コラム
最終更新日:2023.07.10

不倫・浮気の慰謝料の相場とは?不貞慰謝料の計算方法を弁護士が解説します

離婚問題  不倫慰謝料の相場 不倫慰謝料の増減要素

不貞行為の慰謝料のご相談に際して、ご相談者から「不貞行為の慰謝料の相場はいくらでしょうか?」、「不貞行為の慰謝料の相場は大体300万円くらいですよね?」といったご質問を受けることがよくあります。

不倫慰謝料の相場をあえて言えば、「50万円から300万円」と言えますが、不貞行為の慰謝料の金額算定は、機械的・画一的に決まるものではありません。不貞行為の結果、期間・回数、浮気相手の社会的地位、離婚の有無等の様々な事情によって算定されるものです。

以下で述べる各要素を総合的に考慮することで不貞行為によって受けた精神的苦痛を金額で算出します。

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1.離婚・別居・同居継続か否か

不貞行為とは、配偶者が他方の配偶者以外の異性と性行為をすることを言います。

不貞行為の慰謝料の金額は、不貞行為が原因で離婚したのか、別居したのか、あるいは、同居を継続しているのかによって変動します。

不貞行為によって離婚にまで至れば、夫婦関係に与えたダメージは大きく、他方で、別居せずに同居を継続できている場合にはダメージはそれ程大きくないと考えれます。

不貞行為によって夫婦が離婚した場合や離婚調停の申立てに至った場合には、慰謝料額の相場は150万円~500万円となります。

離婚には至っていないものの別居している場合には、慰謝料額の相場は、125万円前後となります。

不貞行為に及んだものの、別居せずに同居を継続している場合には、慰謝料の相場は、50万円~100万円となります。

ただ、離婚・別居・同居継続といった事情だけでなく、それ以外の事情も考慮しながら適正な慰謝料額を算出します。

【慰謝料額の大小関係】
離婚(離婚調停)>別居>同居継続

2.不倫慰謝料の増減要素

不貞行為の結果だけでなく、不貞行為によって妊娠・出産した場合、不貞行為の回数や期間などの要素を踏まえて、不倫慰謝料の金額は増減します。裁判例を紹介しながら解説します。

2-1.妊娠・出産

単なる不貞行為と比べて、不貞女性が妊娠した場合、それだけでなく子供を出産したような場合、慰謝料額は相当程度増額することが多いです。

【東京地方裁判所平成15年9月8日】妻が平成12年1月5日に長女を出産した後、不貞相手が同じ1月27日に男児を出産した事案では、慰謝料として500万円の支払を命じている。

2-2.不貞行為の期間や回数

不貞行為の期間が長くなれば、また、不貞行為の回数が多くなれば慰謝料額は高くなります。

【東京地方裁判所平成19年9月28日】交際していた時期は、2か月から3か月程度の短期間であるとして、慰謝料の減額要素として考慮しています。
【東京地方裁判所平成22年7月15日】不貞関係が約1年7か月という長期にわたり継続的に繰り返されたとして、慰謝料の増額要素として考慮しています。

2-3.婚姻期間や家族構成

婚姻期間が短い場合には慰謝料額の減額要素となります。逆に、婚姻期間が長ければ長いほど、慰謝料額は高額となります。

子供の人数や年齢も慰謝料の増減要素となります。子供が多い場合、子供が未成年である場合には、慰謝料の増額要素となるでしょう。

【東京地方裁判所平成20年10月3日】不貞行為が開始された当時、婚姻期間が約2年半程度にすぎなかったと認定して減額要素としています。
【東京地方裁判所平成23年2月24日】婚姻関係が約1年9か月であることを慰謝料の減額要素としました。

2-3.不貞行為に対する認否

不貞行為を行った配偶者や不貞相手が、不貞行為をしたことを否認している場合や何ら謝罪・反省をしていない場合には、慰謝料の増額要素となります。

そのため、不貞行為の存在が客観的資料から高い確度で証明される場合には、不貞行為の存在を認め、謝罪をすることも必要になってくると思います。

また、過去に不貞行為が発覚したことがあり、その時点で不貞行為を今後一切行わないと誓約をしておきがら、再び不貞行為に及んだようなケースでは、慰謝料額の増額要素になるでしょう。

【東京地方裁判所平成24年3月29日】不貞行為に当たることを当初から自認し、謝罪の意思を表明していることを慰謝料の減額理由としました。
【東京地方裁判所平成22年12月9日】不貞相手との肉体関係を否定するなど、配偶者に対して不誠実な対応に終始しているとして、慰謝料の増額理由としました。

2-4.不貞行為の発覚後の不貞関係の解消

不貞行為の発覚後、不貞関係を解消することもなく、不貞相手との不貞関係を継続させている場合には、慰謝料の増額要素となるでしょう。

2-5.DVやモラハラといった事情がある場合

不貞行為だけでなく、DV、モラハラ、悪意の遺棄といった有責行為も存在している場合には、慰謝料額の増額要素となります。

2-6.不貞相手が故意である場合

不貞相手が、不貞配偶者が既婚者であることを知っておきながら、漫然と不貞行為を行ったといえる場合には、慰謝料額の増額理由となります。さらに、不貞相手が、不貞配偶者を離婚させるために、積極的に不貞行為を行い、離婚するよう促していた場合には、さらに慰謝料額の増額要素となります。

他方で、不貞相手が、不貞配偶者が既婚者であることを知らなかったものの、知らないことに過失があった場合には、慰謝料額の減額要素となる可能性があります。

2-7.不貞相手が経済的な利益を得ている場合

不貞相手が不貞配偶者から金銭や不動産などの経済的利益を得ている場合にも、慰謝料の増額要素となります。

【東京地方裁判所平成28年12月22日】妻は、マンション購入資金を夫が不貞相手に援助したことなどを知り大きな衝撃を受け過度のストレスから自律神経等に不調をきたすようになったこと等を勘案して180万円の慰謝料を認容しました。

2-8.生活費の多くを負担している場合

不貞配偶者が被害配偶者に対して、生活費や婚姻費用を十分に支払ってこなかった場合には、慰謝料の増額要素となります。ただ、裁判例では、婚姻生活に必要な生活費を負担しなかった事情を増額要素とするものもあれば、生活費の不払いは夫婦間の問題であることを理由に増額要素として否定的に捉えるものもあります。

【東京地方裁判所平成28年1月29日】婚姻生活における被害配偶者の多大な経済的負担は、配偶者間の問題で、慰謝料算定に当たって斟酌すべき事情としては重視し得ない。

2-9.浮気相手の社会的地位

浮気相手の社会的地位が高い場合や収入額が高い場合には、慰謝料額が増額される余地があります。ただ、補充的な要素に留まり、主要な増額要素にはなりにくいと考えます。

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3.不倫慰謝料が認められない場合

配偶者が異性と性行為に至れば、必ず配偶者やその相手方に対して慰謝料請求できるわけではありません。

不貞行為の慰謝料は、①不貞行為に該当しない、②不貞相手に過失がない場合、③性行為が婚姻関係の破綻後である場合には、認められません。

3-1.不貞行為に該当しない

不貞慰謝料を請求するためには、不貞行為が存在していることが必要です。その上で、これを証拠により証明しなければなりません。

不貞行為とは、配偶者が、妻(または夫)以外の異性と性行為を行うことです。口淫や手淫といった性交に準じる行為は、不貞行為ではありません。また、キスや胸を触る行為も不貞行為ではありません。さらに、異性と食事に行く行為も不貞行為ではありません。

そのため、配偶者が異性と挿入行為を伴う性行為を行ったことを証明できなければ不貞慰謝料の請求は認められません。

3-2.過失がない場合

不貞相手に不倫慰謝料をする場合、不貞配偶者が既婚者であることを知っていることが必要です。仮に、既婚者であることを知らなかったとしても、知ることができたにもかかわらず、その注意を払わなかったためい知らなかった場合も、不貞相手に対して不貞慰謝料を請求できます。

既婚者であることを知っていることを「故意」、知らないが知ることができた状態を「過失」といいます。

そのため、不貞相手に既婚者であることに過失すらなければ、不貞相手に対する慰謝料請求は認められません。

過失の有無は、不貞配偶者との関係性(出会い方)や交際期間・不貞行為の回数といった様々な事情を踏まえて判断されます。

不貞配偶者との関係性

同僚や友人であれば、不貞配偶者の家族関係を知ることは容易であるため、過失は肯定、アプリや出会い系サイト、結婚相談所で出会った場合には過失は否定される可能性があります。

交際期間や不貞行為の回数

1回限りの不貞関係であれば過失は否定される可能性が、交際期間が長く不貞行為の回数も多ければ、不貞配偶者が既婚者であることを知る機会があったとして、過失は肯定される可能性があります。

3-3.婚姻関係の破綻後の性行為

性行為が、夫婦の婚姻関係の破綻後に行われた場合には、慰謝料請求の対象にはなりません。

不貞行為による慰謝料請求が認められるためには、性行為によって、夫婦の共同生活の平穏を害しなければなりません。

しかし、性行為が行われた時点で、既に夫婦関係が破綻しているのであれば、性行為によって侵害される権利・利益が存在しないことになります。

そのため、性行為が夫婦関係の破綻後に行われた場合には、慰謝料は発生しません。

4.不倫慰謝料を請求するための流れ

不貞配偶者や不貞相手に対して、不倫慰謝料を請求するためには、不貞行為を裏付ける客観的な証拠を収集した上で、内容証明郵便にて慰謝料請求をします。交渉による解決が図れない場合には、慰謝料請求の訴訟提起をします。

4-1.証拠の収集

不貞慰謝料が認められるためには、不貞行為の存在を証明しなければなりません。不貞行為の証明は、不貞慰謝料を求める配偶者によって行わなければなりません。

不貞行為の証明ができない場合には、不貞行為は存在しないと認定されます。そのため、不貞慰謝料を請求するにあたっては、不貞行為の証拠を計画的に収集しておくことが重要となります。

不貞行為の証拠

  1. 性行為の写真・動画
  2. ラブホテルに入る・出てくる写真・動画
  3. 性行為に関するLINEメッセージ
  4. 探偵社の調査報告書
  5. 性行為を認める念書や録画

4-2.不貞慰謝料の通知をする

不貞行為の証拠が十分に揃えば、不貞配偶者や不貞相手に対して、不貞慰謝料の支払いを求める通知書を送付します。

通知書を送付した日や通知書の内容を事後的に証明するため、不貞慰謝料の通知は内容証明郵便を利用します。また、普通郵便よりも内容証明郵便の方が、相手方に対して、より強い心理的なプレッシャーを与えるため、不貞慰謝料の支払いを促す効果もあります。

4-3.慰謝料の交渉を行う

慰謝料請求の通知をした後、相手方との間で、不貞慰謝料の交渉を進めます。

相手方が不貞行為の存在を認めるのであれば、慰謝料額の交渉を進めます。

不貞行為の存在を否認するのであれば、不貞行為の存在を裏付ける証拠を提出することで、慰謝料額の交渉を進めます。

交渉の末、慰謝料額の金額や支払い方法が合意できれば、合意内容を具体的に記した合意書を作成します。

相手方が、不貞慰謝料を一括で支払えない場合には、分割払いの支払方法も検討します。慰謝料を分割で支払う場合には、公正証書を作成するようにします。公正証書を作成しておくことで、相手方が分割払いの履行を怠る場合には、訴訟手続きをすることなく差押えが可能となります。

4-4.訴訟提起をする

相手方との交渉が妥結しない場合には、不貞慰謝料を求める訴訟提起を行います。

不貞慰謝料を請求する配偶者が、不貞配偶者または不貞相手(あるいは、その両名)を被告とする訴状を裁判所に対して提出します。裁判所は、原告となる配偶者または被告の住所地を管轄する裁判所となります。

訴訟手続きでは、慰謝料請求をする配偶者において、不貞行為の存在を証拠により証明しなければなりません。

これに対して、被告である不貞配偶者または不貞相手からは、不貞行為の存在、故意・過失、婚姻関係の破綻後の行為であることなどの反論が出されます。

原告と被告から、主張反論が繰り返された後、裁判官から当事者に対して、和解勧告がなされます。

多くの事案では、裁判官の和解勧告により裁判上の和解が成立し、終局的に解決されます。

しかし、裁判上の和解が成立しない場合には、証人尋問(当事者尋問)をした上で、判決手続きへと進みます。

TIPS!
不貞慰謝料の請求には、訴訟提起のほか調停手続きにより行うこともできます。
裁判所による慰謝料調停の解説はこちら

5.不倫慰謝料の問題は弁護士に相談を

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不倫慰謝料を請求する際には、不貞行為の証拠を計画的に収集しておくことが必要です。その上で、相手方に対して、事案に応じた適切な慰謝料額を請求し、適切な金額で合意できるように交渉や訴訟手続きを進めていかなければなりません。

また、当事者本人による交渉や訴訟の対応は、大きな心理的な負担を生じさせます。

無理をせずに早い時期に弁護士に相談することをおすすめします。

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弁護士・中小企業診断士。法的な問題には、法律の専門家である弁護士の助けが必要です。町のお医者さんに相談するような気持ちで、いつでもお気軽にご相談ください。初回相談無料(30分)。趣味はゴルフと釣り、たまにゲームです。

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