医療過誤の損害賠償請求において、最も重要なのが証拠の確保です。
交通事故であればドライブレコーダーや警察の実況見分調書という第三者の客観的証拠が存在します。しかし医療行為は病院という閉ざされた空間で行われ、そこに残る記録はカルテなど医療機関が作成した文書だけです。
つまり「カルテを制する者が医療訴訟を制する」といっても過言ではありません。本記事では、カルテをはじめとする証拠の種類・入手方法・注意点を弁護士が解説します。
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医療過誤で必要な証拠の種類と保存期間
医療過誤の法的責任を追及するには、①過失(注意義務違反)、②損害の発生、③過失と損害の因果関係、の3つをすべて証明する必要があります。これらを立証するための主な証拠は以下の通りです。
カルテ類(最重要)
| 証拠の種類 | 内容 |
| 医師診療録 | 診察・治療の経過・所見 |
| 看護記録 | 看護師による観察・処置の記録 |
| 指示書・処方箋 | 医師の指示内容 |
| 熱型表 | 体温・血圧・脈拍等のバイタル記録 |
| 各種検査結果報告書 | 血液検査・尿検査等の結果 |
| 手術記録・麻酔記録 | 手術の詳細と麻酔管理の記録 |
| 救急搬送時の引継書 | 搬送時の状態・処置内容 |
画像データ
| 証拠の種類 | 内容 |
| レントゲン・CT・MRI・エコー | CD/DVD形式で開示されることが多い |
| 画像の読影レポート | 放射線科医による所見 |
| 手術映像 | 内視鏡手術等で記録がある場合 |
その他の証拠
- 紹介状・診療情報提供書
- 診断書
- お薬手帳・処方薬の説明書
- 他院・転院先の診療記録
- 医師・病院からの手紙・説明文書
- 患者本人の日記・状況メモ
記録の種類別 保存期間
| 記録の種類 | 作成義務者 | 保管期間 | 根拠法令 |
| 診療録(カルテ) | 医師 | 5年 | 医師法24条 |
| 診療に関する諸記録(看護記録・処方箋・手術記録・検査所見記録等) | 病院 | 2年 | 医療法21条1項9号・施行規則20条10号 |
| 保険診療録 | 保険医療機関 | 3〜5年 | 療養担当規則9条 |
実務上はいずれの記録もまとめて管理されていることが多く、最も長い診療録の保存期間にあわせて最低5年間保存されていることが一般的です。
保存期間を過ぎると開示に応じてもらえないケースもあるため、できる限り早急に入手することが重要です。
カルテ開示請求(任意開示)の方法
患者(またはその遺族・法定代理人)には、個人情報保護法および厚生労働省の「診療情報の提供等に関する指針」に基づき、自身の診療記録の開示を求める権利があります。原則として医療機関はこれに応じなければなりません。
開示請求の手順

まずは、病院の窓口・ホームページを通じて開示請求の手続きを確認した上で、開示請求に必要な書類を手配します。その上で、医療機関側に開示を求めれば、通常2週間〜1か月程度の期間を経て医療記録の任意開示が行われます。
費用
コピー代等の実費(数千円〜数万円程度)が発生します。診療記録が多い場合や薬剤の資料まで含めて開示を求める場合は、手数料が数万円になることも珍しくありません。
さらに、一つの医療機関でも複数の診療科にかかっていたり、長期間の入院があった場合などに全てのカルテ開示を求めると、量が膨大になり費用が数十万円に及ぶこともあります。このような場合は、診療科や開示対象期間を限定するなどの対応が必要になることがありますので、あらかじめ弁護士に相談することをおすすめします。
請求時の実務的な注意
診療の際の記録は、診療記録・看護記録・検査記録・画像記録など多岐にわたり、電子カルテ・オーダリングシステム・レセコン(医事会計システム)・PACS(画像システム)といった複数の医療情報システムに分散して保存されています。どの情報がどの分類に入っているかは医療機関次第で、外からは分かりません。
そのため、開示請求では対象を絞りすぎず、「すべて」を開示するよう申し込むのが無難です。
特に、CT・MRI等の画像データは、紙に印刷されたものや、専用ビューアソフトとともにCD-ROM等で提供されることが多く、使い勝手が良いとは限りません。また、亡くなった患者の遺族や、内縁の配偶者・同性婚のパートナーなど、開示を受けられる範囲については個別の検討が必要な場合があります
カルテ開示のメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
| 手続きが比較的簡便 | 改ざんリスクがある(特に紙カルテ) |
| 費用が安い | 病院が身構え、一部しか開示されない可能性がある |
| 病院との対立を避けられる | 看護記録や画像が抜けていても気づきにくい |
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証拠保全とは?カルテ開示との違い
証拠保全とは、訴訟の前に裁判所を通じてカルテを入手する手続きです。医療機関に事前通告なく裁判官・執行官が医療機関を訪れ、その場でカルテ等を保全します。
ただし、任意開示に応じる医療機関も多いことから、証拠保全を利用するケースは医療機関が個人院である場合等に限られていると解されます。
証拠保全の流れ
証拠保全当日の詳細な流れ
証拠保全当日の一般的な流れは以下の通りです。
- 証拠保全開始時刻の1〜2時間前に、裁判所の執行官が突然医療機関を訪れ、証拠保全決定を交付する
- 開始時刻になると、裁判官・書記官・患者側弁護士(事案によってはカメラマン)等が対象の医療機関を訪問する。実務上はカメラマンを帯同せず、弁護士や書記官が持参したデジタルカメラで撮影し、必要に応じて後日、謄写(コピー)を請求することも多い
- 医療機関内に保管されている本件と関係すると思われる診療録・看護記録等の一切をすべてコピーまたは撮影する
- 正当な理由なく証拠保全を拒否すると、過料の制裁を課されたり、後の訴訟でカルテ改ざんを疑われる可能性がある
証拠保全のメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
| 事前告知なしのため改ざんを防ぎやすい | 費用がかかる(数十万円程度) |
| 原本との照合ができる | 手続きが煩雑で弁護士への依頼が必須 |
| 提出漏れを指摘できる | 申立てには疎明が必要で認められないこともある |
| カルテ全体が提出されているか確認できる | 医療機関への不信感が強まる場合がある |
文書提出命令(訴訟中の手段)
任意開示でも証拠保全でもカルテを入手できなかった場合、訴訟が始まった後であれば「文書提出命令」(民事訴訟法221条)という手続きを利用できます。
医療機関が文書を所持している場合、以下のいずれかに該当し、かつ拒否事由がなければ提出を命じることができます(民訴220条)。
- 引用文書(当事者が訴訟で引用した文書)
- 引渡しまたは閲覧を求めることができる文書
- 利益文書・法律関係文書
- 文書一般(正当な拒否事由がない限り)
近時、医療過誤事件では病院側が診療録・画像データなどの基本的な書証について任意に積極的に開示するケースが多いですが、カルテ改ざんが疑われる場合や任意開示を拒んでいる場合には文書提出命令が有効な手段となります。
任意開示と証拠保全のどちらを選ぶか
判断のフロー
判断の基準
| 状況 | 推奨する方法 |
| 電子カルテ・改ざんリスクが低い | カルテ開示請求(修正履歴付き)を先行 |
| 紙カルテ・改ざんリスクがある | 証拠保全を優先 |
| 開示請求したが拒否された | 証拠保全、弁護士照会、文書提出命令 |
| 開示されたが不完全 | 弁護士に再開示を依頼、証拠保全、文書提出命令 |
| 急いで証拠を保全したい | 証拠保全(弁護士に即相談) |
カルテ開示を拒否された場合の法的効果
医療機関が正当な理由なくカルテの開示を拒否した場合、以下の法的問題が生じます。
① 個人情報保護法上の制裁(個情法146〜148条・178条)
個人情報保護法に基づく開示請求に対して正当な拒否事由がないにもかかわらず開示を拒否した場合には、以下の制裁が生じます。
- 個人情報保護委員会による報告・資料提出の要求・立入検査(個情146条)
- 指導・助言(個情147条)
- 勧告・命令(個情148条)
- 命令に違反した場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金(個情178条)※2022年4月改正により従来の「6か月以下の懲役・30万円以下の罰金」から厳罰化
② 民事上の損害賠償(慰謝料)
正当な理由なくカルテ開示を拒否した場合、刑事罰とは別に民事上の損害賠償(慰謝料)を請求できる可能性があります。
実際の裁判でも「診療契約に伴う付随義務あるいは診療を実施する医師として負担する信義則上の義務として、特段の支障がない限り、診療経過の説明及びカルテの開示をすべき義務を負っていた」とされ、これに違反したことを理由に22万円の損害賠償(慰謝料)の請求が認められた事例があります。
例外的に開示を拒否できる場合
以下で列記された場合は例外的に開示拒否が認められています。
- 本人または第三者の生命・身体・財産その他の権利利益を害するおそれがある場合
- 医療機関の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合
- 他の法令に違反することとなる場合
なお、事故調査報告書等については、外部への開示が想定されない内部文書として「業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合」に該当し、開示を拒否できる場合があると考えられています。
カルテ開示前にやってはいけないこと
「まず自分でカルテを取り寄せてから弁護士に相談しよう」と考える方が多いですが、医療過誤事件ではこれが裏目に出るケースがあります。
その理由は以下の通りです。
一つ目は、病院が身構えてしまうという点です。患者本人から突然カルテ開示請求があると、病院側は訴訟リスクを察知します。悪質なケースでは、この段階でカルテの改ざんや一部隠蔽が行われる可能性があります。
次に、不完全な開示に気づけないという点です。専門的な知識がないと、本来セットで開示されるべき看護記録・画像データ・検査結果が抜けていても気づかず、「これが全部です」と言われて終わってしまうことがあります。
最後に、情報漏れを招く点です。問題のある医療機関の「前の病院」や「後の病院」にカルテ開示請求をすると、その病院から問題の医療機関に連絡が入り、証拠保全前にカルテが改ざん・隠匿されるリスクがあります。このようなリスクがある場合には証拠保全を先に行うことが重要です。
電子カルテと紙カルテの違い
現在、多くの医療機関が電子カルテを導入しています。カルテの入手方法(開示請求・証拠保全)自体は電子カルテでも紙カルテでも変わりませんが、改ざんのしやすさと押さえるべきチェックポイントは大きく異なります。
| 比較 | 電子カルテ | 紙カルテ |
| 改ざんのしやすさ | 困難(更新履歴が残る仕組み) | 比較的容易(加筆・修正できる) |
| 更新履歴の開示 | 可能(「修正履歴を含む」旨を指定する) | 対象外 |
| 証拠保全の必要性 | 低い場合が多い(ただし例外あり) | 高い場合がある |
| 開示請求時の注意 | 「修正履歴を含む」と明記する | 弁護士に相談の上で請求を |
なぜ電子カルテは改ざんされにくいのか
電子カルテが紙カルテより改ざんされにくいとされる理由には法令上の根拠が挙げられます。
厚生労働省のいわゆるe-文書法省令では、電子カルテなどの医療情報の保存については「見読性・真正性・保存性」という3つの要件を規定しています(4条4項)。
この「真正性」を満たすために、電子カルテには、誰が・いつ・どの内容を入力/修正したかという更新履歴(ログ)が自動的に残る仕組みが組み込まれています。そのため、少なくとも大手の病院では改ざんは事実上不可能とされています。
それでも「改ざんゼロ」ではない
もっとも、改ざんの可能性がゼロになるわけではありません。証拠保全を特に検討すべきなのは、個人の開業医(小規模な診療所)のケースです。院長である医師本人が一人でカルテの入力もシステムの管理も行えるため、誰にも気づかれずにカルテを操作できてしまうおそれがあるからです。そのため、「電子カルテ=安全」と機械的に判断するのは危険で、特に個人開業医など改ざん・情報隠しが問題となり得る場面では、カルテ開示ではなく証拠保全を選ぶべきということになります。
具体的には、次のようなケースに注意が必要です。
- システム管理者と入力者が同一の小規模診療所では、院長自身やその家族がシステムを管理していることがあり、痕跡を残さずカルテを編集できてしまう場合がある
- 現在でも紙カルテを使っている医療機関
- 大手ベンダー製であっても、設定を変更すれば更新履歴を残さずに編集できる場合がある
実際の裁判例:改ざんが「認められた」ケース・「否定された」ケース
電子カルテであっても、その改ざんが疑われる場合には、変更履歴を表示した電子カルテを取得するだけでなく、使用されている電子カルテシステムの機能や使い方まで含めて調査する必要があります。裁判所が電子カルテの改ざんをどう判断してきたかを見ると、実務のイメージがつかめます。
| 判断 | 裁判例 | ポイント |
| 改ざんを認定 | 大阪地判平成24年3月30日(判タ1379号167頁) | うつ病で通院中の患者が大量服薬で死亡した事案。①電子カルテの設定が更新履歴の残らないよう変更されていた、②原告から開示請求がなされた日に「登録」操作のログが残っていた、③他の状況とカルテ記載の整合性が取れない、という点から医師がカルテを改ざんして記載を付加したと認定。個人診療所の医師によるシステム設定の変更や、内容の異なる電子カルテが複数開示されたといった特殊事情が背景にありました |
| 改ざんの疑い | 名古屋地判令和4年3月11日 | ステロイド内服薬の副作用の説明義務違反が争われた事案。カルテに「次回までに可否の返答をもらい、拒否がなければ処方する」旨の記載があるのに、次回診察時に確認をとった記録が存在しないなど記載自体が不自然で、紛争が具体化した後に被告に有利な虚偽内容が書き加えられた疑いを生じさせるとした |
| 不正を認定 | 東京地判令和4年3月25日 | 医師が「0.00」という極端に低い基準値を電子カルテに登録し、臨床検査会社から届いた検査伝票を患者に開示せず、独自に作成した検査結果書を患者に渡していたことから、不正診療・不正請求等が認定され、保険医登録取消処分が是認された |
| 改ざんを否定 | 高松高判平成28年11月30日 | 医師が3週間後の再予約・受診を説明した旨のカルテ記載に改ざんの可能性があると争われた事案。電子カルテが診療日ごとにハッシュ値付きのPDFファイルとして作成され、外部の管理会社が保管するオリジナルPDFのハッシュ値と開示されたPDFのハッシュ値が完全に一致していたことなどから、改ざんの可能性を否定 |
| 改ざんを否定 | 東京地判平成30年5月24日 | 投薬歴が争点となった事案で、原告が「過去の通院・投薬の事実は存在せず電子カルテは改ざんされている」と主張したのに対し、電子カルテの記載が診療報酬明細書・医療画像・血液検査データといった客観的な記録と符合し、改ざんを疑わせる事情もないとして否定 |
これら裁判例から読み取れるのは、ハッシュ値の一致や、診療報酬明細書・画像・血液検査データといった客観的記録との整合性が「改ざん否定」の決め手になります。他方で、更新履歴の不自然な設定変更や操作ログとの不整合、他の記録との不整合が「改ざん認定・改ざんの疑い」の突破口になりえます。だからこそ、印字されたカルテをただ眺めるだけでなく、様々な客観的記録まで突き合わせて精査することが決定的に重要になります。
電子カルテならではの証拠保全のポイント
改ざんの疑いがある場合に証拠保全を行うなら、電子カルテには紙カルテと違うチェックポイントがあります。
検証の対象は「電磁的記録そのもの」
あくまでも対象は電磁的記録そのものです。印刷物と端末の画面表示ではその内容が異なることがあります。印刷物のカルテを受け取るだけでは、印刷の条件や設定がはっきりしません。他方で、証拠保全を用いることで、対象を電磁的記録そのものとすることができるため、印刷設定の状況を確認して調書に記載したり、コンピュータの画面を写真・ビデオで撮影することができます。
更新履歴を求める
更新履歴(ログ)を入手するには、検証物目録に「更新履歴の検証を求める」旨を明示しておく必要があります。単にカルテ一式や医療記録一式と記載するだけでは、更新履歴が対象から漏れてしまうおそれがあります。
画像・検査データとカルテと別管理のことがある
画像や検査データは、電子カルテとは別のシステムで保管・管理されている場合があります。そのため、開示請求や証拠保全の検証目録を作る際は、検査データが漏れないよう注意が必要です。
取扱説明書・操作履歴も検討材料になる
カルテ本体と更新履歴だけでなく、電子カルテの取扱(操作)説明書や操作履歴(ログ)も入手して検討することも有用です。ただし、これら自体が診療記録そのものではないため、証拠保全の申立書において、カルテに加えて操作履歴等も対象とすることの必要性があることをきちんと説明する必要があります。
⚠️ 診療機器のデータログは「数日で消える」
ICUで血圧・脈拍・酸素飽和度などを持続モニターしている場合、その経時データは要所要所しかカルテに転記されません。これらは各診療機器のデータログとして保存されますが、容量の都合で通常は数日で上書き・更新されてしまいます。急変時の全経過を確認したいケースでは、できるだけ早く任意でのデータログ保存を求めることが重要です。「気づいたときには消えていた」を避けるため、急変事案では特に初動のスピードが勝負になります。
医療訴訟に精通した弁護士は、カルテの印字だけでなく更新履歴・操作ログの開示まで求めます。開示請求の際には「加筆・修正履歴を含む診療記録すべて」と必ず明記してください。改ざんが疑われる事案では、電子カルテであっても証拠保全を検討すべき場合があります。
カルテ以外に収集すべき証拠
患者側が自力で集めておくべきもの
- お薬手帳:処方内容の履歴が確認できる
- 処方薬・薬の説明書:投薬内容の証拠になる
- 医師からの説明書・同意書:インフォームドコンセントの証拠
- 領収書・医療費明細書:損害額の算定に使用
- 症状・経過のメモ・日記:患者側の主観的証拠として補完的に活用
- 写真・動画(身体への影響がある場合)
弁護士が集める証拠
- 協力医の意見書:医師の過失があったかを専門的に判断してもらう
- 医学文献:当時の医療水準を示す文献(過失判断の基準となる)
- 転院先・前医の診療記録(証拠保全後に開示請求)
よくある質問
Q. カルテの保存期間はどのくらいですか?
カルテ(診療録)の法定保存期間は5年間です(医師法24条)。画像データや看護記録など種別によって保存期間が異なりますが、いずれも早めに入手することが重要です。保存期間が過ぎると任意開示に応じてもらえないケースもあります。
Q. 病院がカルテの開示を拒否しました。どうすればいいですか?
個人情報保護法・厚生労働省の指針に基づき、原則として医療機関は開示に応じる義務があります。拒否された場合は、弁護士を代理人として再請求するか、裁判所への証拠保全申立てを検討してください。
Q. カルテを見ても内容がよくわかりません。
医師の略語・専門用語が多く、素人には解読が難しいのが普通です。弁護士と協力医が連携してカルテを「翻訳・分析」する作業が必要になります。弁護士に相談の際にカルテを持参いただければ、内容の確認から行います。
Q. カルテに不自然な修正の跡があります。改ざんを立証できますか?
電子カルテなら更新履歴・操作ログから、紙カルテなら筆跡鑑定や証拠保全時の原本照合から、改ざんの可能性を追及できます。実際に、①更新履歴が残らないよう設定が変更されていた、②開示請求日に「登録」操作のログが残っていた、③他の記録との整合性が取れない、といった事情から医師によるカルテ改ざんを認定した裁判例(大阪地判平成24年3月30日)もあります。不審に思ったら速やかに弁護士にご相談ください。
Q. 電子カルテだから改ざんの心配はないと言われました。本当ですか?
大手ベンダー製の電子カルテは更新履歴が自動的に残る仕組みで、大規模病院では改ざんはほぼ困難とされています。しかし、システム管理者と入力者が同一の**小規模診療所(美容外科・歯科等)**や、設定変更・紙カルテ併用のケースでは改ざんの余地が残ります。「電子カルテだから安心」と一律に判断せず、改ざんの疑いがある場合は更新履歴・操作ログの入手や証拠保全を検討すべきです。詳しくは本記事「8. 電子カルテと紙カルテの違い」をご覧ください。
Q. 亡くなった家族のカルテを取り寄せたいのですが、遺族でも開示請求できますか?
はい。厚生労働省の指針では、患者が亡くなった場合でも、遺族(配偶者・子・親等)がカルテ開示請求できるとされています。
医療過誤の証拠収集は弁護士にご相談ください
医療過誤の証拠収集は、最初の一手で方向性がほぼ決まります。自己判断でカルテを請求して病院を警戒させてしまったり、証拠保全のタイミングを逃したりすると、取り返しのつかない事態になりかねません。
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対応地域は、大阪府全域、兵庫県、和歌山県、奈良県、その他関西エリアとなります。お気軽にご相談ください。

