コラム
公開日: 2025.10.10

10年前の浮気、今からでも相手に慰謝料は請求できる?時効と請求手順を解説

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10年前の浮気が発覚した場合、今から 慰謝料を請求できるのかどうか、多くの方が疑問に思うことでしょう。時間が経過しているだけに、泣き寝入りするしかないかと諦めてしまうかもしれません。

慰謝料請求には時効がありますが、状況によってはまだ請求できる可能性も残されています。この記事では、10年前の浮気を理由とする慰謝料を相手に請求できるのか、時効の成立要件や請求の手順について詳しく解説していきます。

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はじめに|10年前の浮気を今さら…と諦めていませんか?

10年前に浮気があったと発覚した場合、時間が経過しているため、「もう何もできない」と諦めてしまうかもしれません。

しかし、浮気(不貞行為)に関する慰謝料請求には、その権利を行使できる期限として「時効」が法律で定められています。この時効の仕組みを正しく理解すれば、たとえ10年前の古い浮気であっても、状況次第ではまだ慰謝料を請求できる可能性が残されています。まずはご自身のケースが法的にどのような状況にあるのかを確認することが重要です。

慰謝料請求の最大の壁「時効」について知っておこう

不貞行為に関する慰謝料請求において、「時効」は最も重要な要素です。時効期間を過ぎると、原則として慰謝料を請求する権利が失われるため、注意が必要です。

以下の項目では、慰謝料請求の時効に関する具体的なルールをさらに詳しく解説します。

慰謝料請求の期限は原則「3年」!時効の基本ルール

浮気(不貞行為)によって精神的な苦痛を受けた場合、その慰謝料を請求する権利には、法律によって「時効」という期限が定められています。この時効期間を過ぎると、原則として慰謝料の請求ができなくなるため、期限を正しく理解しておくことが重要です。

民法第724条では、不法行為に基づく損害賠償請求権(慰謝料請求権を含む)について、原則として被害者が「損害および加害者を知った時から3年間」行使しない場合に時効が成立すると規定されています。特に浮気相手に対する慰謝料請求の場合、「損害および加害者を知ったとき」とは、「不倫の事実」と「不倫相手の氏名や住所といった情報」の両方を具体的に特定できた時点を指します。つまり、単に浮気の疑いを持っただけでは時効のカウントは始まらず、誰が浮気相手であるかまで明確に判明した時から3年が経過してはじめて、慰謝料請求権が消滅することになります。

この3年間の時効とは別に、たとえ浮気の事実や相手を知らなかったとしても、不貞行為が行われた日から20年が経過すると、慰謝料請求権は時効により消滅することになります。

項目短期時効長期時効期間(改正前・除斥期間)
期間3年間20年間
起算点損害および加害者を知った時点不貞行為があった時点

【重要】時効のカウントはいつ始まった?

不貞行為による慰謝料請求の時効が始まる「起算点」は、民法第724条で「損害および加害者を知ったときから3年」と定められています。ここでいう「損害および加害者を知ったとき」とは、単に配偶者の浮気を疑った時点や、漠然と浮気相手がいるらしいと認識した時点を指すわけではありません。

特に浮気相手への請求においては、時効のカウントが開始するには以下の両方の条件を満たす必要があります。

  • 浮気(不貞行為)の事実を知っていること
  • 浮気相手の氏名や住所など、慰謝料請求が可能となる程度に個人を特定できていること

例えば、10年前に浮気の事実も浮気相手の身元(氏名・住所など)も完全に知っていたケースでは、時効はすでに成立している可能性が高いでしょう。しかし、10年前に浮気の事実は知ったものの、浮気相手の身元が最近になって初めて判明したというケースであれば、時効がまだ成立していない可能性も十分に考えられます。

この「知った」時点の法的な判断は、個々の事情によって異なり、非常に複雑です。そのため、自己判断で諦めてしまうのは早計でしょう。正確な時効の起算点を把握し、ご自身のケースで慰謝料請求が可能かどうかを判断するためには、専門家である弁護士に相談し、具体的な状況を詳しく確認してもらうことが重要です。

配偶者に対する慰謝料請求は時効は?

浮気相手に対する慰謝料請求は、不貞行為と浮気相手を知った時から3年の時効により消滅しますが、配偶者に対する慰謝料請求の場合については、消滅時効の特則が設けられています。

配偶者に対して有する慰謝料を含む権利は、離婚時から6か月を経過するまで時効が完成しないという特則が存在します(民法159条)。つまり、婚姻関係が続いている以上、たとえ不貞行為から3年が経過したとしても、配偶者に対する慰謝料請求権の消滅時効は完成しないということになります。

浮気相手が時効の援用をして初めて消滅する

不貞慰謝料は、時効期間が経過すれば当然に消滅するわけではありません。慰謝料の義務者である浮気相手が時効の利益を受ける意思表示をすることで初めて確定的に時効の効果が生じます。これを時効の援用といいます。

そのため、時効期間が経過したからといって、浮気相手から時効の援用を受けるまでは慰謝料請求を諦める必要はありません。浮気相手が必ず時効の援用をするとは言い切れないからです。浮気相手が時効の援用をする前に、慰謝料の一部を支払ったり、支払いの猶予を求めてくることもあります。このような言動があれば、浮気相手は、時効の援用をすることができなくなります。

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時効の期限を延ばす・リセットする「時効の更新・完成猶予」とは

慰謝料請求の時効は原則3年と説明しましたが、時効が迫っている場合や、すでに過ぎたように思える場合でも、法的な手続きによってその進行を「一時停止」させたり、「リセット」させたりできる制度があります。以下の項目では、具体的にどのような行動が時効の完成猶予や更新をもたらすのかを詳しく解説していきます。

時効の更新や完成猶予とは

時効の完成猶予とは、時効の進行を一時的に停止させ、法定された事情が解消してから一定期間経過するまで時効の完成を延期させる制度です。

時効の更新とは、判決の確定や債務者の承認などの一定の事由が発生した場合に、それまでの時効期間をゼロにして、新たに時効期間を進行させる制度をいいます。

項目時効の完成猶予(一時停止)時効の更新(リセット)
法的な効果一定期間、時効のカウントを一時的に止める時効期間をゼロに戻し、新たな時効期間が始まる
対象となる行為裁判を起こす、内容証明郵便による催告確定判決を得る、相手が慰謝料の支払いを承認する

内容証明郵便で請求の意思を示す(6ヶ月の猶予)

慰謝料請求の時効が迫っている状況で、まず検討すべきなのが、内容証明郵便による催告です。内容証明郵便とは、「いつ、誰が、誰に、どのような内容の文書を送ったか」を郵便局が公的に証明するサービスです。これにより、相手方が「そのような書面は受け取っていない」と主張することを防ぎ、請求の事実を明確に記録できます。

この内容証明郵便を用いて慰謝料請求(催告)すると、民法第150条1項に基づき、時効の完成が6ヶ月間猶予されるという法的効果が生じます。これは、時効の完成が一時的に停止し、その間に訴訟提起などの法的手段を準備するための時間的猶予が得られることを意味します。

ただし、この6ヶ月の猶予期間は、あくまで時効を更新させるための具体的な行動を起こす準備期間に過ぎない点に注意が必要です。この期間内に何らかの法的措置を取らなければ、時効は完成してしまいます。内容証明郵便自体は時効をリセット(更新)するものではなく、一時的に進行を停止させる効果しかないことを理解しておくことが重要です。

相手に浮気の事実と支払いを認めさせる(時効のリセット)

慰謝料請求の時効を完全にリセットする効果を持つのが「債務の承認」です。これは、相手が浮気(不貞行為)による慰謝料の支払い義務を認める行為を指し、承認があった時点から時効期間がゼロに戻り、新たにカウントが開始されます。時効完成が迫っている場合でも、この「債務の承認」を得られれば、改めて請求の機会を得られるでしょう。

債務の承認にあたる具体的な行為は、以下の通りです。

  • 「慰謝料を支払います」と明記された念書や合意書への署名
  • 慰謝料の一部だけでも実際に支払う行為
  • 支払い猶予を求める発言の録音

ただし、口約束だけでは、後から「言った言わない」の水掛け論になるリスクが高く、事後的に立証できないこともあり得ます。そのため、債務の承認があった際には、書面や録音データなど、客観的な証拠として明確に残しておくことが極めて重要です。これにより、時効の更新を確実に行い、後のトラブルを回避できます。

10年前の浮気相手へ慰謝料請求するための準備と流れ

10年前の出来事という時間の経過は、請求を難しくする側面もありますが、決して諦める必要はありません。適切な手順を踏むことで、慰謝料請求の実現に近づくことができるでしょう。

以下では、浮気相手への慰謝料請求を成功させるために、三つの主要なポイントに焦点を当てて詳しく解説します。

今からでも集められる?証拠の重要性と具体例

慰謝料請求において、相手が浮気の事実を否定する可能性は十分に考えられます。このような場合、客観的な証拠がなければ、不倫の事実を立証し、慰謝料を支払わせることは極めて困難です。そのため、慰謝料請求を成功させるには、肉体関係があったと推測できる有効な証拠を集めることが不可欠です。

たとえ10年前の出来事であっても、今からでも見つかる可能性のある証拠には、以下のようなものがあります。

  • 当時のメールやSNS(LINE・Facebookなど)の履歴
  • クラウドサービスや古いPCやスマホに残っている写真や動画データ
  • 当時の日記や手帳
  • 手紙
  • クレジットカードの利用明細
  • 配偶者の謝罪文や念書

これらの証拠には、不貞行為を具体的に示唆する内容が含まれている可能性があります。

さらに、相手や配偶者と話し合う機会がある場合は、その会話を録音することも有効な証拠となります。特に、浮気の事実を詳細に自白するような録音は、非常に有力な証拠となるでしょう。時間が経過しているからと諦める前に、まずは手元にある情報や過去の記憶を整理し、証拠となり得るものがないか改めて探してみることをお勧めします。

慰謝料の金額はいくらが目安?

浮気(不貞行為)の慰謝料額は、個々の事情により大きく変動しますが、一般的な相場は存在します。浮気が原因で婚姻関係が破綻し、離婚に至った場合は150万円から200万円程度が目安とされています。一方、離婚はせず婚姻関係を継続する場合の慰謝料は、100万円から150万円程度が相場となるでしょう。

慰謝料の金額を決定する際には、以下の多岐にわたる事情が総合的に考慮されます。

  • 婚姻期間の長さ
  • 夫婦関係の状況(同居、別居、離婚しているか)
  • 浮気の期間や頻度
  • 不貞行為によって受けた精神的苦痛の度合い
  • 子どもの有無

例えば、不貞行為によって精神疾患を患うほどの甚大な苦痛を負った場合や、悪質な行為があった場合は、相場より高額になる可能性もあります。

慰謝料請求の具体的な3ステップ

慰謝料請求の手続きは、一般的に以下の3つの段階を経て進められます。ご自身の状況や相手方の対応に応じて、どの段階まで進めるべきかが変わってきます。

交渉

慰謝料請求の最初の段階は、通常、当事者同士による交渉です。まずは内容証明郵便を送付し、慰謝料の根拠となる不倫の具体的な事実、具体的な金額、および支払い期限などを明確に伝えることから始めます。内容証明郵便は、いつ、誰が誰にどのような内容の文書を送ったかを事後的に証明できるため、請求の意思を相手に強く示すとともに、後の紛争における重要な証拠となり得ます。話し合いで合意に至れば、早期かつ比較的低コストでの解決が期待できます。 

慰謝料請求調停

当事者同士の交渉で合意に至らない場合、次の段階として家庭裁判所に慰謝料請求調停を申し立てることができます。調停では、調停委員が間に入り、双方の主張を聞きながら公平な解決策を探ります。訴訟手続と比較して、費用や時間を抑えつつ、柔軟な解決を目指せるのが利点です。 

裁判(訴訟)

調停でも合意に至らなかった場合の最終的な手段が、裁判(訴訟)です。裁判では、提出された証拠に基づいて裁判官が法的な判断を下し、判決によって強制力のある解決が図られます。ただし、この方法は時間と費用が最も多くかかる傾向にあり、精神的な負担も大きくなる可能性があります。

これら一連の請求手続きは、複雑な法律知識を要するため、どの段階からでも弁護士に相談することをお勧めします。特に交渉段階から弁護士に依頼することで、法的な観点から適切な金額を提示し、相手方との交渉を有利に進められる可能性が高まるでしょう。

【要注意】すでに慰謝料を受け取っている場合、追加請求は可能か

過去に配偶者や浮気相手から一度慰謝料を受け取っている場合、同じ理由による追加請求は原則として困難です。

過去に浮気の慰謝料について当事者間で合意し、示談書を取り交わしている場合、原則として追加の慰謝料請求は困難です。示談は口頭でも成立しますが、通常は「示談書」として書面でその内容をまとめます。この示談書は法的な拘束力を持つ契約書であり、一度作成されると当事者双方はその内容に拘束されます。

多くの示談書には、「本件に関し、甲乙間には本示談書に定めるもののほか何らの債権債務がないことを相互に確認する」といった「清算条項」が盛り込まれています。この清算条項は、示談が成立したことをもってこの問題は完全に解決し、それ以外の請求は今後一切行わないという法的な効力を持つものです。そのため、この条項が存在する限り、後から新たな慰謝料の追加請求をすることは原則として認められません。

一人で悩まず専門家へ!弁護士に相談する3つのメリット

10年前の浮気といった、相当な時間が経過しているケースでは、慰謝料請求の可否を判断する際に、時効の成立の有無やその起算点の特定が非常に複雑になります。

「もう手遅れかもしれない」と一人で思い込む前に、法律の専門家である弁護士に相談することで、客観的な視点からご自身の状況を正確に把握し、解決の可能性を探ることが可能です。

以下では弁護士に依頼する3つのメリットを読み進めていただくことで、弁護士に相談することがいかに有効な手段であるかを具体的にご理解いただけるでしょう。

複雑な時効の判断を正確にしてもらえる

慰謝料請求の時効は、「不貞行為の事実と相手を知った時」から原則3年と定められています。しかし、この「知った時」が具体的にいつを指すのかは、個々の状況によって解釈が異なり、非常に複雑です。このような専門的な判断を、ご自身だけで正確に行うのは困難が伴うでしょう。

法律の専門家である弁護士であれば、ご相談者の具体的な状況を法的な観点から詳細に分析し、時効が成立しているかどうかを正確に判断します。たとえご自身では時効が過ぎてしまっていると思い込んでいても、過去の相手とのやり取りの中に、内容証明郵便による催告や相手による債務の承認など、「時効の完成猶予」や「時効の更新(リセット)」に該当する事実が含まれている可能性も考えられます。弁護士はそうした可能性を見つけ出し、慰謝料請求の道を開くサポートをしてくれるでしょう。

相手との交渉や手続きをすべて代行してくれる

弁護士に慰謝料請求を依頼すると、多くのメリットがあります。

弁護士に依頼するメリット

  • 精神的負担を軽減できる
  • 専門知識に基づいた冷静な交渉と適切な慰謝料額での解決
  • 内容証明郵便の作成や裁判所への書類提出を一任できる
  • 相手が真摯な交渉に応じる可能性が高まる

まず、弁護士に慰謝料請求を依頼する最大のメリットは、浮気相手と直接交渉する精神的な負担から解放されることです。弁護士が代理人となることで、相手との交渉や連絡はすべて弁護士が行うため、ご自身はこれらの煩わしいやり取りから距離を置くことができるでしょう。

当事者同士の交渉は感情的になりやすく、冷静な話し合いが困難になるケースも少なくありません。しかし、弁護士は法的な知識と豊富な経験に基づき、客観的かつ冷静に交渉を進めます。これにより、ご自身の状況に応じた適切な慰謝料額での解決が期待できます。

また、内容証明郵便の作成・送付から、場合によっては訴訟に発展した場合の裁判所への書類提出まで、専門的で煩雑な手続きをすべて弁護士に一任できます。

さらに、個人からの請求では無視されがちな場合でも、弁護士から「受任通知」が相手方に届くことで、相手は事態の深刻さを認識し、真摯な交渉に応じる可能性が高まります。

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本記事では、10年前の浮気に対する慰謝料請求の可能性について詳しく解説しました。時間が経過しているとはいえ、慰謝料請求の可能性はゼロではありません。しかし、「時効」が大きな壁となることも事実です。原則として、「損害および加害者を知った時から3年」、または「不法行為の時から20年」のいずれか早い方が適用されるという基本ルールを改めて認識しておくべきでしょう。特に、浮気の事実や浮気相手を10年前に既に知っていた場合は、時効が成立している可能性が高いと言えます。

しかし、時効の起算点の判断は個々のケースによって非常に複雑です。そのため、ご自身でこれらの複雑な時効の判断を行うには、多大な労力と専門知識が必要です。

「もう手遅れだ」と諦めてしまう前に、まずは法律の専門家である弁護士に相談することが、後悔のない選択をする上で最善策と言えるでしょう。

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