コラム
更新日: 2026.10.29

個人再生の住宅ローン特則とは?持ち家を残して借金を5分の1にする条件を弁護士が解説

難波みなみ法律事務所代表弁護士・中小企業診断士。大阪弁護士会所属(登録番号49544)、大阪中小企業診断士会所属(登録番号 420113)、幻冬舎「GOLDONLINE」連載第1回、15回、75回執筆担当。法的な問題には、法律の専門家である弁護士の助けが必要です。弁護士ドットコム、ココナラ、弁護士ナビに掲載中。いつでもお気軽にご相談ください。初回相談無料(30分)。

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「借金の返済が苦しいけれど、家だけは絶対に手放したくない」――。住宅ローンを抱えながら他の借金にも追われている方にとって、これは最も切実な願いではないでしょうか。

実は、個人再生という債務整理手続きには、住宅ローン特則(住宅資金特別条項)という特別な制度があります。この制度を使えば、住宅ローンはこれまでどおり支払いを続けながら、その他の借金を原則5分の1(最低100万円)まで減額できます。

自己破産と違ってマイホームを手放さずに済むため、持ち家のある方の債務整理ではまず検討すべき手段です。ただし、利用には民事再生法が定める厳格な要件があり、事前の準備を誤ると住宅を守れない事態にもなりかねません。

この記事では、大阪なんば・心斎橋の難波みなみ法律事務所の弁護士が、住宅ローン特則の仕組み・5つの利用要件・5つの計画類型・注意点・大阪地裁での実務運用までを、条文と実務経験に基づいて徹底解説します。

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目次
  1. 住宅ローン特則(住宅資金特別条項)とは
  2. 住宅ローン特則を使うための5つの条件
  3. 住宅ローン特則の5つの計画類型
  4. 「借金が5分の1になる」仕組み(弁済総額の計算方法)
  5. 住宅ローン特則を使った個人再生の手続きの流れ
  6. 特殊なケースの取り扱い
  7. 個人再生と住宅ローン特則の費用
  8. 大阪地裁での個人再生の実務運用
  9. 自己破産・任意整理では自宅はどうなる?(個人再生との比較)
  10. よくある質問
  11. 住宅ローン特則を検討すべき方・他の手続きを検討すべき方
  12. 大阪で住宅ローン特則付き個人再生をお考えの方へ
  13. 個人再生のご相談は難波みなみ法律事務所へ

住宅ローン特則(住宅資金特別条項)とは

住宅ローン特則付個人再生を利用するためには、住宅ローンがいわゆる「住宅資金貸付債権」に該当することが必要となりますが、まずは、この住宅ローン特則がどのような制度であるのか、基本的な概念を解説します。

制度の概要

住宅ローン特則(住宅資金特別条項)とは、民事再生法に定められた個人再生特有の制度で、住宅ローンについては従来どおり支払いを続ける代わりに、マイホームを処分されずに残せる仕組みです。

通常、個人再生では「債権者平等の原則」に基づき、すべての債権者の借金が同じ割合で減額されます。しかし、この原則をそのまま適用すると、住宅ローンも5分の1に減額されることになり、住宅ローン債権者(銀行)が抵当権を実行して自宅を競売にかけてしまいます。

そこで民事再生法は、住宅ローンだけは全額支払う代わりに、他の借金を減額し、なおかつマイホームを守るという例外的な扱いを認めたのです。これが住宅資金特別条項です。

住宅ローン特則の効果

この制度を利用すると、次のような効果が得られます。 

  • 他の借金は原則5分の1(最低100万円)に圧縮され、3〜5年で分割返済
  • 住宅ローンはこれまでどおり支払いを継続
  • 自宅は処分されず、住み続けられる
  • 住宅ローンが滞納中でも、競売手続きを停止できる(民事再生法197条)
  • 保証会社が代位弁済した後でも、一定の期間内なら巻き戻しが可能(民事再生法198条2項)

たとえば、住宅ローン以外に500万円の借金がある方なら、他の借金は100万円まで減額され、それを3年で分割(月々約2.8万円)返済することになります。住宅ローンの支払いと合わせても、多くの方にとって返済可能なプランが立てられます。

▶関連記事:自己破産できない5つのケース|免責不許可事由と裁量免責の判断基準


住宅ローン特則を使うための5つの条件

住宅ローン特則を利用するには、民事再生法196条・198条が定める次の5つの条件をすべて満たす必要があります。一つでも欠けると制度を利用できなくなるため、事前の確認が極めて重要です。

条件1:「住宅資金貸付債権」に該当する住宅ローンであること

住宅ローン特則の対象となるのは、住宅資金貸付債権に限られます(民事再生法196条3号)。具体的には次の要件を満たす必要があります。

  • 住宅の建設・購入(土地・借地権の取得を含む)、または住宅の改良に必要な資金の貸付けであること
  • 分割払いの定めがあること
  • 当該債権または保証会社の求償権を担保するための抵当権が住宅に設定されていること

通常の銀行の住宅ローンはほぼ全て該当します。ローンの借り換えをしていても、借換え後の住宅ローンは要件を満たします。

諸費用ローン(登記費用・仲介手数料など購入諸費用のためのローン)は、本来住宅の取得資金には該当しませんが、全体の割合や金額に応じて、特則の対象となり得ます。

他方で、家具・家電購入など住宅と無関係な費用のローンは対象外ですが、その金額によっては対象となる可能性があります。大阪地裁の倒産実務を解説した「はい6民ですお答えします(発行:大阪弁護士協同組合)」によれば、2500万円の住宅ローンのうち500万円が自動車の取得に充てている場合には、住宅の購入資金には該当しないと解説されています。少しでも他の用途に充てた資金が混在していれば住宅資金貸付債権に該当しないとされるわけではありませんが、他の用途の割合によって全体として住宅資金貸付債権には該当しない可能性があることを留意しましょう。

条件2:本人所有の「住宅」であること

再生債務者(申立人)本人が所有している建物であることが必要です(民事再生法196条1号)。

  • 配偶者単独名義の住宅は対象外(ただし、共有であれば対象となるケースが多い)
  • 床面積の2分の1以上が居住用であること(店舗兼用住宅の場合に問題となる)
  • 居住用の建物が2つある場合(本宅と別荘など)は、主として居住の用に供する一つの建物に限る

なお、単身赴任で一時的に離れているが、家族が住み続けている場合は「居住用」として認められる運用です。また、投資用マンションのようは自己の居住の用に供しない不動産を購入するために貸付けを受けた債権は住宅資金特別条項の対象にはなりません。

条件3:住宅ローン以外の抵当権・差押登記がないこと

自宅に住宅ローン以外の担保権(先順位・後順位を問わず)が設定されていると、原則として住宅ローン特則は使えません(民事再生法198条1項ただし書)。

よく問題となるのは次のケースです。

  • おまとめローンを組んだ際に、消費者金融や銀行が自宅に2番抵当を設定している
  • 事業資金のために自宅を担保に入れ、金融機関が抵当権を設定している
  • マンションの管理費・修繕積立金の滞納がある(先取特権が発生)

住宅ローン以外の抵当権が付いていると、他の借金を個人再生で圧縮しても、後順位の抵当権者が競売を申し立てれば自宅を失ってしまうため、特則を使っても意味がなくなってしまうのです。

再生手続開始前の管理費・修繕積立金は、別除権付再生債権となるため、住宅資金特別条項を定めることができなくなるおそれがあります。そのため、管理費や修繕積立金の滞納を親族の協力を得るなどして解消しておくことが必要です。

条件4:保証会社の代位弁済から6ヶ月以内であること

住宅ローンの延滞が続くと、保証会社が銀行に代わって残債を一括弁済する代位弁済が行われます。代位弁済がなされると、債権は保証会社に移り、自宅も競売にかけられる危険が生じます。

しかし、代位弁済日から6ヶ月以内に個人再生を申し立てれば、代位弁済がなかったことにして住宅ローン特則を利用できます(民事再生法198条2項)。これを「巻戻し」と呼びます。

6ヶ月を過ぎると巻戻しはできず、住宅ローン特則も利用できなくなるため、住宅ローンの延滞が発生している方は一刻も早い相談が必要です。

条件5:再生計画が履行可能であること

住宅ローン特則を利用するには、住宅ローン+圧縮後の他の債務を合わせた返済を、安定収入で継続できることが前提です。

裁判所は、申立人の収入・支出の家計収支の状況をしっかりと審査し、「この再生計画を3〜5年間遂行できるか」を判断します。住宅ローンの支払いが重すぎて、再生計画の履行見込みがなければ、個人再生自体が認可されないことになります。

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住宅ローン特則の5つの計画類型

住宅ローンの滞納状況や支払能力に応じて、住宅資金特別条項には次の5つの類型があります(民事再生法199条)。順序があり、上位の類型で履行可能性が認められなければ、次の類型を検討する関係にあります。

①そのまま型(約定型)

これまでの住宅ローン契約どおりに支払いを続けるもっともシンプルな類型です。

  • 住宅ローンの滞納がない、または個人再生申立後も弁済許可制度(民事再生法197条3項)を利用して約定どおり支払いを継続している場合に利用可能
  • 住宅ローン契約の内容を変更する必要がない
  • 個人再生申立事案の最も多くのケースがこの類型

個人再生を利用する方の多くは「住宅ローンの支払いは問題ないが、その他の借金で生活が苦しい」というケースなので、実務上もっとも利用されている類型です。

②期限の利益回復型(民事再生法199条1項)

住宅ローンの滞納がある場合に、滞納分を分割返済して期限の利益を回復させる類型です。

  • 滞納分を再生計画期間(原則3年、最大5年)以内に分割で完済する
  • 並行して、未到来の分は当初契約どおり返済する
  • その結果、再生期間中は通常の住宅ローン返済 + 滞納分の追加返済を負担することになる

③リスケジュール型(民事再生法199条2項)

リストラや病気などで収入が減少したことで、滞納分の返済を繰り延べするだけでは返済できない場合には、住宅ローンの弁済機を約定の最終弁済機よりも将来の日に定める必要があります。

そこで、①②で再生計画の履行ができない場合に、住宅ローンの返済期間を延長することが認められます。延長できる最終返済期を最大10年間となります。

  • ただし、変更後の最終弁済時に債務者が70歳を超えない範囲に限られる
  • 元本・利息・遅延損害金の全額を支払うことが前提(減額はない)
  • 毎月の返済額を減らすことで、月々の負担を軽減する

④元本猶予期間併用型(民事再生法199条3項)

リスケジュール型でも履行困難な場合に、再生計画期間中に限り元本の一部支払いを猶予できる類型です。

  • 再生計画期間中(原則3年、最大5年)は元本の一部支払いを猶予
  • 猶予期間中も利息は支払う必要がある
  • 猶予期間経過後は、元本に加えて猶予された分も上乗せされるため、後半の返済負担が大きくなる
  • リスケジュール型同様、70歳制限が適用される

再生計画期間中は他の借金の返済に集中し、それが終わった後で住宅ローンを本格返済していくというイメージの類型です。

⑤同意型(民事再生法199条4項)

住宅ローン債権者(銀行)の同意があれば、①〜④の枠を超えた自由な条件を設定できる類型です。

  • 返済期間を10年超に延長
  • 70歳を超える返済期間設定
  • 利息・遅延損害金の一部または全部の免除(レアケース)

債権者の同意が必要で、金融機関が応じることは極めて稀です。特に元本や利息の免除に銀行が応じることは、実務上ほぼないと考えてください。


「借金が5分の1になる」仕組み(弁済総額の計算方法)

個人再生で住宅ローン以外の借金がどれだけ減額されるかは、次の3つの基準のうち最も高い金額が最低弁済額として決まります。

最低弁済額の基準

①法定最低弁済額(民事再生法231条2項)

借金総額(住宅ローン除く)最低弁済額
100万円未満借金総額全額
100万円以上〜500万円未満100万円
500万円以上〜1500万円未満借金総額の5分の1
1500万円以上〜3000万円以下300万円
3000万円超〜5000万円以下借金総額の10分の1

②清算価値保障原則 

個人再生をする場合、自己破産した場合に債権者へ配当される額以上を弁済する必要があります。具体的には、再生債務者の財産価値を所定のルールに沿って積み上げていき(清算価値)、これが最低弁済額を超える場合には、弁済総額が清算価値以上の金額となります。

③可処分所得の2年分(給与所得者等再生の場合のみ)

 給与所得者等再生を選択する場合、可処分所得の2年分が最低弁済額または清算価値を上回る場合には、この可処分所得の2年分を原則として3年から5年で返済する必要があります。

可処分所得とは、税金や社会保険料を差し引いた後の手取り収入額から生活保護基準から算出される生活費を控除した所得を言います。 

持ち家があると「清算価値」に注意

住宅ローン残額よりも自宅の査定額が高い場合(アンダーローン)、その差額が清算価値に算入されることで、弁済額が増える可能性があります。

【具体例】

  • 自宅の査定額 2,500万円
  • 住宅ローン残額 2,000万円
  • → 清算価値に500万円が加算される
  • 他の財産と合算した清算価値が最低弁済額を上回れば、弁済額が跳ね上がる

逆に、住宅ローン残額が自宅の査定額を上回っている場合(オーバーローン)は、清算価値が最低弁済額を超えない限り、最低弁済額が弁済総額となります。

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住宅ローン特則を使った個人再生の手続きの流れ

ステップ1:弁護士への相談・依頼

借金状況、住宅ローンの契約内容、自宅の登記事項証明書などを確認し、住宅ローン特則が利用できるかを判断します。

ステップ2:受任通知の発送

住宅ローン以外の債権者に受任通知を発送し、督促を停止させます。住宅ローン債権者には受任通知を送らず、従来どおり支払いを継続します。

ステップ3:住宅ローン債権者との事前協議

民事再生規則101条により、住宅ローン特別条項を定めた再生計画案を提出する前に、住宅ローン債権者と事前協議をする必要があります。協議内容は、主にどの類型の特別条項を使うかです。

ステップ4:個人再生申立て

裁判所に個人再生を申し立てます。また、住宅ローンの支払いを続けるために、申立と同時に弁済許可の申立ても行います。

ステップ5:再生手続開始決定

大阪地裁では、申立てから概ね1〜2週間で再生手続開始決定が出ます。ただし、不足書類がある場合には、その不足書類の補充が完了してから再生手続の開始決定が出されます。

再生計画を履行できるかを裁判所が確認するため、再生計画が認可されるまで、再生計画に基づく弁済見込額の積立を行うよう指示を受けます。

ステップ6:弁済許可による住宅ローンの継続支払

開始決定後は、民事再生法85条1項により他の債権への弁済は禁止されますが、住宅ローンは弁済許可制度(民事再生法197条3項)により継続して支払うことになります。

ステップ7:再生計画案の提出

再生開始決定から4週間以内に債権者から債権の届出がなされた後、2週間の異議申述期間を経てから、1週間以内に再生計画を提出します。

ステップ8:債権者の決議・再生計画の認可

小規模個人再生では債権者の書面決議があります。再生計画に同意しない債権者が債権者総数の半数に満たず、かつ、同意しない債権者の債権額の合計が債権額の合計の2分の1を超えないときに限り、再生計画等は可決されます。

他方で、給与所得者等再生では債権者決議はありません。裁判所が認可決定を出せば、計画どおりの弁済が始まります。

再生計画が認可されると官報に公告され、官報公告されてから2週間が経過すると、再生計画の認可決定は確定します。

ステップ9:再生計画に従った弁済

3〜5年間、計画どおりに弁済を続け、完済すれば残債は免除されます。住宅ローンは従来どおり完済まで支払いを続けます。

大阪地裁では、申立てから認可決定まで100日程度で手続を完了させる運用が採用されています(100日ルール)。


特殊なケースの取り扱い

ペアローン・リレーローンの場合

夫婦で別々に住宅ローンを組むペアローンや、親子で債務を承継するリレーローンの場合、住宅ローン特則の利用には特別な検討が必要です。

ペアローンの場合、夫婦それぞれが個別に住宅ローンを負っているため、住宅の上に他の担保権が存するときに該当してしまい、住宅資金特別条項を設けることができないように思われます。ただ、このような場合であっても、夫婦それぞれが個人再生を申し立てることで、住宅資金特別条項を定める運用が行われています。また、配偶者の住宅ローンの履行の蓋然性が認められる場合には、単独の申立ても認められる可能性があります。

リレーローンの場合、ペアローンとは異なり担保権は一つですので、他の担保権が設定されている状況ではありませんので、通常通り住宅資金特別条項付個人再生の申立てを利用することができます。

住み替えローンの場合

住み替えローン(旧住宅のローン残債を新住宅のローンに組み込んだもの)は、旧住宅部分のローンが「現在の住宅」の住宅資金貸付債権に該当しないため、原則として住宅ローン特則は利用できません。

ただし、裁判例上、具体的な事情によっては例外的に適用が認められるケースもあります。旧住宅ローンの金額や全体に占める割合によっては、住宅ローン特則を利用できるケースもあります。

共有名義の自宅の場合

夫婦共有名義などで自宅が共有となっている場合、再生債務者の持分について住宅ローン特則を利用できます。ただし、ペアローンとなっている場合には、先ほど解説したような対応が必要となります。

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個人再生と住宅ローン特則の費用

裁判所費用

大阪地裁(第6民事部)で個人再生を申し立てる場合の裁判所費用は次のとおりです。なお、大阪地裁では、弁護士が代理人として再生申立てをする場合、代理人弁護士が再生委員の職務を委ねる代わりに、再生委員を基本的に選任しない運用が採られています。

  • 申立手数料(印紙代):1万円
  • 官報公告費:15,120円
  • 郵便切手:1,400円
  • 個人再生委員選任の場合の予納金:30万円

弁護士費用

個人再生の弁護士費用は、事務所により差がありますが、一般的に33万〜55万円程度が相場です。住宅ローン特則を利用する場合は、通常より調査・書類作成の手間が増えるため、5万〜10万円程度の加算が設定されることが多いです。

当事務所の料金表は以下をご確認ください。

▶債務整理の弁護士費用

なお、弁護士費用は分割払い可能です。個人再生の申立てまでの準備期間(通常3〜6ヶ月)の間に積み立てていただく運用が一般的です。


大阪地裁での個人再生の実務運用

個人再生委員の選任

大阪地裁倒産部(第6民事部)では、弁護士が代理人となっている個人再生事件であれば原則として個人再生委員が選任されません。

履行テスト(履行可能性テスト)

大阪地裁では、再生手続開始決定後、再生計画どおりの金額を申立人が毎月代理人弁護士の預り口座に積み立てる履行テストが行われます。これは再生計画に基づく弁済を現実に継続できるかを確かめるための運用です。

履行テストをきちんと行えていることは、再生計画認可の重要な判断材料となります。


自己破産・任意整理では自宅はどうなる?(個人再生との比較)

自宅を残したまま借金を整理できるのは、原則として住宅ローン特則付きの個人再生です。ほかの手続きでは、自宅の扱いが次のように変わります。

自己破産の場合:自宅は原則として手放す

自己破産では、一定額を超える財産は処分して債権者への配当に充てるため、持ち家は原則として売却されます。住宅ローンが残っている場合は、抵当権を持つ金融機関による任意売却や競売の対象になります。自宅に住み続けることは、基本的に難しいと考えてください。

任意整理の場合:住宅ローンを外せば残せるが、使える場面は限られる

任意整理は整理する借金を選べるので、住宅ローンを対象から外せば自宅を残せます。ただし、住宅ローン以外の借金も元本は原則として3〜5年で返す必要があり、借金を大きく減らすことはできません。住宅ローン以外の借金が少ない場合などに向いています。

住宅ローンが残っていない(担保が付いていない)自宅の場合

住宅ローンを完済しているなど、自宅に住宅ローンの抵当権が付いていない場合は、住宅ローン特則は使えません。個人再生自体は利用できますが、清算価値保障の原則により、自宅の評価額を含む財産の額以上を返済する必要があります。自宅の評価額が高いと返済額も大きくなり、個人再生のメリットが小さくなることがあります。

よくある質問

Q1. 住宅ローンを滞納していますが、まだ間に合いますか?

A. 状況によります。保証会社による代位弁済がまだ発生していない、または代位弁済から6ヶ月以内であれば、住宅ローン特則を使って住宅を守れる可能性があります。競売手続きが進んでいる場合も、住宅資金特別条項付の再生計画が認可される見込みがあれば裁判所に競売手続の中止命令を出してもらえる可能性があります。ただし、時間との勝負ですので、一刻も早く弁護士にご相談ください。

Q2. 自宅にカードローンの抵当権が付いていますが、住宅ローン特則は使えませんか?

A. 原則として使えません。他方で、個人再生の申立て前に当該抵当権を抹消できる(債務を完済して抵当権を外す)のであれば、利用できる可能性があります。ただし、一部の債権者に対する弁済が偏頗弁済に該当することで、清算価値が上乗せされ、弁済総額が増える可能性があります。

Q3. 住宅ローンを減額することはできますか?

A. 原則としてできません。住宅ローン特則は「住宅ローンを従来どおり支払う代わりに自宅を守る」制度であり、住宅ローンそのものは減額されません。唯一、同意型で住宅ローン債権者の同意があれば減額の可能性がありますが、銀行が応じることは実務上ほぼありません。

Q4. 連帯保証人にはどのような影響がありますか?

A. 住宅ローン以外の借金の保証人・連帯保証人には、個人再生の影響が及びます。主債務者が個人再生で借金を減額しても、保証人は全額請求されるのが原則です。保証人に迷惑をかけたくない場合は、保証人にも同時に個人再生や任意整理を検討してもらう必要があります。

Q5. 個人再生中にリフォームローンを組めますか?

A. 組めません。個人再生手続中は新規借入ができないだけでなく、認可後も信用情報に事故情報が登録(5〜7年間)されるため、この期間はローンを組むことは困難です。

Q6. 個人再生で家は残せるが、車はどうなりますか?

A. ローン完済済みの車であれば、その査定額を清算価値に算入します。

ローン残債がある車(所有権留保付き)の場合、個人再生の対象にするとディーラーや信販会社から引き揚げられる可能性が高いため、自動車を手放すことになります。ただ、別除権協定(信販会社との間でローン継続を合意する契約)や、家族から立替えてもらって一括完済するなどの工夫が必要です。

Q7. 小規模個人再生と給与所得者等再生のどちらを選ぶべきですか?

A. 一般的には小規模個人再生の方が返済額が少なくなる傾向があります。ただし、債権者の過半数が反対すると認可されないリスクがあります。給与所得者等再生は債権者決議がありませんが、可処分所得の2年分以上の返済が必要となるため、高収入の方は返済額が跳ね上がる可能性があります。

債権者に楽天銀行や楽天カードが含まれている場合には、再生計画に反対する可能性がありますので、債権者数や債権額に応じて、給与所得者等再生を選ぶべきケースもあります。具体的には個別のご相談で判断することになります。

Q8. 固定資産税を滞納していますが大丈夫ですか?

A. 税金滞納による差押登記が自宅にあると、住宅ローン特則は使えません。ただし、市区町村との分納合意ができており、その履行見込みがあれば、再生計画が認可される実務運用もあります。税金問題は個人再生とは別枠で対応が必要です。


住宅ローン特則を検討すべき方・他の手続きを検討すべき方

住宅ローン特則付き個人再生が向いている方

  • 住宅ローンを支払い続ければマイホームに住み続けられる
  • 住宅ローン以外に100万円以上の借金(カードローン・消費者金融・クレジットカード等)がある
  • 安定した収入があり、住宅ローンと圧縮後の借金を並行返済できる
  • ギャンブルや浪費が借金原因で、自己破産では裁量免責が厳しい
  • 資格制限のある職業(弁護士・警備員・生命保険募集人等)についている

他の手続きを検討すべき方

  • 住宅ローン以外の借金が少ない(100万円以下) → 任意整理で対応可能
  • 住宅ローン自体の支払いが困難で、将来も見込みがない → 任意売却または自己破産を検討
  • 住宅ローン以外の抵当権があり抹消できない → 自己破産+任意売却を検討
  • 自宅のアンダーローン部分が大きく清算価値が高い → 費用対効果を再検討

▶関連記事:任意整理とは|手続きの流れ・費用・デメリットまで完全ガイド


大阪で住宅ローン特則付き個人再生をお考えの方へ

難波みなみ法律事務所は、大阪メトロなんば駅・心斎橋駅から徒歩3〜5分の立地にあり、大阪地裁第6民事部(倒産部)への個人再生申立てを多数取り扱っています。

住宅ローン特則は要件が厳格で、事前準備を誤ると制度を利用できず、自宅を失う結果になりかねません。特に住宅ローンの延滞が発生している方や、自宅に住宅ローン以外の担保権がある方は、一刻も早いご相談が必要です。

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個人再生の住宅ローン特則(住宅資金特別条項)は、住宅ローンは従来どおり支払いながら、他の借金を原則5分の1(最低100万円)まで減額してマイホームを守る制度です。

利用するための5つの条件は以下のとおりです。

  1. 住宅資金貸付債権に該当する住宅ローンであること
  2. 本人所有の住宅で、床面積の2分の1以上が居住用であること
  3. 住宅ローン以外の抵当権・差押登記がないこと
  4. 保証会社の代位弁済から6ヶ月以内であること
  5. 再生計画の履行可能性があること

また、住宅ローンの状況に応じて、そのまま型・期限の利益回復型・リスケジュール型・元本猶予期間併用型・同意型の5類型から選択することになります。

住宅ローン特則は、マイホームを守りながら借金問題を解決できる最も強力な債務整理手法ですが、手続きが複雑で要件も厳しいため、専門的な知識と経験が必要です。自宅を守りたい方、借金にお悩みの方は、ぜひ早めに弁護士にご相談ください。

【ご相談予約】 電話:06-6786-8103(受付時間 9:00〜22:00) 難波みなみ法律事務所|大阪メトロなんば駅・心斎橋駅から徒歩3〜5分

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