コラム
公開日: 2025.02.19

相続放棄で親戚に迷惑をかけないための対処法と注意点|難波みなみ法律事務所

難波みなみ法律事務所代表弁護士・中小企業診断士。大阪弁護士会所属(登録番号49544)幻冬舎「GOLDONLINE」連載第1回15回75回執筆担当。法的な問題には、法律の専門家である弁護士の助けが必要です。弁護士ドットコムココナラ弁護士ナビに掲載中。いつでもお気軽にご相談ください。初回相談無料(30分)。

相続放棄は、被相続人の借金を引き継がないための選択肢として知られています。

しかし、相続放棄をすることで親戚に迷惑がかかるのではないかと心配される方も多いのではないでしょうか。特に叔父や叔母、いとこ、といった親戚への影響を懸念する声をよく耳にします。

相続放棄をすることで、親戚が法定相続人の地位に立たされ、一定の影響を及ぼす可能性はあります。親戚も相続放棄せざるを得なくなることも珍しくありません。

しかし、親戚への迷惑を最小限に抑える方法があります。

この記事では、相続放棄が親戚に与える影響と、迷惑をかけないための対処法について詳しく解説します。この記事を読み終えれば、相続放棄に関する不安が解消され、迷いなく意思決定できるようになるでしょう。

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相続放棄で親戚にどんな迷惑がかかるのか?

相続放棄は、被相続人の債務を引き継ぎたくない場合に選択される方法ですが、親戚に思わぬ影響を及ぼす可能性があります。まず、相続放棄をすると、次順位の相続人が相続人となる可能性があります。これにより、叔父や叔母などの親戚が突然相続人となる事態が発生します。

次順位の相続人となった親戚は、被相続人の借金を背負うリスクに直面します。相続財産が債務超過の場合、親戚は予期せぬ経済的負担を強いられる可能性があります。さらに、親戚も相続を望まない場合は、自らも相続放棄の手続きを行わなければなりません。これには時間と労力、そして費用がかかります。

相続放棄は相続人個人の権利ですが、相続放棄が親戚に影響を与える可能性があることを認識しておくことが重要です。

相続放棄で次順位の相続人が相続人となる

相続放棄により同順位の相続人がいなくなった場合、次順位の相続人が新たな相続人となります。被相続人の子供全員が相続放棄をした場合、次の順位である被相続人の親が相続人となります。親がいない場合は、さらに次の順位である兄弟姉妹が相続人となります。

具体的な例を挙げると、被相続人に子供が3人いて、その3人全員が相続放棄をした場合、被相続人の両親が次の相続人となります。配偶者が既に他界している場合には、被相続人の兄弟姉妹が法定相続人となります。

このように、相続放棄によって相続の順位が変動し、当初予期していなかった親戚が相続人となる可能性があります。そのため、相続放棄を検討する際は、次順位の相続人への影響を十分に考慮する必要があります。

次順位の相続人が借金を背負うリスクがある

相続放棄をすると、次順位の相続人が新たな相続人となります。この場合、次順位の相続人は被相続人の財産を相続分に従って引き継ぐことになり、プラスの財産だけでなく借金などのマイナスの財産も承継することになります。 

つまり、相続放棄によって次順位の相続人が予期せぬ借金を背負うリスクが生じるのです。特に、被相続人の財産状況を詳しく把握していない親戚にとっては、突然の借金の承継は深刻な問題となる可能性があります。

次順位の相続人も相続放棄しなければならない

相続放棄を選択した場合、次順位の相続人も同様の選択を迫られる可能性があります。被相続人の借金が多額である場合や、借金の全容が不明確な場合に特に当てはまります。

次順位の相続人は、自身が相続人となったことを知った時点から3か月以内に相続放棄の手続きを行う必要があります。

この期間内に相続放棄の手続きを行わなかった場合、相続を単純承認したとみなされ、被相続人の債務も含めて相続することになります。そのため、次順位の相続人も被相続人の財産状況を見極め、期限内に相続放棄の手続を行えるように検討しなければなりません。

親戚に迷惑をかけないためには、次順位の相続人も含めた関係者間で情報を共有し、適切な対応を取ることが重要です。

次順位の相続人が相続財産の保存義務を負うことも

相続放棄をした場合でも、相続財産を現に占有している場合には、その財産を保存する義務が課されます。かつては、相続放棄をした後も相続財産の管理責任を負っていましたが、民法の改正により、相続財産を現に占有している場合に限り、相続財産の保存義務を負うことになります。

この保存義務に違反した場合、法的なリスクが生じる可能性があります。具体的には、故意または過失により相続財産に損害を与えた場合、損害賠償責任を負う可能性があります。

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親戚に迷惑を掛けないための方法

相続放棄をする際に親戚に迷惑をかけないためには、いくつかの重要な方法があります。まず、相続放棄を決意した場合は、速やかに親戚に報告することが大切です。これにより、親戚が突然の相続の責任を負うことを避けられます。

次に、被相続人の財産状況、特に借金などの負債について、できる限り詳細な情報を親戚と共有しましょう。この情報共有により、親戚が相続に関する適切な判断を下すことができます。

また、相続放棄の手続きには費用がかかります。弁護士費用や戸籍謄本の取得費用などを、親戚に代わって負担することで、親戚の経済的負担を軽減できます。また、戸籍謄本の取り寄せなど、手続きの一部を手伝うことも親戚への配慮となります。

場合によっては、限定承認を選択することも検討しましょう。限定承認を行えば、相続財産の範囲内でのみ債務を弁済する義務を負うため、親戚に負担がかかることを防げます。

これらの方法を実践することで、相続放棄による親戚への迷惑を最小限に抑えることができます。親戚との良好な関係を維持しながら、適切に相続問題に対処することが重要です。

相続放棄をすることを親戚に報告しておく

相続放棄を決断した場合、親戚に事前または直後に報告しておくことが重要です。これにより、突然の事態に親戚が戸惑うことを防ぐことができます。

報告方法としては、直接会って話をするのが最も望ましいですが、状況に応じて電話や手紙を利用することも考えられます。

報告の際には、相続放棄の理由を簡潔に説明することが大切です。例えば、被相続人の借金が多額であることや疎遠であったことなどを伝えることで、親戚の理解を得やすくなります。

親戚に被相続人の借金等の財産状況を共有する

被相続人の財産状況を親戚と共有することは非常に重要です。

被相続人の借金や資産の情報を親戚に説明することで、親戚自身が相続に関する判断を適切に行えるようになります。この情報共有により、親戚一人一人が相続放棄をするべきかどうかを慎重に検討できるため、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。

また、財産状況の共有は、親戚自身が財産調査を行う時間と労力の節約につながります。各自が個別に財産調査を行う必要がなくなり、効率的に相続に関する決断を下せるようになります。特に、被相続人に多額の借金がある場合、この情報を早期に共有することで、親戚全員が速やかに相続放棄の手続きを進めることができます。

相続放棄の費用(弁護士費用や戸籍謄本の実費)を負担する

相続放棄を行う際には、いくつかの費用が必要となります。主な費用として、家庭裁判所に提出する申述書の印紙代800円、郵便切手代があります。これらの実費は5000円程度です。その他に戸籍謄本の取り寄せ費用も実費として掛かりますが、相続人の順位や人数によって金額は変動します。

弁護士に依頼する場合、一般的な費用の目安は5万円から10万円程度です。この金額は案件の複雑さや弁護士事務所によって異なりますが、多くの場合はこの範囲内に収まります。

これらの費用を相続放棄者が負担することで、親戚への経済的な負担を軽減できます。特に、次順位の相続人となる可能性のある親戚がいる場合、この配慮は重要です。

なお、弁護士に委任する際には、委任状の作成が必要です。また、依頼するにあたっては、弁護士との面談も行われます。面談の方法は、対面だけでなく、電話やZoomなどのオンラインツールを利用することも可能です。この面談では、相続放棄の理由や被相続人の財産状況などについて詳しく聞き取りが行われます。そのため、親戚が弁護士に委任する場合には、弁護士との面談にかかる負担は生じざるを得ないでしょう。

戸籍謄本の取り寄せを手伝う

相続放棄の手続きには戸籍謄本が必要不可欠です。

親戚の負担を軽減するため、戸籍謄本の取り寄せを手伝うことは大切な支援となります。

まず、戸籍謄本の取り寄せ方法を丁寧に説明しましょう。次に、相続放棄に必要な戸籍謄本の種類を教えてあげましょう。相続人の順位によっては、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本が必要となることを説明します。

さらに、親戚の手間を省くため、委任状をもらって代わりに戸籍謄本を取り寄せることを提案します。委任状の書き方や必要事項も併せて伝えると親切です。

最後に、先ほども解説しましたが、戸籍謄本の取り寄せには費用がかかるため、その負担を申し出ることで親戚の経済的な負担を軽減できます。

限定承認を選択する

限定承認は、相続放棄と単純承認の中間的な選択肢として注目されています。

この方法を選ぶと、相続財産の範囲内でのみ被相続人の債務を返済する責任を負うことができます。つまり、債務超過の場合でも、相続人の固有財産に影響を与えることなく相続を処理できるのです。

限定承認を選択することで、親戚が次順位の相続人として巻き込まれるリスクを回避できます。相続放棄とは異なり、限定承認では相続人としての地位を放棄しないため、親戚が相続人となる事態を防ぐことができるのです。

ただ、限定承認の申立ては、相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所に対して行う必要があります。申立てには、共同相続人全員の同意が必要です。また、相続放棄と比べて、限定承認はその手続きが複雑になるため、弁護士のサポートを受けることも検討すべきでしょう。

相続放棄の相談は難波みなみ法律事務所へ

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相続放棄に際して、適切な対応をすることで親戚への影響を最小限に抑えることができます。

相続放棄を検討している場合は、早めに親戚に状況を説明し、理解を求めることが重要です。次に、被相続人の財産状況を可能な限り調査し、親戚と情報を共有することで、次順位の相続人が適切な判断を下せるようサポートしましょう。

また、相続放棄の手続きにかかる費用を負担したり、戸籍謄本の取り寄せを手伝ったりすることで、親戚の負担を軽減できます。

相続放棄は個々の相続人の自由ですが、親戚への配慮を忘れずに進めることで、円滑な相続と良好な親族関係の維持が可能となります。

まずは、気軽に弁護士に相談をしてみてください。

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