「不倫写真を見つけてしまった」「慰謝料を請求したい」などとお悩みでしょうか?
不倫写真は、写っている内容によって持つ意味が大きく異なります。不貞行為を証明できれば、慰謝料の請求が可能です。ただし、証拠を求める気持ちが強すぎて、違法な収集方法をとらないように注意してください。
本記事では、不倫写真の持つ意味、収集方法、慰謝料請求の流れなどについて解説しています。不倫写真を見つけて対応にお悩みの方は、ぜひ最後までお読みください。
不貞行為とは
不貞行為とは、配偶者(夫や妻)以外の異性と、自分の意思で性的関係を持つことです。
不貞行為は法定離婚事由のひとつであり、不貞をした配偶者が同意しなくても、裁判により離婚できます(民法770条1項1号)。配偶者本人や不貞相手に対する慰謝料請求も可能です(民法709条)。
不倫と不貞行為の違い
不貞行為は法律上の概念ですが、一般的には「不倫」という言葉が用いられる場合が多いでしょう。両者の大きな違いは、不貞行為は性的関係(肉体関係)を伴うのに対して、不倫は必ずしも性的関係を伴わない点です。
不倫に明確な定義はありませんが、性行為には至っていなくても不倫と呼ばれる場合があります。これに対して、不貞行為と認められるのは、性行為を伴うケースに限られます。
たとえば、デートやキスをすれば不倫とみなされる場合はありますが、性的関係がない限り不貞行為には該当しません。性的関係の有無が、両者を分けるポイントです。
不倫写真の重要性
不倫写真は、不貞行為を証明する主な証拠のひとつであり、重要な意味を持ちます。
不貞行為の証明は請求する側の責任
不貞行為の存在が認められれば、離婚や慰謝料請求が可能です。
ただし、不貞行為の証明は、請求する側がしなければなりません。「不貞があったかどうか何とも言えない」という状態であれば、請求は認められない結果となります。
客観的な証拠から証明する必要がある
不貞行為の証明は、客観的な証拠からしなければなりません。
「挙動が怪しい」といった勘や、「異性とホテルに入っているところを見た」といった目撃証言だけでは、証拠としては不十分です。以下のような客観的な証拠から証明する必要があります。
- 写真
- 動画
- 録音
- メール・LINEのやり取り
- クレジットカードの利用明細、領収書
- 不倫の事実を認める書面(自白)
- 興信所・探偵事務所の調査報告書
中でも不倫の場面を捉えた写真は、決定的な証拠となる場合があります。不貞行為の証明にあたっては、写真の重要性は高いです。
関連記事|不貞行為の証拠集めとは?不倫慰謝料に必要な証拠や収集方法、注意点
不倫写真の種類と意味合い
「不倫写真」と一口に言っても、種類によって証拠として持つ意味合いが大きく異なります。
ラブホテルに入室退室する写真
ラブホテルに2人で入った時と出てきた時を捉えた写真は、強力な証拠になります。ラブホテルは一般的に性行為をする場所とみなされており、出入りしていれば性的関係があったと推測できるためです。
入った瞬間と出てきた瞬間の両方を捉えていれば、滞在時間の長さや時間帯がはっきりします。また、写真がぼやけていると「別人だ」と反論されるおそれがあるため、顔がはっきりと写っているのも重要です。
ラブホテルでなくとも、自宅に2人きりで宿泊したことを示す写真があれば、有力な証拠となります。
性行為や性交類似行為の写真
性行為や性交類似行為の現場を捉えた写真があれば、直接の証拠となります。ここでも、顔がはっきりと写っているのは重要です。
もっとも、性行為そのものを撮影した写真が存在するケースは珍しいでしょう。行為中でなくとも、行為前後の下着姿の写真などがあれば有力な証拠となります。
旅行先の写真
旅行先での写真も有力な証拠になり得ます。写真や他の証拠から2人で宿泊したことがわかれば、性的関係の証明が可能です。
デート中の写真
単なるデート中の写真では、不貞行為の証拠としては不十分です。キス、腕組みなどで仲の良さがうかがえるとしても、性的関係までは証明できません。
LINE画面の写真
LINEのメッセージ画面の写真が不貞行為の証拠となるかは、内容次第です。
「昨日のホテルは良かったね」など、性的関係がうかがえる内容であれば、有力な証拠となります。「好きだよ」「楽しかったよ」といったメッセージでは、仲の良さは示せても不貞の証拠にはなりません。
LINEやメールのやりとりについては、文脈を含めて性的関係を示唆しているかどうかがポイントです。
不倫相手の氏名・住所・就労先の特定につながる可能性
写真は、不貞の事実だけでなく、相手の個人情報の特定につながる点でも重要な意味を持ちます。
不倫相手に慰謝料を請求するには、「氏名」と「住所・勤務先のいずれか」の情報が必要です。いくら不倫の事実がわかっても、相手を特定できなければ請求ができません。
顔がわかれば、SNSなどで相手の氏名や勤務先が判明する可能性があります。メッセージのやり取りの写真で携帯電話番号やメールアドレスがわかれば、弁護士に依頼して弁護士会照会を利用してもらい、相手を特定できるケースもあります。
配偶者が教えてくれなかったとしても、写真があれば不倫相手の特定につながる可能性があるのです。
不倫写真とプライバシー侵害
不倫写真は、不貞行為の証拠として重大な意味を持ちますが、プライバシー侵害になり得る点には注意してください。
特に、外から見られることを想定していない室内を写真撮影する行為や、GPSをつけて行動を監視する行為などは、プライバシー侵害と判断されるリスクが高いです。
相手のプライバシーを侵害すると、反対に損害賠償請求を受ける可能性があります。行き過ぎた行動をとらないように注意してください。
不倫写真を集める方法と注意点
不倫写真を集めるには、いくつかの方法が考えられます。ただし、違法な行為により写真を収集すると、証拠として認められない、収集行為に対する民事・刑事上の責任追及がなされるといった可能性があります。収集方法には注意してください。
スマホからのデータ複製やコピーによる不倫写真の集め方
配偶者のスマホから写真を入手しようとする方は多いでしょう。
スマホのデータを探す際に特に注意すべきなのが、不正アクセス禁止法に違反しないことです。勝手にIDやパスワードを入力してSNSにログインする行為などは、不正アクセス禁止法違反になります。刑罰の対象ですので避けてください。
犯罪にならないとしても、スマホから勝手にデータを取得すると、プライバシー侵害とされるリスクがあります。
合法的に取得できる場合には、スマホの画面ごと自分のスマホ等で撮影するのが一般的です。
GPSの利用は要注意
GPSを使って行動を監視し、撮影の機会をうかがう方もいらっしゃいます。
もっとも、無断でGPSを車やカバンなどに忍ばせると、プライバシー侵害に該当し得ます。違法に収集した証拠として裁判で証拠能力が否定されるおそれもあるため、注意してください。
悪質なストーカーや脅迫にならないように
配偶者や不倫相手を許せない気持ちが強くなりすぎて、行きすぎた行為をしないようにしてください。
たとえば、
- 不倫相手につきまとう
- 「写真を職場にばらまく」と脅迫する
- SNS上で侮辱・名誉毀損をする
- 写真撮影のために他人の敷地に無断で侵入する
といった行為をしてはなりません。犯罪に該当し得るだけでなく、民事上も損害賠償請求を受けるリスクがあります。
不倫写真を見つけた場合の対応方法
不倫写真を見つけた場合には、以下の対応方法をとってください。
将来の慰謝料請求や離婚に向けて準備する
不貞行為があれば、慰謝料請求や離婚が可能です。証拠収集や相手の特定など、準備を進めましょう。
取得した写真だけでは、証拠として不足しているケースも多いです。確実に証明するために、別の写真や他の種類の証拠も、できる範囲で集めるようにしてください。
してはいけないのが、感情に任せて即座に配偶者を追及することです。証拠が不十分なのに問い詰めると、否定されたときに次の手をとれなくなります。他の証拠は隠滅されてしまうでしょう。
実際に慰謝料や離婚を求めるかは別にして、証拠を集めて準備しておけば選択肢が広がります。
慰謝料を請求する
証拠が十分に揃ったら、慰謝料請求ができます。離婚せずに、慰謝料だけ請求しても構いません。理論上は配偶者にも不倫相手にも請求できますが、不倫相手にのみ請求するケースが多いです。
まずは、内容証明郵便を送付し、交渉によって慰謝料の支払いを求めます。慰謝料額や支払い方法などについて合意できれば、合意書を作成します。
そもそも交渉の場につかない、不貞の事実を認めない、金額で折り合いがつかないなどで合意できないときには、訴訟を提起するのが通常です。
不貞行為の慰謝料の相場は50万円から300万円程度ですが、状況により大きく異なります。大まかにいえば、不貞後も夫婦生活が続いていれば低額に、離婚にまで至れば高額になりやすいです。
慰謝料請求権は3年で時効にかかり、消滅してしまいます。請求しないまま時間が経過しないように注意してください。
関連記事|浮気相手に不倫慰謝料請求できるのか|慰謝料請求の条件や注意点
離婚する
配偶者が不貞の事実を認めて離婚にも応じる場合には、話し合いだけで離婚が可能です。以下の点を話し合って離婚協議書を作成し、離婚届を提出します。
- 慰謝料
- 財産分与
- 年金分割
- 子どもの親権
- 養育費
- 面会交流
夫婦だけで話し合いができない場合には、裁判所での離婚調停に進みます。調停委員を間に挟むと冷静になり、話がまとまるケースも多いです。
調停でも合意できなければ、離婚裁判となります。裁判では、証拠により不貞の事実が認められれば、相手が拒否していても判決により離婚が可能です。
不倫慰謝料を請求する流れ
不倫の写真を見て、別居や離婚を決断したり、何とか夫婦関係の修復に努めることもあります。
いずれの場合であっても、不倫慰謝料を不貞配偶者や浮気相手に対して請求することができます。
不倫慰謝料の流れを説明します。
慰謝料請求の通知をする
まずは、不貞行為を理由とした慰謝料請求をする必要があります。口頭やLINEメッセージにより慰謝料請求することも可能です。しかし、慰謝料請求は、内容証明郵便を用いた書面で行うべきでしょう。なぜなら、口頭ですと請求内容が不明瞭となります。また、LINEですと、請求する側の本気度が伝わらず、相手方から誠実な対応が行われない可能性があります。
通知書の内容
通知書には、ケースバイケースですが、不貞行為の日時、場所、期間や回数等の具体的な内容を記載するようにします。不貞行為の内容を具体的に示すことで、相手方に不貞行為の存在を認めさせ、損害額の交渉を速やかに進める狙いがあります。
交渉をする
通知書を送付した後、相手方やその代理人との間で交渉を進めます。交渉方法は、書面やメール、電話により行うことが多いでしょう。
合意書を作成する
交渉の末、慰謝料額や支払時期、その他の条件について合意できれば、これら条件を具体的に記載した合意書を作成します。その他の条件については、接触禁止、口外禁止、権利義務関係の清算などが挙げられます。
公正証書の作成
合意書を公正証書とするケースもあります。公正証書とは、公証役場の公証人によって作成される公文書を言います。単なる合意書との大きな違いは、公正証書であれば、相手方が慰謝料を支払わない場合、裁判手続きを経ることなく、相手方の給与や預金等の資産を差し押さえることができる点にあります。不倫慰謝料の事案では、相手方が慰謝料を一括ではなく分割で支払う場合に公正証書を作成することが多いでしょう。
訴訟提起する
相手方と交渉を続けても合意に達しない場合には、訴訟を提起することになります。
訴訟手続きでは、原告と被告の双方が主張と証拠の提出を続け、審理を進めていきます。
当事者双方の主張反論が尽くされた段階で、裁判官から和解の提案が行われます。不貞慰謝料の事案では、裁判官の和解の提案により解決することが多いです。
裁判官による和解の提案でもなお、和解が成立しない場合には、当事者尋問(証人尋問)を行った上で判決手続きに移ります。
判決書を受け取ってから2週間以内に控訴がなされない場合には、判決は確定します。
不倫慰謝料の損害額
不倫慰謝料額は100万円から300万円が一般的な金額です。
不倫慰謝料額は、次のような事情を掛け合わせながら算出していきます。
不倫慰謝料の損害額を計算するための事情
- 不貞行為による結果(離婚・別居・同居継続)
- 妊娠・堕胎・出産の有無
- 不貞行為の期間・回数
- 婚姻期間の長短
- 子どもの有無・人数
- 反省や謝罪の有無
特に、不貞行為により離婚したか、別居したか、同居を継続しているかの事情は、慰謝料額を算出する上で重要な事情の一つとなります。
関連記事|不倫・浮気の慰謝料の相場とは?不貞慰謝料の計算方法を弁護士が解説
不倫写真を見つけた時の注意点
不倫写真を見つけた時、怒りのあまり無茶な行動を行いがちです。
自宅や勤務先に押しかけない
最もよく見聞きするNGが自宅や勤務先に押しかける行為です。
不倫相手の配偶者や家族に不倫の事実を知らしめたい思いから、自宅に押し掛けることがあります。勤務先も同様です。しかし、あくまでも不倫は当事者間の私的な問題です。不倫は犯罪でもありません。このような無茶な行動により、かえって名誉権・プライバシー権の侵害を理由に損害賠償請求を受けるおそれがあります。
SNS等で拡散しない
インスタグラム(Instagram)やフェイスブック(Facebook)などのSNSに不倫の詳細を発信することがあります。不特定多数の第三者に不倫の事実が拡散され、取り返しのつかない事態になることもあります。
自白を強要しない
不倫写真を見つけて、不貞配偶者や不倫相手に対して、不倫の詳細を説明するよう求めることはあります。しかし、行き過ぎた対応により、自白を強要してしまうことがあります。強要された自白は不倫の証拠にならない可能性があります。
不倫写真を見つけた時に弁護士に依頼するメリット
不倫写真を見つけたときに、自分だけで証拠収集や交渉・裁判手続き等を進めるのは大変です。ひとりで悩まずに、専門家に相談しましょう。
証拠の収集をサポートしてもらえる
弁護士に委任することで証拠の収集をサポートしてもらえます。
弁護士に依頼すると、不貞配偶者が警戒を強めてしまい、証拠の収集が困難になることがあります。そこで、弁護士に一任する前に秘密裡に証拠を収集することが重要です。あらかじめ弁護士に相談することで、証拠確保のサポートを受けることができます。
証拠が不十分でお困りの方は、探偵への相談も考えられるでしょう。探偵に調査を依頼すれば、決定的な証拠を得られる可能性があります。もっとも、費用は高額になりやすく、十分な証拠を得られないケースもある点には注意してください。
弁護士会照会を利用できる
弁護士会照会を利用すれば、一般の方では取得できない証拠を集められる可能性があります。弁護士会照会を利用することで、弁護士会を通じて通信会社、金融機関、宿泊施設、居住関係を調査することができる場合があります。最も多い利用方法としては、不倫相手の携帯番号から住所を調査する場合です。
住民票や戸籍謄本を取得できる
弁護士であれば職務上請求という方法を利用して、不貞慰謝料の請求に必要な限りで、不貞相手の住民票や戸籍謄本を取得することができます。
交渉や訴訟手続きを一任できる
交渉や裁判においては、弁護士をつければ主張を代弁してもらえ、不当な条件で決着する事態を回避できます。相手や裁判所と直接やり取りせずに済むため、精神的な負担も軽減されるはずです。
法的な見通しを知るためには、弁護士への相談をおすすめします。
不倫慰謝料の問題は弁護士に相談を
不倫写真が不貞行為を証明する上で十分であるかを判断することは簡単ではありません。
逆に、手持ちの写真が十分であるにもかかわらず、不十分であると勘違いして、必要のない調査費用を支出してしまうケースも多々あります。
不倫写真を手に入れたら、弁護士に不倫写真を見てもらい、不貞行為の証拠として十分であるかの判断を求めましょう。
一人で抱えずに一度弁護士に相談をしてください。
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