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親権者(監護権者)の判断基準について

子供がいる夫婦が離婚する際に、必ずと言っていい程に問題となるのが、子供の親権者を誰にするのかという点です。親権者として適格か否かは、『子の利益』が基準となります(民法766条2項、819条6項参照)。では、子の利益を基準とした場合,どのような要素を基に判断するのでしょうか。以下では、子供の親権者を判断するに際して考慮される事情を見ていきたいと思います。

1 母性優先の原則

乳幼児期の母子の相互関係が子供の心理的発達にとって重大な影響を与えることから、特に2歳から3歳までの期間において、子供と母性的な関わりをしてきたか否かを判断します。ここで言う、母性というのは、イコール母親ではなく、父親であっても母性的な役割を担っている場合には、考慮されます。ただ、多くの家庭では乳幼児期において母性的な役割を母親が果たしていることが多いことから、父親が親権を得ることが困難になっている実情があり、昨今では問題視されることが増えています。

2 継続性の原則(現状尊重の原則)

別居してから現在までの積み上げられた生活環境が安定している場合には,子の生活環境に変更を加えることは子の心理的不安定をもたらすため,子の福祉の観点からこの実績は尊重するという考え方です。父親が子の親権者となる事案では,別居後に継続して子を監護してきたという実績を尊重されているケースが多いと思います。他方で,別居後に父親が子を監護しているような事案で,母親が親権(監護権含みます。)の取得を希望される場合には,一日も早く監護権者指定・子の引渡しの仮処分の申し立てをされることを推奨します。

*奪取の違法性について:別居に際して暴力的な行為により子を連れ去られた場合,その事情のみをもって親権者や監護権者の判断がなされることはないと考えますが,奪取の違法性の内容程度が監護権者としてのマイナスの評価を受けることは十分にあると考えます。

3 子の意思の尊重

子が概ね満10歳以上の子については,子の意思を尊重します。子の意思の確認は,心理学の知見を有する家庭裁判所調査官による調査によって行われます。父母に対する忠誠心の葛藤から,子が自由意思とは異なる意思表示をすることもあるため,調査官には,紛争渦中に置かれている子供の心身の状況を十分に考慮して調査を行うことが求められます。

4 面会交流の実施状況(寛容性のテスト)

父母の両方と交流をすることが子の心身の発達に資することから,別居後も他方の親をどれほど信頼して寛容になり,面会交流を実施しているか否かも判断要素となります。特に,父親が子を継続監護している場合には,できる限り面会交流を実施することが有利な事情として働きます。

5 別居に至る経緯(有責性)

夫婦の一方が不貞行為を働き,これが別居原因となっていたとしても,この有責性の事情自体が親権者の判断要素となることはありません。不貞行為を行っているから,親権者(監護権者)の適格を欠くという主張が頻繁になされますが,直接的な判断要素にはなりません。ただ,子の養育監護を放置して不貞相手と面会している,不貞相手に子を直接面会させたりしているなどの事情がある場合には,親権者の判断要素になり得ると考えます。

6 最後に

以上のとおり,様々な事情を総合して誰が子の親権者になることが,「子の利益」に適合するのかを判断します。時間との勝負という面もありますので,お困りな際にはすぐに弁護士に相談してください。

 

 

 

 

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