コラム
更新日: 2024.07.27

協議離婚と調停離婚の違いを徹底解説!メリットとデメリットを解説|難波みなみ法律事務所

難波みなみ法律事務所代表弁護士・中小企業診断士。幻冬舎「GOLDONLINE」連載第1回15回75回執筆担当。法的な問題には、法律の専門家である弁護士の助けが必要です。弁護士ドットコムココナラ弁護士ナビに掲載中。いつでもお気軽にご相談ください。初回相談無料(30分)。

離婚を考える際、最初に選択肢として挙がる協議離婚と調停離婚。

しかし、それぞれの違いやメリット、デメリットを詳しく知っている人は多くはありません。

協議離婚は、双方の話し合いで合意に至り、離婚届を提出することで進められます。

一方、調停離婚は協議離婚に至らず、家庭裁判所を介して進行する手続きです。

これらの方法には、それぞれ利点や不利点があり、それを把握することは適切な選択に繋がります。本記事では、協議離婚と調停離婚の基本からメリットデメリットまでをわかりやすく解説し、読者が自身の状況に応じた選択ができるようにガイドします。

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協議離婚と調停離婚

離婚を考える時、選べる主な離婚方法は協議離婚と調停離婚です。これらは手続き、要する時間、必要な費用において異なります。

協議離婚とは

協議離婚とは、離婚条件や離婚それ自体について当事者同士の話し合いによって離婚に合意し、離婚届を提出する手続きです。

この手続きの最大の特徴は、双方が円満に離婚について合意できれば、最も簡単かつ迅速に離婚が可能となる点です。

裁判所の手続きを介さずに双方の合意に基づいて離婚ができるため、夫婦間で子どもの親権や財産分与について話し合い、離婚届に双方が署名・捺印すれば、すぐに離婚手続きが完了します。また、協議離婚は裁判所などの外部機関を介さずに自分たちで離婚の条件を決定できるため、スムーズに手続きを進められるメリットもあります。

調停離婚とは

調停離婚とは、夫婦間で離婚に関して合意ができない場合に、家庭裁判所の調停委員の仲裁を通じて離婚の成立を目指す法的な手続です。

協議離婚が成立しない状況では、次のステップとして調停や裁判などの法的手続きが必要になりますが、調停離婚はそうしたプロセスの第一段階です。

離婚調停では、中立的な立場の調停委員が間に入り、話し合いを進め、離婚の各条件に関する合意を促します。調停手続を通じて双方が合意に至った場合は、調停離婚が成立します。

裁判離婚と審判離婚

裁判離婚とは、離婚裁判(離婚訴訟)を通じて成立する離婚です。離婚手続では、調停申立てを行い、調停が不成立となった場合に離婚裁判を提起することができます。つまり、離婚調停を経ずにいきなり離婚裁判を提起することは原則として認められていません。これを調停前置主義といいます。

審判離婚とは、調停に代わる審判により成立する場合の離婚を言います。実務上、調停離婚が成立するためには、調停成立時に当事者本人の出席が求められますが、当事者本人が家庭裁判所に出頭することができないが、離婚することや離婚条件について合意できている場合に、調停に代わる審判が用いられることが多い印象です。

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調停離婚と協議離婚の違い

協議離婚と調停離婚は、解決方法や手続きの流れに大きな違いがあります。

家庭裁判所の関与する手続か否か

協議離婚と調停離婚の最大の違いは、家庭裁判所の関与の有無にあります。

協議離婚の場合、夫婦双方が離婚条件に合意することで成立するもので、家庭裁判所を介さずに手続きを進めることができます。

一方、調停離婚の場合は、夫婦間で離婚条件に関する合意が得られない場合に、家庭裁判所に申し立てを行い、調停手続を経て成立するものです。調停離婚では、家庭裁判所の調停委員が、夫婦間の仲介をし、双方の意見を聞きながら離婚条件に関する合意形成をサポートします。

このように、家庭裁判所の関与する手続か否かの点で異なります。

離婚届に署名捺印するか

協議離婚では、夫婦の双方と証人の2名が離婚届に署名捺印を行う必要があります。離婚届を提出して初めて協議離婚が成立します。

調停離婚の場合は、調停の成立により離婚が成立します。調停離婚においても離婚届の提出は必要ですが、離婚自体は調停の成立により済んでいます。戸籍謄本に離婚の事実を反映させるために、離婚届と調停調書を提出する必要があります。ただ、離婚届には、夫婦双方の署名捺印や商人の署名捺印は求められません。調停調書の内容から既に離婚が成立している事実が明らかであるからです。

費用を要するか否か

協議離婚と調停離婚の最大の違いの一つは、費用の面です。

協議離婚は夫婦間での直接合意をもとに行われるため、特に追加の費用がかかることはありません。本籍地以外の市区町村役場で離婚届を提出する場合には、戸籍謄本の添付が必要となりますので、その取付費用が生じます。

しかし、調停離婚では裁判所を通じての手続きが必要になるため、調停申立て費用が必要になります。郵便切手代や印紙代が必要となります。

調停離婚では、さらに弁護士に委任する場合、弁護士費用も発生します。

したがって、費用面を重視する場合、協議離婚が低コストで済むというメリットがあります。

離婚成立までの時間の長短

協議離婚は調停離婚に比べて離婚成立までの時間が短く、この点が最大の特徴です。

協議離婚では夫婦双方が合意すれば、必要な書類を提出するだけで手続きが進むため、手続きが簡単でスピーディーに完了します。

これに対して調停離婚は家庭裁判所を介した手続きが必要になるため、半年から1年以上の時間を要することが珍しくありません。

そのため、離婚を急いでいる場合には、協議離婚が適した選択肢となり得ます。

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協議離婚のメリットとデメリット

協議離婚には、メリットだけでなくデメリットがあり、これらを十分に理解した上で離婚手続を進めていくことが大切です。

協議離婚のメリット

協議離婚には、手続きが速く、費用がかからず、双方が納得する形で円満離婚が目指せるメリットがあります。

時間が早い

協議離婚は離婚を早く成立させることができます。

この方法は双方の合意のもと、離婚届に署名捺印し提出するだけで離婚が成立するため、調停離婚や裁判離婚と比較して手続きがシンプルで時間がかかりません。

そのため、協議離婚を選ぶ一番のメリットは、時間をかけずに手続きを完了できることで、速やかに第二の人生を出発させることができる点です。

費用がかからない

協議離婚では、基本的に裁判所を利用しないため、費用がかからない点が大きなメリットです。

協議離婚であれば、郵便切手代や印紙代はかかりません。

ただし、公正証書を作成する場合には、公証人の手数料が必要となるため、費用的なメリットはそこまで大きくはありません。

円満離婚を実現できる

協議離婚とは、夫婦双方が話し合いを重ね、合意に基づいて離婚する方法です。

この方法ならば、双方が納得できる条件で離婚するため、後々のトラブルが少なく円満に離婚することが期待できます。

つまり、協議離婚では、双方の意見を尊重しながら離婚の条件を決めることが可能であり、その結果として円満離婚を実現できるのです。

ただ、協議離婚であっても、激しく対立しながら離婚するケースもありますから、協議離婚=円満離婚とは限りません。

協議離婚のデメリット

協議離婚は手軽さが魅力ですが、合意に至らないリスクや強制力がない点がデメリットです。

離婚条件の協議が十分にできない

協議離婚において、離婚成立を急ぐあまり、財産分与等の離婚条件について十分に協議せずに離婚届を提出してしまうことが多々あります。

離婚協議では、以下の離婚条件について協議することが本来は必要です。

  • 財産分与
  • 親権と養育費(婚姻費用)
  • 慰謝料(不倫・DV等)
  • 年金分割

しかし、感情的な対立が激しいために、離婚条件の合意ができなければ、時間と費用を要する調停手続に移行することになります。

ただ、離婚手続きの長期化を避けたいがために離婚条件の話し合いを省略して、離婚成立を優先してしまうケースが多くあります。

強制執行できない

協議離婚の一つのデメリットとして挙げられるのが、財産分与や養育費の強制執行ができない点です。

協議離婚では裁判所の手続を経ないため、仮に夫婦間で合意した内容が履行されない場合には、これを直ちに強制執行することができません。この場合には、民事訴訟や調停手続をしなければ合意内容を実現させることができません。

ただし、協議離婚に際し、合意内容を公正証書にしている場合、強制執行認諾文言付公正証書であれば、調停や訴訟を経ずに強制執行することが認められています。

調停離婚のメリットとデメリット

調停離婚は、家庭裁判所を通じた手続であることに伴うメリットとデメリットがあります。

調停離婚のメリット

調停離婚は、協議離婚とは異なり離婚に際して家庭裁判所を通じた手続であるため、以下のメリットがあります。

離婚条件をしっかりと協議できる

調停離婚では、家庭裁判所の調停委員が間に入ることで離婚条件について慎重な協議が行われます。

調停手続では、調停委員が中立的な立場から双方の意見を聞き、公平な解決策を提案するため、通常の話し合いだけでは見落としがちな離婚条件についても丁寧に検討することができます。

そのため、重要な離婚条件を棚上げにすることなく、十分に協議をした上で離婚することができます。ただし、調停離婚であっても、離婚条件の一部を留保することはあります。

強制執行できる

調停離婚で合意した内容は、ただちに強制執行することができます。

例えば、財産分与、慰謝料、養育費といった金銭請求について調停が成立した場合、相手方がこれらを履行しなければ、民事訴訟等を経ることなく差押えの強制執行をすることができます。

調停離婚のデメリット

調停離婚のデメリットには、家庭裁判所を通じたプロセスであることにより生じるものが多いです。

時間がかかる

調停離婚のプロセスには時間がかかります。

調停手続は1か月半から2か月に1回の頻度で実施されること、また、調停手続となることで夫婦双方の対立が激しくなることから、調停手続による解決期間は半年から1年となることが一般的です。

費用がかかる

調停の申立てには、印紙代や郵便切手代が必要となります。

さらに、多くの方が調停手続を経験したことがなく、弁護士に委任せざるを得なくなるため、弁護士費用も発生するケースも多くあります。弁護士事務所によって報酬体系は区々ですが、弁護士費用が100万円を超えることもあります。

対立が激しくなる

調停離婚の過程で、双方の対立が激しくなることがあります。

離婚条件が慎重に協議される反面、自らが希望する離婚条件を互いに一歩も引かない状況に陥ることで、夫婦間の対立が激化することはよくあります。

協議離婚が向いているケース

協議離婚が成就するかどうかは、夫婦間で円滑に話し合いができるかがポイントです。

冷静に話し合いができる関係にある

夫婦が直接話し合い、円満に協議離婚を進められるケースは協議離婚に適しています。

夫婦が直接顔を合わせて話し合うことで、双方の感情を直接伝え合い、誤解を解消しやすくなります。他方で、顔も見たくない程に夫婦の関係性が悪化している場合には、協議離婚には適さないでしょう。

夫婦が話し合いができる関係性にあれば、財産分与や子どもの親権などの離婚条件に関して、直接話し合いを行い、双方が納得のいく解決策を見出すことが可能です。

冷静に話し合うことのできる夫婦であれば、話し合いによる協議離婚が適したプロセスといえます。

早く離婚を成立させたいケース

夫婦双方が離婚を早く成立させたいことで一致している場合には、協議離婚に適しているケースといえます。

ただし、重要な離婚条件を棚上げにした協議離婚には慎重になるべきです。財産分与や養育費などの離婚条件を先送りにするだけで、問題の終局的な解決とはならないからです。

離婚条件も含めて夫婦間で十分に協議して離婚できる場合には、協議離婚は適切なプロセスといえるでしょう。

相手方の納得できる離婚条件を提示できる

相手方が十分に納得できる離婚条件を早めに提示できれば、協議離婚を実現させることができます。

相手方が求める財産資料の提出を出し惜しんだり、争いのない離婚原因を否定すると、相手方との協議は困難となります。客観的な証拠から、相手方の主張が正しいことが分かれば、積極的に争わずに歩み寄ることが重要です。

ただ、離婚成立を急いで、認める必要のない相手方の主張を認めることは避けるべきです。

相手方の主張内容を踏まえて、相手方の納得できる離婚条件を提示することができれば、協議離婚を実現させることはできるでしょう。

協議離婚と調停離婚の流れ

離婚の成立に向けた必要となるプロセスを解説します。

協議離婚の流れ

協議離婚に必要となるプロセスを紹介します。夫婦間で向き合って話し合うことが早期の解決に繋がります。

話合いをする

離婚手続きを進めるためには、夫婦双方で離婚条件に関する話し合いをします。親権や財産分与、慰謝料など、離婚に関わる多くの問題を適切に解決するためには、夫婦間の話し合いが不可欠です。  

合意できれば合意書か公正証書を作成する

夫婦間の協議の結果、合意に至れば、その合意内容は必ず書面に残します。

合意書面には、単なる合意書に加えて公正証書の形態があります。

合意文書は、合意内容を明確にすることで、将来的に起こるかもしれないトラブルを未然に防ぐことに役立ちます。特に、財産分与や子供の親権、養育費など、いずれにおいても、口頭の合意だけに頼ることなく、正式な書面で合意内容を定めておくことが重要です。

公正証書を作成することで、直ちに強制執行の手続に着手することができます。そのため、相手方が合意内容を守らないことが予想される場合には、公正証書の作成を検討しましょう。

離婚届を提出する

夫婦間で話し合いができれば、合意書を作成した上で、離婚届を市町村役場に提出します。本籍地以外の市区町村役場に提出する場合には、戸籍謄本の提出が求められます。

調停離婚の流れ

離婚協議が進展しない場合には、離婚調停の手続に移行せざるを得ません。

離婚調停の申立てをする

協議離婚で合意に達しない場合、家庭裁判所に離婚調停の申立てをします。

申立先の家庭裁判所は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所となります。

調停が成立する

3回から5回の調停期日を経て、夫婦間で合意ができれば、調停が成立します。調停成立後10日以内に離婚届を提出しなければなりません。

他方で、調停手続を重ねても合意に至らない場合には、調停は不成立となり調停手続は終了します。調停不成立後は離婚裁判を提起して離婚手続を進めていくことになります。

離婚の問題は弁護士に相談を

離婚は、多くの問題や手続きを伴う複雑なプロセスです。そうした場合、専門的な知識を持った弁護士に相談することで、あなたにとって最適な解決策を見つけることができます。もし離婚を考えている場合や離婚に伴う問題で悩んでいるなら、一人で抱え込まずに弁護士に相談しましょう。

弁護士は離婚に関する法律的なアドバイスを提供し、あなたの権利を守るサポートをしてくれます。

難波みなみ法律事務所は離婚問題全般に注力しており、養育費の問題に真摯に取り組んでいます。ご自身で頑張り過ぎずに、適切に弁護士に相談することが重要です。

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