養育費の標準額(算定表)は公立学校を前提としているため、私立学校の学費や歯列矯正などの高額な費用は当然には含まれず、「特別費用」として別途分担を求められることがあります。認められるかは、私立進学や治療への相手の同意・承諾、家庭の収入・生活水準、必要性などで判断されます。取り決め時に加算事由と分担割合を明記しておくのが有効です。
この記事のポイント
- 算定表は公立前提。私立学費・歯列矯正等は「特別費用」
- 特別費用は算定表額に上乗せ(別途分担)を求められる
- 認められる鍵:相手の同意・収入水準・必要性
- 分担は収入按分が基本
- 取り決め時に加算事由・割合を明記しておく
養育費に私立学校の学費や歯列矯正費は加算できる?
養育費は、家庭裁判所の「養育費算定表」に基づいて金額を決めるのが一般的です。しかし算定表の標準額は、子が公立学校に通い、標準的な医療を受けることを前提としています。そのため、私立学校の学費や歯列矯正のような高額な医療費は標準額に含まれておらず、「特別費用」として算定表の金額に上乗せ(加算)できる場合があります。本記事では、加算が認められる条件と金額の計算方法を弁護士が解説します。
養育費の算定表に含まれる教育費・医療費の範囲
算定表で算出される養育費には、公立学校を前提とした標準的な教育費と、通常の医療費があらかじめ組み込まれています。具体的には、統計上の教育関係費として、14歳以下の子で年間約13万1,379円、15歳以上の子で年間約25万9,342円が標準額に反映されています。
逆にいえば、これを超える私立学校の学費や、標準を超える高額な医療費(歯列矯正など)は算定表の金額には含まれていないため、別途「特別費用」として分担を検討することになります。
私立学校の学費を養育費に加算できるか
①私立進学を相手(非監護親)が承諾していたか
私立学校の学費を加算できるかは、まず養育費を支払う側(非監護親)が私立学校への進学を承諾していたかが重要な判断要素になります。
同居中からすでに私立学校に在籍していた場合は、承諾があったと認められやすいでしょう。一方、別居後に私立へ進学したケースでは、同居中から私立進学のための塾に通いその費用を非監護親が負担していた、非監護親自身の学歴や収入、他のきょうだいの進学状況といった事情を総合して、加算の可否が判断されます。
②加算できる金額の計算方法
加算額は、私立学校の年間授業料などの合計から、算定表ですでに考慮されている教育関係費(前述の13万1,379円または25万9,342円)を差し引いた残額を基礎とします。その残額を、両親の収入割合に応じて按分し、非監護親が負担すべき額を算出します。
計算式の一例:(私立学費−標準教育費)×非監護親の収入÷両親の収入合計=非監護親が負担する私立学費。なお、子の生活費指数から教育費相当分を除いて計算する方法もあり、両親の収入が平均より高い場合はこちらの方が実態に合うことがあります。
歯列矯正の費用を養育費に加算できるか
①歯列矯正の必要性があるか
歯列矯正費用を加算できるかは、まずその施術に必要性があるかが問われます。かみ合わせの不良(不正咬合)で咀嚼や発音に支障がある、放置すると健康に影響するなど、審美目的にとどまらない医学的な必要性が認められれば、加算が認められやすくなります。医師の診断書や見積書などの資料が重要です。
②歯列矯正の加算額と分担
加算が認められる場合、矯正にかかる費用(検査料・装置料・調整料等)を、私立学費と同様に両親の収入割合に応じて按分し、非監護親が負担すべき額を決めます。高額になりやすく分割での支払いになることも多いため、支払時期・方法もあわせて取り決めておくと安心です。
特別費用でもめないための取り決め方
私立学費や歯列矯正費などの特別費用は、後日「聞いていない」「負担しない」と争いになりがちです。トラブルを防ぐには、養育費の取り決めの際に、①どのような費用を特別費用とするか、②分担の割合(収入按分など)、③支払方法・時期を具体的に定め、できれば公正証書にしておくことが有効です。すでに取り決め済みでも、事情の変更があれば養育費の増額調停で加算を求められます。
養育費・特別費用のご相談は難波みなみ法律事務所へ
私立学校の学費や歯列矯正費などの特別費用を養育費に加算できるかは、承諾の有無・必要性・収入状況などの個別事情によって結論が変わります。難波みなみ法律事務所では、養育費の算定・増額請求から公正証書の作成、調停・審判の対応まで幅広くサポートしています。大阪・関西で養育費にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
養育費の私学加算・特別費用に関するよくある質問(FAQ)
養育費に私立学校の学費は含まれますか?
算定表の標準額は公立を前提としているため、私立の学費は当然には含まれません。相手が私立進学に同意していた、収入・生活水準から相当といえるなどの場合、特別費用として加算を求められます。
歯列矯正の費用は請求できますか?
高額な歯列矯正費は、医学的必要性や相手の承諾、家庭の経済状況などから相当と認められれば、特別費用として分担を求められます。見積書や必要性の資料が重要です。
特別費用はどう分担しますか?
一般に、父母の収入に応じて按分します(収入按分)。標準の養育費額に上乗せする形で、必要が生じた都度または定期的に分担します。
相手が同意していない場合は?
同意がない場合はハードルが上がりますが、必要性や相当性を主張して調停・審判で分担を求められます。事前に相談・同意を得ておくと認められやすくなります。
トラブルを防ぐには?
取り決めの際に「私立学費・入学金・医療費などの特別費用は収入に応じて分担する」など加算事由と割合を具体的に定め、公正証書等にしておくとよいでしょう。






