コラム
最終更新日:2023.08.11

離婚後に不倫が発覚した場合の慰謝料請求は?慰謝料請求の条件や流れ、証拠について解説します

離婚問題 離婚後に浮気発覚 慰謝料請求の条件や流れを解説します

離婚成立後に浮気不倫が発覚した場合、その不倫慰謝料を請求することができるのでしょうか?

離婚成立前に不倫の事実を知らない以上、不倫と離婚は全く関係がないように思います。そうすると、離婚成立後に不倫慰謝料を請求することは認められないようにも思います。

しかし、たとえ離婚後に浮気が発覚しても、これを理由とした慰謝料請求は認められます。ただし、婚姻期間中の浮気であることを客観的な証拠により証明できなければなりません。

本記事では、離婚した後に発覚した浮気を理由とした慰謝料請求できるかを弁護士が解説します。

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離婚後に不貞慰謝料は請求できる

離婚後に配偶者の浮気が分かった場合でも、浮気の慰謝料請求は認められます。

ただ、発覚した浮気が婚姻関係の破綻する前の浮気であること、この浮気によって夫婦関係が破綻したことを証明できることが必要です。

なお、本記事における浮気は、性行為(不貞行為)を前提に解説します。

関連記事|不貞行為とは何か?どこからが不貞行為かを弁護士が解説します

浮気が婚姻中に行われていること

離婚後に浮気が発覚したとしても、その浮気が離婚後に行われたものであれば、これを理由とした慰謝料請求は認められません。

なぜなら、浮気の慰謝料は、浮気によって夫婦関係が破綻したことを理由に認められるからです。既に夫婦関係が破綻しているのであれば、権利侵害はないといえます。

そのため、離婚後に発覚した浮気が、婚姻期間中に行われたものであることを証明する必要があります。

婚姻関係の破綻前の浮気であること

離婚後に知った不倫が、離婚前の不倫であったとしても、それが別居後しばらくしてから行われた不倫であれば、慰謝料請求は認められません。

浮気(不貞行為)の慰謝料が認められる理由は、不貞行為によって夫婦関係が破壊されるからです。そうであれば、浮気が行われた時点で既に夫婦関係が修復できない程に破綻しているのであれば、浮気は慰謝料の対象にはなりません。

そのため、慰謝料が認められるためには、離婚前で、かつ、婚姻関係の破綻前の浮気であることを説明できる必要があります。

浮気が原因で夫婦関係が破綻したこと

離婚後に知った浮気によって、夫婦関係が破綻したことを説明できる必要があります。

離婚後に浮気を知っている以上、その浮気が原因で婚姻関係が破綻したことを説明しにくいと思われるかもしれません。

しかし、離婚前に浮気の事実を知らなかったとしても、浮気が行われた時期、夫婦仲が悪化していった時期、配偶者が離婚を切り出した時期、別居や離婚をした時期等の客観的な状況から浮気と婚姻関係の破綻の因果関係を十分に説明できれば、慰謝料請求は認められます。

浮気相手にも慰謝料請求できる

不倫慰謝料は、元配偶者だけでなく不倫関係にあった不倫相手にも請求することができます。

氏名や住所を特定できる

浮気相手に慰謝料請求するためには、浮気相手の氏名や住所を知る必要があります。

名前や送達先の住所が分からなければ慰謝料請求をすることができません。

自宅住所が分からないものの、勤務先住所がわかる場合には、勤務先住所に対して慰謝料請求の通知をすることも可能です。ただ、自宅住所ではない以上、通知する内容は慎重になるべきでしょう。

携帯番号が分かれば調査できる

自宅や勤務先も分からない場合でも、浮気相手の携帯番号が分かれば、浮気相手の住所を知ることができる場合があります。

ただ、浮気された被害配偶者が携帯会社に照会をしても個人情報の関係で回答してもらえません。

弁護士が携帯電話会社に対して、弁護士会を通じて照会をすることで、その携帯番号の契約者情報を開示してもらえます。これを弁護士会照会(23条照会)といいます。

故意や過失があること

浮気相手に対する慰謝料請求が認められるためには、浮気相手が不貞を行った配偶者が既婚者であることを知っていることが必要です。既婚者であることを知っていることを故意といいます。

仮に、既婚者であることを知らなかったとしても、既婚者であることを知る機会があったのに、既婚者であるかを調査しなかった場合には、過失があるとして慰謝料請求は認められます。

二重取りはできない

不倫相手に対する不倫慰謝料の請求が認められるとしても、不倫配偶者と不倫相手の両方から慰謝料の二重取りをすることはできませんので注意が必要です。

関連記事|不貞行為の慰謝料を二重取りできるのか?不貞行為の二重取りできるケースを解説します

慰謝料の時効に注意する

浮気慰謝料にも時効があります。離婚後、請求せずに放置していると消滅時効により慰謝料の請求が認められなくなります。

知った時から3年

浮気の慰謝料は3年です。つまり、浮気の事実を知った上で、浮気相手の氏名と住所を知った時から3年の経過により、不貞慰謝料は消滅時効となります。

ただ、不貞配偶者に対する慰謝料請求については、離婚前に不貞行為を知ったとしても、それを知った時からではなく、離婚時から時効期間が進行します。

行為時から20年で請求できなくなる

不倫の事実を知らない場合、3年の消滅時効は進行しません。

しかし、不倫の事実を知らなかったとしても、不貞行為の時から20年が経過すると、慰謝料請求することはできなくなります。

時効完成前に請求する

消滅時効が完成する前に慰謝料請求をします。時効完成前に通知をすることで、時効の完成が6か月間猶予されます。これを「催告」といいます。この6か月間で解決できない場合には、訴訟提起や調停申立てをしなければ、時効が完成してしまいます。

関連記事|不貞行為の消滅時効は何年か?時効を防ぐための方法を弁護士が解説します

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離婚時に合意書や公正証書を作成している場合

離婚に際して、夫婦間で合意書や公正証書を作成しているケースがあります。

合意書の目的は、離婚時の合意内容を明確にすると共に、離婚問題を蒸し返さないように終局的に解決させることにあります。

そのため、合意書には、夫婦間で互いに名目を問わず金銭の請求をしないことを確認する文言が記載されるのが一般的です。

そうすると、合意書の作成時点で、たとえ浮気の事実をしらなかったとしても、浮気慰謝料も含めて権利関係を清算し、配偶者に対して請求できなくなる場合があります。

請求できる場合もある

合意書を作成したとしても、発覚していない浮気については、合意書の範囲外であると解釈できる場合には、合意書の作成後に浮気慰謝料を請求することはできます。

浮気相手には請求できる

夫婦間で合意書を作成したとしても、合意書の効力は浮気相手には及びません。

そのため、合意書により配偶者に対する慰謝料も含めて清算したとしても、浮気相手との関係では清算されないため、浮気相手に対して慰謝料請求することができます。

減額される可能性はある

不貞慰謝料では、貞操義務を負っている配偶者が一次的な責任を負い、不貞相手は二次的・副次的な責任を負っています。

そのため、一次的な責任を負う配偶者の慰謝料請求を清算したことを踏まえて、二次的な責任を負う不貞相手に対する請求額は、減額される可能性はあります。

慰謝料額の相場

不貞慰謝料額の相場は、50万円から300万円です。

不貞慰謝料額の計算は、色々な事情を総合的に考慮して算定していきます。

慰謝料の判断要素

  • 不貞行為の結果(妊娠、出産等)
  • 別居・離婚の有無
  • 不貞行為の期間・回数
  • 婚姻期間の長短
  • 子供の有無

不貞行為により夫婦関係が破綻し、離婚に至っている場合には、慰謝料額は高額になりやすいです。しかし、離婚後に浮気が発覚している場合、浮気が発覚した後に離婚したケースと比べると、慰謝料額は低くなる可能性があります。

関連記事|不倫・浮気の慰謝料の相場とは?不貞慰謝料の計算方法を弁護士が解説します

離婚慰謝料を請求する場合

離婚前の不倫に加えて、DV・暴力やモラハラといった他の有責行為がある場合には、不倫配偶者に対して不倫慰謝料よりも高額の慰謝料請求が認められる場合もあります。

東京地方裁判所平成28年2月18日判決

婚姻期間は約4年5か月であること,本件不貞行為の期間は約1年にわたること,不貞相手は交際当初から妻がいることを認識していたこと,元妻は離婚の際に元夫と不貞相手が本件不貞行為をしていたことを知らなかったこと,元妻は元夫に損害賠償を請求するつもりがないことを踏まえると、被った精神的苦痛に対する慰謝料額は70万円と認めるのが相当である。

浮気慰謝料を請求するための流れ

離婚後に浮気が発覚した場合の流れを説明します。

証拠を収集しておく

浮気が発覚しても、婚姻期間中の浮気であることを証明できるだけの証拠を確保しなければなりません。仮に十分な客観的な証拠がない状況で慰謝料請求すると、相手方が浮気を認めない限り、慰謝料請求は棄却されてしまいます。

浮気の証拠としてはケースバイケースですが、以下のものが考えられます。

性行為の写真や動画
・ラブホテルへの入室や退室の写真
・探偵業者の調査報告書
・性行為に関するLINEメッセージ
・ラブホテルの会員カード
・避妊具を利用した痕跡

証拠の中には、それ単体で浮気を証明できるものもあれば、その他の証拠と掛け合わさることで浮気を証明できるものもあります。

関連記事|不貞行為の証拠集めとは?不倫慰謝料に必要な証拠や収集方法を弁護士が解説

内容証明で通知する

まずは、元配偶者か浮気相手に対して慰謝料の支払いを求める通知をします。

請求内容や送達時期を事後的に証明するために、口頭で通知するのではなく内容証明郵便により通知します。

請求する金額は、合意金額として予想される金額にいくらかを加算した金額とします。なぜなら、交渉において、請求金額を減額して合意することが予想されるからです。

交渉する

通知書を送付後、相手方と話し合いを行います。不貞行為の存在を否認する場合には、客観的な証拠を提示したり、不貞行為の具体的な内容を主張するなどして、金額の交渉を進めていきます。

支払額や支払期限などの合意ができれば、合意書を作成して終結させます。合意額を分割払いにする場合には、公正証書の作成を検討します。

訴訟提起する

相手方との交渉が頓挫する場合には、訴訟提起します。相手方から応答がない場合も訴訟提起を検討します。

訴訟では、不貞行為や慰謝料額について、当事者双方が主張反論を繰り返します。

審理がある程度進めば、裁判官から和解の提案が行われます。不貞慰謝料の事案の多くは、裁判上の和解により解決します。

和解の提案を受けても解決できない場合には、証人尋問を行った上で、判決が下されます。

▶慰謝料調停の裁判所の解説はこちら

補足:離婚後に請求できるもの

離婚する際に、子の親権に加えて、子の養育費、財産分与、慰謝料、年金分割といった離婚条件を合意することが多いです。しかし、子の親権以外の事項については、離婚時に必ず合意しなければならないものではありません。つまり、慰謝料だけでなく、子の養育費や財産分与・年金分割は離婚後でも請求することができます。

ただし、財産分与や年金分割は離婚した日から2年経過すると、請求することができなくなります。

浮気問題は弁護士に相談しましょう

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離婚後に発覚した浮気問題は、離婚前に発覚した浮気問題と比べて、確認すべき事項が多いです。安易に慰謝料請求をすると、本来認められるべき慰謝料を回収できなくなります。

弁護士に相談することで、慰謝料請求した場合の見通しを判断することができます。

さらに、慰謝料請求の交渉から訴訟手続きまでの各手続きを弁護士に一任することもできます。

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