コラム
更新日: 2026.07.20

家賃を2ヶ月滞納したらどうなる?強制退去までの流れと今すぐやるべき対処法【弁護士監修】

難波みなみ法律事務所代表弁護士・中小企業診断士。大阪弁護士会所属(登録番号49544)、大阪中小企業診断士会所属(登録番号 420113)、幻冬舎「GOLDONLINE」連載第1回15回75回執筆担当。法的な問題には、法律の専門家である弁護士の助けが必要です。弁護士ドットコムココナラ弁護士ナビに掲載中。いつでもお気軽にご相談ください。初回相談無料(30分)。

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「家賃の入金がない」まま2ヶ月が経過すると、貸主・オーナーの多くは「そろそろ本格的に動くべきか」「まだ様子を見るべきか」と迷う時期を迎えます。滞納2ヶ月は、法的な観点からも実務上の観点からも、対応の方向性を見極める重要な節目です。

本記事では、家賃滞納が2ヶ月に達した場合に何が起こるのか、強制退去に至るまでの実際の流れ、そして貸主・借主それぞれの立場で今すぐ取るべき対処法を、弁護士監修のもと解説します。督促の進め方に悩む貸主の方も、滞納してしまい今後の生活に不安を抱える借主の方も、正しい知識を持つことがトラブルの早期解決につながります。

なお、家賃滞納をめぐる法的手続きは状況によって進め方が異なります。個別の事情に応じた具体的な対応については、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

  • 家賃滞納2ヶ月の時点では、直ちに契約解除・強制退去とはならないのが原則
  • ただし「信頼関係の破壊」が認められれば、2ヶ月の滞納でも解除が認められるケースがある
  • 強制退去には、内容証明郵便での督促から訴訟・強制執行までの法的手続きが必要
  • 借主・貸主とも、早期の連絡と記録の保存がトラブル回避の鍵
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目次
  1. 【結論】家賃滞納2ヶ月で強制退去になる?
  2. 滞納2ヶ月から強制退去までのタイムライン
  3. なぜ滞納2ヶ月が「重要な節目」とされるのか
  4. 保証会社・連帯保証人と代位弁済の影響
  5. 【借主の方へ】家賃滞納2ヶ月になったときにすべきこと
  6. 【貸主・オーナーの方へ】滞納2ヶ月で取るべき初期対応
  7. 初期対応で解決しない場合|強制退去までの法的手続き3ステップ
  8. 家賃滞納の対応で貸主が絶対にやってはいけないこと
  9. 今後の経営のために!家賃滞納を未然に防ぐための予防策
  10. 家賃滞納トラブルはどこに相談すべき?
  11. よくある質問
  12. 家賃滞納は難波みなみ法律事務所へ

【結論】家賃滞納2ヶ月で強制退去になる?

結論から言うと、家賃滞納がわずか2ヶ月というだけで、直ちに強制退去が認められるわけではありません。賃貸借契約の解除には、判例上「当事者間の信頼関係が破壊された」と評価されることが必要とされており、一般的には3ヶ月程度の滞納が一つの目安とされています。

もっとも、これはあくまで目安に過ぎません。過去の滞納歴や支払い状況、貸主からの督促に対する借主の対応状況などの事情次第では、2ヶ月の滞納でも信頼関係が破壊されたと判断され、契約解除・強制退去が認められた裁判例も存在します。

つまり滞納2ヶ月の段階は「まだ大丈夫」と楽観視してよい時期ではなく、貸主にとっては督促・記録化を本格化させるべき、借主にとっては早急に対応を検討すべき重要な分岐点だといえます。

滞納2ヶ月から強制退去までのタイムライン

家賃滞納から強制退去までは、段階を踏んで進んでいきます。おおまかな流れを整理すると、以下のようになります。

段階状況
滞納1ヶ月電話・書面による通常の督促が中心。信頼関係破壊とは通常評価されない時期
滞納2ヶ月督促を強化し、内容証明郵便での催告・記録化を検討すべき重要な節目
滞納3ヶ月以上信頼関係破壊が認められやすくなり、契約解除・訴訟提起が現実的な選択肢に
判決後借主が明け渡しに応じない場合、強制執行(断行)により退去が実現

実際に強制退去に至るまでには、内容証明郵便による督促、賃貸借契約解除の意思表示、明渡請求訴訟、判決確定後の強制執行という段階を経る必要があり、貸主が独断で鍵を交換したり荷物を撤去したりする「自力救済」は法律上認められていません。滞納期間ごとの具体的な対応の違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:家賃滞納は何ヶ月で契約解除できるのか?3ヶ月が目安と例外ケースを弁護士が解説

なぜ滞納2ヶ月が「重要な節目」とされるのか

信頼関係の破壊という考え方

賃貸借契約は、貸主と借主の間の継続的な信頼関係を基礎とする契約と考えられています。そのため、単に賃料の支払いが遅れたという事実だけでは足りず、賃料不払いによって「当事者間の信頼関係が破壊された」と評価できて初めて、貸主による契約解除が認められるというのが、確立した判例上のルール(信頼関係破壊の法理)です。

この信頼関係破壊の有無は、滞納した月数だけで機械的に判断されるものではなく、滞納に至った経緯、これまでの支払状況、督促に対する借主の対応(誠実に連絡・分割払いの相談をしてきたか、無視を続けているか)など、諸般の事情を総合的に考慮して判断されます。

裁判例でも、滞納期間が2ヶ月程度であっても、他の事情と合わせて信頼関係の破壊が認められ、契約解除が有効とされたケースがあります。

東京地裁令和元年12月19日判決では、賃料の滞納状況やその他の契約違反行為等の事情を踏まえ、賃貸借契約の当事者間における信頼関係が破壊されたと認められるとして、貸主からの契約解除が有効と判断されました。

東京地裁平成14年11月28日判決でも、賃料不払いの経緯や借主側の対応状況等を総合的に考慮したうえで信頼関係の破壊が認定され、契約解除の効力が認められています。

これらの裁判例からもわかるとおり、「滞納が2ヶ月だから解除は絶対に認められない」と一律にいえるわけではなく、個別の事情次第で結論が変わり得る点に注意が必要です。信頼関係破壊の法理についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

関連記事:信頼関係破壊の法理とは?貸主が知るべき契約解除の判断基準を判例とともに解説

滞納の長期化がもたらすリスク

滞納2ヶ月の段階で有効な対応を取らずに放置すると、滞納額はさらに膨らみ、借主の生活再建も貸主の資金回収も、より困難になっていきます。滞納が3ヶ月、4ヶ月と長期化するほど、信頼関係の破壊が認められやすくなる一方で、借主にとっては未払い賃料の一括返済がより重い負担となります。

貸主にとっても、空室期間の長期化や訴訟・強制執行にかかる費用・時間の増大は大きな負担です。だからこそ、滞納2ヶ月という早い段階で、双方が状況を正確に把握し、適切な対応に踏み出すことが重要になります。

保証会社・連帯保証人と代位弁済の影響

近年は賃貸借契約の締結にあたり、家賃保証会社の利用を必須とする物件が増えています。保証会社を利用している場合、家賃滞納2ヶ月の局面では「代位弁済」の仕組みが大きく関わってきます。

代位弁済とは

代位弁済とは、借主が家賃を滞納した場合に、保証会社が借主に代わって貸主へ滞納賃料を立て替えて支払う仕組みです。保証委託契約に基づき、一定の滞納期間・滞納額に達すると保証会社が代位弁済を行い、その後は保証会社が借主に対して求償(立て替えた分の返還請求)を行う流れになります。

貸主にとっては、代位弁済によって滞納賃料の回収自体はスムーズに進むケースが多いものの、代位弁済はあくまで賃料の立替払いであり、それ自体で賃貸借契約が解除されたり、借主が退去したりするわけではない点に注意が必要です。

代位弁済に関する誤解に注意

「保証会社が立て替えてくれたのだから、もう滞納問題は解決した」と誤解されがちですが、これは正確ではありません。借主は保証会社に対して求償債務を負うことになり、この求償債務の不払いが続けば、結局のところ賃貸借契約の解除・強制退去につながる可能性があります。

大阪高裁平成25年11月22日判決においても、保証会社による代位弁済の事実自体が直ちに契約解除の根拠となるものではなく、その後の求償債務の履行状況等も踏まえて信頼関係破壊の有無が判断される旨が示されています。

借主の方は、保証会社からの求償の連絡を放置せず、早めに支払い方法について相談することが重要です。貸主の方も、代位弁済がなされたことで安心せず、借主と保証会社との間で求償債務がどのように処理されているかを確認しておくと、その後のトラブルを防ぎやすくなります。

2020年民法改正による極度額のルール

2020年4月1日施行の改正民法により、個人が連帯保証人となる場合には、あらかじめ書面等で「極度額」(保証人が負う上限額)を定めておかなければ、その保証契約自体が無効となるルールが導入されました。

そのため、2020年4月以降に締結された賃貸借契約について連帯保証人に請求を行う場合は、契約書に極度額が明記されているかを必ず確認する必要があります。極度額の定めがない保証契約は無効となり得るため、貸主にとっては契約書の内容確認が重要なポイントです。

関連記事:家賃滞納で夜逃げ発生!貸主がやるべき正しい対処法と費用回収の流れ

【借主の方へ】家賃滞納2ヶ月になったときにすべきこと

家賃を2ヶ月滞納してしまうと、不安から貸主や管理会社からの連絡を避けたくなる方も少なくありません。しかし、連絡を絶ってしまうことが最も状況を悪化させます。まずは落ち着いて、以下のポイントを確認してください。

まずは貸主・管理会社へ連絡する

滞納に気づいたら、督促を待たずにこちらから連絡することが大切です。滞納の理由や今後の支払い見込みを伝えるだけでも、貸主側の心証は大きく変わります。連絡もなく滞納が続くことが、信頼関係破壊と評価される大きな要因になるためです。

分割払いの交渉をする

一括での支払いが難しい場合は、分割払いの相談を持ちかけることも有効です。誠実に交渉し、現実的な支払い計画を提示することで、貸主側も強硬な手段を避け、柔軟に対応してくれる可能性が高まります。合意した内容は口約束で終わらせず、書面に残しておくと後のトラブル防止になります。

公的支援制度を確認する

失業や収入減少などが原因で家賃の支払いが困難になっている場合、住居確保給付金など、自治体が実施する公的な支援制度を利用できることがあります。お住まいの自治体の窓口や福祉事務所に問い合わせ、利用できる制度がないか確認してみましょう。

弁護士へ相談する

貸主との交渉がうまくいかない場合や、すでに契約解除・明け渡しを求められている場合は、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。弁護士が間に入ることで、貸主との交渉が円滑に進んだり、無理のない解決策を一緒に検討したりすることができます。

【貸主・オーナーの方へ】滞納2ヶ月で取るべき初期対応

貸主・オーナーの立場からは、滞納2ヶ月というタイミングで、以下の初期対応を確実に行っておくことが、その後の法的手続きをスムーズに進めるうえでも重要になります。

電話・書面による督促を行う

まずは電話や通常郵便での督促を行い、借主の状況を確認します。この段階では威圧的な対応は避け、支払い意思や事情を確認する姿勢で連絡することが望ましいです。あわせて、督促を行った日時・内容を記録に残しておきましょう。

連帯保証人・保証会社へ連絡する

借主本人と連絡が取れない場合や支払いの見込みが立たない場合は、連帯保証人や保証会社へ連絡し、状況を共有します。保証会社を利用している契約であれば、代位弁済の条件を確認し、必要な手続きを進めます。

督促・交渉の記録を残す

電話でのやり取りの日時・内容、送付した書面の控え、借主とのメールやメッセージのやり取りなど、督促に関する記録は必ず残しておきます。これらの記録は、後に契約解除や訴訟に進む際、信頼関係が破壊されたことを裏付ける重要な証拠となります。

初期対応で解決しない場合|強制退去までの法的手続き3ステップ

督促を行っても支払いがなく、交渉による解決も見込めない場合は、以下の3つのステップで法的手続きを進めていくことになります。

STEP1 内容証明郵便による督促・契約解除の通知

まずは内容証明郵便により、未払い賃料の支払いを催告するとともに、一定期間内に支払いがない場合には契約を解除する旨を通知します。内容証明郵便は、督促を行った事実と日付を公的に証明できる手段であり、後の訴訟でも重要な証拠になります。

STEP2 建物明渡請求訴訟の提起

催告後も支払いがなく、任意の明け渡しにも応じない場合は、裁判所へ建物明渡請求訴訟を提起します。訴訟では、滞納賃料の金額や滞納期間、督促の経緯などから信頼関係が破壊されたと認められるかどうかが審理されます。

手続き内容
訴状の提出滞納の経緯や督促の記録をもとに、契約解除・明け渡しを求める訴状を裁判所へ提出
口頭弁論・審理双方の主張・証拠をもとに、信頼関係破壊の有無や滞納額などが審理される
判決貸主の請求が認められれば、明け渡しと未払い賃料の支払いを命じる判決が下される

STEP3 強制執行(明渡しの断行)

判決確定後も借主が任意に明け渡さない場合は、裁判所に強制執行を申し立て、執行官の立会いのもと明け渡しを実現します。この手続きを経ずに貸主が独断で鍵を交換したり荷物を撤去したりすることは、自力救済として違法となるおそれがあるため、絶対に避けなければなりません。

手続き内容
強制執行の申立て判決に基づき、裁判所に建物明渡しの強制執行を申し立てる
執行官による催告執行官が現地で明け渡しの期限を告げる(明渡しの催告)
断行(明渡しの実施)期限までに明け渡されない場合、執行官立会いのもとで明渡しが強制的に実施される

家賃滞納の対応で貸主が絶対にやってはいけないこと

滞納対応を急ぐあまり、以下のような行為に及んでしまうと、貸主側が損害賠償責任を負うなど、かえって不利な立場になるおそれがあります。

やってはいけない行為理由・リスク
無断での鍵の交換自力救済にあたり違法。損害賠償請求を受けるおそれがある
借主の荷物の無断撤去・処分器物損壊・不法行為として損害賠償責任を問われる可能性がある
執拗な取り立てや威圧的な督促脅迫・強要と評価され、刑事責任に発展するおそれがある
電気・水道・ガスを止める行為生活に不可欠なライフラインの遮断は違法性が高いと判断されやすい

感情的な対応や自己判断での実力行使は、法的手続きを進めるうえでかえって不利な材料になりかねません。必ず法的な手順を踏んで対応することが、結果的に最短で問題を解決する近道になります。

今後の経営のために!家賃滞納を未然に防ぐための予防策

家賃滞納のトラブルは、発生後の対応だけでなく、あらかじめリスクを減らす工夫によっても防ぐことができます。

入居審査を徹底する

入居申込みの段階で、収入状況や勤務先、支払い能力を丁寧に確認することが、滞納リスクを下げる第一歩です。保証人・緊急連絡先の情報も正確に把握しておきましょう。

家賃保証会社の利用を必須にする

家賃保証会社の利用を契約条件とすることで、万一滞納が発生しても代位弁済により賃料回収の見込みが立ちやすくなります。保証会社の審査自体が、一定の入居者選別の役割も果たします。

支払い方法を見直す

口座振替やクレジットカード払いなど、支払いを自動化・キャッシュレス化することで、うっかりした支払い忘れによる滞納を減らすことができます。

家賃滞納トラブルはどこに相談すべき?

家賃滞納の問題は、状況に応じて適切な相談先を選ぶことが解決への近道です。

弁護士へ相談する

契約解除や明け渡し、訴訟・強制執行など法的手続きを見据える場合は、弁護士へ相談するのが最も確実です。内容証明郵便の作成、訴訟対応、強制執行の申立てまで一貫してサポートを受けられます。

管理会社に任せる

物件管理を委託している場合は、まず管理会社に状況を報告し、督促対応を依頼することもできます。ただし、法的手続きに発展する可能性がある場合は、早い段階で弁護士とも連携しておくと安心です。

関連記事:家賃を滞納したまま入居者が退去!オーナーが取るべき法的措置と回収手順を解説

よくある質問

家賃を2ヶ月滞納しただけで追い出されますか?

2ヶ月の滞納だけで直ちに強制退去となるケースは多くありません。もっとも、過去の滞納歴や督促への対応状況次第では信頼関係が破壊されたと判断され、契約解除に至ることもあるため、放置は禁物です。

保証会社から代位弁済されれば滞納問題は解決しますか?

代位弁済はあくまで賃料の立替払いであり、借主は保証会社に対する求償債務を負います。求償債務の支払いが滞れば、結局は契約解除につながるおそれがあるため、根本的な解決にはなりません。

貸主が勝手に鍵を交換してもよいですか?

認められません。裁判所の手続きを経ない無断での鍵交換や荷物の撤去は自力救済にあたり違法となる可能性が高く、貸主が損害賠償責任を負うおそれがあります。

強制退去までどのくらいの期間がかかりますか?

内容証明郵便での督促から訴訟提起、判決、強制執行まで進めると、一般的に半年前後、場合によってはそれ以上かかることもあります。早期に対応を始めるほど、期間や費用の負担を抑えやすくなります。

連帯保証人には必ず請求できますか?

2020年4月以降に締結された契約では、極度額の定めがない個人の保証契約は無効となる可能性があります。契約書に極度額が明記されているかどうかを必ず確認してください。

滞納中でも弁護士に相談してよいですか?

もちろん相談可能です。借主・貸主いずれの立場でも、早い段階で弁護士に相談することで、交渉や法的手続きをスムーズに進めやすくなります。

家賃滞納は難波みなみ法律事務所へ

家賃滞納2ヶ月という段階は、借主にとっても貸主にとっても、今後の展開を左右する重要な分岐点です。督促の進め方、保証会社・連帯保証人への対応、契約解除や強制執行までの法的手続きなど、正しい知識をもとに一つひとつ適切に対応することが、トラブルの早期解決につながります。

難波みなみ法律事務所では、家賃滞納をめぐる貸主・借主双方からのご相談に対応しております。督促の方法や契約解除の可否、明け渡し交渉、訴訟・強制執行の手続きなど、状況に応じたサポートが可能です。初回相談は30分無料で承っておりますので、家賃滞納にお悩みの方は、お早めにお問い合わせください。

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