居を開始させることで、妻の離婚意思が強固であることを示すことが必要となります。

その場合には、速やかに夫に対して、婚姻費用の請求をしましょう。

婚姻費用とは、妻やその子供が社会生活を送る上で必要となる生活費です。婚姻費用は、別居を解消するまで、収入の多い配偶者が負担し続ける費用です。

そこで、別居により家計が別れることになるため、妻は夫に対して、すぐに婚姻費用の支払いを求めましょう。

離婚調停を申し立てる

別居をしてもなお、離婚協議が進まない場合には、離婚調停を家庭裁判所に申し立てる方法が挙げられます。

離婚調停とは、当事者間の離婚問題を家庭裁判所の調停委員が仲裁をして合意を目指していくプロセスです。夫婦が直接協議せずに、中立公正な調停委員が夫婦を仲介するため、冷静な協議を実現できます。なお、離婚調停は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所で行われますので、遠隔地である場合には注意を要します。

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弁護士に相談する

離婚協議が進展しない場合には、専門の弁護士に相談することが大切です。

当事者間の離婚協議は冷静さを欠き感情的な対立を強めたり、誤った知識のために誤った方向に進んでしまうこともあります。

弁護士に相談することで正しい法律知識を持つことができます。また、弁護士を代理人に就けることで、夫婦間の直接の話し合いを避けることができるため、冷静に、かつ、専門的な知識を基に離婚協議を進めることもできます。

ただ、弁護士に相談・委任する場合には、離婚問題に長けた弁護士を選ぶことが大切です。また、費用がかかるため慎重に検討する必要があります。

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離婚の種類

離婚には、協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3種類があり、それぞれ異なる特徴があります。

主な離婚の種類を3つ解説します。

協議離婚

代表的な離婚として協議離婚があります。

協議離婚とは、夫婦同士の話し合いで決める離婚を言います。

協議離婚は、当事者間の話し合いで解決させるプロセスであるため、迅速かつ簡易的なプロセスといえます。ただし、夫婦間の協議が前提となるため、夫婦間の対立が激しく、慰謝料や親権などの離婚条件を調整できない場合には、協議離婚には不向きとなります。  

調停離婚

離婚の種類として調停離婚があります。

協議離婚が成立しない場合には、離婚調停を申立てます。調停が成立すれば調停離婚となります。

家庭裁判所を介して話し合いを行うため、直接話し合う離婚協議よりも冷静に話し合いを進めることが期待できます。

裁判離婚

裁判離婚とは、裁判官による離婚判決が確定した場合に成立する離婚を言います。

裁判離婚では、夫婦が原告と被告に分かれて、互いに主張反論を繰り返し行い審理を進めていきます。審理がある程度尽くされた段階で、尋問手続を経た上で判決が下されます。判決が確定すれば、裁判離婚となります。

裁判離婚では、専門性がより高度となるため、弁護士を代理人に委任することが望ましいでしょう。

また、離婚裁判は、当事者の意向に関わらず、裁判所による最終的な判断が示されるため、終局的な解決が期待できます。しかし、裁判期間は1年半から2年を要することや弁護士費用などの経済的な負担が生じることでデメリットがあります。

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離婚に応じない夫と裁判離婚できるケース

裁判離婚が成立するためには、法定の離婚事由がなければなりません。

民法では離婚原因として以下の規定があります。

第770条(裁判上の離婚)
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
1.配偶者に不貞な行為があったとき。
2.配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3.配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
4.その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

以下では、これらの離婚原因について解説をします。

不貞行為があった場合

夫が不貞行為を行えば、夫が離婚に応じないとしても裁判離婚することができます。

不貞行為とは、妻以外の異性と性行為を行うことをいいます。性行為に限らず、これに準ずる行為、性交類似行為(口淫、手淫、肛門性交等)も不貞行為に該当するとの見解もあります。

たとえ、一回限りの関係であっても不貞行為に該当します。また、不貞相手が1人であっても複数人であっても不貞行為に変わりはありません。

ただし、異性とデートをする行為や食事をする行為は不貞行為には当たりません。

ただし、夫が心から反省しており、婚姻関係の継続を期待できるような事情がある場合には、例外的に裁判所の裁量で離婚請求が棄却されることもあります。

悪意の遺棄

悪意の遺棄に該当する場合には、離婚原因が認められることがあります。

民法では、夫婦の義務として同居義務・扶助義務・協力義務が規定されています。

それにもかかわらず、夫が妻に対して、正当な理由もなく生活費を払わない場合には、離婚原因の一つである悪意の遺棄が認定される可能性があります。ただ、生活費の不払いがあれば、直ちに悪意の遺棄にあたるわけではありません。生活費の不払いの理由が悪質であることが必要となります。

3年以上生死不明の場合

3年以上生死不明である場合も離婚原因となります。

生存も死亡も証明できない状態が3年以上続いた場合には、婚姻関係が破綻したといえるため、離婚原因の一つとして規定されています。生死不明となった原因は問われません。生死不明であることを証明するために、捜索願の受理証明書を提出することがあります。

強度の精神疾患にかかり回復の見込みがない場合

夫が強度の精神疾患を患い、回復の見込みがない場合には、離婚請求が認められます。

夫婦が協力扶助義務を果たすことができない程度の精神障害である場合には、強度の精神障害とされています。

また、一定期間継続して治療をしても、夫婦の協力義務を果たせる程度までに回復できない場合に、回復の見込みがないとされています。

婚姻を継続し難い重大な事由がある場合

婚姻関係が破綻し回復の見込みがない状態になれば、たとえ夫が離婚を拒否しているとしても離婚請求が認められます。

婚姻を継続し難い重大な事由に該当するか否かは、行為の内容や悪質さ、婚姻期間の長短、年齢、子供の人数や年齢、別居期間の長短など婚姻中の一切の事情を考慮して客観的に判断されます。

具体的には、DVや精神的な虐待といえるモラハラ、長期間の別居などが婚姻を継続し難い重大な事由とされます。他方で、性格の不一致、価値観の相違、親族との不和は、直ちには婚姻を継続し難い重大な事由とはされません。

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離婚に向けて注意するポイント

夫との離婚交渉をする際に無計画に進めていくことは、感情的な対立を深め、離婚協議を難しくさせます。あらかじめ注意点を押さえた上で計画的に話し合いを進めていくことが大切です。以下では4つのポイントを解説します。

感情的にならない

最も重要なポイントとして、感情的にならないことです。

離婚の話し合いは、夫婦仲が悪化している夫婦にとって精神的に大きな負担となり、感情的な対立を深めるきっかけとなります。

しかし、感情的になって夫を責め立てても話し合いは遅々として進みません。また、感情的になれば、冷静な判断もできなくなり、離婚協議を有利に進めることもできなくなります。

離婚を後悔なく成立させるためには、お互い冷静になる必要があります。

勝手に別居しない

夫に無断で別居することは控えましょう。

同居中に離婚協議を行うことが、円滑な離婚手続に繋がります。

しかし、離婚協議をすることもなく、夫に無断で別居を開始させてしまうと、離婚協議の機会を失うリスクがあります。できれば、別居する前に離婚協議を重ね、それでも離婚協議が進展しなければ、別居することを通知した上で別居に着手しましょう。

ただし、夫による暴力や暴言が予想される場合には、離婚協議を経ることなく秘密裏に別居することも致し方ないと考えます。

第三者を間に入れて話し合う

離婚協議に第三者を入れて話し合うことも検討しましょう。

夫婦同士で話し合いをすると冷静さを失いがちです。そこで、夫婦間の直接の話し合いに区切りをつけて、第三者を入れることを検討します。ただし、第三者が、一方の両親や友人であると中立性に欠けてしまい、離婚協議が進展しないため、仲裁してもらう第三者は、できる限り中立性を保てる人を選定しましょう。

無断で離婚届を出さない

夫が離婚に応じないからといって、無断で離婚届を提出することはNGです。

離婚届の夫欄に無断で署名捺印をして、これを提出することは、公正証書原本不実記録罪(刑法157条1項)、有印私文書偽造罪(刑法159条1項)、偽造有印私文書行使罪(刑法161条1項)等の犯罪が成立するおそれがあります。

また、離婚届を無断で提出した場合、夫から離婚無効の訴訟や調停をされる可能性があります。

DVやモラハラを受けている場合

夫のDVやモラハラが原因で離婚を検討している場合には、以下のポイントを押さえておくことが大切です。

DVやモラハラの証拠を集める

DVやモラハラの証拠を保全することが最も重要です。

DVや虐待に当たるモラハラは離婚原因になります。そのため、夫が離婚を拒否していたとしても、DVやモラハラを立証できれば、離婚請求が裁判所によって認容されます。そこで、あらかじめDVやモラハラの客観的な証拠を確保するようにします。動画、音声、メールやLINEメッセージ、診断書、日記などの証拠が挙げられます。

専門機関に相談する

モラハラやDVを行う夫との離婚協議には、大きな精神的な負担を招き、2次被害をもたらします。

1人が抱えることを避けて、弁護士、相談支援センター、自治体の相談機関などに相談しましょう。場合によっては、DVシェルターへの避難も検討しましょう。

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離婚に応じない夫と離婚できた事例

離婚に応じない夫との離婚事例を紹介します。

DV夫との離婚調停

事案

夫が妻に対してDVや暴言を繰り返し、それに耐えかねた妻が、子供を連れて別居を開始させた事案です。別居直後から、夫から妻に対する執拗な着信攻撃が続いていました。

対応

妻の精神的な負担を軽減させるため、別居直後から当事務所に委任をして頂いた上で、当事務所から夫に対して、弁護士が就任したこと、一切の窓口が法律事務所となることを通知しました。それとともに、協議離婚に応じるよう求めました。

しかし、妻との婚姻関係の修復を強く求めたため、速やかに離婚調停と婚姻費用の調停申立てを行いました。

離婚調停では、DV事案であったため、別室調停で進めることになりました。

調停期日を5回ほど重ねた段階で調停が成立し、終結となりました。

ポイント

DVの証拠である診断書、写真、着信履歴などの証拠を計画的に確保してもらい、これら証拠を速やかに提出することで、離婚原因の存在を争点から外すことができました。

その上で、離婚条件の協議に注力することで、速やかな解決が実現できました。

離婚のご相談は難波みなみ法律事務所へ

夫が協議離婚に応じなければ、お早めにご相談ください。

離婚意思のない夫に対して闇雲に離婚を求めても、拒否されるだけです。離婚協議に臨むに当たり心得ておくべきポイントを理解した上で、冷静さを保ちながら離婚手続を進めなければなりません。しかし、対立する夫と冷静さを保ちながら離婚協議を進展させることは、そう容易いことではありません。仮にできたとしても、精神的な負担を増大させます。

まずは、1人で抱え込まずに当事務所にご相談することを検討してください。

当事務所では、初回相談30分を無料で実施しています。 

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