コラム
最終更新日:2023.08.11

離婚調停中にやってはいけないこととは?離婚調停の不利な発言や注意点を弁護士が解説

離婚問題  離婚調停のNG 離婚調停の進め方

離婚調停には、手続き中にしてはいけないことがあります。

多くの人にとって離婚調停は初めての経験になると思います。早期に解決したい、直視したくない等の理由から、安易に合意をすることは最もしてはいけないことです。

本記事では、離婚調停中にしてはいけない、6つの注意点について弁護士が解説します。調停で不利になってしまわないためにも、必ず頭に入れておきたい内容を紹介しています。

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離婚調停とは?

離婚調停とは、夫婦間での話し合いによる離婚、つまり、協議離婚が成立しない場合、家庭裁判所の裁判官と調停委員を交え、改めて話し合いをする手続きです。

正式名称を「夫婦関係調整調停(離婚)」といい、双方が合意すれば離婚成立となります。

離婚調停では、離婚それ自体だけでなく、子供の親権・養育費、財産分与、慰謝料請求(不貞行為・DV)、面会交流、年金分割といった幅広い法律問題が協議されます。また、離婚調停とセットで、婚姻費用分担請求の調停申し立てが行われることも非常に多いです。

離婚調停における不利な発言・言葉とは

離婚調停は、話し合いを通じて離婚条件の合意を目指す手続きです。ただ、話し合いであるからといって、好き勝手に発言をしても良いわけではありません。

調停委員や裁判官の心証を害さないよう、できるだけ有利に調停手続きを進めるためにも、不利になる発言を確認しておくことが大事です。

心情的・抽象的な発言ばかり行う

具体性に欠ける発言に終始することは控えるべきです。心情的・抽象的な発言ばかりしていると、自身の主張が調停委員に全く伝わりません。具体的な事実関係に沿って、端的に主張を伝えるべきです。

質問に対して回答しない

調停手続きでは、調停委員から調停に至った事情や家族関係、離婚条件に関する質問が行われます。調停委員の質問に対して適格に回答しなければなりません。質問に対して率直に回答せず、関連のない発言ばかりしていると、限られた時間を無駄に使ってしまい、伝えたい事項を伝えることができません。

虚偽・誇張・矛盾する発言を行う

事実に反する嘘の発言や嘘ではないとしても誇張するような発言は厳に慎むべきです。虚偽の発言を行うと、調停委員から信用を得られなくなり、有利に事を運ぶことができなくなります。また、以前の発言とは矛盾するような発言も、発言の信用性に疑いの目を向けられるため、控えるようにします。

相手方を非難する発言を行う

夫婦関係の悪化している状態ですから、相手方をついつい非難する発言をしがちです。しかし、調停手続きは夫婦喧嘩をする場ではありません。相手方を非難する発言を繰り返してしまうと、解決できるものも解決できません。詳細は後述します。

異性との交際に言及する

後述するように、別居や離婚調停をしているからといって、配偶者以外の異性との交際が常に許容されるわけではありません。異性との交際に言及すると、不貞慰謝料を受ける可能性があります。また、有責配偶者として離婚請求が認められなかったり、婚姻費用の請求に不利に働くこともあります。言う必要のないことは言わないようにしましょう。

離婚調停中にやってはいけない注意点

離婚調停中にしてはならない注意点は、主に以下の6つです。

離婚調停中の注意点

  1. 安直な合意
  2. 調停の無断欠席
  3. 相手や調停委員への暴言
  4. 全く譲歩しない姿勢
  5. 調停の録音・録画
  6. 嫌がる相手への接触
  7. 異性との交際

安直な合意

離婚調停では、安直な合意は絶対にしてはなりません。

そもそも調停というのは、裁判所を利用した話し合いの延長線でしかありません。極端な話をすれば、どちらか一方でも離婚条件等に合意しなければ、調停は不成立で終了します。ただ、お互い譲歩をしなければ調停は成立しないのが現実です。

しかし、早く終わらせたいあまり、あまりにも過度な譲歩はするべきではないです。

よって、納得できない条件があるのであれば、無理に合意する必要などありません。

安直な合意による不利益

たとえ本意ではないとしても、調停を成立させてしまうと当事者双方は調停の内容に拘束されます。

調停の成立により作られる調停調書は、確定判決と同様の効力を持つため強制執行することが可能となります。

そのため、合意事項を守らない場合には、差押えの受ける可能性があります。例えば、預貯金や給与の差押えが行われるリスクがあります。

合意は撤回できない

もし、納得できない条件があるにも関わらず、安直な合意をしてしまうと後から覆すことができなくなってしまいます。たとえ調停成立後に弁護士に依頼したとしても、一度成立してしまった調停は簡単には覆せません。

安直な合意だけは絶対にしてはなりません。

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 調停の無断欠席

離婚調停では、無断欠席だけはしないようにしてください。

裁判官や調停委員の心証に著しい悪影響を与えてしまいます。また、離婚調停を正当な理由もなく欠席してしまうと5万円以下の過料を科される可能性もあります。

そもそも調停は1か月に1回程度、1日に2~3時間程度、平日の日中に開かれます。

初回については申立人側の予定を考慮しつつも、裁判所側が相手方の都合を考慮せずに一方的に期日指定します。そのため、初回期日については、相手方がその都合により出席できないことは比較的多くあります。

しかし、2回目以降は裁判所・調停委員・申立人・相手方と、全員の予定を調整した上で決められます。弁護士がついているのであれば、ここに弁護士の予定も踏まえて調整するため、欠席をすると全員に迷惑をかけることになります。どうしても調停に参加できない予定ができたとしても、無断欠席だけはしないようにしてください。

相手や調停委員への暴言

離婚調停では、相手や調停委員への暴言は絶対に吐かないようにしてください。

離婚事件は心情的になり易い

離婚調停では、夫婦関係の悪化した夫婦間の争いです。そのため、ただでさえ感情が昂り冷静な対応は難しくなっています。

調停委員が相手の肩を持つと誤認

当事者双方は、調停手続で直接対面して協議することはできません。そのため、一方当事者の言い分は、調停委員を通じて他方当事者に対して伝わります。これはあくまでも調停委員の主張や意見ではなく、当事者の一方の主張を伝達するだけです。

しかし、当事者の言い分であるにも関わらず、これを調停委員の意見と勘違いしてしまい、調停委員が相手の肩を持っていると誤認してしまうケースが非常に多いです。

時間的な制限がある

一回の調停期日は2時間前後という時間的な制約の下で進行されます。

当事者の双方が入れ替わりで調停室に入室し、調停委員と裁判官との評議も行われます。

そのため、一回調停期日における一人当たりの持ち時間は30分から40分程となってしまいます。

当事者としては、『もっと話を聞いてほしい、言い分を述べたい。』と考えます。しかし、時間的な制約があるため、言い分を述べる十分な機会を得ることができません。そのため、調停委員の対応に不満を抱き、暴言を吐くことがあります。

調停委員は味方に付ける

暴言を吐くことが自身を不利な状況に招くとわかっていても、離婚調停はただでさえ相手への不満が爆発しやすく、感情的になりやすい場です。自分でうまく感情をコントロールできなくなる恐れが十分あるため、暴言だけは吐かないよう心に強く言い聞かせてください。

調停期日においては、調停委員とは必ず対面することになります。調停委員に対して暴言を吐いてしまえば、そのまま裁判官へと伝わりますし、調停不成立となった後の離婚裁判に悪影響を及ぼす危険もあります。

調停委員は、あくまでも中立な立場にあることを頭に入れて、離婚調停中は、いつも以上に冷静さを失わないように心がけてください。

全く譲歩しない姿勢

調停は、裁判所において、調停委員を通じて話し合う手続きです。そのため、調停を成立させるのであれば、お互いが譲歩をし合う必要があります。一方のみが譲歩して成立させる調停は通常考えられません。

それにもかかわらず、一歩も譲らない強硬な姿勢を取ると、およそ調停には馴染まないと判断され、調停が不成立となる可能性があります。調停が不成立となれば離婚訴訟を提起することになります。しかし、離婚訴訟は離婚調停と比べて時間も労力も要します。

一定程度強気な態度も必要ですが、強気な態度にも限度があります。事案の流れを踏まえて、時には歩み寄る姿勢を見せることも重要です。

調停の録音・録画

離婚調停では、録音・録画することは認められていません。

家事調停の手続の期日における写真の撮影、速記、録音、録画又は放送は、裁判長の許可を得なければすることができない(家事事件手続規則第126条2項、民事訴訟規則第77条)

録音することで調停の様子を後から見返したいと感じる方も中には多くいらっしゃいます。しかし、どのような理由があったとしても録音・録画が認められることは基本的にはありません。

裁判官が許可した場合は可能ですが、まず許可することはないと考えておきましょう。

そのため、裁判所内の写真撮影や動画撮影は絶対に行わず、メモ用紙と筆記具を持参して、事後に忘れないように記録を取ることを心掛けてください。

 

嫌がる相手への接触(直接連絡)

離婚調停中は、嫌がる相手への接触はしないようにしてください。

そもそも離婚調停は、調停委員が当事者の話を交互に聞くことで話し合いが進んでいくことから、基本的に顔を合わせることはありません。そのため、なかなか話し合いが進まないことに苛立ってしまい、直接相手と連絡を取ってしまう方が多くいらっしゃいます。

しかし、2人だけの話し合いで解決しないから、調停へと話し合いの場を移していることを鑑みれば、本末転倒であると誰もが容易に理解できるはずです。子どもがいる場合、一切接触しないというのは不可能ですが、離婚調停に関する話題は積極的に出すべきではありません。特に、嫌がっている相手に対して、つきまといや嫌がらせをするなどの接触を持つことは控えましょう。

接近禁止命令が出る場合も

裁判所から接近禁止命令が出される可能性があります。

接近禁止命令とは、6か月間、被害者の身辺につきまとったり、自宅等の付近を徘徊しないことを命ずる保護命令です。

配偶者に対して身体に対する暴力や生命等に対する脅迫を行っていることを前提としますが、離婚調停となっているのに、執拗に接触をすると、被害者による申立てがあれば裁判所から接近禁止命令が発令される可能性が高いです。

保護命令が出ているにも関わらず、つきまといを止めなければ、1年以下の懲役又100万円以下の罰金の刑事罰を受ける可能性があります。

慰謝料請求の状況証拠になることも

接近禁止命令等の保護命令が出されている状況は、DV等の離婚原因を裏付けます。

さらには、DVの慰謝料請求を根拠付ける証拠にもなり得ます。

そのため、離婚調停が係属している状況で、相手に執拗に接触することは、不利になることはあっても有利になることはありません。必ず相手への理由のない接触は控えましょう。

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異性との浮気・不倫(不貞行為)

異性との交際についても注意するべきです。

調停申立後の異性との交際は、婚姻関係の破綻後の行為として、慰謝料請求の対象にはなりにくいことが多いでしょう。

ただ、調停申立ての時期と別居の時期が近い場合、調停申立後の交際であっても、別居前から交際関係があったと推認される、つまり、不貞行為であると認定されるケースもあります。さらに、調停申立てをしていたとしても、事情によっては婚姻関係の破綻が否定されるケースも中にはあります。

有責配偶者となることも

離婚調停中の不貞行為であっても、不貞行為の時期や不貞相手との関係性等から、別居前から不貞関係にあったと認定されてしまうと、有責配偶者になってしまうリスクがあります。

有責配偶者とは、不貞行為をしたり暴力(DV)を振るったりするなど、自ら離婚原因を作り出した配偶者をいいます。有責配偶者による離婚請求については、かなり条件が厳しく設けられており、交渉が非常にハードになりがちです。

有責配偶者と認定されないようにするためには、異性との交際には十分に注意をするべきです。

有責配偶者の離婚請求が認められるためには

①未成熟子がいない

②別居期間が相当長期

③離婚したとしても相手方が苛酷な状態とならない

離婚調停で重要な4つのポイント

離婚調停では、以下の重要な4つのポイントを押さえることで、話し合いを自身に有利な方向へ持っていける場合があります。

4つの重要なポイント

  • 調停委員の心証を良くする
  • 陳述書を作成する
  • 冷静な対応を心掛ける
  • メモを用意する

調停委員・裁判官の心証

離婚調停では、調停委員の心証がそのまま裁判官に伝わることになります。裁判官は話し合いの場に常にいることは稀ですが、最終的な判断を下せる立場にあります。調停委員・裁判官の心証は、離婚調停を有利に進めたいのであれば非常に重要です。

陳述書を作成する

1回の調停手続きは、1時間20分から2時間程しかありません。限られた時間の中で、矛盾なく適格に発言をすることはそう簡単ではありません。限られた時間の中で的確に離婚条件を提示して、言い分を述べるために陳述書を作成して提出するようにします。

関連記事|離婚調停の陳述書の書き方とは?陳述書の目的・注意点や文例を弁護士が解説します

冷静さを失わない

離婚調停の場では、冷静さを失わないように常に心がけておきましょう。感情的になってしまうと、調停委員に与える心証が悪くなるばかりか、自らの発言で自らの首を絞めることにもなりかねません。ご自身が感じたこと、主張については積極的に発言していくべきですが、冷静さを失った状態での発言は避けるようにしてください。心情的な主張を一切しないことは難しいかもしれませんが、相手に対する悪口や主観的な主張に固執するあまり、主張するべき事項を主張しないような事態は避けなければなりません。

感情をうまくコントロールし、常に冷静さを失わないように話し合いを進めていきましょう。

メモを用意しておく

上述したとおり、調停中は録音・録画をすることは認められていません。しかし、メモを取ることは禁止されていないため、自分用の備忘録を残したいのであれば、ノートや筆記用具を持ち込んでメモを取っておきましょう。

また、調停期日に備え、自身が考えていること、伝えたいこと、主張したいことなどをメモにまとめておき、当日持参するのもおすすめです。特に、調停の場で緊張してしまい、言いたいことがまとまらなくなってしまう方は、あらかじめメモを用意しておけば調停の場で頭の中を整理できるメリットがあります。

さらに、調停期日の終了時に調停委員から、次回期日までに準備する書面や書類とこれらの提出期限が指示されることが多くあります。メモをして、指定された期限までに書面等の準備をして提出するようにしましょう。

▶離婚調停に関する裁判所の解説はこちら

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離婚調停でしてはいけない注意点に気を配っておけば、話し合いで不利になる心配はまずありません。ただ、有利になるわけでもないため、離婚調停を少しでも自身に有利に進めたいのであれば、重要なポイントについても常に意識してみてください。

とはいえ、離婚というのはどうしても感情的になってしまうものです。感情をコントロールする自身がないという方は、弁護士に依頼するのも手です。弁護士であれば、調停の場に同席できるだけでなく、代わりに発言してもらうことができます。また、調停委員も弁護士の発言には耳を傾ける傾向にあるため、話し合いを有利に進めることができます。

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弁護士・中小企業診断士。法的な問題には、法律の専門家である弁護士の助けが必要です。町のお医者さんに相談するような気持ちで、いつでもお気軽にご相談ください。初回相談無料(30分)。趣味はゴルフと釣り、たまにゲームです。

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