コラム
更新日: 2026.04.18

【2026年民法改正対応】離婚後も財産分与を請求できる!注意点や流れを弁護士が解説

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【重要】2026年4月1日 民法大改正が施行されました

2024年5月に成立した「民法等の一部を改正する法律」が、2026年4月1日に施行されました。この改正により、離婚に関するルールが大きく変わっています。

財産分与に関する主な変更点

  • 財産分与の請求期限が 離婚後2年 → 5年 に延長(2026年4月1日以降の離婚に適用)
  • 裁判所が当事者に財産情報の開示命令を出せるようになり、手続きがスムーズに

あわせて変わったこと(子どもがいるご家庭)

  • 離婚後の共同親権が選択可能に
  • 養育費の取り決めがなくても法定養育費(子1人あたり月額2万円)を請求できる制度が新設
  • 養育費債権に先取特権が付与され、文書があれば差し押さえが可能に

離婚が成立したあとでも財産分与を請求できるということをご存じでしょうか。

実は、民法上、離婚時に財産分与が決まらなかった場合でも、離婚後5年以内(令和8年4月1日よりも前の離婚であれば2年以内)であれば財産分与を請求できるとされています。なお、民法の改正に伴い、令和8年4月1日以降の離婚については、財産分与の時効は2年から5年に変更されますので注意が必要です。

ただ、財産分与は、できるだけ離婚時に合意しておくのが望ましいです。なぜなら、離婚後に財産分与を請求すると、相手方の共有財産の情報を十分に得られなかったり、離婚により相手方の態度が不誠実になることも多くあるからです。

本記事では、離婚後も財産分与を請求できる理由や手続きの流れ、注意点などを弁護士の視点から詳しく解説します。財産分与請求のタイミングや具体的な調停・審判の進め方、請求可能な財産の範囲なども含めて整理しますので、ぜひご確認ください。

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目次
  1. 離婚後でも財産分与を請求できる
  2. 2026年4月民法改正で財産分与はどう変わったか
  3. 2026年民法改正で変わった関連ルール(子どもがいるご家庭へ)
  4. 離婚後に財産分与を請求する時の注意点
  5. 離婚後の財産分与の期限
  6. 2年経過後の財産分与請求
  7. 離婚後の財産分与の流れ
  8. よくある質問(FAQ)
  9. 財産分与の問題は難波みなみ法律事務所へ

離婚後でも財産分与を請求できる

多くの方が「離婚時にすべての共有財産を清算しなければならない」と考えがちですが、実際には離婚時に合意が整わなかった場合でも、離婚後でも財産分与を請求することが可能です。

まず、民法上、夫婦が離婚した場合、財産分与を請求する権利が認められています。仮に離婚協議や調停で財産分与が決まらなかったとしても、離婚後でも財産分与を請求できることになっています。

ただし、財産分与には「離婚後2年」という除斥(じょせき)期間が存在するため、この期限を過ぎてしまうと財産分与の請求自体ができなくなる点には注意しなければなりません。

2026年4月民法改正で財産分与はどう変わったか

民法改正により財産分与の期限が2年から5年に変更されました。財産分与の期限だけでなく、その他にも変更されている点があります。以下では、今回の民法改正により財産分与がどのように変わったのかを説明します。

請求期限が「2年」から「5年」に延長

2024年5月に成立した改正民法が、2026年4月1日に施行されました。これにより、財産分与の請求期限(除斥期間)が離婚後2年から5年に延長されています。

離婚成立の時期財産分与の請求期限
2026年3月31日以前離婚後 2年以内
2026年4月1日以降離婚後 5年以内

法律の改正により、改正前の期限よりも請求期限にゆとりができましたが、財産分与の請求を遅らせてしまうと、情報や財産が散逸するリスクがあります。期限が延びても、できるだけ早い時期に着手することが依然として重要です。

令和6年法律第33号による改正後の民法768条(公布から2年以内に施行予定)

2 前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から五年を経過したときは、この限りでない。

裁判所が財産情報の開示命令を出せるようになった

今回の改正で、家庭裁判所が当事者(元配偶者)に対して財産状況に関する情報の開示を命令できる制度が整備されました(家事事件手続法52条の2等)。

従来は、相手方に対して、任意に財産開示を求め、調査嘱託を通じて財産開示を求める方法が一般的でしたが、相手方の金融機関名や支店名まで具体的に特定しなければ、財産の開示ができない不十分な状況でした。

法改正に伴い、正当な理由なく開示しなかったり虚偽の情報を開示した場合には、10万円以下の過料が科される可能性があります。これにより、相手方が財産を隠している場合でも、手続き上で情報を引き出しやすくなりました。

2026年民法改正で変わった関連ルール(子どもがいるご家庭へ)

今回の民法改正は財産分与だけでなく、離婚後の親権・養育費・親子交流についても大きく変更されています。財産分与と同時に協議・調停を進める場面が多いため、あわせて把握しておくことが重要です。

共同親権が選択可能になった

これまで離婚後は父母のどちらか一方だけが親権者となる「単独親権」でしたが、2026年4月1日以降の離婚から、父母双方が親権を持つ「共同親権」を選択できるようになりました。

内容
協議離婚の場合父母の話し合いで単独・共同を選択
調停・裁判の場合家庭裁判所が子どもの利益を最優先に判断
DV・虐待のおそれがある場合共同親権は認められない

既に離婚済みの場合、改正法の施行によって、現在の単独親権が自動的に共同親権に変更されることはありません。ただし、施行後に家庭裁判所への申立てにより変更される場合があります。

法定養育費が新設された(子1人あたり月額2万円)

養育費の取り決めをせずに離婚した場合でも、2026年4月1日以降に離婚した方は、子どもと暮らす親権者は相手方に対して「法定養育費」として子1人あたり月額2万円を請求できるようになりました。

これは取り決めをするまでの暫定的・補充的なものであり、協議・調停で適切な養育費の金額を改めて決定することが前提です。法定養育費の支払いがされない場合には、差し押さえの手続きを申し立てることもできます。

養育費の回収がしやすくなった(先取特権の付与)

養育費債権に「先取特権」が付与され、父母間で作成した養育費の合意書があれば、公正証書や裁判所の判決(債務名義)がなくても差し押さえ手続きを申し立てられるようになりました。先取特権が付与される上限額は子1人あたり月額8万円です。

離婚後に財産分与を請求する時の注意点

離婚後に財産分与を請求するにあたって、いくつかの留意点があります。ここでは、財産の散逸や情報不明など、具体的に問題となりやすいポイントをご説明します。

財産の散逸・消費のリスク

離婚後は、すでに元の配偶者との協力関係がないため、共有財産が散逸・消費されるリスクが高まります。相手方が離婚後に資産を勝手に使い込んだり、預貯金を引き出してしまうケースも残念ながら少なくありません。

確かに、財産分与は別居時点で存在する共有財産を対象としています。そのため、別居後や離婚後に、別居時点で存在した共有財産を消費などしたとしても、共有財産の対象となる財産に変動はありません。ただし、実際問題として、離婚後に共有財産を費消することで、認定される財産分与の義務を履行できなくなるおそれがあります。

財産分与を実現させるためにも、離婚後速やかに権利を行使することが望ましいです。仮に、相手方が共有財産の費消する可能性がある場合には、共有財産の仮差押えも検討しましょう。

共有財産の情報を把握できない

離婚前であれば、配偶者が所持している預貯金通帳や保険証券などの共有財産の情報を確認できることが多いです。しかし、離婚後はこれらの財産情報が手に入りにくくなります。さらに、相手が協力を拒む場合、財産の所在を把握するのは困難を極めます。

家庭裁判所の調停や審判の場で、財産の開示を求めることも可能ですが、必ずしもスムーズに開示されるわけではありません。

場合によっては弁護士などの専門家に依頼し、調査嘱託等を活用して調査を進める必要が生じることがあります。ただ、調査嘱託をする場合でも、探索的な調査は認められていないため、何らの情報もない場合には調査嘱託も行うことが難しくなります。

法改正により情報開示命令が出せるようになった

令和4年5月の法改正により、家庭裁判所は(元)配偶者に対して、財産状況に関する情報を開示するよう命じることができるようになりました。

この情報開示制度は新設の制度となりますので、施行後の運用を踏まえて適切に活用していきましょう。

人事訴訟法第34条の3

2 裁判所は、第三十二条第一項の財産の分与に関する処分の申立てがされている場合において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当事者に対し、その財産の状況に関する情報を開示することを命ずることができる。

3 前二項の規定により情報の開示を命じられた当事者が、正当な理由なくその情報を開示せず、又は虚偽の情報を開示したときは、裁判所は、決定で、十万円以下の過料に処する。

家事事件手続法52条の2

2 家庭裁判所は、財産の分与に関する処分の審判事件において必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当事者に対し、その財産の状況に関する情報を開示することを命ずることができる。
3 前二項の規定により情報の開示を命じられた当事者が、正当な理由なくその情報を開示せず、又は虚の情報を開示したときは、家庭裁判所は、十万円以下の過料に処する。

離婚前よりも交渉がシビアになる

離婚後は、お互いが新たな生活を開始している状態です。再婚や新しい交際相手の存在など、さまざまな要因が絡み合い、離婚前よりも交渉がシビアになる場合があります。元の配偶者が話し合いに応じないケースもあり、感情的な対立が深刻化しやすいです。特に、財産分与においては、不動産や退職金など、比較的高額の財産が動く可能性があるため、元夫婦間の利害対立が先鋭化しやすく、スムーズに合意するのが難しくなることを念頭に置きましょう。

また、離婚前であれば、相手方が速やかな離婚を求めているような場合、有利に財産分与の協議を進めることができるケースもあります。他方で、一旦離婚が成立してしまうと、離婚条件として財産分与の交渉ができなくなるため、交渉が一層シビアになる可能性も高くなります。

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離婚後の財産分与の期限

離婚後に財産分与を請求する際は、期限(除斥期間)に特に注意が必要です。以下では、この除斥期間に関する基本的なルールや実務上のポイントを整理します。

離婚後2年(改正後は5年)以内に請求する

もっとも重要なのは、離婚後2年以内に請求しなければならないという点です。改正法の施行後は、5年となります。

民法768条に基づき、この期間を過ぎると原則として財産分与請求権を行使することができなくなります。この期間制限を「除斥期間」と呼びます。除斥期間は時効とは異なり、中断や停止が認められないため、2年または5年以内に具体的な手続きを開始することが不可欠です。

たとえば、離婚後1年半経った時点で共有財産の情報が発覚したとしても、残りの半年間で手続きを進めなければ権利を行使できなくなる可能性があります。迷っている間に時間が経過してしまわないよう、早めの行動が大切です。

2年(5年)以内に合意できなければ調停や審判の申立てをする

2年または5年という期限内に元配偶者との間で協議して合意を得られた場合は問題ありませんが、協議が思うように進まない際には速やかに家庭裁判所へ調停または審判を申立てなければなりません。調停を申し立てることで、相手側が話し合いに応じやすくなるケースも少なくありません。

元配偶者に2年(5年)以内に財産分与の請求をしていても、2年(5年)以内に合意に至らなければ、調停や審判の申立てをしないと、財産分与請求はできなくなります。

調停で合意に至らない場合は、調停不成立として審判手続きに移行します。

財産分与調停・審判手続中に2年が経過した場合

よくある疑問として、「調停や審判の手続き中に2年が経ってしまった場合はどうなるのか」というものがあります。

結論としては、2年(5年)以内に調停や審判の申立てを行っている以上、財産分与請求権は消滅しないとされています。つまり、2年(5年)以内に調停または審判の申立てをしておけば、途中で期限を経過しても財産分与の手続きは継続されます。

ただし、必ず2年または5年以内に手続きを開始することが条件です。もし何もせずに期限を超えてしまうと、財産分与請求ができなくなりますので、事前に具体的な準備を整える必要があります。

確定した財産分与請求は10年が期限

裁判所の審判や調停によって確定した財産分与請求権(たとえば、○万円を支払うという形で確定した権利)については、時効期間が10年となります。

したがって、いったん調停や審判で財産分与として金銭の支払いが確定した場合は、請求権が2年で消滅してしまうというわけではなく、確定してから10年の間は強制執行などの手段を講じることが可能です。

2年経過後の財産分与請求

「離婚後2年」という除斥期間が過ぎてしまった場合、原則として財産分与請求は認められなくなります。改正法の施行後は5年となります。もし財産隠しがあったとしても、2年又は5年を過ぎてしまえば財産分与の請求をすることは困難です。ただし、場合によっては不法行為に基づく損害賠償請求など、別の法的手段が模索される可能性があります。

もっとも、不法行為としての賠償請求は、財産隠しなどが不法行為に該当することを立証しなければならないため、簡単に認められるわけではありません。

そのため、離婚後2年又は5年を過ぎると財産分与請求の道は閉ざされると考えておいたほうが無難です。したがって、期限内に請求手続きに着手することが何よりも重要となります。

離婚後の財産分与の流れ

ここでは、離婚後に財産分与を進める際の典型的な手順を示します。共有財産の調査から調停・審判に至るまでのプロセスを把握し、スムーズに権利行使ができるように準備を整えましょう。

共有財産の調査

まずは、婚姻期間中に形成した共有財産を把握するところから始まります。 

預貯金通帳や証券口座だけでなく、不動産の登記簿や生命保険の契約内容、さらには退職金規定や証明書なども重要な資料です。自動車や高級家電、宝飾品なども対象に含まれるケースがあります。

離婚した後では情報が得にくいため、できれば離婚前から情報や資料の収集をしておくことが望ましいです。もし離婚後になってから調査を始める場合、相手による隠蔽工作が進んでしまう恐れがあるため、弁護士のサポートを受けながら早期に動くことが有効です。

元配偶者と協議する

共有財産のリストアップができたら、まずは元配偶者との協議を行います。具体的には、財産の評価額や分配の割合、支払い方法などについて話し合うことになります。

しかし、すでに離婚により関係が悪化していることも多いため、話し合いが難航するケースが多いです。

当事者間の協議により合意に至れば、合意書を作成して両者が署名押印し証拠化しておきましょう。口約束だけでは合意内容を事後的に証明することが困難なため、後日トラブルが起きるリスクを減らすためにも文書化は必須です。

財産分与調停の申立て

協議による解決が難しい場合、家庭裁判所に対して財産分与の調停を申立てることになります。調停となれば、家庭裁判所の調停委員が間に入って話し合いを取りまとめます。

調停期日には、双方が裁判所に出頭して主張を行い、お互いに折り合いがつくよう話し合いを続けます。調停は裁判とは異なり、あくまで話し合いを重視する手続きなので、合意に向けて柔軟な対応を心がけることが重要です。財産分与の期間制限を踏まえ、時間的余裕を持って申立てをするように注意しましょう。

調停の成立・不成立

調停が成立した場合は、その内容が調停調書に記載され、裁判上の和解と同様の効力を持ちます。たとえば、「相手は○万円を○月までに支払う」という形で明確に合意されるため、後日支払いが滞った場合には強制執行も可能です。

しかし、調停で合意に至らなかった場合(不成立となった場合)は、自動的に審判手続きへ移行することになります。審判では裁判所が当事者双方の主張と証拠を踏まえて、客観的な判断に基づいて終局的な判断を示します。審判では、調停よりも話し合いの要素が希薄となるため、一刀両断的な判断が示されることになります。

よくある質問(FAQ)

Q. 2026年3月以前に離婚した場合、請求期限は何年ですか?

A. 2026年3月31日以前に離婚が成立している場合は、改正前の民法が適用されるため、財産分与の請求期限は離婚後2年以内となります。改正法(5年)の適用を受けるのは、2026年4月1日以降に離婚した場合に限られます。すでに離婚済みで2年以内の方は、早急に弁護士にご相談ください。

Q. 財産分与の調停・審判中に期限が過ぎたらどうなりますか?

A. 期限(除斥期間)内に調停または審判の申立てを行っていれば、手続きの途中で期限が経過しても財産分与の請求権は消滅しません。申立て自体を期限内に行うことが条件です。

Q. 共同親権になると、財産分与の協議はどうなりますか?

A. 財産分与は父母本人の財産に関する問題であり、共同親権などの子どもに関する事項とは別に扱われます。共同親権になったからといって、財産分与の協議や請求手続きが変わるわけではありません。ただし、子どもに関する取り決め(養育費・親子交流)と同時に進めることが多いため、全体を見渡した上で専門家に相談することをお勧めします。

Q. 法定養育費の月額2万円は、財産分与とは別に請求できますか?

A. はい、別の請求です。法定養育費(月額2万円)は養育費に関する新しい制度であり、財産分与とは独立した権利です。2026年4月1日以降に離婚した方で、養育費の取り決めをしていない場合に、子どもと暮らす親が相手方に対して請求できます。財産分与の請求と同時に進めることも可能です。

Q. 相手が財産を隠していそうな場合はどうすればいいですか?

A. 先ほどの解説でも触れましたように、2026年の改正で、家庭裁判所が元配偶者に対して財産情報の開示を命令できる制度が整備されました。開示命令に正当な理由なく従わない場合や虚偽の情報を開示した場合は過料の対象となります。また、弁護士に依頼して調査嘱託(金融機関等への照会)を活用する方法もあります。財産隠しの疑いがある場合は早期に弁護士にご相談ください。

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離婚後でも財産分与は請求できますが、2年又は5年という期間制限が大きなポイントとなります。期限を過ぎると請求が極めて困難になり、後悔を残す結果になりかねません。 

共有財産の把握や証拠収集は早めに行い、協議・調停を含む法的手段を効果的に活用しましょう。スムーズかつ公正な財産分与を実現するためにも、専門家への相談が最も近道です。

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