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不貞行為とは

1 はじめに

民法77条1項1号には,「配偶者に不貞な行為があったとき」には離婚を求めることができると定められています。

ここで,「不貞行為」とはどのような内容を指すのでしょうか。また,どのような要件が満たされれば,不貞行為を理由とした慰謝料請求をすることができるのでしょうか。以下で見ていきましょう。(不貞慰謝料額の相場についてはこちら

2 不貞行為とは

不貞行為とは,配偶者のある者が,配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいうとされています。この「性的関係」には,配偶者以外の異性と性交渉を行うこと(肉体関係を持つ行為)が含まれることは当然ですが,夫婦関係の平穏を害するような行為,例えば,性交類似行為,同棲についても,その態様や程度に応じて含まれ得ると考えます(同棲に関しては,継続した共同生活を送っている場合には,肉体関係を伴うとの推認が働くものと考えます。「同棲」→「肉体関係を通常伴う」→「不貞行為」)。

また,異性間の性行為だけでなく,同性間の性行為についても,「同性同士の行為の結果、既存の夫婦生活が離婚の危機にさらされたり形骸化したりする事態も想定される」とし、同性間の性的行為も「不貞行為」に該当し得るとする裁判例もあります(東京地裁判決2021年2月16日)。このように,同姓間でも,あるいは,性行為に至らない行為であっても,その態様・内容,頻度等からして,夫婦関係の平穏を害するような行為は「不貞行為」に該当するとの考え方も成り立ちうると考えます。

なお,不貞行為に該当する行為を行ったとしても,これによって実際に夫婦関係が破綻しなかった(例えば,不貞行為に及んだが離婚どころか別居もしない場合)としても,夫婦関係を破綻する類型の行為であれば,不貞行為に該当します。

3 不貞行為の慰謝料請求における故意・過失

不貞行為を行った配偶者やその不貞相手に対する不貞行為を理由とする慰謝料請求は,「不法行為に基づく損害賠償請求」(民法709条)ですから,その配偶者や不貞相手において,故意・過失が存在することを要します。不貞行為を行った配偶者自身の故意・過失が問題となるケースはほとんどありませんので,以下は不貞相手の故意・過失について述べます。

故意・過失の要件は,端的に言うと,肉体関係を持った異性に配偶者がいることを知っている(故意),配偶者がいることを知らなかったものの,知ることができたにもかかわらず,配偶者がいるか否かの調査を尽くさなかったことにより知ることができなかった(過失)をいうものと考えてよいかと思います。なお,この他に,婚姻関係の平穏が害する結果まで予見しておく必要があるという見解もありますが,実務上あまり厳密に区別されることはないです。

配偶者がいることについて故意があるか否かが問題となるケースはよくあります。不貞相手が「配偶者がいるとは思わなかった。」と主張するのに対して,どのような反論をすることができるでしょうか。


例えば,

・配偶者と不貞相手が同僚や取引先である ・かねてからの知人である, ・子供の学校関係の知り合いである(習い事やPTA等), ・配偶者が結婚指輪を常時付けていた, ・LINE等のメッセージの内容, LINEやSNSのアカウント画像に配偶者や家族写真が写っている
等の事情を基に配偶者がいることを知っていたと主張することがあります。

仮に,上記のような事情があっても配偶者がいることを知らないケースはあると思います。そのような場合には,知らなかったとしても,知ろうと思えば知れたような場合には,過失を基礎づける事情として主張することは可能です。過失の有無が争点となる場合,「出会いのきっかけ」が重要な要素となることは多いです。例えば,出会い系サイト(特に独身専用のサイト)で知り合った,一回限りで短時間の関係であるような事案では,過失の存在が認められないこともあるかと思います。

4 夫婦関係が破綻していると誤信しているケース

では,配偶者がいることを知っていたものの,性行為の時点で既に夫婦関係が破綻しているものと誤信していたケースはどうでしょうか。

最高裁の判例では,肉体関係を持った場合において,夫婦の婚姻関係がその当時破綻していたときは,特段の事情のない限り,不貞相手は配偶者の一方に対して不法行為責任を負わないと判示しています。この判例をベースにすると,不貞行為の時に既に婚姻関係が破綻しているものと誤信した場合には,不貞行為による侵害結果の認識を欠くことになるため,理論上,故意過失が否定されることになります。不貞行為を行った配偶者が不貞相手に対して「すぐに離婚するから」「夫婦関係は既に冷め切っている」と説明することはよくあることです。しかし,このような主張が裁判所において採用されるケースは滅多にない印象です。そもそも,破綻していると誤信するに至った事情を証明することが困難であるケースも多く,また,そのような事情を証明できたとしても,これを理由に婚姻関係が破綻していると信じるに至ったことの証明は困難となるケースが多いでしょう。

5 最後に

不貞行為については,有責配偶者からの離婚請求,婚姻費用の請求,不貞行為の慰謝料額の算定など,数多くの問題が絡みます。お悩みの方はぜひ弁護士にご相談ください。

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