離婚の決断は単に配偶者と別れるだけではなく、その後の生活を大きく左右する重要な事柄です。
仕事や育児など離婚後の生活における様々な問題をクリアする必要があります。親権・養育費、面会交流、財産分与、婚姻費用、慰謝料、年金分割など離婚時に問題となる事項は多岐にわたります。専業主婦はこれらの多くの問題が原因で離婚を躊躇してしまうケースがあります。
離婚を行う際は事前の準備をしっかりと済ませることが重要と言えるでしょう。感情に任せて無計画に離婚することは必ず避けなければなりません。
ここでは離婚における専業主婦ならではの問題点や必要な準備の詳細についてお伝えします。

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別居する前に準備しておくべきこと
無計画に別居を開始させてしまうと、本来得られたはずのものを得られずに損をしてしまうかもしれません。別居するにあたっては、十分な準備をしておくことが重要です。
収入資料の確保
婚姻費用や養育費の請求をするために、夫の収入資料を確保しておきましょう。
夫が会社員であれば、源泉徴収票や給与明細等があれば十分です。他方で、夫が副業・兼業をしている場合、兼業・副業に関する資料や情報を収集しておくことが大切です。
また、不動産収入や配当収入等の不労所得がある場合も、その内容が分かる資料や情報を確保しておきましょう。
別居後に、夫が給与収入以外の収入資料を開示しない場合があります。この場合には、妻側で夫の収入状況を証明しなければなりませんので、十分な収入資料を確保できてから別居するようにしましょう。
生活拠点の確保
生活拠点の確保が容易ではないことも専業主婦が離婚を躊躇する原因です。
別居後の住居が確保できた上で、別居を開始するようにしましょう。
自宅を退去する場合
同居期間中、専業主婦である妻は、夫名義の賃貸物件や住宅ローン付の自宅不動産に居住していることがほとんどです。
別居に際して、専業主婦がこれら夫名義の自宅から退去した場合、転居先として実家や親族の自宅を借り住まいとして利用するケースもあります。
しかし、親や親戚にも自分の生活があるので、いつまでも親族の厄介になるわけにはいきません。部屋数や生活費などに余裕がない場合は、専業主婦自らが生活拠点を確保する必要があります。そのため、公営住宅の申込をするなどして、早い時期から住居の確保をしておきましょう。
別居後も自宅に居住し続ける場合
別居後においても、夫名義の自宅に住み続けるケースもあるでしょう。
住宅ローン付自宅不動産であれば、夫が住宅ローンを負担することが通常です。夫は妻や子供を扶養する義務を負いますから、妻らに対して、自宅不動産からの退去を求めることはできません。また、妻に対して、住宅ローンの全額を負担するように求めることもできません。ただし、後述する婚姻費用の額から平均的な居住費が控除される場合はあります。
他方で、自宅不動産が賃貸物件である場合、妻が賃貸物件の自宅に居住し続けると、住宅ローンの場合と異なり、婚姻費用額から家賃の実額が控除される可能性があります。
子どもを連れて別居するように準備する
夫婦に未成年の子供がいる場合には、子どもを連れて別居するように準備します。
離婚時に問題となるのが子供の親権です。
親権は、別居前の子の監護状況や子供の年齢・子供の意思に加えて、別居後の監護状況を踏まえて判断されます。子の親権者となることを希望するのであれば、子どもを置いて別居することはせず、必ず子供を連れて別居するようにします。
別居後の子供の生活環境を安定させるため、学校の校区が変わるのか、変わる場合には転校手続きが必要となるのかを確認しておきましょう。
また、健康保険証やマイナンバーカード、母子手帳、子供の衣服や玩具等も別居前に整理しておき、置き忘れのないようにしておきましょう。
不貞行為やDVの証拠の収入
夫が不貞行為やDVといった有責行為をしている場合には、これらの証拠を収集しておくことが重要です。
不貞行為やDVの事実が存在していたとしても、事後的にこれらを証明できなければ意味がありません。たとえ、不貞行為やDVに関する事情を知っている親族や知人がいて、これらの者が証言できるとしても、客観的な資料がなければ十分とは言えません。
一度別居をしてしまうと、夫の動きを把握し辛くなり、離婚原因に関する証拠を収集することは非常に難しくなることが多いです。
そのため、無理をしないように同居している間に有利となる客観的資料を収集するように努めてください。
証拠の種類
不貞行為に関する証拠としては、ホテルの入退出の写真、不貞相手とのLINEメッセージ、宿泊に関する領収書、性行為やこれに類似する行為の写真や動画があります。
DVやモラハラについては、LINEやメールの履歴、暴行を受けた痕の写真、医師の診断書、日記、録音や録画データといった証拠が提出されることが多いです。日記については、事後的に記憶を辿りながらまとめて作成してもあまり意味はありません。その都度日記に具体的に書き留めておくことが重要です。いずれも、事後的に裁判に発展するかもしれないという予測の下で、予め計画的に収集しておかなければならないものです。
TIPS!有利な条件で離婚を進めるには
夫が離婚原因となるような不貞行為やDVに及んでいる場合、妻は夫に対して、これらを理由とした損害賠償請求をすることができます。しかし、これだけに留まらず、夫が不貞行為やDVといった離婚原因を作出している場合、いわゆる有責配偶者となります。有責配偶者は、その配偶者に対して原則として離婚を求めることは信義則に反するとして認められません。特に、未成熟の子供がいるような場合には、一層離婚することが難しくなります。
これはすなわち、いくら夫が離婚を強く希望していたとしても、妻が離婚しない立場を取り続けるのであれば、しばらくの間離婚することができず、離婚できるまでの間、妻に対して婚姻費用を負担し続けなければならないということを意味します。離婚ができない期間はケースバイケースですが、中には10年以上離婚できない事案もあります。
このような状況は、専業主婦からすると、離婚慰謝料や財産分与、養育費といった離婚条件の全般を協議する上で非常に有利な立場で交渉できることを意味します。
財産の資料を揃えておく
財産分与を適切に行うためにも、夫の財産に関係する資料や情報を確保しておきましょう。
離婚における金銭のやり取りで問題になりやすいのが財産分与です。
財産分与とは、夫婦の共有財産を対象として、財産額の多い方から少ない方に分けることです。
財産分与において問題となりやすいのが、①共有財産の有無や内容と②共有財産か特有財産かです。
①については、相手方が別居時点において有している財産がどのような内容で、どこにあるのかが問題となります。具体的には、預金であれば、金融機関名だけでなく、どこの支店なのか、投資信託であれば、取引をしている証券会社がどの会社かといった問題が生じやすいです。特に預金については支店名まで分からなければ調査できません。同居中に夫側の財産構成を把握しておくようにしましょう。ちなみに、夫の別居時点の退職金も財産分与の対象となりますので、忘れないようにして下さい。
②については、結婚前から有していた預金、相続した遺産、両親から贈与を受けた財産などは、共有財産には当たりません。ただ、これらについては、預貯金の履歴や契約書などの客観的な資料により特有財産であることを証明できなければ、共有財産として扱われますから注意を要します。


別居時には婚姻費用分担請求をする
専業主婦が別居を開始した場合、当面の生活を安定させるため、速やかに婚姻費用の請求をするべきでしょう。
婚姻費用とは、夫婦が社会生活を送る上で通常必要となる生活費を指します。
婚姻関係が続く限り、夫は妻に対して婚姻費用を支払う必要があります。
婚姻費用の計算は、裁判所が公開している算定表にしたがって行います。

この算定表の見方ですが、縦軸が「義務者の収入」つまり夫の収入、横軸が「権利者の収入」つまり妻の収入になります。
妻が専業主婦で無収入であったとしても、120万円の収入を認定されることが多いです。なぜなら、専業主婦で無収入であったとしても、子どもがいない、あるいは、子どもがいたとしても、日中就労することができるのであれば、仕事をして収入を稼ぐことができる能力(潜在的稼働能力と言います。)を有しているといえるからです。
夫が500万円、妻が120万円で、14歳以下の子どもが一人であれば、縦と横の赤矢印が交わる「8~10万円」の真ん中あたりが婚姻費用となります。つまり、9万円前後が妥当な婚姻費用額という事になります。
仮に、専業主婦が、住宅ローン付の夫名義の自宅不動産に居住している場合には、専業主婦の妻は居住費の負担を免れていますので、先ほどの婚姻費用額から収入に応じた居住関係費(2万3千円前後)を控除することになります。
このような婚姻費用は、たとえ別居生活が継続されていたとしても、婚姻関係が続く限り、夫が妻に対して負担し続けなければならないものです。
離婚時に夫に請求するべきこと
離婚する際には、妻が夫に対して請求するべき権利は多くあります。漏れのないように請求を行い、離婚後の生活が不安定にならないようにしましょう。
離婚慰謝料
夫が不貞行為やDVなどの離婚原因を作っている場合には、夫に対して慰謝料の請求をしましょう。慰謝料請求に際しては、あからじめ収集しておいた客観的資料の存在が役立ちます。
慰謝料の相場
不貞(浮気・不倫)やDVも含めた慰謝料の相場としては、50万円から300万円程度です。
不貞行為やDVによって生じた結果(妊娠・出産した、暴力により入通院したetc)、婚姻期間、行為の期間等の事情を総合して判断します。特に、夫の不貞行為の結果、不貞相手が妊娠・出産に及んでいる場合には、妻の精神的苦痛が大きくなるため、慰謝料額は高額になります。
関連記事|DVの慰謝料請求の相場は?DVの慰謝料請求について弁護士が解説
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子供の親権と養育費の請求
専業主婦である母が子供の親権者となった場合には、養育費の請求をします。
養育費は、先ほど解説しました婚姻費用と同様に、父親と母親の収入額を基礎に養育費算定表を参照して算出します。
養育費の金額だけでなく、養育費の終期や特別な費用の負担等についても、夫婦間で協議して合意しておくことがポイントです。
不払いに備えて公正証書にしておく
夫が養育費を任意で支払わない場合があります。
その場合に養育費を回収するためには、調停の申立てや訴訟提起をしなければなりません。訴訟手続きには、1年近くの期間を要します。
そこで、速やかに養育費を回収するために、養育費を含めた離婚条件を「公正証書」により合意しておくことが重要です。公正証書を作成しておけば、訴訟手続きを経ることなく、夫の給与等の財産を差押えて、養育費を回収することが可能となります。
財産分与の請求
離婚に際して、夫婦の共有財産を清算する財産分与の請求もしておきましょう。
財産分与は、離婚をした日から2年間請求することができます。そのため、離婚時に財産分与をしなくても離婚後に請求することはできます。
しかし、離婚時に財産分与の問題を棚上げにしておくと、離婚を成立させた後、再び元夫との間で財産分与の問題を解決させる必要が生じてしまい、精神的な負担を伴います。財産分与の問題をできる限り有利な方向で合意するためにも、離婚に際して離婚条件として財産分与の問題を解決させておく方が良いでしょう。
年金分割の請求
年金分割も忘れずにしておきましょう。
年金分割とは、夫婦の婚姻期間中の保険料納付額に対応する厚生年金を分割する制度をいいます。
あくまでも、結婚してから離婚するまでの夫の厚生年金保険料の支払情報を分割するものです。受給する厚生年金額を分割するわけではありませんので注意してください。
年金分割をするためには、年金事務所から年金分割情報通知書の発行を受けた上で、年金分割の内容を記した公正証書を作成するか、年金分割の調停等の裁判手続きをする必要があります。
その後、公正証書か調停調書等の裁判関係の書類を年金事務所に提出して年金分割の請求をしなければなりません。年金分割は離婚時から2年を経過するとできなくなりますので、注意が必要です。
子供との面会交流を実施する
面会交流を積極的に活用することを検討しましょう。
離婚するにあたって、財産分与、慰謝料、養育費といった様々なお金に関わる事項を決めなければなりません。夫婦関係が悪化しており、互いに冷静に協議ができる状況にはないことがほとんどです。そのため、夫側も、財産分与や慰謝料について一歩も譲らないという態度を示してくることも多いです。
そのような状況で、一つの打開策として機能するのが子供の面会交流です。
本来、子供の面会交流と財産分与等の離婚条件は別の問題ですし、面会交流は子供のための権利ですから、面会交流を離婚条件の交渉材料に使うことは適切ではありません。
しかし、多くの離婚事案では、妻側は子供の面会交流に消極的になることが多く、そのことが夫のフラストレーションを溜める要因となっていることも多いです。
そこで、面会交流を行うことが子の福祉に反するような特段の事情がないのであれば、面会交流を積極的に実施するようにします。特段の事情もないのに、面会交流を頑なに拒否することはあまりお勧めしません。
離婚協議書を作成しておく
夫婦間で離婚協議ができれば、合意した内容を文書化しておきましょう。
協議離婚は、離婚届を提出することで成立します。また、子どもの親権についても離婚成立時に決まります。
しかし、財産分与、養育費、慰謝料などの離婚条件については、文書化しておかなければその内容が事後的に証明することが難しくなります。
そのため、離婚成立後に、一度合意した離婚条件が蒸し返しされないように、離婚条件を明確に記載した離婚協議書を作成しておきましょう。可能であれば公正証書としておくことが肝要です。
TIPS!公正証書とは
公正証書とは、公証役場に所属する公証人が、当事者の要望に基づいて作成される文書です。
公正証書は一般の私文書よりも信用力があり、強制執行の認諾文言があれば裁判手続きをせずに金銭債権の差押え等の強制執行を行うことができます。
難航すれば離婚調停の申立を検討する
夫婦の話し合いにより離婚条件の合意ができ、離婚届けを提出できるのが理想です。
しかし、離婚条件に関する話し合いが難航するのであれば、離婚調停の申立を検討します。専業主婦である妻自身が、離婚調停の申立を行うことが戦略上控えるべき場合もあります。その場合には、離婚調停ではなく、婚姻費用の調停申立てのみを行います。
関連記事|離婚調停とは何か?離婚調停の流れや時間について弁護士が解説
離婚後に取り組むべきこと
離婚後の生活を速やかに安定させるために、離婚後に取り組むことは多くあります。
再就職して収入を確保する
離婚後、仕事ができないなどの特段の事情がなければ、早期に就労を開始するようにしましょう。
専業主婦は配偶者である夫の収入で生活していますが、離婚後は自分で就労し生活の糧を獲得する必要があります。離婚をすればもはや赤の他人ですから、この婚姻費用を支払う法的な義務はありません。子どもがいれば夫は子供の養育費を支払う義務はありますが、子どもがいない場合には、夫が妻に対して離婚後に継続して支払続けるお金はありません。
マザーズハローワーク
就職活動が成功しない場合には、マザーズハローワークの利用も検討します。
マザーズハローワークとは、子育て中や子育てと仕事との両立を目指す求職者のために就職支援を実施する施設です。マザーズハローワークには、一般のハローワークの求職情報以外にも、仕事と育児の両立の理解のある企業からの求人情報も寄せられます。
生活保護の申請を検討する
子供がいれば、元夫から養育費を受け取ることができますが、専業主婦であった元妻は元夫から自身の生活費を受けることはできません。
しかし、持病や求職数の地域格差によって、離婚後に定職に就けないことはあります。そこで、定職に就けない場合には、積極的に生活保護の申請をしましょう。
シングルマザー(母子家庭)であれば生活保護費に母子加算を受けることもできます。
児童扶養手当の申請をする
母子家庭(シングルマザー)で十分な収入を得られていない場合には、児童扶養手当の申請をしましょう。
児童扶養手当とは、ひとり親家庭において養育されている子供の福祉増進のために支給される手当を言います。
児童扶養手当の金額は、請求者や扶養家族の前年の所得によって決まります。請求者等の所得額が所得制限額を超えると児童扶養手当が一部支給となったり、不支給となります。
児童の数 | 全部支給 | 一部支給 |
児童1人 | 44,140円 | 44,130円~10,410円 |
児童2人 | 10,420円 | 10,410円~5,210円 |
児童3人目以降 | 6,250円 | 6,240円~3,130円 |
保育園の副食費の免除
保育園の保育料は無償化されています。
施設の種類 | 0歳~2歳の保育料 | 3歳~5歳の保育料 |
認可保育園 | 住民税非課税世帯は無料 | 無料 |
認定こども園 | 住民税非課税世帯は無料 | 無料 |
地域型保育園 | 住民税非課税世帯は無料 | 無料 |
保育園の費用は、保育料だけでなく給食材料費(主食費・副食費)も含まれます。
給食材料費は無償化されていないため、施設に支払う必要があります。主食費が月3,000円、副食費が月4,500円とされています。
しかし、年収360万円未満相当世帯については、副食費の支払が免除されます。
各自治体によって手続や要件を異にしますので、お住まいの自治体に相談してみましょう。
就学援助
高校入学前の子供がいる場合には、就学援助制度の利用も検討しましょう。
就学援助制度とは、経済的な理由により十分な就学ができない小学校・中学校の子供の保護者に対して、経済的な援助を行い制度です。
援助の対象世帯は、定められた所得額以下の世帯、生活保護世帯、児童扶養手当を受給している世帯などになります。
援助の内容としては、学校教材費、校外活動費、修学旅行費、入学準備補助金、学校給食費、オンライン学習通信費等があたります。
ひとり親家庭の医療助成費
ひとり親家庭の医療費助成とは、ひとり親家庭の18歳までの子どもと、その子どもを監護している親等に対して、医療機関等を受診したときの医療費(保険診療分)の一部を助成するものです。
18歳未満の子供のいる一人親世帯で、かつ、定められた所得額以下の所得額である世帯が対象となります。助成対象となる医療費は、診療費、治療費、薬代金、訪問看護費等です。
保険診療の自己負担額から一部の自己負担額を除いた医療費が助成されます。なお、医療費助成においては、1医療機関ごと1日当たり最大500円とされていますが、同一医療機関における3日目以降については、自己負担はありません。
助成内容や条件は、各自治体によって異なりますので、お住まいの自治体のホームページや担当窓口にて確認しましょう。
公共交通機関の割引
母子家庭などの世帯を対象に、公共交通機関の利用料の割引制度があります。
大阪市では、児童扶養手当の受給をしている世帯主を対象に、JRの通勤定期券を3割引きの価格で購入することができます。
離婚に向けた手続きの進め方
離婚には、協議離婚、調停離婚、裁判離婚があります。
離婚の種類
- 協議離婚
- 調停離婚
- 裁判離婚
離婚協議
まずは、夫婦間で離婚に向けた話し合いを行います。専業主婦である妻は、離婚後の生活状況を十分に考慮しながら、離婚条件を提示し、安易に譲歩しないように協議を進めていきます。
親権や財産分与、離婚慰謝料などの離婚条件について、夫婦間で合意ができれば、離婚協議書を作成した上で市町村役場に離婚届を提出します。口頭による合意では、合意内容が不明確となるため、必ず文書を作成して離婚条件に食い違いが無いようにします。養育費や慰謝料の差押えを速やかに行うためには、公正証書の作成も検討します。
離婚調停
離婚協議が前進しなければ、離婚手続きを中断させるか、離婚調停の申立てを行います。調停手続きでは、家庭裁判所の調停委員2人が夫婦を仲裁して、話し合いを進めていきます。
調停手続きでは、3回から5回ほど調停手続きを行い、離婚条件の調整ができれば、調停離婚を成立させます。調停期日を重ねても離婚条件の調整ができなければ、調停は不成立となります。
関連記事|離婚調停の期間や回数は?離婚調停の当日の流れを弁護士が解説します
離婚裁判
離婚調停が成立しなければ、離婚裁判を提起することになります。
裁判手続きでは、離婚原因をはじめとした離婚条件に関する主張反論を繰り返し行い、審理を進めていきます。訴訟手続きでは、裁判官が主張や証拠に基づいて心証を形成していきます。調停手続きのように話し合いの要素は薄くなります。審理が尽くされた段階で、裁判官から和解の提案が行われます。和解が成立しなければ、当事者尋問を行い判決が下されます。
TIPS!離婚原因とは?
離婚原因とは、離婚を命じることのできる離婚理由をいいます。民法770条1項には、離婚原因が以下のとおり定められています。
1号 配偶者に不貞な行為があったとき。
2号 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
3号 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
4号 配偶者が強度の精神病にかかり,回復の見込みがないとき。
5号 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
関連記事|離婚原因とは何か?離婚手続きを弁護士が分かりやすく解説
離婚事例に詳しい弁護士を頼る
ご自身で離婚問題を対応することはとても精神的なストレスとなります。
そのため、離婚問題で躓きそうになれば、離婚事例に詳しい弁護士に頼るのも一つの手です。
弁護士と言えば裁判で活躍するイメージがありますが、実際は様々な問題について法律の知識に基づいたアドバイスを行うのが主な仕事です。
離婚問題についても同様であり、有利な条件で離婚を成立させるためのアドバイスを求めることができます。
弁護士に相談することで離婚における問題点を正しく認識できる他、法律の専門家にアドバイスしてもらったことで精神的な疲労の軽減を期待できます。
弁護士にアドバイスしてもらったことが励みになり、最後までやり遂げる意思の強さに繋がると言えるでしょう。調停や裁判にまで至った場合でも弁護士に依頼することで有利に話を進めることが可能ですが、そのためには離婚に至る原因を客観的に見据えて冷静に対処する姿勢が必要です。
できるだけ早めに、無料法律相談などを利用しながら、信頼の置ける弁護士に相談しておくことが肝要です。
準備することは多いが諦めないことが肝心

離婚するのは個人の権利ですが、離婚した後の生活を考えると躊躇してしまうのも事実です。特に専業主婦の場合は働き口を見つけることが容易ではないため、諦めてしまうケースも少なくありません。しかし、事前の準備をしっかりと行い、正しい知識を持つことで離婚後も安定した生活を営むことが可能になります。準備する事柄が多いので決して簡単ではありませんが、諦めずにやり遂げることが肝心と言えるでしょう。
当事務所では、多くの離婚相談が寄せられております。
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対応地域は、大阪府全域、和歌山市、和歌山県、奈良県、その他関西エリア

弁護士・中小企業診断士。法的な問題には、法律の専門家である弁護士の助けが必要です。町のお医者さんに相談するような気持ちで、いつでもお気軽にご相談ください。初回相談無料(30分)。趣味はゴルフと釣り、たまにゲームです。