まず結論
- Q. 個人再生をすると会社に知られますか?
- 裁判所や弁護士から勤務先に連絡が行くことは、原則としてありません。ただし、勤務先からお金を借りている場合、すでに給料を差し押さえられている場合、退職金の証明書を勤務先に頼む場合などは、知られる可能性があります。
- Q. 家族に知られますか?
- 同居している家族の収入資料を裁判所に出す必要があるため、同居家族に知られずに進めるのは難しいことが多いです。家族が保証人や住宅ローンの連帯債務者になっている場合は、家族の協力が欠かせません。
- Q. 自己破産より知られにくいですか?
- 一般に、自己破産より知られにくい手続です。資格や職業の制限がなく、破産管財人への郵便物の転送もありません。一方で官報には載るため、任意整理よりは知られる可能性があります。
「個人再生をしたら、会社にばれて居づらくなるのではないか」「家族に内緒で借金を減らせないか」。個人再生を検討している方から、よくいただくご相談です。
結論からいえば、個人再生で裁判所や弁護士が勤務先や家族に連絡することは、原則としてありません。それでも、手続に必要な書類や、借入れの状況によっては、知られるきっかけが生まれます。
この記事では、大阪なんば・心斎橋の難波みなみ法律事務所の弁護士が、個人再生が会社や家族に知られる具体的な場面と、知られにくく進めるための準備を解説します。任意整理の場合については、任意整理は家族にバレる?と任意整理は会社にバレる?で詳しく解説しています。
個人再生は知られやすい?ほかの手続との比較
まず、債務整理の3つの手続で、周囲に知られるきっかけになりやすい点を比べます。
| 項目 | 任意整理 | 個人再生 | 自己破産 |
|---|---|---|---|
| 裁判所の手続 | なし | あり | あり |
| 官報への掲載 | なし | あり | あり |
| 同居家族の収入資料 | 原則不要 | 必要 | 必要 |
| 退職金の資料 | 原則不要 | 必要(退職金制度がある場合) | 必要(退職金制度がある場合) |
| 郵便物の管財人への転送 | なし | なし | 管財事件ではあり |
| 資格・職業の制限 | なし | なし | 手続中はあり |
個人再生は、自己破産よりは知られにくく、任意整理よりは知られやすい手続といえます。特に、資格や職業の制限がないため、仕事への影響が出にくい点は大きな違いです。
なお、官報には、再生手続の開始や再生計画の認可などが掲載されます。ただ、官報を日常的に確認しているのは金融機関などに限られ、勤務先や家族が官報から知ることは多くありません。
個人再生が会社に知られる4つの場面
裁判所や弁護士から勤務先に「個人再生を申し立てた」と連絡することはありません。勤務先に知られるのは、主に次の場面です。
1. 勤務先からお金を借りている場合
個人再生では、すべての債権者を平等に扱う必要があり、特定の借入れだけを外すことはできません。社内貸付や従業員貸付制度などで勤務先から借りている場合、勤務先も債権者の一人として、弁護士からの受任通知や裁判所からの書類を受け取ることになります。
給料からの天引きで返済している場合も、天引きを続けると特定の債権者だけに返済することになるため、扱いを弁護士と相談する必要があります。
2. 退職金の資料を勤務先に頼む場合
個人再生では、手元の財産の価値(清算価値)以上を返済する必要があり、その計算に退職金の見込額も含めます。そのため、勤務先に退職金制度がある場合は、その資料を裁判所に出します。
勤務先に「退職金見込額証明書」を出してもらう方法が一般的ですが、理由を聞かれて知られるきっかけになることがあります。就業規則などの退職金規程が手元にあれば、それをもとに見込額を計算して出す方法もあります。どちらにするかは、弁護士と相談して決めます。
3. すでに給料を差し押さえられている場合
給料の差押えを受けると、裁判所から勤務先に差押命令が届くため、勤務先はすでに借金の存在を知っています。個人再生の手続が始まると、差押えは中止され(民事再生法39条1項)、再生計画の認可が確定すると効力を失います。差押えを止めるために個人再生を申し立てたことは、勤務先にも伝わることになります。
▶関連記事:給与差押えを止める方法|任意整理・個人再生・自己破産の選び方を弁護士が解説
4. 勤務先が官報を確認している場合
金融機関や貸金業者、信用調査を行う業種など、一部の勤務先は官報を確認していることがあります。こうした業種にお勤めの場合は、官報から知られる可能性も考えておく必要があります。
会社に知られたら解雇される?
個人再生には資格や職業の制限がなく、手続をしたことで今の仕事ができなくなることは、原則としてありません。解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合には無効とされています(労働契約法16条)。個人再生をしたことだけを理由とする解雇は、合理的な理由を欠くものとして無効とされる可能性が高いと考えられます。
ただし、勤務先からの借入れを返せなくなった場合など、事情によっては職場での関係に影響が出ることもあります。不安がある場合は、手続の前にご相談ください。
個人再生が家族に知られる5つの場面
会社に比べると、同居している家族に知られずに進めるのは難しいのが実情です。主な場面は次のとおりです。
1. 同居家族の収入資料が必要になる
個人再生では、再生計画どおりに返済できるかを確かめるため、世帯全体の家計収支表を裁判所に出します。同居している配偶者などに収入がある場合は、その給与明細や源泉徴収票などの資料も必要になります。家族の協力なしに資料をそろえるのは、多くの場合難しくなります。
2. 家族が保証人・連帯債務者になっている
家族が借金の保証人になっている場合、あなたが個人再生をしても、保証人の責任は減りません(民事再生法177条2項)。債権者は、減額された分を含めて保証人に請求できるため、家族に請求が行くことになります。保証人がいる借金は、事前に家族と話し合っておく必要があります。
3. 住宅ローン特則で自宅を残す
住宅ローン特則を使う場合は、自宅の登記事項証明書や住宅ローンの資料が必要になります。自宅が家族との共有名義だったり、住宅ローンを夫婦の連帯債務で組んでいたりする場合は、家族の協力が欠かせません。
▶関連記事:個人再生の住宅ローン特則とは?持ち家を残して借金を5分の1にする条件を弁護士が解説
4. 再生計画の返済が3〜5年続く
再生計画が認可された後は、原則3年(事情により最長5年)にわたって返済を続けます。家計を一緒に管理している場合、毎月の返済の流れから気づかれることがあります。
5. 郵便物や電話
弁護士に依頼すれば、債権者からの連絡は弁護士事務所が窓口になり、自宅への督促は通常止まります。裁判所からの書類も、多くは弁護士事務所が受け取ります。自己破産の管財事件と違い、郵便物が管財人に転送されることもありません。それでも、依頼前に届いていた督促状などから気づかれることはあります。
知られにくく進めるための準備
個人再生を周囲に知られにくく進めるために、依頼前後に次の点を弁護士と確認しておきます。
- 勤務先からの借入れがあるか:ある場合は、どう扱うかを最初に相談する
- 退職金規程が手元にあるか:あれば、勤務先に証明書を頼まずに済むことがある
- 連絡先を弁護士事務所にする:債権者や裁判所とのやりとりの窓口を弁護士にまとめる
- 保証人や連帯債務者がいるか:いる場合は、家族への説明を先に考える
- 家族の協力がどこまで必要か:同居家族の収入資料など、必要な書類を早めに確認する
周囲に知られるのを避けることを最優先にしたい場合は、裁判所を使わない任意整理で解決できないかも検討します。借金の額や収入によっては、任意整理のほうが合っていることもあります。
家族には話したほうがよい場合
個人再生は、家族の協力があるほうが進めやすい手続です。特に次のような場合は、早めに家族に話しておくことをおすすめします。
- 家族が保証人や住宅ローンの連帯債務者になっている
- 自宅が家族との共有名義になっている
- 同居家族に収入があり、その資料が必要になる
- 3〜5年の返済を、家計全体で支えていく必要がある
どう伝えればよいか迷う場合は、ご家族と一緒にご相談いただくこともできます。手続の見通しや家族への影響を、弁護士から直接説明します。
▶関連記事:個人再生の10のデメリット|向いている人・向いていない人を弁護士が解説
よくある質問
Q1. 個人再生をすると、裁判所から会社に連絡が行きますか?
A. 原則として、裁判所や弁護士から勤務先に連絡が行くことはありません。ただし、勤務先からお金を借りている場合は、勤務先も債権者として通知を受け取ります。すでに給料を差し押さえられている場合も、勤務先は手続を知ることになります。
Q2. 退職金見込額証明書を会社に頼まないといけませんか?
A. 就業規則などの退職金規程が手元にあれば、それをもとに見込額を計算して出す方法もあります。どの方法で資料を用意するかは、勤務先の制度や手元の資料を見て、弁護士と相談して決めます。
Q3. 個人再生をすると、今の仕事を続けられなくなりますか?
A. 個人再生には資格や職業の制限がありません。自己破産と違い、警備員や保険募集人などの仕事も、手続中から続けられます。個人再生をしたことだけを理由とする解雇は、無効とされる可能性が高いと考えられます(労働契約法16条)。
Q4. 家族に内緒で個人再生をすることはできますか?
A. 同居家族に知られずに進めるのは難しいことが多いのが実情です。世帯全体の家計収支表や、同居家族に収入がある場合はその資料を裁判所に出す必要があるためです。一人暮らしで、家族が保証人になっていない場合は、知られずに進められることもあります。
Q5. 家族が保証人になっている借金も、個人再生で減りますか?
A. 保証人の責任は減りません(民事再生法177条2項)。あなたの返済額が減っても、債権者は残りを保証人に請求できます。保証人がいる借金は、事前に家族と話し合っておく必要があります。
Q6. 個人再生をすると、官報で会社や家族に知られますか?
A. 官報には掲載されますが、勤務先や家族が官報から知ることは多くありません。官報を日常的に確認しているのは、金融機関や貸金業者など一部に限られます。
Q7. 会社や家族に知られたくない場合、ほかに方法はありますか?
A. 裁判所を使わない任意整理であれば、官報に載らず、家族の収入資料も原則不要です。借金の額や収入によっては任意整理で解決できることもあるため、手続の選び方から相談されることをおすすめします。
会社や家族に知られずに進めたい個人再生のご相談は

難波みなみ法律事務所は、大阪メトロなんば駅・心斎橋駅から徒歩3〜5分の場所にあり、債務整理のご相談を多数お受けしています。「会社に知られずに個人再生をしたい」「家族にどう話せばよいか分からない」「自宅を残したいが、家族の協力が得られるか不安」といったご相談にも対応しています。
初回相談は30分無料です。ご家族と一緒のご相談もお受けしています。個人再生だけでなく、任意整理・自己破産も含めて、周囲への影響ができるだけ小さい方法をご提案します。
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