コラム
更新日: 2024.05.07

年収300万円の養育費はどのくらいか?養育費の相場や増減のケース|難波みなみ法律事務所

難波みなみ法律事務所代表弁護士・中小企業診断士。幻冬舎「GOLDONLINE」連載第1回15回75回執筆担当。法的な問題には、法律の専門家である弁護士の助けが必要です。弁護士ドットコムココナラ弁護士ナビに掲載中。いつでもお気軽にご相談ください。初回相談無料(30分)。

父の年収が300万円である場合、養育費はいくらになるのか。

未成熟の子供を育てるための子供の生活費、シングルマザーとなった場合の大きな懸念事項です。

元夫の収入金額を基に養育費の相場を調べ、子どもの将来のための財政計画を立てることが重要です。

本記事では年収300万円のケースを取り上げ、養育費の相場、計算方法、そしてその金額が増減する可能性のある状況について詳しく解説します。これにより、適切な養育費の理解と準備ができるようになることを目指します。

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養育費とは

養育費は、子どもの養育監護に必要となる費用で、衣食住に必要となる生活費、教育費、医療費などが含まれています。

養育費は、親の収入や子供の年齢に応じて計算されます。成人年齢の引き下げがありましたが、養育費の終期は20歳までとされるのが一般的です。

婚姻費用との違い

婚姻費用は、夫婦の共同生活を送る上で必要となる費用であり、夫婦の扶養義務を根拠としています。婚姻費用には、子供の生活費だけでなく配偶者の生活費も含まれています。

これに対して、養育費は、子どもの生活費のみを含みます。既に夫婦は離婚したことで、扶養義務がなくなるため、配偶者の生活費は含まれていません。

つまり、婚姻費用は、夫婦が別居してから離婚するまでに支払われる生活費を指し、配偶者の生活費も含みますが、養育費は、夫婦が離婚してから支払われる子供の生活費であり、元配偶者の生活費は含んでいない点で異なります。

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養育費の計算するステップ

裁判所が公表する養育費算定表を用いた養育費の計算方法を解説します。父母の収入額の確認から始め、子どもの人数や年齢に応じた算定表を用いて計算します。

収入額の認定

養育費を計算する過程で最も重要な一歩は収入額の認定から始まります。この認定は、公平な養育費の額を決める上で不可欠です。

給与収入の場合(会社員・公務員)

サラリーマンや公務員の場合、その収入は給与収入となります。

給与収入の場合、総支給額が収入額となります。源泉徴収票の支払金額が収入額となります。

事業所得の場合(自営業者)

個人事業主の収入は、事業収入として、異なる収入額の計算方法となります。

具体的には、確定申告書の所得金額から社会保険料を差し引き、さらに青色申告特別控除額を加えることで計算されます。これにより、個人事業主の養育費計算の基礎となる収入金額が決定されます。

養育費算定表を選択する

子供の人数や年齢に応じた養育費算定表を選択します。

例えば、子供が1人で10歳であれば、(表1)養育費・子1人表(子0~14歳)を選択します。また、子供2人で1人が16歳、1人が8歳であれば、(表4)養育費・子2人表(第1子15歳以上,第2子0~14歳)を選択します。

養育費を算出する

選択した算定表にそれぞれの収入を当てはめます。具体的には、縦軸には養育費の義務者の収入を当てはめます。横軸には権利者の収入を当てはめます。

その上で、縦軸の垂直線と横軸の水平線が交わる点が養育費の金額となります。

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年収300万円の養育費の相場

親の年収が300万円である場合の子どもの人数に応じた養育費の相場を紹介します。

【年収300万の養育費】子ども1人

養育費の義務者の収入が300万円で、子供が1人の場合、子どもの年齢や養育費の権利者の収入によって、養育費の金額は前後します。

子どもの年齢が14歳以下

例えば、権利者の収入がゼロの場合、4万円程になります。

権利者の収入がパート収入程度、つまり、120万円程である場合、3万円前後となります。

権利者の収入が240万円ほどの場合、2万円程になります。

権利者の年収養育費の目安
0円4万円
120万円3万円
240万円2万円

子どもの年齢が15歳以上

子どもの年齢が15歳以上の場合、子どもの生活費指数が増加するため、養育費の金額も増額します。

権利者の年収養育費の目安
0円5万円
120万円3.5万円
240万円2.5万円

【年収300万の養育費】子ども2人

子供の年齢が15歳未満か、15歳以上かによって、子供の生活費が異なります。

そのため、子供が2人の場合、その年齢によって以下の3パターンがあり得ます。

  • 2人共 14歳以下
  • 1人が14歳以下、もう1人が15歳以上
  • 2人共 15歳以上

2人共14歳以下

権利者の年収養育費の目安
0円6万円
120万円4万円
240万円3万円

第1子が14歳以下、第2子が15歳以上

権利者の年収養育費の目安
0円6万円
120万円4万円
240万円3万円

2人共15歳以上

権利者の年収養育費の目安
0円6.5万円
120万円4.5万円
240万円3.5万円

【年収300万の養育費】子ども3人

子供が3人いる場合も、その年齢によって養育費が変わります。

  • 3人共に14歳以下
  • 第1子15歳以上、第2子と第3子が14歳以下
  • 第1子と第2子が15歳以上、第3子が14歳以下
  • 3人共に15歳以上

3人共に14歳以下

権利者の年収養育費の目安
0円7万円
120万円5万円
240万円4万円

第1子15歳以上、第2子と第3子が14歳以下

権利者の年収養育費の目安
0円7万円
120万円5万円
240万円4万円

第1子と第2子が15歳以上、第3子が14歳以下

権利者の年収養育費の目安
0円7.5万円
120万円5万円
240万円4万円

3人共に15歳以上

権利者の年収養育費の目安
0円7.5万円
120万円5.5万円
240万円4万円

標準算定方式で養育費を計算する場合

養育費は、養育費算定表だけでなく、標準算定方式という計算式で計算することができます。

具体的には、以下の計算式で計算します。

養育費=基礎収入×子供の生活費指数×義務者の基礎収入/父母の基礎収入の合計

標準算定方式を用いるケース

例えば、子供が4人以上いる場合や、複数の子供の親権者が父と母で分離している場合には、養育費算定表をそのまま適用して養育費を計算できません。

この場合には、標準算定方式を用いて養育費を算出します。

基礎収入の算出方法

基礎収入は、収入額に所定の割合(基礎収入割合)を掛けて算出します。

年収300万円であれば、給与所得者であれば126万円、事業所得者であれば、171万円となります。

給与収入の基礎収入割合

収入額基礎収入割合
〜2000万円38%
〜1475万円39%
〜1325万円40%
〜725万円41%
〜525万円42%
〜275万円43%
〜175万円44%
〜125万円46%
〜100万円50%
0〜75万円54%

個人事業主の基礎収入割合

収入額基礎収入割合
〜1567万円48%
〜1482万円49%
〜1179万円50%
〜1046万円51%
〜942万円52%
〜784万円53%
〜563万円54%
〜496万円55%
〜392万円56%
〜349万円57%
〜256万円58%
〜98万円59%
〜82万円60%
0〜66万円61%

生活費指数

義務者の基礎収入を、子供の生活費指数を義務者の親の生活費指数と子供の生活費指数の合計で割った数値で掛けます。

子供と親の生活費指数は、以下のように決まっています。

  • 14歳以下 62
  • 15歳以上 85
  • 親 100

例えば、10歳の子供、16歳の子供の場合には、以下のようになります。

基礎収入×147/247

他方で、10歳の子供は父親が親権者、16歳の子供ら母親が親権者となっている場合、以下のようになります。

基礎収入×147/247

養育費が増額する要素

養育費の金額は通常、父母の収入額と子供の年齢に応じて算出されますが、特別な状況下では相場よりも高くなることがあります。

子どもが私立高校や大学に進学する

子どもが私立高校や大学に進学する場合、養育費とは別に学費の負担を求めることができます。

養育費には既に子供の公立学校の教育費が含まれています。

しかし、私立高校や大学への進学に伴い、養育費で考慮されている教育費以上の教育費が発生する場合には、養育費だけでは教育費の不足が発生します。

そのため、子供が私立高校や大学に進学する場合には、養育費で考慮されている教育費を超える部分のうち、父母の収入比率に応じた費用の負担を求めることができます。

私学加算が認められる条件

ただし、私立学校や大学の費用負担を求めるには以下の事情を考慮することが必要です。

  • 私立高校や大学に進学することを承諾している場合
  • 親も大学を卒業している場合
  • 大学に進学することを予定する高校に進学している場合

高校の無償化

自治体によって異なりますが、親の所得によって、私立高校の学費が無償となる場合があります。その場合には、養育費で考慮されている教育費を超える負担が生じません。

そのため、この場合には、養育費とは別の学費負担は生じにくいでしょう。

子どもが病気や障害がある

子どもが病気や障害を持つ場合、養育費に含まれた医療費だけでは賄えない特別の医療費の負担が生じます。

そこで、養育費で考慮されている医療費を超える部分について、父母の収入割合に応じた負担を求めることができます。

収入資料の信用性がない場合

義務者の収入資料に信用性がない場合には、義務者の収入が300万円以上で認定されることがあります。

例えば、勤務先の源泉徴収票を提出しているが、その給与収入以外の収入を得ていることが強く疑われる場合です。また、確定申告書の所得額がかなり低額過ぎるような場合もです。

このような場合には、年齢別や学歴別の平均賃金を収入額として養育費を計算することがあります。

養育費が減額する要素

養育費が先ほど紹介した相場の金額よりも低くなることもあります。

再婚や養子縁組した場合

支払義務者の親が離婚した後、再婚したり、再婚相手の子と養子縁組したことで、支払義務者の扶養対象が増えた場合には、養育費が減額されます。

また、養育費の権利者が再婚し、子どもと再婚相手が養子縁組した場合にも養育費は減額されます。

母親の収入が高い場合

先ほど紹介した相場では、母親の収入額を0円から240万円としていました。そのため、母親の収入額が240万円を超える場合には、養育費の金額は低くなります。

また、先ほどの母親の収入額は給与収入であることを前提としています。そのため、収入額が同額であっても、収入の種類が事業所得であれば、養育費は低くなります。

子供が既に就職している場合

養育費の終期は20歳までですが、子供が20歳を迎えるまでに正社員として就職する場合には、養育費は低くなります。

ただし、子供が学業を終えても、独立で生活できる状況でなければ、養育費の対象になる可能性があります。

養育費を取り決める手続

離婚をする際に、子供の親権者を決めなければなりません。それと一緒に、子供の養育費についても取り決めることが多くあります。

養育費を取り決める手続きを紹介します。

話し合いをする

父母間で、養育費の金額や終期などの条件を協議します。

父母間で協議を重ねた結果、合意に至れば合意内容を明記した合意書を作成します。

できれば公正証書を作成しておくことが肝要です。なぜなら、公正証書を作成しておけば、養育費の不払いがあっても、調停や訴訟をせずに強制執行に着手することができるからです。

調停手続で決める

話し合いが奏功しない場合には、調停の申立てをします。離婚前であれば離婚調停、離婚後であれば、養育費の調停を申し立てます。

調停手続では、家庭裁判所の調停委員が父母を仲裁をして、話し合いによる解決を促していきます。

調停手続を経ても解決に至らない場合、離婚前であれば離婚裁判に、離婚後であれば審判手続に移行することになります。

離婚裁判で決める

離婚裁判では、父母の両者が争点となる事柄について、主張と反論を繰り返し行い審理を進めます。審理が尽くされれば、裁判官から和解による解決が提案されます。和解による解決に至ることも多くありますが、和解に至らない場合には、当事者尋問を経た上で判決が下されます。

審判手続で決める

既に離婚が成立している場合には、養育費に関する審判手続に移行します。

審判手続では、裁判官が当事者の主張や証拠に基づき終極的な判断を下します。審判手続では、調停のような話し合いの要素は薄くなりますが、話し合いで解決できないわけではありません。審判手続に移行しても、裁判官が和解による解決を提案することはあります。

話し合いによる解決が難しい場合には、裁判官が審判を出します。審判を受けてから2週間以内であれば即時抗告により争うことはできます。

養育費の問題は弁護士に相談を

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養育費は、子供の将来に関わる重要な法律問題です。

ついつい離婚を優先するあまり、養育費を請求しないケースは多々あります。また、元夫との面会交流を避けたいがために養育費の請求を控えることも多くあります。

しかし、面会交流は、子どもにとっても重要な成長の機会です。さらに、養育費を受け取ることで、子供の進学の選択肢が増えることもあるでしょう。

配偶者との交渉や裁判所の手続が負担になる場合には、弁護士に相談しましょう。

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