コラム
公開日: 2026.09.03

YouTube(ユーチューブ)の誹謗中傷|削除・開示請求・投稿者特定を弁護士が解説

難波みなみ法律事務所代表弁護士・中小企業診断士。大阪弁護士会所属(登録番号49544)、大阪中小企業診断士会所属(登録番号 420113)、幻冬舎「GOLDONLINE」連載第1回15回75回執筆担当。法的な問題には、法律の専門家である弁護士の助けが必要です。弁護士ドットコムココナラ弁護士ナビに掲載中。いつでもお気軽にご相談ください。初回相談無料(30分)。

YouTubeの誹謗中傷・なりすましの削除と投稿者特定
まず結論
YouTube(ユーチューブ)の誹謗中傷やなりすましは削除できますか?
削除できます。コミュニティガイドラインや権利侵害にあたる動画・コメント・チャンネルは、ヘルプセンターへの報告で削除されることがあり、応じない場合も人格権に基づく削除の裁判手続(削除仮処分)で削除を実現できます。
投稿した相手(投稿者)は特定できますか?
特定できます。YouTubeはGoogleアカウントにログインして使うため、ログイン時の記録をもとに、発信者情報開示命令などでIPアドレス等を取得し、経由プロバイダに契約者情報の開示を求める二段階で、投稿者にたどり着けます。
費用や期間の目安は?
削除仮処分は概ね2〜3か月、投稿者の特定は開示命令などで数か月〜半年程度が一般的です。弁護士費用は着手金・報酬制で事案により幅があります。難波みなみ法律事務所は初回相談無料です。

YouTube(ユーチューブ)で、動画やコメント欄に誹謗中傷を書き込まれたり、自分になりすましたチャンネルを作られたりする被害が起きています。「投稿を消したい」「書き込んだ相手を特定して責任を追及したい」という2つの目的では、進め方が変わります。この記事では、大阪市なんば・心斎橋の難波みなみ法律事務所が、YouTubeの削除・投稿者特定・なりすまし対応・費用・時効を、実務にそって解説します。

1なぜYouTubeは「削除」と「特定」を分けて考えるのか

YouTubeを運営しているのは、アメリカ・カリフォルニア州の法人 Google LLC です。削除も投稿者の特定も、法的な請求の相手方はこの Google になります。Googleは2022年に日本で外国会社として登記されており、裁判上の書類の送達がしやすくなっています。

YouTubeのヘルプセンターには報告フォームがあり、コミュニティガイドライン違反や権利侵害の報告には一定程度対応しています。とくに、なりすましのように規約違反が明確なものは、報告によって削除される傾向があります。もっとも「一定の対応」であって確実ではなく、名誉毀損にあたるかどうかの判断が微妙な投稿は、運営の判断で削除されないこともあります。その場合は削除仮処分で対応します。一方で、誰が投稿したかを特定するための情報(IPアドレス等)の開示は、任意ではまず応じてもらえず、裁判所の開示命令なしには事実上得られません。そのため「早く消したい(削除)」と「相手を突き止めて責任を追及したい(特定)」は、別のルートで進めます。

ポイント削除と特定は目的が違い、手続も別です。ただし投稿者を特定する鍵になるログイン記録には期限があるため、特定も視野に入れるなら、削除と並行して早めに動くのが安全です。

2YouTubeの誹謗中傷・なりすましを削除する方法

方法1:ヘルプセンターへの報告(任意の削除)

YouTubeのヘルプセンター・報告フォームや、「Googleからコンテンツを削除する」の法的リクエストフォームから、対象の動画・コメント・チャンネルを「誹謗中傷」「なりすまし」「権利侵害」などとして報告します。なりすましのように規約違反が明確なものは、これで削除される傾向があります。費用をかけずに試せる一方、名誉毀損にあたるかどうかの判断が微妙なものは運営が削除しないこともあり、削除するかどうかは最終的に運営の判断で、確実ではありません。消えない場合は次の削除仮処分に進みます。

方法2:削除仮処分(裁判手続)

報告で消えないときは、Google を相手に、名誉権・プライバシー権・肖像権といった人格権に基づく削除の仮処分を裁判所に申し立てます。動画・コメント・チャンネルのいずれも対象になり得ます。申立先は、実務上、東京地方裁判所などで扱われます。

なりすましチャンネルの削除他人の氏名や写真、チャンネル名を無断で使ったなりすましチャンネルは、個々の動画ではなくチャンネル全体の削除を求めます。この場合、自分の氏名・肖像をコントロールする利益(アイデンティティ権)の侵害を理由に、チャンネルを削除する仮処分を申し立てます。YouTubeのなりすましポリシーでも、既存の人物・団体を模したチャンネルは削除の対象とされています。
動画の無断転載には別の手もあなたが撮影・制作した動画を無断で転載された場合は、著作権侵害として、米国のDMCA(デジタルミレニアム著作権法)に基づく削除申請(Notice & Takedown)も有効なことがあります。誹謗中傷(名誉毀損)とは別の枠組みです。
証拠の保全動画・コメントのURL、チャンネル名・URL、画面のスクリーンショットを、日時がわかる形で保存します。動画は削除・非公開にされると復元が難しいため、早めに保存します。
報告フォームで削除申請ヘルプセンター・法的リクエストフォームから、誹謗中傷・なりすまし・権利侵害として報告します。
応じなければ削除仮処分Googleを相手に、人格権に基づく削除仮処分を申し立てます。なりすましはチャンネル削除を求めます。

3投稿者を特定する方法(発信者情報開示)

YouTubeは、Googleアカウントにログインして使う「ログイン型」のサービスです。コメントも動画投稿もログインが前提のため、開示を求める対象は、投稿・アップロード時の通信(通常の発信者情報)だけでなく、ログインした時の年月日・時刻・IPアドレス(特定発信者情報)も含みます。Googleは、開示の決定が出るまで保有するログの確認を行わない運用のため、実務では投稿時の通信(通常型)とログイン時の情報(ログイン型)を組み合わせて開示を求めるのが適切です。

特定は、Google(コンテンツプロバイダ)への請求から始めます。任意の開示に応じる事業者はまずないため、発信者情報開示命令(令和3年改正で新設された非訟手続)や仮処分で進めます。開示命令は保全の必要性(急いで守る必要があること)を示さなくてよく、ログイン時IPと登録情報を同時に求められる利点があります。もっとも、開示命令では相手方(Google)の意見を必ず聴く手続があり、時間を要することがあります。そのため、早さを優先して仮処分を選ぶこともあります。米国法人が相手のため、手続に時間がかかることもあります。

相手方(CP)を確認するYouTubeの請求の相手方は Google LLC です。日本で外国会社として登記されているため、送達などの手続を進めやすくなっています。
Googleへ「発信者情報」の開示を求める第一段階として、Googleに対し、①投稿・アップロード時の通信(通常型)とログイン時のIP・タイムスタンプ(特定発信者情報=ログイン型)を組み合わせて、②アカウントに登録された電話番号・メールアドレスを求めます。電話番号は本人確認を伴うため契約者に到達できる可能性が高く、特定の近道です。登録の有無は請求してみないと分からないため、ログイン時IPと同時に求めます。
電話番号があれば弁護士会照会で特定電話番号が開示されれば、電話会社への弁護士会照会で契約者の氏名・住所にたどり着けます。この場合、次の経由プロバイダの手続を省ける(=早く・低コストで済む)ことがあります。
電話番号がなければ経由プロバイダ(AP)へ第二段階電話番号が保有されていない場合は、開示されたログイン時IPから経由プロバイダ(携帯会社・回線事業者)を特定し、第二段階としてそのAPに発信者情報開示を求め、契約者の氏名・住所を特定します。1秒間に多数の利用者へIPを割り当てる事業者では、IPと時刻の2点に加え「接続先IPアドレス」を加えて特定することがあります。

4動画・コメント・チャンネル別の対応

YouTubeの被害は、投稿の形によって対応が少しずつ変わります。

被害の形主な対応
動画での誹謗中傷動画の削除(報告→削除仮処分)。投稿者は発信者情報開示で特定。あなたの作品の無断転載なら著作権(DMCA)も。
コメント欄での誹謗中傷コメントの削除(報告→削除仮処分)。ログイン時IPの開示から投稿者を特定。
なりすましチャンネルチャンネル全体の削除(アイデンティティ権等)。作成者を特定して損害賠償を請求。
早めの対応を誹謗中傷の動画・コメントは、時間が経つほど再生・拡散が進み、削除・特定の負担も増えます。見つけた段階でのスクリーンショット保全と早期着手が重要です。

5費用・期間の目安

手続期間の目安内容
ヘルプセンターへの報告数日〜数週間費用をかけず試せる。削除は運営判断で不確実。
削除仮処分概ね2〜3か月Googleを相手に人格権に基づき削除。なりすましはチャンネル削除。
投稿者の特定(開示)数か月〜半年程度開示命令等でログイン時IPを取得→経由プロバイダで契約者を特定。

弁護士費用は、着手金・報酬制で、削除のみか、特定・損害賠償まで行うかによって幅があります。具体的な金額は、被害の内容をうかがったうえでご説明します。難波みなみ法律事務所は初回相談無料です。

6時効と、急いだほうがよい理由

投稿者特定の鍵になるログイン記録は、事業者ごとに保存期間が限られ、経過すると特定が難しくなります。これが「急ぐべき」最大の理由です。

また、慰謝料などの損害賠償を請求できる権利(不法行為に基づく損害賠償請求権)は、損害および加害者を知った時から3年で時効にかかります。匿名投稿の場合、この「加害者を知った時」は投稿者を特定できた時にあたるため、3年の時効は投稿者が特定できてから進行を始めるのが原則です。もっとも、その特定の前提となるログイン記録には保存期間の限りがあり、消えてしまえば特定自体ができなくなります。時効よりも、この保存期間こそが「急ぐべき」理由です。

まとめYouTubeの誹謗中傷・なりすましは、削除(報告・仮処分)と投稿者特定(ログイン時IPの開示→経由プロバイダ)で対応できます。相手方はGoogle LLC。ログイン記録と時効の期限があるため、早めのご相談が有効です。

7よくある質問

YouTubeの運営会社(請求の相手方)はどこですか?
Google LLC(アメリカ・カリフォルニア州の法人)です。削除・開示・仮処分は、この Google を相手方として行います。Googleは2022年に日本で外国会社として登記されており、裁判上の手続を進めやすくなっています。
報告フォームだけで投稿者を特定できますか?
できません。ヘルプセンターへの報告で対応されるのは削除などで、誰が投稿したかを特定するためのIPアドレス等の情報は、裁判所の開示命令なしには事実上得られません。特定には発信者情報開示の手続が必要です。
開示を求めるのは投稿時のIP?それともログイン時のIP?
両方です。YouTubeはログイン型のため、投稿・アップロード時の通信(通常型)に加えて、ログインした時の年月日・時刻・IPアドレス(特定発信者情報=ログイン型)も開示対象になります。実務では、両方を組み合わせて開示を求め、そこから投稿者をたどります。
電話番号だけで投稿者を特定できることもありますか?
あります。Googleアカウントに電話番号が登録されていれば、その開示を受けて電話会社への弁護士会照会で契約者を特定でき、経由プロバイダの手続を経ずに済むことがあります。ただし登録の有無は請求してみないと分からないため、ログイン時のIP開示とあわせて進めます。
コメント欄の誹謗中傷も対応できますか?
対応できます。動画だけでなく、コメント欄での誹謗中傷・なりすましも、権利侵害があれば削除や損害賠償請求の対象になります。まずは画面のスクリーンショットで証拠を残してください。
なりすましチャンネルは削除できますか?
できます。他人の氏名・写真・チャンネル名を無断で使ったなりすましは、肖像権・氏名権・アイデンティティ権の侵害にあたり得るため、チャンネル全体の削除を求める仮処分を申し立てます。作成者を特定して慰謝料を請求することも可能です。
自分が作った動画を無断で転載されました。どうすればよいですか?
著作権侵害として、米国のDMCAに基づく削除申請(Notice & Takedown)が有効なことがあります。名誉毀損(誹謗中傷)とは別の枠組みで、あわせて検討します。まずは元動画と転載動画のURLを保存してください。
弁護士に依頼せず自分でできますか?
報告フォームでの削除申請はご自身でも可能です。もっとも、削除仮処分や開示命令といった裁判手続、海外法人Googleへの対応、期限管理は専門的で、途中でログが消えると取り返しがつきません。確実性を求めるなら弁護士への依頼をおすすめします。

YouTubeの誹謗中傷・なりすましは、大阪の難波みなみ法律事務所へ

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監修:難波みなみ法律事務所(大阪市中央区なんば・心斎橋/代表弁護士 南 宜孝)。本記事は一般的な解説であり、個別の事案の結論を保証するものではありません。具体的な対応は、弁護士にご相談ください。

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